新・地震学セミナーからの学び
19 伊豆半島は海の向こうから来たのではない
ニューオフィスQではインド亜大陸の北進という移動現象を否定しました。同じような移動現象があったことが日本の伊豆半島に関しても言われています。まずはNHK「地球大紀行」別巻[1]地球を旅する、のなかの上田誠也東大教授の記事(p.170)を紹介します。

日本列島の未来と過去
現在の太平洋の海底地形を見ると、図に示したように、海台などといわれる高まりが多数存在している。これらは太平洋プレートに乗って着々と日本列島に向かってやってきているので、いずれは海溝に到着し、軽いものは沈み込まずに陸に付加されることになろう。図のジャッキー海台などは1800万年もたつと日本(北海道あたり)に付加されてしまうはずである。

将来おこることは今までにもおこったはずだが、その例は伊豆半島である。伊豆半島は外来地塊であって、南方からフィリピン海プレートに乗っ てやって来て、今まさに日本列島に衝突・付加されつつあるという。

以上がその記事ですが、プレートが沈み込むとか、沈み込めずに付加されるとかいう話は全くのご都合主義による作り話です。神話作家のような仕事を科学者がやっています。

また、ここでも流体力学の概念を固体力学の世界に誤用しています。沈むとか、沈みこめなくて、海台部分だけが、鉋屑のように大陸の縁に残されて付加体(コラージュ)となる、などと言うことは御伽噺です。ゴールド博士が述べておられるように、まずプレート理論ありき、それに合わない事実は無視し、矛盾しないものだけを取り上げて、どんどんおかしな世界に突入していくようです。

同じ記事からさらにアメリカ北西部の御伽噺を紹介します。

南方から大陸地盤のかけらがやってきたが、沈み込めずに日本に衝突して伊豆半島になったと言われています。まるで神話の世界です。
1960年代末頃から北アメリカの地質学者達を大いに不思議がらせたのは、アラスカやカナダ、アメリカ西部の地質(図で青色で示す部分)が数多くの地塊単位からなり、しかもそれらの単位同士が地層的に全くつながりのない異質のものばかりだということだった。彼らがしまいに到達した結論は、これらの地塊はいずれも北米の現在位置とは関係のないどこか遠方の地で生まれた海台や島弧のかけらなどが、沈み込む海洋プレートに乗って海溝まで運ばれてきて(当時北米西岸には海溝があった)、沈み込むかわりに北米大陸に付加されたものらしいということだった。海台や島弧の地殻は海底地殻より密度が小さく、浮力が働いて沈み込めないので付加してしまうのである。
このように考えると、北米大陸の西部はすべて外来地塊の”はきだめ”なのである。これは大陸が成長するめに重要な働きをするメカニズムであろう。

以上の記事がそれですが、プレート説という水平移動の仕組みしか考えにないものですから、このような御伽噺になってしまいます。地球表面の大地はもっと激しく、隆起と沈降を繰り返しています。その原動力は、マグマの熱と水が織り成す化学爆発の歴史なのです。

この”はきだめ”神話が日本列島に関しても、作られているのです。同じ記事からの紹介を続けます。

衝突・付加テクトニクスが陸地の成長にとって重要なプロセスらしいことは、そういう眼で日本列島の地質を調べるともっと明らかになる。図はそのような研究の成果であって、日本列島の大部分も北米西部と同じく、外来物の集合らしい。このように考えると、日本列島の形成史も抜本的に再検討されることになろう。さらに眼を広げると、実にアジア大陸そのものもまた、外来地塊の集合であることがだんだん明らかになってきている。
このように、海底拡大と沈み込みを機軸に大革命をもたらしたプレート・テクトニクスでは、衝突や付加の問題を皮切りに大陸のテクトニクスが大きな問題となってきている。そこでは地層が大規模に変形するばかりでなく、プレートそのものがもはや”不変形性”を維持しない。

以上ですが、プレートは剛体として移動すると定義されたはずのものが、ここまで来ると定義などおかまいなしに、”不変形性”の否定を口にする始末です。

ジュラ紀の付加体、白亜紀の付加体などなどが”はきだめ”のように集まって出来たとされる日本列島、日本の神々は苦々しい思いで地上の科学者の作り話を見ておられることでしょう。

ここでもまた、坂柳先生の「傲慢無知」という批判のお言葉が思い返されます。

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