新・地震学セミナーからの学び
33 定説地震学への疑問
下に掲げた解説文と図は気象庁のHP

http://www.kishou.go.jp/know/whitep/2-2.html

にあるプレートと地震,火山  という項目の説明です。どうしても納得できない疑問がありますので、述べてみたいと思います。まず解説文を紹介します。

「この板状の固い岩石の層をプレートと呼ぶ。プレートの境界ではプレート同士の押し合う力が地震を発生させる(プレート間地震と呼ばれ、海溝付近で発生する海溝型地震と呼ばれるものもこのひとつ)。このタイプの地震の中にはマグニチュード8クラスの巨大地震も含まれる。プレート同士の押し合いの結果、プレートの内部にもひずみがたまり、地震を発生させる(プレート内地震と呼ばれ、活断層による内陸地震もこの種類)。また、陸と海のプレートの境界では、海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んでいくことが多く、この沈み込んだ海のプレートの内部にも地震が発生する(深発地震)。また、プレートの沈み込みは、火山の原因となるマグマを発生させる。プレートの運動は、世界の地震・火山活動の源なのである。

以上が解説の抜粋です。

疑問1: プレートの境界ではプレート同士の押し合う力が地震を発生させる・・・とありますが、押し合う力によって生じるひずみは、岩石の場合蓄積されることが無く、降伏点を超えると破壊してしまいます。降伏点に達するまでのひずみ量は金属などと違って小さなものです。降伏点で「グシャッ」と壊れたらそれまでで、相手のプレートを跳ね上げるような弾力性を持っていないはずです。

疑問2: プレート同士の押し合いの結果、プレートの内部にもひずみがたまり、地震を発生させる・・・とありますが、岩盤内の応力は作用点で最大で、作用点つまりプレートがぶつかる場所から離れるにつれて、応力は分散するのではないでしょうか。ひずみはプレート間においても、プレートの内部においても、蓄積されることは困難だと思いますが・・・。

疑問3: 沈み込んだ海のプレートの内部にも地震が発生する(深発地震)・・・ とありますが、図中に太平洋プレートと示してある厚さ100kmもある岩盤の内部では、相当の高熱のはずです。その潜り込みプレートの内部で果たして応力が移動してきて断層地震が起こるでしょうか。相転移による変化が地震の原因であるという話も聞きますが、そうなるともはやプレートは剛体であるという仮説が成立しなくなると思うのですが・・・。

疑問4: プレートの沈み込みは、火山の原因となるマグマを発生させる。・・・とありますが、潜り込むときの摩擦熱によって、本当に岩石が熔けてマグマが発生するものでしょうか。年間数センチという速度で潜り込んでも岩石を熔かすような摩擦熱が発生するのなら、巨大地震が発生する場所とされるプレート間でも岩石が熔融し、ヌルヌルと滑動して地震など起こらないのではないでしょうか。

下の図は石田理論による解説図です。深発地震は熔融マントル内部での爆発現象であり、マグマとはマントル物質が地殻内部に浸入したものだとしています。

定説地震学はマントルが固体であるという考えに拘束されて自由な発想が束縛されているのではないでしょうか。

マントルの物性に関してはセミナー[1464][1465]で、最新の解釈をのべています。

(2008/7/17)