書籍紹介「地震のなぞを解く −地球は誤解されているー

 

書籍概要
「地震の謎を解く」 本文

目次
序文

第一章 

定説となっている理論への疑問

第二章

マントル液体論を提案する

第三章

新説地震論を提案する

第四章

新説地震論による地震の謎解き

第五章

新説地震論による深発地震の発震機構

第六章

地震予知の可能性を探る

第七章

新説から導かれる地球の知識

あとがき

付録 分かりやすい新説地震論と地震予知

定説地震論と新説地震論の比較一覧

 

序文

著者は、地震学を専門として学んできたわけではありません。十年前までは、自然災害科学という分野で、海岸災害の一部(津波の研究など)を研究テーマとしていました。したがって、難解なものになってしまっている地震学の全貌を把握した上で、本書を書いたわけではないことを、お断りしておかなければなりません。

 ただ、地震予知が、遅々として進歩せず、多くの一般大衆から、地震関係者が、ひいては、地震学が、信頼を失っていく現状を見て、もっと自由に所見を述べあって、地震予知の方法を前進させるべきではないだろうか、と思っている次第です。

 地震予知を確立するには、なぜ地震が起きるのか、地震の発生機構を知る必要があります。地震の発生機構は、そんなに複雑なものである筈はありません。西洋でも初期の地震学者は、地震を地下の爆発と見ていたようですが、日本でも、江戸期の地震学者は、直観的に地震を何らかの爆発であるという、発想をしていたようです。観測技術の発達、計算技術の発達と共に却って細かな観測や計算の結果に縛られて、自由な発想が制約を受けているようにも思えます。

 したがって、自由な発想に基づいて、今一度地震学を土台から見直すことも必要であると思います。そうした観点に立って、固定した見方を一度取り去って、白紙から議論を進めるくらいのつもりで、敢えて専門外の一人として、意見を提示させて頂きました。勘違いの点もあろうかと思いますが、自由闊達な地震学サロンでの談論風発の一こまとしてお許し頂きたい。

 特に地球の内部構造に関しては、著者の直観に基づいて書いたもので、諸賢のお叱りを頂戴するかもしれませんが、地球の内部が固体であるということが、どうしても信じることができないのです。コンピュータの計算結果は、最初の仮定が間違っていればまったくおかしなものになるはずですが、吟味がなされずに、結果を信じているように見えます。

 ともあれ、地震学が、大きく進歩して、地震予知の方法が確立し、住みよい社会が実現することを願って止みません。

一九九九年一月

 

あとがき

阪神大震災が起こって、四年が経過しました。あの時は、私もボランティアの一員として、現地に入り、公園のテントの中で寝袋にくるまって、二晩泊り込みの救援活動を行ってきましたが、被災されたかたがたの声、とくにお年を召したお婆さんの「ありがとう、嬉しくって、また来ちゃったのよ」という言葉が忘れられません。
今日本の国が変わりつつある、という感じがしています。テレビでも同じようなことをいっていましたが、若いひとがボランティア活動に積極的に参加するようになり、その姿がまた世の中の考え方を変えていっているようです。社会の本来あるべき姿、助け合い、励まし合って生きる姿が日本にも蘇ってきたような感じがします。あの地震をきっかけにして、日本のボランティア元年になるといわれています。
 地震学の新説・新しい一物差し一を紹介して、地震予知の進歩の一助にしたいということが、本書の目的ではありますが、自然災害の本当の原因は、何度も述べましたように、地球意識に感謝を忘れ・助け合い・生かしあい、励まし合って生きる、本来の生き方を、人類が忘れて生きてきたことにあるのです。災害をきっかけにして、気づきがあつたことは、不幸の中にも、よいことがあったということではないでしょうか。科学は人類を幸福にするためにあるはずです。幸福から遠ざけるような無明の科学から脱出して、素晴らしい社会を創つていきたいものです。
新しい「物差し」が受け入れられる前に、次の大地震が襲つてくるかもしれません。本書で提案したANS警報体制は、間に合わないでしよう。このシステムは、人類が生き方を反省し、地球に感謝する心を持ったとき、精神性の高い社会を創造したときに、はじめて許されるものなのかもしれません。打ち続く地震はそうした社会をはやく創りなさいということを、教えているのでしょう。それを目指してこれからも頑張っていきたいと思います。

一九九九年一月
             石田昭