マスコミに利用される大学教授?
「原発と活断層〜その実態を聞く」

活断層の専門家・東洋大学教授渡辺満久氏

http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1974.html

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水野:近藤さ〜ん、これからお話しいただくのは活断層の研究の第一人者でいらっしゃいます。東洋大学教授の渡辺満久先生です。渡辺さんこんばんは〜。

大飯原発近くの活断層

水野:渡辺さんが今日お話し下さるという事でラジオのリスナーの方々から質問を頂戴いたしました。

「今政府が再稼働に向けてひた走っているように見えます、大飯原発。福井県にあります大飯原発の近くにはどのような活断層があるんでしょうか?そしてそれが近い将来地震を起こす恐れってあるんでしょうか」

こんなふうに聞いて下さっているんですが、渡辺さん、いかがでしょうか?

渡辺:大飯原発の本当に近いところには活断層は見えないんですけれども、数キロ離れたところにかなり大きな地震を起こす活断層が存在しています。

水野:数キロ離れたところに大きな活断層があるんですか、

渡辺:そうですね、それはですねいつ動くかという事は全く分かりません。

水野:明日動くかもしれません?

渡辺:動くかもしれません。

水野:動くとしたらどれぐらいの地震を起こす規模の活断層なんでしょうか?

渡辺:マグニチュードで申し上げれば、7を超えるぐらいだろうと思います。

水野:マグニチュード7を超える揺れをもたらすような大きな活断層が、数キロ離れたところにあるんですか。

渡辺:はい。ただ問題はそこではなくてですね、どうも敷地の中にも小さい活断層がありそうだっていう事がだんだんわかってきて、

水野:え゛−−−っ!大飯原発の敷地の中にもですか?

渡辺:そうですね。民間の市民団体の方が提示されたデータを私は見せていただいて、「活断層が存在する可能性を否定できない」と、そういうふにコメントして、もうすぐその記事も出ると思うんですけれど、

水野:そうですか、大飯原発の敷地内にも活断層がある可能性を否定できない。ま、あるかもしれないという事ですよね。

渡辺:私が直接中に入って見る事が出来ないので、分からないとしか申し上げられないんですけれども、公表されているデータを見る限りですね、「活断層ではないんですか?」と思わざるを得ないような物が出ているんですね。そちらの方が心配ですね。

水野:そうした敷地内の、「小さな」とおっしゃいましたけれども、活断層が動く可能性もあるでしょうし、

活断層の真上に原子炉

渡辺:それも、いつ動くかっていうのは全く分かりませんけれども、その敷地内のやつが原子炉の下にもあるので、そういうものがもしかして動いてしまうと、これはちょっと、大変なことが想定できる訳です。

水野:原子炉の下にも活断層があるやもしれない。で、それが動く時ってね、ど、どんな最悪な事があり得るんですか?

渡辺:建屋の真下のやつが動いてしまうと、建屋が壊れますので、そうすると原子炉本体が頑丈に造ってあったとしても、配管その他が壊れてしまうとですね、かなり深刻な事態になるんじゃないかと思います。ただ、わたしは工学的なところは専門ではないので、ハッキリは申し上げられませんけれども、

水野:あ、そうか。近藤さ〜ん、今の渡辺さんのお話を聞かれて、どんな印象を持たれました?

近藤:あの・・・・先生ね、耐震性を、そうするといかに高めても、活断層が下にあるという事になると、これは先生の専門じゃないかも分かりませんけれど、どんな建物でもダメなんですかね?

渡辺:直下にあるもので、土地がずれてしまった場合には、耐震性は関係ないです。

近藤:関係ないわけですか、

水野:あっ!そうなんですか

渡辺:ずれてしまった場合には、私達が今まで見ている世界の活断層が動いた現場を見ている限りでは、その上にあった建造物が無傷だったという例はほとんどないわけです。

近藤:もう一つ非常に素朴な疑問なんですが、いわゆるあの東日本大震災というものは、これはプレート境界型の地震だというように言われていますよね、で、それに活断層というものはどう関わっているんですか?

渡辺:私達はプレート境界の地震も、基本的には活断層だと思っています。ただ、プレート境界の活断層は非常に規模が大きいという理解ですね。規模が大きいので大きな地震を起こすと、そういうふうに思っています。

近藤:要するに、プレートの内部に抱き込んで活断層があるという事なんですか?

渡辺:プレート境界も活断層という考え方ですね。

近藤:そうですか、ははぁ・・

水野:活断層というものが、という事は建屋の下にあったら、どんなに強固なものを建てようが、耐震性を高めようが、その建物はやっぱり何らかの形で損傷すると考えなければいけないわけですよね。

渡辺:そのように考えなければいけませんので、もし確認して、新しい時代に動いているという事が確認されればですね、その結果。やはり動かすべきではないと、動かしてはいけないものだと思います。

美浜原発40年超えても運転容認

水野:先程ですね、ニュースでお伝えしたんですが、福井県にあります美浜原発の2号機。

これは「40年超えても運転することを容認する」という方針を保安院が打ち出したという話なんですね。しかしながら、渡辺先生は「美浜のところには活断層がある」とおっしゃいましたよね。

渡辺:その可能性があるとおもいます。

水野:これどう思われます?40年超えても運転し続けるように政府はしようとしているようですが、

渡辺:ええ、それは許してはいけないですよね。あの、すみません私はですね、原子力は使っていいと、使うべきだとおもっているんですよ。だけど、あまりにもひどいと。安全審査がですね。ものすごいところに造っているので、「それはちょっと勘弁して下さい」という形でコメントをいろいろとしているんですけれども、

近藤:あぁ、そうですか。先生は「原発はいい」という考え方なんですか。

渡辺:いいというか、まあ、現状では必要なものだと思います。

近藤:ん〜〜それでもひどいところに建てることに驚きがある訳ですよね。

保安院の調査

渡辺:驚きですね。かつては、まあ、さすがに原子力発電所ですから、まじめにきちんと調査をやっていると私は信じ込んできたわけですが、今の多分国民の大勢はそうだと思いますけれども、で、私はこういう専門ですから、「本当ですか?」と、こう見た時にですね、間違いだとすぐに分かって、さすがにこれは放っておくとまずいんじゃないかと思うぐらいに、

近藤:先生、活断層というのは相当綿密な調査がいるんですか?あるか、ないか、っているのは。

渡辺:活動履歴というか、いつ地震を起こしたかというふうなことで言えば、相当調査が必要ですけれども、ずれてしまうようなものがあるかないかに関しては、それほど大掛かりな調査はいらないはずなんですけれども、

近藤:先ほど市民グループの方というお話をおっしゃっていられたですよね。それはどういうレベルの話でそうなるんですか?

渡辺:関西電力さんが、大飯発電所の3号機4号機を増設する時の申請書というのを出しているんですけど。設置許可申請書ですね。それは公開されているんですよ。で、その公開されている資料を読まれて、「これはおかしいんじゃないですか?」とわたしにコメントを求めてこられた。

で、私はちょっと大飯にまで手が回っていなかったもので、あれなんですけれど、見た瞬間に「これは危ない」と、「危ない」っていうか、確認はしなければいけない。とても、とても安全だとは思えなかったですね。

近藤:設置されている資料の中に添付されているものを読めば、先生のレベルだったら、ある程度分かる訳ですか?

渡辺:はい

水野:すぐお分かりになったっておっしゃいました。

渡辺:すぐ分かります。

水野:そうしたら保安院の側にもですね、もちろん活断層のプロはいはるんでしょう?

渡辺:今はある程度いらっしゃるんですけど、かつてはおられなかったんですよ。

水野:活断層のプロなしで!審査してました!?

活断層を見つけるのは地震学者ではない

渡辺:それにちょっと誤解があって、皆さんは活断層は地震研究者だと思っている訳ですが、

水野:思っています。

渡辺:それは違うんですよ。

水野:違うんですか!?

渡辺:ええ。地震研究者はその分野ではもちろん立派な先生方ですけれども、活断層を見つけるという事をプロとはしていない訳ですね。だから、国民の何となく了解はそういうところにあって、活断層の評価のところに地震研究者。地震研究者がいてもいいんですけれども、地震研究者だけでやってきたんです。

水野:活断層のプロでないと、地震をやっていらっしゃる方だったら、「活断層はこことこことここにこんだけあるよ」って言えるかというと、それは違うんですね。

渡辺:それは違います

水野:わたしは全然わかってなかった。

活断層を見つける専門家は地理学科・地形学にいる

渡辺:活断層があるかどうかというのは私達の地形学の分野の人間の

水野:地形学の先生方。

渡辺:ええ。

近藤:先生の場合は変動地形学っておっしゃっているでしょ?

渡辺:そうです、はい。

近藤:変動地形学と地震学というのはお互い兄弟みたいなもんなんですか?

渡辺:

いや、全然違います。研究手法その他も全然違うので、お互いにその地震というキーワードで繋がっちゃっていて、色々混乱しているんですけれども、

水野:という事は本当に活断層を見破るプロの目を通らないで、原発が設置され、またここまできてしまって、また、40年過ぎても延長しようかみたいな話になっている訳ですよね。

渡辺:はいそうです。それで私も言葉を選ばずに最近申し上げているんですけれども、やはり、専門審査にあたっている方々の専門性を疑うべきだと。そこまでいかないとですね、ちょっとこの国はいずれ大変なことが起こるんじゃないかと。

近藤:いやぁー、今のお話を聞いて、「この国は」って言う言い方がズバリ当たっているような。なんか、まともに考えたら住んでいられないですよね。

渡辺:はい。とても恐ろしいです。

近藤:ん・・・・

渡辺:先程のお話のついでに申し上げると、その活断層を見つけるプロである地形学者はですね、日本では地理学科にいるんですよ。

水野:地理学科

渡辺:地理と言うと人文科学の先生なので、私のように社会学部にいたり、文系学部にいることが多いので、なおさら皆さんに分かりにくいんですよね。

近藤:なるほど

水野:はぁ〜〜

渡辺先生のような活断層のプロが見なきゃ、そりゃ、とても怖くてしょうがないと思いますが、この怖さについて政府は気づいていないんですか?気づいていてやっているんですか?それとも。

渡辺:それは私にはわからないので、マスコミのみなさんに確認をしていただくしかないです

水野:いや、これは本当に確認しなきゃいけませんですね。

渡辺:私が素朴に申し上げると、「よく平気でいるな」という印象を持っていますね。

活断層地図の信頼性

水野:よく地図でですね、「この原発のあたりに活断層があります」という線、太い線などで示されますね。あの活断層の線が、A地点からB地点まで、こう引いてあると。あれなんかは正確に、今出されている地図なんかをわたしらは信用していていいんですか?

渡辺:陸上に関しては、活断層の研究者が書いた地図は公表されていて、そういうものは信頼性が高いと思います。ただ、海底に関してはですね、大変申し訳ないけど、電力関係の調査が入っているものは、少し見直しがいるんじゃないかなと。

水野:この原発の場合はまずデータを出してくるのは電力会社の側ですよね。

渡辺:そうですね、ええ。

データはまず、電力会社から

水野:という事は活断層はどこからどこまでどんな規模だということを、まず基本のデータを電力会社が出す時に、どれだけ、渡辺先生のようなプロが見て納得されるものができているのか、これはどうですか・

渡辺:ま、大筋では、つまり、大きなものは落としていないと期待したいですけれども、やっぱり他の原発を見ていても、本来コーデしなければいけないところをやっぱり無視されているところがいっぱいありますので

それは大変問題は多いんだと思いますね。

水野:ハァーーー

近藤さ〜ん、まず電力会社がそういったデータを出すっていうのもわたしなんかは「へぇ??」ってビックリしますし、で、国はもう、プロ中のプロがやっているとばかり思っていましたけれども、プロがいない。

渡辺:皆さんそう思っていらっしゃるんですよ。

水野:そこですよね。

渡辺:はい。そこを変えないとですね、このまま新しい規制庁を作っても何の役にも立たないと思います。

活断層を認めない保安院

近藤:いやぁ・・・・先生の・・・しかし、・・・「原発があってもいい」とおっしゃる先生がここまでおっしゃるような国に、ん・・・・で、さっき出ていましたけども、核燃料の再処理工場がある青森ね。青森の、その先生、活断層っていうのは、これは保安員なんかはどう受け止め方をしているんですか?

渡辺:絶対に認めてないですね。

近藤:認めてないんですか!

渡辺:はい、認めてないです。

近藤:それは

水野:活断層の存在そのものを認めないという事ですか?

渡辺:認めません。

水野:認めない言うたかて、「ある」って専門家が言っているのに、「認めません」

渡辺:そうなんですよ、私なんかはちゃんとレフェリー制度のある学術雑誌に書いてですね、「こういう活断層があります」というのがちゃんと受理されて、学術書に載っている訳ですけれども、それを無視して、無視というか取り上げないですね。

水野:取り上げない。

近藤:その理屈、それ、な、な、なんなんですか?「地震をすぐ引き起こすわけじゃない」という事を言う訳ですか?

渡辺:そういう言い方もしますけれども、「専門家はちゃんとそろっている」と。それで、私たちの論文を電力会社側が会議で説明をして、そしてそれを聞いている専門家が「うん、その通りでいいですね」と言って審査をしているんですよ。

近藤:ん・・・・

渡辺:まず、なぜ私達がそこに行かないのかが大問題なんですけれど。

水野:そうですね、やはり審査する側の人選、「どなたを信用して見ていただくのか」というそこの哲学が国の側になかったら、ずーーっと甘いもので通って行くわけですよね。

渡辺:そうなると思います

水野:これ、大飯原発についてもですね、保安院は「活断層が3つ。3連動するという、連動の可能性は低いし、たとえ連動したって安全だ」って言っているんですよね。これについていかがですか?

渡辺:連動に関して申し上げると、その見方もちょっと甘いなと思うんで、なんか、「念のために連動を考える」という言い方をされているんですけれども、

水野:そうなんです

渡辺:その場合は計算式がちょっと違って、ちょっと少なめに出すようなんですよ、揺れを。ちょっと私は専門じゃないんで詳しくは申し上げられませんが、その問題が一つとですね、やっぱりゴチャゴチャにしちゃいけないのは、地震が起こる時に地面が揺れて起こる被害と、土地がずれてしまう被害があるので、明確に区別しないと、「そこに活断層がありますよ」と言っても、よく保安院さんは「活断層はあるけれど、地震を起こすものじゃないから大丈夫なんだ」と変な言い方をするんですね。その土地がずれることが大問題な訳で、

近藤:そうですよね、ずれたら終わりですよね。

渡辺:はい

水野:しかしながらこうして教えていただいた、今日の渡辺さんの視点を持って、そのうえで再稼働に突っ走ろうというのではないんですよね。

こうした視点が全く欠け落ちていっていますね。

今日は本当に貴重なお話しをいただきどうもありがとうございました。

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http://www.youtube.com/watch?v=RUDPMqfrv8k&feature=related

原発問題を機にして学者の”あいまいさ”が炙り出されてきているように思います。