新・地震学セミナーからの学び
16 "毛布効果"は大陸を分裂させるのではない
大陸が分裂するのは毛布効果、あるいは座布団効果と言われる熱の貯留現象であるということになっております。しかしこれも大変奇妙な理屈に思えてなりません。まずはNHKの「地球大紀行」1にある「変わりゆく地球の表情」からの一節をお読みください。

毛布効果とパンゲア大陸の分裂

これまで海嶺が、地球の熱を放出する冷却システムとして、重要な働きをしていることを見てきたが、それでは、大陸の下の熱の動きはどうだろうか。
海の下の熱は、海水によって冷やされる。逆に、海水は熱せられて熱くなる。しかし熱くなった海水はすぐ入れ代わって、海底の熱を運んでいく。こうして海の下では効率的な冷却が行われている。
しかし大陸の下ではどうであろうか。地球上に大きな大陸があると、海の下の熱と比べて、大陸の下の熱は逃げにくい。海の水が移動しながら熱を奪ってくれるのと違って、大陸の下の岩石は移動することができないから、熱は伝導で移るだけであり、非常に効率が悪い。そのため、大きな大陸の下には熱がたまりやすい。つまり、大陸が毛布のような役割りをして、熱をその下にためてしまうのである。この現象は、毛布効果と呼ばれている。
大陸の下に熱がたまると、そこに地球内部のマントル物質の上昇流が起こり、大陸を下から突き上げる。こうして大陸部を中心に対流が起こり、大陸は引き延ばされ、裂け、左右に分かれていく。そこにはこれまで見てきたような、階段状の谷間ができる。さらに裂けていくと、大陸の地殻は薄くなり、その下のマントルの層が表面に出てくる。そこに海水が流入すると海ができる。そして、マントルの層が表面で冷やされて固化する。これは結局、海嶺が誕生したということなのである。つまり、大陸を割って海嶺が誕生したことになる。

大陸の地殻は”毛布効果”によって冷め難く、それによって分裂が始まるとされていますが、奇妙な議論です。
台地が割れて、海が形成されつつある地域と考えられているのが、アファー三角領域と言われる紅海の南に位置したアフリカの地です。アサル湖、アベ湖といった奇妙な景観が見られる地域です。ここはさらに南に下るとアフリカの大地溝帯に繋がっていきます。
以上が抜粋ですが、地殻が冷え易いかどうかという議論なので海水と空気の冷却効果を考えるべきです。地上は海底よりも冷えやすいのではないでしょうか。深海では海水はそんなに激しく流動しているわけではありません。それよりも地上は、激しい空気の対流で熱が激しく奪われるはずです。それだから、大陸の地殻は厚くなっているのだと思います。しかも高い山があるほど、冷却効果がよく効いて、地殻は厚くなるのです。海域部の地殻は10km程度ですが、陸域は30kmもあります。冷却され難いのは海水が存在するからです。この理屈は農業関係者に聞くと解ることですが、冬に雪が少ないと麦が枯れてしまって、春麦が収穫できなくなることからも理解できます。積雪が少ないと、麦が枯れてロシアでは食料不足になります。雪は冷たいように思うのですが、それこそ布団の効果を発揮して、麦を寒さから守るのです。吹きさらしに居れば遭難しますが、雪洞を掘って避難していれば助かることからも分かります。

大陸の上は熱が奪われやすいとすると、毛布効果はむしろ海底からマグマを湧き出させている海嶺のできる理由こそが毛布効果だと思います。

アサル地溝帯にあるアサル湖の写真、海が誕生しつつある地域ではなくて、海だった地域が隆起して、海水が干上がりつつあり、やがて塩の採掘が可能になるでしょう。大陸が布団効果によって分裂していく姿ではありません。

次に海が出来つつあるといわれているアファー三角地帯のアサル湖の写真を二枚紹介しました。左は溶岩がむき出しの状態です。右は極度に濃い塩水があることを示しており、塩の結晶が析出しています。ここは海底が出来つつある地域ではなくて、かつて海底であった地域が直下型の大地震によって浮上して出来た地域なのです。

アサル湖のとなりにあるアベ湖の干上がった地域には、かつて海底にあってブラックスモークを噴出していた証拠である、トラバーチンという名の今は枯れた煙突が林立しているのです。このことからも、この地域は海域が浮上してたくさんの塩湖ができたのであり、なかにはラクダに乗ってこの塩を採掘に来る現地の人が大昔からあるのが、うなずけるのです。海が現在できつつあって、やがて海水が浸入して海が完成するなどと言うことは、おかしな話です。

アベ湖に見られる、林立するトラバーチンの写真。かつては海の底にあって、ブラックスモークを噴出していたのです。この地域はこれから海になるのではありません。
アファー地帯の北端ダナキル凹地でラクダを連れて塩の採掘をするエチオピア労働者達
今の地球科学の知見とはプレートテクトニクス理論(板論)に自縄自縛されてまったくおかしな話を信じ込まされています。まるで妖怪の存在を信じている幼児のような姿ではないでしょうか。板論を早く捨てないと、地球の本当の姿は見えてこないまま、新種の妖怪を誕生させるばかりです。 パンゲアという大陸もテーチスという海も妄想が作り上げた妖怪です。
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