新・地震学セミナーからの学び
21 解離水の爆発による地震の発生機構
地震の発生機構は水の解離反応による圧力増加によって、マグマ溜りが崩壊し、一種の容器破壊型(平衡破綻型)爆発の可能性を考えておりましたが、衆知を集めた結果(セミナー295)、熱解離によって蓄積された水素ガスと酸素ガスの混合気体(解離水、爆鳴気とも言われる)が爆発している可能性が見えてきました。これを新たに「解離水爆発」と命名することにいたします。解離水爆発による地震の発生を模式図によって説明いたします。なお、説明のために、酸素と水素が解離した状態を解離水、結合した状態を結合水と呼ぶことにいたします。
地下内部の水はライブラリー1012に示したように、熱水状態を過ぎると超臨界状態となりますが、それを超えると、酸素と水素に熱解離し始めます。この限界の層を解離層と呼んでいますが、この層は温度と圧力の変化に応じて、地下内部で上下するはずです。解離層内部では温度や触媒物質の存在と共に解離度が高くなっていきます。

、通常は解離層内の結合水は安定しています。

圧力の低下、あるいは周辺温度の上昇によって、解離層の位置が上がり、解離度が増加します。急激な上がり方をすると、マグマ溜りの内部では、解離した水素ガスと酸素ガスの混合気体(解離水、理科の実験では爆鳴気とも呼ばれている)が蓄積されて、圧力が増大します。これが岩盤にマイクロクラックを発生させ、地震の前兆現象を起こす可能性がありますします。

また、プラズマ状態の解離ガスが高速度で移動すれば、MHD発電が起こり、その地中電流が電磁気的な前兆を起こしている可能性もあると思われます。

前兆には、地電流の発生とか、電磁波による異常、発光現象等が考えられます。解離反応は熱を奪う反応ですので、マグマ溜りの周辺温度はこの時には局部的に低下していきます。ANSでは赤点の発生範囲が増大する時期です。
、解離が終了すると、今度は周囲からの熱が移動してきますので、周辺温度は元の温度に戻っていきます。そして、爆鳴気の爆発条件に達した時、着火となり、爆発します。ここまでが地震の第一段階といっていいでしょう。爆発の方向はマグマ溜りの形状によって決まると思います。ANSでは、赤点の広がりが止まったときが解離の終了で、消滅に向かっている時期に着火します。爆発時には唐山地震での体験談のように「ドカーン」という大音響を発します。

、爆発後は、混合気体が超臨界状態の結合水に戻りますので、圧力が降下して、マグマ溜りは潰れてしまいます。これが地震の第二段階です。爆発によって熱が放出され、解離層は地震の前の位置まで下がります。地震現象には押し引き現象という特有の現象がありますが、第一段階の爆発で「押し領域」ができ、第二段階で「引き領域」ができます。その境界に大地震になるほど断層という地震の傷跡が現れるのです。図では逆断層のケースを描いています。断層は地震の後に「ズルズル」と滑るように発生したという観測例があります。断層が動いて地震が起きるのではありません。

以上が解離水爆発(爆鳴気爆発)のメカニズムです。これから推定すると、地震は解離層が上がる時に起きるわけですが、それは、気圧の低下する時、満月、新月時のマグマ上昇が大きい時、地殻の疲労破壊が進行して、岩盤に亀裂という空間ができた時(圧力減)、などなどです。これは経験則にも矛盾していないと思います。

ただ満月、新月の影響、台風の影響などをあまり大袈裟に取り上げることも必要の無いことだと思います。解離によって生じる諸現象を理性的に扱っていけば、地震の直前予知は可能であるはずです。とくにM8とかM7クラスの地震ならば、ANSが提案するコンパス観測で十分に検知できるものと考えています。

宏観異常という面から考えると、気温が蒸し暑い状態というのは、解離層の上昇である可能性もあります。地中の虫がでてくることや、冬眠中の動物が山を降りてくるといった現象も、解離層の上昇と関係しているのだと思われます。しかしこれも過剰に反応する必要はありません。正しい知識を所有していれば、冷静に判断することが可能です。

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