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861
2004/10/18(Mon) 11:0
パトロス
地学の疑問
じゅろんさんへ、疑問を抱くことは大いに大切なことで、「科学する心」に不可欠なものです。どんどん疑問を提出してください。
さて、大陸移動の件ですが、セミナー[92]http://www.ailab7.com/log/eqlog91-100.html
に解説してありますように、アフリカと南米は分裂移動したものだと考えています。ただし斉一説としての移動ではなく、地球の激変期に起こった移動であると思います。同じようなことが小規模で起こったのが紅海の両岸にも見られます。そのほかにも、ウェゲナーの発想の原点となった極地方の地象にもそうした激変的分裂移動はあると思います。しかし、パンゲアというような超大陸が分裂し、一定速度で移動しているという斉一的変化は存在しないと思っています。
またアイソスタシーの件ですが、ニューオフィス20http://www.ailab7.com/aiso.htmlにも解説してありますので、参考にしてください。熔融マントルを包んでいる地球表面の地殻という部分は、巨大地震の連発などによって、過去何度も浮上と沈降を繰り返していると思います。アトランティスもムーもそうやって海底に沈んだのだと思います。そうでなければ、どの大陸、島嶼にも見られる水棲生物の化石の起原が説明できないと思いますし、海底に鍾乳洞があることが説明できないと思います。海洋の地殻が薄いのは、沈降した後に地球内部の熱作用で地殻の底部が溶解させられたのだと考えています。一方大陸の地殻が厚いのは、浮上の後大気の流れによって熱が奪われ、マントルが冷却されて地殻が厚くなっていくのだと考えています。空冷式よりも水冷式の方が冷却効率が高いのではないかとお思いかもしれませんが、海底では海水の流れは微少であるのに対して、地表で起きる大気の流れは大きなもので、冷却効果は高いものがあります。雪山で遭難するのは、吹雪に体温を奪われるからであって、冷たいけれども雪洞を掘って風を避ければ助かるのです。海水の効果はこの雪洞効果に似ています。雪の少ない時は春麦が全滅するというのも同じ理由です。

今後地学を学んで行かれると、花崗岩が大陸にしか存在しないのはなぜなのか、などたくさんの疑問がでてくると思います。これからも教科書を鵜呑みにしないで自分で納得の行くまで探求して行く姿勢を崩さないでいただきたいと思います。ただし学校の試験では教科書どおりに解答してください、でないと落第しますから。疑問の提示ありがとうございました。

862
2004/10/19(Tue) 00:47
ノリマン
花崗岩の生成プロセス
花崗岩が大陸にしか存在しないのはなぜなのか、大変興味があります。ウェゲナーがプレート説を思いついた理由として、シアル質の花崗岩が大陸上にのみ存在し、それより重いシマ質の玄武岩が大洋および花崗岩の下に存在することから、重い玄武岩が軽い花崗岩を氷山のように浮かせているのだとしたようです。大陸にしか存在しない花崗岩の生成理由はどういうことになるのでしょうか。
863
2004/10/19(Tue) 17:01
パトロス
Re:花崗岩の生成プロセス
ノリマンさん、地学の先生からは笑われるかもしれませんが、新しい視点から考察をしてみます。
さて、花崗岩(シアル質)の形成には水が存在することと、時間を掛けてゆっくりと冷え固まるという条件が必須のようです。それがあって初めて種々の結晶が析出し、霜降りのような独特の模様の岩石が生まれるのだと思います。また花崗岩は他の惑星には存在せず、地球の陸地部分にしか存在しないとも言われています。

以上のことは海が存在する地球にしか存在しないという花崗岩の誕生の謎を解明する重要なヒントを与えてくれます。
ここで、海底にあった地殻が大地震の垂直方向爆発で浮上するところから推定します。海洋部の薄い地殻が浮上して大気にさらされると、熱が奪われて熔融していたマントル物質つまりマグマが冷却されます。このときマントル上部にあったマグマの内部は解離度が低いので解離水は少なく、結合水を含んだままの状態で浮上します。火山から噴出するマグマと違って水を含んだまま、しかもゆっくりと冷却されるので花崗岩が形成されるのだろうと思います。その下にあるマグマは解離度が高く酸素と水素に解離してしまっているために、花崗岩とはならないで玄武岩のような岩石となるのではないでしょうか。
また海底火山も含めてですが、火山の火道を上がってきたマグマは結合水を多く含んでいますが、地表付近で水蒸気が発泡して抜けるため固まっても玄武岩にしかなりません。たとえ、発泡しないとしても、短期間で冷却しますので花崗岩になることはないのでしょう。これが大陸部分にのみ花崗岩が存在する理由でしょう。
では大陸が沈降した場合はどうなるでしょうか。厚みのあった大陸地殻も海底に沈降すると、[861]で述べたような理由によって熱が奪われ難くなって、かつては玄武岩や花崗岩であった部分が熔融してマントル物質に同化していくものと考えられます。熔融しない部分も熱作用を受けて変成岩に変わって行くのでしょう。これが、海洋底には花崗岩が存在したとしても僅かであって陸地のような厚いものにはならないという理由でしょう。これが新理論から推定される花崗岩の生成プロセスです。

864
2004/10/19(Tue) 23:36
ノリマン
シアルとシマについて
ご回答は花崗岩の生成プロセスに関する新説なのかなと思いますが、シアル(Sial)質とは、ケイ素SiとアルミニュームAlとから出来ているという意味で、シマ(Sima)質とは、ケイ素SiとマグネシュウムMgとから出来ているという意味だそうです。両者の生成プロセスが水の有無と冷却時間の長短だけで決まるとするのは、少し納得しかねる面があるように思いますが、いかがでしょうか。
865
2004/10/20(Wed) 11:02
パトロス
Re:シアルとシマについて
ノリマンさま、ごもっともな感想ですが、大陸の花崗岩の形成プロセスに関しては分からないことが多く、定説が無いようです。シアルとシマという命名が妥当かどうかも分かりませんが、火山学者に聞いてみようというサイトでは、次のような文章があります。http://hakone.eri.u-tokyo.ac.jp/kazan/Question/topic/topic54.html「大陸地殻を形成している岩石が花崗岩と言う事を授業で習いました。また、花崗岩は玄武岩質マグマの結晶分化作用で作られる事も習いました。」
「大陸地殻がどのようにして形成されたかは,まだはっきりとは解明されていません.また,花崗岩層の平均組成は「花崗岩」というよりは安山岩(あるいは閃緑岩)に近いものです.」
とありますように、花崗岩と玄武岩は密度こそはっきり違いますが、成分は大差ないのではないでしょうか。もちろん玄武岩の場合は発泡ガス体として抜け出る成分がありますので、抜け出ることなく冷却する花崗岩とまったく同じとは言えないでしょうが・・・。
また(#191)の回答に「「花崗岩はどういう理由で地表火山になれなくて地下深所にとどまったもの」なのかはわかりませんが,マグマにとっては,地表に噴き出すよりも地下にいる方が楽(エネルギーが少なくて済む)でしょう.」
というコメントがあります。新説では地下深所だからこそ結合水が蒸気として抜け出ないで冷却し、花崗岩が生成されるのだということになります。マグマが地表に噴出してしまえば、蒸気として水が抜け出てしまい、花崗岩にはなれません。現在地表近くでみられる花崗岩は長年の侵食作用などで地表に露出しているのでしょう。
定説が存在しない中で、新説はかなり説得力があるのではないでしょうか。
866
2004/10/20(Wed) 21:43
パトロス
花崗岩と玄武岩の違い
地球の仕組みというサイトに花崗岩の説明がありました。http://www1.cominitei.com/earth/3Mecha/3_24.html
「玄武岩が黒っぽいというのは、構成する鉱物が有色のものが多く、花崗岩の白っぽいのは無色あるいは白っぽい鉱物が多いということです。有色の鉱物とは、色のついたもののことで、玄武岩をつくる鉱物では、濃い色(岩石中では黒っぽく見える)を持ちます。そして、有色鉱物は、マグネシウム(Mg、苦と表現する)と鉄(Fe)を多く含む鉱物の場合が多く、そのようなマグネシウムや鉄を多く含む鉱物は、苦鉄質(くてつしつ)鉱物といいます。
 一方、無色の鉱物とは、色のない鉱物で、一般には透明です。白っぽい鉱物は、少量含まれている成分やできた後の変質や風化によって、もともと透明な鉱物が、白っぽく見えることもあります。無色あるいは白っぽい鉱物の代表は珪酸(珪素と酸素)をたくさん含む石英や長石(アルカリ元素とアルミニウム、珪素と酸素)などです。ですから無色あるいは白っぽい鉱物とは、珪長質(けいちょうしつ)鉱物とも呼ばれます。
 鉄を多く含む鉱物は、比重が大きくなり、アルカリ元素やアルミニウムは比重が小さくなります。そのため、玄武岩のほうが比重が大きく、花崗岩が小さくなるわけです。陸地つくる岩石が花崗岩というのは、海底をつくる玄武岩より軽いから、より上にあるわけです。」
以上抜粋して紹介しましたが、最後に書いてある「陸地つくる岩石が花崗岩というのは、海底をつくる玄武岩より軽いから、より上にあるわけです。」という分部はアイソスタシーの考え方ですが、静水力学の概念を固体力学には適用することは出来ないので、この考え方はおかしいと思います。
[865]にあります「花崗岩は玄武岩質マグマの結晶分化作用で作られる」ということならば、玄武岩と花崗岩の成分に大きな違いがあるのは不思議な感じがします。新理論をもう少し検討する必要を感じます。
867
2004/10/22(Fri) 10:15
パトロス
花崗岩の生成プロセス考
会員専用掲示板で化学に詳しいルフラン氏から花崗岩の密度が小さいのは結晶構造をとるためだと教えてもらいました。新理論は有効であると納得できましたので、内容を編集してQ&Aの形式で紹介します。
Q:同じ玄武岩質マグマが冷却して出来るはずなのに、なぜ花崗岩と玄武岩はその成分が違うのか。(パトロス)
A:成分率を見ると分かるように花崗岩も玄武岩も酸化ケイ素(シリカ)が半分以上を占めており、主成分に大差はない。
成分 花崗岩 玄武岩
SiO2 70% 50%
Al2O3 15% 15%
酸化鉄 3% 9%
MgO 1.5% 9%
密度の差がでるのは成分組成ではなく結晶構造の差にあるといえる。花崗岩はそれぞれの結晶が成長するのが特徴的で水の存在する中でゆっくり時間を掛けて生成されたと思われる。原子が決まった構造をもって並ぶので密度は当然小さくなる。また、超臨界水は大きな溶解度を持っているので、化学組成も溶解度と水分量の差によって異なり、生成途中で玄武岩と異なったのだと思われる。(ルフラン)
Q:花崗岩のほうが玄武岩より深層部で出来た事は異論が無いようだが、どのようにして重い玄武岩が下に移動し、入れ替わったのだろうか。どの解説でも軽いほうが当然上に来ると説明されているようだが。(ルフラン)
A:花崗岩は上部マグマ(結合水が多い)がゆっくり冷却したもので、玄武岩は下部マグマ(水は解離しているので無水状態)が冷却する場合と上部マグマが地表被覆を破って噴出して冷却する場合とがあると思われる。噴出すれば上部マグマであっても発泡して水は抜けてしまうので花崗岩にはならない。大陸が浮上すると放熱されるのでマグマは固化するが、無水の下部マグマは重い玄武岩となり、水を多く含む上部マグマは結晶化して軽い花崗岩になる。つまり、重いものが軽いものを浮かせているのでもなく、入れ替わったわけでもない。
入れ替わったように見えるのは、噴出して出来た玄武岩が花崗岩の下へ移動したというような見方をするからであって、玄武岩の生成には二通りあると考えれば疑問は解決する。(パトロス)
以上が掲示板での意見交換です。花崗岩の生成プロセスにおいても、マグマの中における水の解離現象が大きな影響力を持っており、解離度が高くなっている深部では完全に無水状態となるために、より密度の高い橄欖岩のような岩石が生成されるのではないでしょうか。高温高圧という条件下で実験してくださる方はないものでしょうか。
868
2004/10/22(Fri) 14:37
ノリマン
Re:花崗岩の生成プロセス考
シアル質(花崗岩)とシマ質(玄武岩)では成分に大差は無く、結晶構造をとるかそうでないかで、密度が変わるという説明は良く分かりました。成分に少し差が出るのは、花崗岩では超臨界水が物質を溶かし込むため、また玄武岩ではガス体として抜け出るためという理由も理解できます。花崗岩マグマでは超臨界水のために酸化ケイ素(シリカ)が増加して、苦鉄物質の相対的割合が減少するのでしょうね。ご検討ありがとうございました。
869
2004/10/24(Sun) 08:10
パトロス
中越を襲った昨日の地震
昨日(23日)の中越地方を襲った地震では犠牲者が出てしまいましたが、まことに残念なことでご冥福をお祈りいたします。また被害に遭われた方に心からお見舞い申し上げます。
ANS観測網では予兆を検知することが出来ませんでしたが、観測報告点を極力多くしていく努力が必要であることを痛感しております。
残念ながら新潟からの観測報告はありませんでしたので、コンパス異常があったのかどうか不明ですが、コンパス異常を検知されていた方がおられましたら、事後報告で結構ですので、ご連絡をお願いしたいと思います。観測されておられなかった方でも、知人等からの関連情報を収集していただければありがたいと思います。この掲示板あるいは会員掲示板に書き込んでいただければ広くアナウンスできるかと思います。宜しくお願いいたします。マグニチュードは7以下(6.8)ですが、震源が浅い(20km)ので震源付近ではコンパス異常があったのではないだろうかと推定しております。
また余震が激しく続いていますが、これほどの頻度で断層が動いて地震を起こしているとは思えません。余震は解離層が安定するまで継続するはずで、注意が必要であると思います。余震が続く理由は以下に話題になりました。
[453][454]http://www.ailab7.com/log/eqlog451-460.html
[543] http://www.ailab7.com/log/eqlog541-550.html
870
2004/10/24(Sun) 21:12
パトロス
中越を襲った昨日の地震(2)
新潟県中越地震は「長さ22キロの逆断層が1・4mずれた」という国土地理院の見解が新聞に載っています。
「長ささ22キロの逆断層1・4mずれる…新潟県中越地震
 新潟県中越地震で23日夕に起きた最初の地震(マグニチュード6・8)は、長さ約22キロ、幅約17キロの断層が南東から北西へ向かって約1・4メートルずれたのが原因とみられることが24日、国土地理院(茨城県つくば市)の分析で明らかになった。
 全地球測位システム(GPS)で記録された地殻変動のデータをもとに、震源断層で起きた破壊の様子を推定。断層のずれ方が、断層を境に両側から地面が押され、片方がもう片方の上へ乗り上がるように動くタイプを「逆断層型」というが、今回は水平方向へのずれがほとんどなく、南東側が北西側の上へ乗り上げるようにずれており、「ほぼ純粋な逆断層型だった」としている。」
(読売新聞) - 10月24日12時44分更新
同じ新聞ですが、防災科学技術研究所の発表では揺れの激しさを加速度で表示すると1500ガルであったということです。
「同研究所は、23日午後5時56分に起きた最初の地震の揺れを詳しく分析。揺れの強さを示す加速度は、小千谷市で1500ガルに達しており、速度のデータなどを加味して震度を計算すると、震度7となった。(中略)
 小千谷市の加速度1500ガルも、阪神大震災で神戸海洋気象台が記録した818ガルを大きく上回っており、観測網が整備された1995年以来、昨年7月の宮城県北部地震で気象庁が観測した2037・1ガルに次ぐ強さ。
 加速度は一定の時間ごとに速度が変化する割合で、地震の揺れの激しさを示す指標の1つ。止まっている車を10秒間で時速360キロ・メートルまで加速するのが1000ガル。」
(読売新聞) - 10月24日19時50分更新
またテレビの解説では、15秒かかって1.4メートルがずれたと解説していましたが、果たして、15秒間で1.4メートルずれる物理現象によって、1500ガルという加速度に達するものなのか、理解に苦しみます。新幹線の橋脚が鉄筋むき出しになっていましたが、これは爆発現象によってしか起きない損傷ではないでしょうか。がけ崩れなどの被害を見ても、土砂崩れというよりも、岩盤が崩壊しているような場所があります。岩盤を破壊するような激しい衝撃や、体験者が語っている突き上げるような衝撃と衝撃音というのは、地震が爆発現象であることを証言しているのだと思います。
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