新・地震学セミナーからの学び
47 中越地震の余震
昨年(2004年)10月に起きた中越地震では、その後の余震が異常に多くまた長く続いております。その原因として、断層が複数動いたからだと言う説もありますし、断層が地表まで達していなかったことが原因で歪の開放が長期にわたっているのだという説もあります。

下の図は地震発生からの5日間に起こった中越地震及び阪神淡路大地震などの積算余震回数(M4.0以上)を示したものです。気象庁のサイトから転載させていただきました。明らかに中越地震の余震は兵庫県南部(阪神淡路)地震、福井地震、今回の福岡西方沖地震よりも頻繁に起こっていることがわかります。中越地震だけ何故このように余震が数多く発生するのでしょうか。説得力のある解説は今のところ無いようです。

阪神淡路大地震における余震の頻度
しかしながら、地震爆発論で考えると大変気になることがあります。セミナー[955]でやり取りを紹介してありますが、アメリカのデンバーで軍需工場の廃液を地下に圧入して処理しようとしたことがありますが、圧入するたびに地震が発生したのです。水を圧入したために滑りが起こり、大地震のエネルギーが細分化されて放出されたのだ、という解釈を地震学者はしているようですが、私は大変危険な行為であると考えています。水を注入するということは、地下深部の圧力と温度を変化させることになりますから、解離ガスの発生することが予想されるからです。地下深部への水の注入は地震を誘発させる可能性があるのです。

これと同じような危険な実験が震源の近くで行われていたのです。中越地震の震源から15キロしか離れていない長岡市深沢の帝国石油の採掘サイトで、温暖化防止策の一環として地中に二酸化炭素を封じ込めようと言う計画のための試験が地震発生の1年3ヶ月前の2003年7月から、2005年1月まで行われていたのです。

http://www.rite.or.jp/Japanese/project/tityu/nagaoka.html

これが地中の解離度をどの程度変化させるものかは良く分かりませんが、地下に於ける水の解離現象を検討することも無く、人為的に地下空間を細工することは大変に危険であると思っています。[955]で質問された方の危惧にもありますが、デンバーでの注水実験で起こった地震の解釈は断層地震説と爆発地震説では全く違ったものとなり、爆発説に準拠すれば危険な行為になる可能性を含んでいます。私は廃液の注入と言い、二酸化炭素の注入といい、あるいは地下空間の大規模掘削といい、地震を誘発させる危険な行為であると認識しております。

新潟県中越地震は人為的に起こしてしまった地震であるという疑いを捨てきれないのではないかと思っているのです。

下に示した図は中越地震と、兵庫県南部地震における3ヶ月間の余震発生状況を示したもので、縦軸はマグニチュード、横軸は時間です。明らかに中越地震のほうが規模が小さい地震であるにもかかわらず頻繁に余震が起きていることが分ります。中越地震では発生後5ヶ月経った今でも余震が止まっておりません。

中越地震における余震発生状況
兵庫県南部(阪神淡路)地震における余震発生状況