水の三態図と解離水爆発の関係
水は温度と圧力によって、固体、液体、気体となる物質であり、水の三態として知られています。その関係は図ー1のようになります。高温、高圧の地下では、熱水状態を超えると超臨界水となり、さらに温度が上昇すると、酸素と水素に熱解離します。その解離度は温度、圧力、触媒物質の存在によって、変化します。一般には温度が高いほど、圧力は低いほど解離度が高くなります。解離度が等しいライン(等解離度線)を引くと図のような斜線で表されるはずです。
図ー1水の三態図と等解離度線の関係
図中の円形の部分を取り出したのが、図ー2です。解離度が低い領域にあった安定した結合水(超臨界状態の普通の水のことです)が、解離度の高い領域に移動または、環境の変化があると、解離水が発生します。解離反応は吸熱反応であるために、周囲の温度は低下します。爆鳴気とも言われる解離水ですが、すぐに着火することはありません。しかし次第にその外縁から熱の移動を受けると、低温度領域が減少して、着火・爆発に至ります。これが地震の発生であります。爆発は結合反応で、熱を放出しますので、再び結合水に戻ると共に、温度を回復します。
図ー2 解離水爆発の説明
火山地帯等での出水を伴う大規模なトンネルエ事や、水蒸気を抜いて、地中圧力を減じてしまう地熱発電を行う場合などは、解離度を増加させることになるので、圧力と熱のバランスを十分に考慮しないと、人為的に爆発させてしまう心配があります。これらの図はもっと広いことをも教えてくれています。石油や天然ガスを採掘するときに、急激に地下の圧力を減じると、その影響が採掘位置より下部に及び、そこの解離度を上昇させます。これは、地震を誘発する危険のある人為行為であります。近年の採掘は、効率を上げて、汲み尽くすために、採掘後の空間に置換水を送って圧力を維持させているそうですが、結果としては解離水爆発を防ぐことになるといえます。