新・地震学セミナーからの学び
23 深発地震面はプレートの潜り込む面ではない
一般的には和達ベニオフゾーンとも呼ばれている深発地震面は、海溝から地球内部に潜りこんでいくプレートの上面を表しているのだということになっています。海洋プレートがここで2億年にわたる長い移動を終えて、寿命が尽きる所、海洋底の言わば墓場であるという解釈になっております。新地震理論では、全く違った解釈になります。

図ー1は和達ベニオフゾーンとも呼ばれる深発地震面を模式的に表したものです。このゾーンのなかで、地球深部になるほど解離度は高くなっていくはずです。

図ー1 深発地震面はマントル対流に乗って運ばれていく解離水と結合水の変化(最後は全て解離に至る)する姿を追っているものといえます。
図に示すような、マントル対流によって地球内部に潜っていく熔融マントルには、海溝部付近での大地震によって取り込まれた大量の水が混入していると考えられます。この水は地球内部に進入すると、温度の上昇に伴って、解離する度合いが増加していくはずです。解離度100%になるまでは、ニューオフィス21の地震発生メカニズムで述べたような、解離度増加⇒解離水貯蔵⇒温度低下⇒温度回復⇒解離水着火、地震発生⇒安定結合水という過程を辿るはずです。これが、帯上になって深発地震面が出来る理由であります。
図ー2は図ー1の円形部分を取り出したものです。解離度が20%の領域から30%の領域に進行すると、新たに解離水の発生が起こります。最初は吸熱反応によって、周囲の温度が低下しますので、爆鳴気としての爆発は起こりません。しかし、深部へ進行すると共に、温度が移動して低温度領域が縮小していきます。爆破条件を満たすところで、着火し、爆発を起こします。これが深発地震の発震するメカニズムであります。爆発後は安定した結合水の状態となり、次の解離度のゾーンへと進行し、同様のプロセスを経過するはずです。地震は解離度が100%になるまで繰り返し発生することになります。(補遺参照)
図ー2 解離度の増加で、内部の水が解離すると、解離水の周囲温度は低下します。低温のため着火しない時間がありますが、温度が移動して低温領域が少なくなると、解離水は爆鳴気として着火、爆発します。これが新地震理論による深発地震の発生メカニズムです。発震後は安定した結合水に戻り、さらに深部へと進みます。
解離度が100%になったところが、地震の発生が無くなる領域です。プレートテクトニクス論者はこの領域を、プレートがマントル物質に同化されて、プレートの存在が終了する時であると解釈していますが、それは間違っていると思います。このような過程を辿って、水は地球深部のマントル内では100%解離水という状態で存在しているものと思われます。マントル物質は熱エネルギーだけではなく、大変なエネルギーを解離水の形で貯蔵しているのです。マグマはマントル物質と同じであるというのが新地震理論です。地球内部を血液のように対流してきたマグマは火山の下まで上昇してきて、噴火という形で内部の解離水を爆発させているのではないでしょうか。解離水はエネルギーを蓄えた水と言う表現が出来るのです。

深発地震は地上近辺で起こる地震にくらべると、水がすでに内部に存在する地震、つまり内部供給型地震であることや、高圧下であるために、地上近辺の外部供給型地震よりも規模が小さくなります。海溝型といわれる海域部での浅い地震は大量の水を供給されるために、地球内部にある無限とも言える熱エネルギーとからんで、巨大地震を引き起こすのです。深発地震はほとんど被害を与えることも無く、数も少ない地震ですが、これまでは、その発震メカニズムが解からなくて、地震の謎であったのです。

図ー3は震源の深さの分布を示したものです。ほとんどの地震が100km以内の浅いところで起きていることが解かります。新地震理論では、モホ面の下に地震波を伝える主体部分である、地殻の第二層を想定しています。熔融マントルの上部に存在するはずの固くて、緻密な橄欖岩で構成される層です。そこまでの深さが、100km程度であろうと思われます。つまりほとんどの地震は地殻内部で起こっているということです。それよりも深いところで起こる深発地震は数も少なく、危険性も少ない地震です。参考

セミナー57、58、59227

図ー3震源の震度分布殆どの地震は100qより浅いところ(新説地震論で定義する地殻内部)で起こる。深発地震は(100qから700qの間で起こる)対流マントルの中で解離と結合の反応を繰り返しているものと考えられます。ただし、地震の規模は小さく、被害を起こすようなものではありません。

補遺
解離能力の度合いが増加した部分に進入した時に、なぜその場の解離能力度以上に解離が進むのか、その理由が分からないという質問がありました。次のような乱流の構造から説明できると思います。

右の図に示すように、乱流(turbulent flow)では層流(laminar flow)と違って、渦(カルマン渦など)を巻きながら進行しますので。全体としては潜っていても、局所的には戻る部分が生じます。”潜りすぎて戻る”という流れを想定すると、解離能力以上に解離した流体部分が下から戻ってくると考えることで、納得できるかと思います。

ニューオフィス26の補遺も参考にしてください。

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・マントル(二層構造である地殻の下部)が熔融していることについては「マントル熔融論の証明」(2009,10,09)を参照してください。

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