否定的意見
清里から地震雲観測情報
地下における、ガスの爆発、が地震の原因とする説もありますが、

    もしそうだとすると、雲発生と地震は同時に来るはずですが、

    1−−4日遅れてくる事から

    岩盤が押し下げられて跳ね返る説のほうが妥当のように思います

http://www.asahi-net.or.jp/~gf9y-nkjm/sub3.html
伊藤剛のトカトントニズム
2004-01-29 Thu

「プレートテクトニクスは間違っている」石田先生に質問

地球科学史をひもとくと、地球の内部が液体か固体かという論争があり、その結果としてマントルは固体であるという帰結になったと記憶しております。先生はそういった科学史的な経緯をご存じのうえで「マントルは液体である」と主張されておられるのでしょうか。

最近、掲示板で「地学はもとより地震学の研究史に関しても詳らかではありません」とお書きになっておられるので、ひとつ、御質問申し上げている次第です。一昨日のコメント欄にある、id:heso君の疑問にもお答えくだされば幸いです。
http://www.ailab7.com/cgi-bin/bbs/aska.cgi
(現在はhttp://www.ailab7.com/Cgi-bin/sunbbs2/index.html

http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/200401
伊藤剛のトカトントニズム
2004-01-27 Tue

本日の石田理論
「日本は、プレートテクトニクスに対する反対運動が、世界で最も激しく長く組織的に続いた国である。」というのは、それが本当ならばプレート論の危うさを見抜いていたからこそ、アメリカのようにプレート説一色になるのに抵抗があったということで、立派なことではないのでしょうか。

しかし話は逆で、ヨーロッパの学者からは「日本はどうしてプレート論者ばかりなのか」と言う質問があったと聞いたことがあります。すぐに一色に切り替わったのはアメリカの話で、それが立派なことだとは思えません。

だそうです。

プレートテクトニクスに対する抵抗により、地域地質のレヴェルでも、野外で実際に観察されているものでも、都合の悪いものは無視したような解釈がずっと後まで続いたということは、地質系の人間ならばよく知っていると思います。というよりも、フィールドを歩いた実感してよく分かっていると思います。

たとえば多摩川の河原でも岐阜の根尾谷でもいいのですが、砂岩のなかに石灰岩のブロックを見たとしましょう。これは、いまの付加体モデル―プレートテクトニクスに基づくそれ―からは、ごく普通に見えるものですが、以前の地向斜モデルでの解釈では、どうにもできず、アド・ホックな説明しか与えられないものでした。ひどい場合には、ある地域での解釈や地質図と、隣のエリアのそれが整合性を持たず、地質図がつながらないなんてことまであったと聞いています。我々はそういう過去を持っているのです。それが立派なことだとは思えません。

http://www.ailab7.com/cgi-bin/bbs/aska.cgi
(現在はhttp://www.ailab7.com/Cgi-bin/sunbbs2/index.html

http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/200401
伊藤剛のトカトントニズム
2004-02-14 Sat

またまた石田理論
hesoが石田理論を批判している。http://d.hatena.ne.jp/heso/20040213#p2

「理論」を提唱している石田昭氏はまあおよそ、ティピカルなトンデモの御仁なのだが(『神々の指紋』なんかを参照しているあたり、およそお里が知れる。ヴェリコフスキーの『衝突する宇宙』はすでにお読みですか?>石田先生)、別に笑えはしないので狭義のトンデモ本には当たらないし、奇想としてもとくに個性があるわけでも、魅力的なわけでもない。もっとも、こうした揶揄的な語り口での批判はよくない。「と学会」的なシニシズムと独善性にこっちが陥っていく危険があるからね。このように、疑似科学に対処する際には、自分の側の態度や姿勢が鋭く問われる。「と学会」は所詮、オウム真理教のコインの裏面にすぎない*1。

ぼくが石田理論を問題にする理由については、以前に書いた(http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20040202#p1)ので繰り返さないが、そもそもはプレートテクトニクスは間違っているという主張自体が比較的に珍しく、またかねてより触れている、日本におけるプレートテクトニクス受容の遅れの問題とも通じるところがあると考えたことに端を発している。その問題とは、一般化すると抽象度の高い、直接の検証が難しい、だが強力で大きなモデルの導入に対する心理的な抵抗と、それに基づく奇妙な態度ということなのだ。ぼくは、このところ一貫してその問題に強く関心を持っている。これらの心理を「否認」の身振りとするのならば、それは逆説的にそのモデルが正しい(控えめにいって、妥当性がある)ことを指し示している。

とりあえず、この話題、今日はここまでにしておく。
追記。

[コメント]
# goito-mineral 『うむ。石田理論掲示板に出てくる「ノリマン」というハンドルのひとは、たま出版の編集さんだったりして。あれ、どう見ても石田先生をおだててトンデモ説をガンガンはき出させているとしか思えない。あるいは、相当に底意地の悪い人か。』

# goito-mineral 『それから石田先生は「近似」という概念を理解しているかどうかも怪しいね。』

# goito-mineral 『だから正確には、揶揄のまま終わらないことが重要なんだよ。そこ止まりだったら何もはじまらない。』

http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20040214
伊藤剛のトカトントニズム
2004-02-02 Mon

本日の石田理論
http://www.ailab7.com/Cgi-bin/sunbbs2/index.html

http://www.ailab7.com/uda.html

http://www.ailab7.com/hukatai.html

付加体解釈 キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

周囲の地層と違った岩石が存在したとしても、その理由はプレートが運んできて取り残された付加体であるということではなくて、このように噴火または地震によって突き上げられて浮上した地塊が周囲とは異質の物性を示している理由です。ゆえに付加体であるという説明は不要であると思っています。

……石田先生はフィールドを歩かれた経験はおありでしょうか。

石田先生には、都城秋穂『科学革命とは何か』の一読をお薦めします。科学論というメタ議論を通過して、「モデル」という思考法について真剣に考えていただきたいからです。「石田理論」の誤謬には、単にプレートテクトニクスの是非という論点を超え、抽象度の高いモデル、モデルから事象を演繹的に実証できない理論予測できない論理構造の受容に伴う困難さという問題が孕まれています(その意味で、地団研/地向斜問題とも通じるものがあります)。この日記には人文系の読者も多いので、そうした方に向けて若干、解説しておくと、「石田理論」とは、超越論的な視点を必要としない工学的な思考を、時間的なスパンも空間的な広がりも大きな、つまり必然的に超越論的な視点を要求する地球科学的なモデルにあてはめようとした結果、生まれた悲劇(喜劇?)だといえるでしょう。また、ここから類推すれば、工学的な思考が人文的な知に安直に適用された際、石田理論と同様のことが生じる可能性も考えられます。あるいは、「ゲーム脳」などの疑似科学も、これと同列のものとして扱いうるかもしれません。石田先生の次のような発言は、目的志向的に対象を操作する工学的思考の存在を示唆しています。

石田理論はHP立ち上げ時のタイトルが「大地震から身を護る法」であったことからも分かるように、悲惨な地震災害から人命を護ることからスタートしております。

しかし地震爆発理論への批判が出るだろうと思われるような課題に付いて、前もって対処しておこうと考えたので、地学関連の分野にまで言及せざるを得ないようになってきています。

またぼくが、石田理論にこれほど言及するのは、先生が名古屋工業大学の主任教授までなさった、申し分のない経歴をお持ちだからです。それは、社会的に一定の権威を帯びている。このままでは、先生が修められた土木工学という学問の信頼すら失われかねません。単にトンデモの先生をいじって遊んでいるのではありませんよ。

あとは任せた!>id:heso君。

http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20040202
伊藤剛のトカトントニズム
2003-12-28 Sun

■本日のトンデモ(プレートテクトニクスは間違っている)
こうまでキッパリと言い切るとは……。
 http://www.ailab7.com/faq/faq4.html#Anchor-30161
言い切っているのはこのひと。
 http://www.ailab7.com/ishida/ishida/page003.html
そしてこういう装置で地震の予兆をとらえるらしい。
 http://www.ailab7.com/page_ansinsensor.html
 小学生のころに見た「UFO探知機」を思い出しました。

詳しくは面倒くさいので省くが、このひとの「石田理論」、大学教養部程度の知識でかなり論破できると思う。ぼくがもし、大学の一般教養で地学を教えていたら、学生に「石田理論の誤りを指摘しなさい」という題でレポートを課すだろう。これで、じつに現在の地球科学的な知を学ぶことができる。そのくらい彼は的確に間違っている。

--------石田理論では、マントルは溶融マグマと考え、(中略)マントルが固体というのは色んな

--------意味で不都合があるのです。(中略)固体であるマントルから、マグマができる

--------というのも不都合です。

ちっとも不都合じゃないです。

しかし、名古屋工業大学の主任教授までやったひとなので、中日新聞が地元ってんでヨイショ記事を書かないことを切に望む。はげしくやってそうだけど。ペトログラフという前科もあるしな……。

http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20031228
エコ・ブログ

.Earth

誰でも分かる地球科学K

テーマ:Earth Science

Wed, January 18, 2006 12:25:27
精神の回復を図るための第二回目。扱うテーマは・・・・「マントル」。

この領域は地球体積の大部分を占め、また地球の活動・進化に対

しても非常に重要な役割を担っているのに、一般的に大きな勘違い

が蔓延っていると思われる場所である。その「マントル」を今日は少し

詳しく見ていきたい。

             

                      マントル

「マントル」。マンホールにも響きが似たこの単語。意外に世間での認

知度は高い。巷間に溢れる「実際はあまりよく知らないけど名前は知っ

ているから、まぁ安心」といった単語の代表選手の一人だろう。この語

の次に認知度が高のは、「マントル対流」か?だがこの「対流」が誤解

勘違いを生む原因の一つなんだと思う。何の誤解か?そしてもう一つ

の原因は?気になるところだが、先ずは、マントルが占める場所から

説明。

マントル・・・・地殻下部より深さ2900kmまでの領域を占める

こう言うと「地殻下部ってじゃあどこやねん、何Mなの?」という突込みが

来そうだが、地殻の厚さは場所によって著しく異なり、具体的に何Mまで

が地殻で何Mからマントルとは言いにくいのだ。でもまあ、地球の半径

4600kmからすると地殻の厚さなんて微々たる物(卵全体からすると殻

が極薄いのと同じこと)

だから、こう覚えても構わないかも

マントル・・・・ほぼ地表面より深さ2900kmまでの領域を占め、マントル

の上に極薄い地殻が載っている

では、そのマントルは一体何でできているのだろうか?実はマントルを構

成する物質は女性と女性にマメな男なら必ず知っているものなのだ。ヒン

トは「八月」である。
              

そうぺりドットなのだ。つまり、マントルの領域に行けば、八月生まれの女

性はおそらく天にも昇る気持ちになれるはずだろう。だって、周りには誕

生石だらけなのだから。因みに、これをちょっと科学的に言うと、マントル

はオリビン(ペリドットの学術名で鉱物)を主とするペリドタイト(カンラン岩)

から成りたっているとなる。つまり、マントルは岩石からなっているのだ。

つまり、固体!!固体と聞いて、ビックリしている人が居ると思う。「マントル

はマグマが溜まっている部分じゃないのか?」と。これが上で言った勘

違い!!もう一度言おう、マントルはマグマからできているのでなく、岩石か

らできているのだ。

マントル・・・・カンラン岩を主とする固体層

ではなんで、マントル=マグマという誤解が生じたのか?それが「対流」

である。どういう事かというと、思考プロセスとして、「流」は「流れる」⇒と

なると「液体」だ⇒「マグマ」に違いない!!。こんな感じだ。そしてそれを強

固にするものとして、小学生以来から示される地球の断面図がある。そ

こには、マントルの部分が赤く描かれている。「マントル=マグマ」説にピ

ッタリ!!こうして又一人、「マントル=マグマ」と思う人が誕生していく!!もう

マントルの部分を赤く塗るのやめませんか?

(前回の「誰でも分かる地球科学J」で用いた断面図はしっかり、マントル

が青で塗られています。下の典型的な図との違いを堪能してください)                  

              


そろそろ本題に戻ろう(この勘違いネタを語りだすと熱くなって駄目だ。

でも、列記とした大学教授でも真剣にマントル=液体だという「トンデ

モ科学」を提唱している人も居るのだ!!http://www.ailab7.com/index2.htm

僕の友人にも「マントルが液体」とセミナーで並み居る教授陣を前に宣

わった奴が居た><、地球科学専攻なのに。はぁはぁ又熱くなってきた、

いい加減にこの話題から外れないと)。そのマントル、前回も言ったよう

に、3つの領域に区分される。上から、上部マントル・(遷移層)・下部マ

ントルの3つだ。このうち、遷移層を上部マントルに含むときもある。

この3つ(2つ)の区分は、前回の地殻・マントル・核の区分とは異なり、

相構造による区分である。「相」って?どこかで出てきた言葉のはず!!

そう「熱力学その後」の時に出てきた「相変化」の「相」なのだ。つまり、

化学組成はそのままでなんか見た目には違うもののように見えるあの

関係。氷⇔水⇔水蒸気のあの関係が地球の奥深くでも起きている。

具体的には、カンラン石⇔スピネル構造(リングウッドタイト)⇔ペロフ

スカイト構造という相変化が起きていて、この変化がおきるところでマ

ントルを区分している。

上部マントル・・・・カンラン石

遷移層・・・・・・・・・スピネル

下部マントル・・・・ペロフスカイト

そして、マントルの中でも特に遷移層が、地球の進化・活動を駆動し

ているマントルの進化・マントルのダイナミクスにとって、きわめて重

要な役割を果たしていると考えられ、近年多くの注目がなされている。

http://ameblo.jp/earth-lacrosse/entry-10008129723.html#cbox
伊藤剛のトカトントニズム
2004-09-13 Mon

先日の地震を契機に、「プレートテクトニクスは間違っている/地震の原因は水素爆発」石田先生の活動が活発なものとなっているようです。
http://www.ailab7.com/cgi-bin/bbs/aska.cgi
ぼくらは地震は専門ではないので、これ以上のツッコミがしんどくなってきてるのですが。

コメント
nobita-jintai 2004/09/14 00:01
いつのまにか日記のタイトルが変わってるね。アンテナんとこの私の日記タイトルは微妙に間違っているし。
bintagire 2004/09/14 09:10
せめて,メタンにすればいいのにねと思ってしまいます.そもそも,水素爆発では,メカニズムは説明できないのに….地下核実験だとすべて押しだったりします.

 ま,プレートテクトニクスは,いろんな現象をよく説明できるというだけなんですけどね.今回の南海トラフ沿いの地震は,説明が大変ですが.水素爆発よりは,ずっといろんなことを説明できるのですが.水素爆発で,ハワイが日本に近づいているのをどう説明するのだろうか.

 牛来先生の地震の知識は古いですね.地震は,「点」ではなく「面」なのです.ただ,緊急で震源を決めようとすると,点の方が速く決まります.また,多くの場合,点を中心に破壊が広がります(例外も多いけど).

 で,以前,こういうのに結構,突っ込んでいましたが,五月蠅いのだけ,払いのけるようにしました.今,掲示板でどう答えようか思案中です.ネットに1995年頃の気象衛星写真がないのがつらい.
goito-mineral 2004/09/14 13:47
間違ってって、こっちでいじったかなぁ…。直しておきます。■やはり地震は「面」で起こるものなのですね。「点」を想定して近似できるということなんでしょうか。
bintagire 2004/09/14 19:53
 地震は,「面」で起きます.面が大きければ大きいほど,大きな地震になります.つまり,被害が出るような地震ほど,「面」を意識しないとダメなのです.例えば,富士市のあたりで面が滑りはじめ(わざと,「破壊」という言葉を避けました),それが御前崎の沖合いを経て,熊野灘,潮岬の沖,室戸岬の沖,高知の沖合いを経て足摺岬の沖まで一気に滑ってしまうこともあります.もちろん,この場合「震源は富士市」ですが,地震の被害も津波の被害も四国まで及びます.

 それと,上記の「点を中心に」というのは良くない表現です.点から始まって,滑りが両側に広がっていくという感じです.ただ,片側が止まってしまう場合もよくあって,日本海中部地震とか昨年の十勝沖地震などは,そうでした.1995年の兵庫県南部地震(阪神大震災)は,両側に広がりました.

goito-mineral 2004/09/15 18:59
やはり専門の方の解説をお聞きするとクリアになりますね。ありがとうございます。
件の「石田理論」の掲示板のほうでは、自論を批判するサイトへの再批判がはじまっているようです。

http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20040913
宏観亭見聞録
2009年1月17日
大西洋海底の地磁気の縞模様

先日このブログで提示した「移動する海嶺、広がる南極プレート」に関して、ある方が『新・地震学セミナー』(www.ailab7.com/Cgi-bin/sunbbs2/index.html)の「[1543] アフリカプレートが拡大?」に次のように書かれているとの情報を送ってくれました(笑):
(中略)

以上をまとめると、『新・地震学セミナー』の執筆者は、意図的か否かは別として、データの欠落した古い資料にもとづいて、あるいはデータの欠落を現象の不存在と誤認して、激変説を称揚し、プレートテクトニクスを批判しているのではないか、ということです。

最後に私見ですが、『新・地震学セミナー』には次のような特徴が見られます:

プレートテクトニクスや地震学について、初歩的な教科書や通俗解説書に載っている、説明をわかりやすくするために簡単化した記述や模式図にもとづいて、プレートテクトニクス批判をおこなっている。現実はもっと複雑です。(たとえば、レンガの破壊実験と断層面の角度の話。)

初期のプレートテクトニクスの理解のまま、現在のプレートテクトニクスを批判している。学問は日進月歩を続けています。(たとえば、ここに書いた地磁気の縞模様の件や、ホットスポットについての議論。ホットスポットが不動点か否かについては、いまだ議論がある。かりに不動点ではなかったとしても、プレートの移動を示す証拠は山積しており、そのことのみでプレートテクトニクスが否定されるものではない。)

プレートテクトニクスの用語について誤解したまま、批判をしている。(たとえば、「海洋底」の定義。これが食い違っているから、グランドキャニオンやロッコール海台の地質年代が古いことが、プレートテクトニクス破綻の「証拠」になってしまう。)
私は地球科学について一介の素人に過ぎませんが、その私の目から見ても、「新・地震学」には上記のようにおかしな言説がいろいろ見られます。私には、最新の地震学やプレートテクトニクスを否定して、古い地球観のアンシャン・レジームに戻そうとする復古運動のように思えます。「旧・地震学」という名前の方がふさわしいのではないでしょうか。

ところで、この記事についても、「ある方」が実在していて、ふたたびご注進におよんでくれるのでしょうか(grin)。

http://macroanomaly.blogspot.com/
PygmalionZのブログ
似非地球物理学者の嘘を暴く
2011-12-26 18:39:28
最近3.11人工地震陰謀説を唱える陰謀論者の方の論拠の一つとして、地球科学を学んだことのない似非地震学者のB級理論を持ち出すものが現れた。本ブログではそのB級ぶりを徹底的に解説する。
先ずはその論拠に用いられている動画のURLを示す。
URL http://www.youtube.com/watch?v=cT5POrhpNeQ&feature=share
この動画の方、この方は土木工学が専門の工学博士なのに現在独自理論を基に地震科学研究所なるものを運営されている。
ではそのB級ぶりをご紹介する。
1.「プレートテクトニクスは間違っている」の誤り。

■その1 プレートは弾性体
この方はプレートテクトニクスでいうプレートは剛体(硬くて変形しないもの)ということを前提としていて剛体だから一体となって動くとしているが、これは誤りでプレートは弾性体(変形、復元可能なもの)。プレートは鉱物で構成される固体であるが地質学的スケールの時間的空間的性質としては弾性体である。

この方は工学的知見からプレートは硬い岩石で構成されているので剛体と考えたのだろうが、それは工学が短い時間スケールしか扱わないからそう思えるだけのことで、地球科学ではプレート運動は数万年〜数億年など長い時間スケールで考える。こうした長い時間スケールではプレートは弾性体として振舞う。今役に立つものを生み出すための工学の知識では考えも及ばない事だ。

■その2 ロッコール海台は大陸棚の一部が分離したものとも考えられる。
この方はイギリスの西の大西洋にあるロッコール海台で5.4億年前の地層が見つかったことでプレートテクトニクスに基づき拡大する海洋プレートの寿命は2億年程度、プレートテクトニクスは破綻していると述べているが、ロッコール海台は大陸棚の一部が分離したものとの解釈も成り立つ。一概にプレートテクトニクスの反証とすることは出来ない。

■その3 エルタニン断裂帯の層構造とヒマラヤの地層は成因が違う。プレートテクトニクスに矛盾しない。
この方は南太平洋の海嶺にある富士山より巨大な斜面であるエルタニン断裂帯のボーリング調査でヒマラヤのイエローバンドの様な地層が見つかったことは陸地も海の底も同じ地形が見られるということで、プレートが一体となって移動しているというプレートテクトニクスと矛盾すると言っている。

これは2つの誤りを重ねている。

一つ目は地層の構成の違い。提示されているエルタニン断裂帯の地層を構成している物は鉱物である。この断裂帯は異なる鉱物が層をなしていて、これはプレートテクトニクスと矛盾しない。海嶺は火山であり溶岩の噴出を伴う。こうした火山活動により層状構造が形成されたもの。断裂帯の層状構造を大陸地殻である大陸棚などの浅海で堆積層として形成されたヒマラヤのイエローバンド(変成石灰岩)と混同している。

また断裂帯の頂きに白亜紀の礁性石灰岩が在るという事は検証すべき事実と思われるが、海洋底の拡大速度の変化や連続性などを調べる事で説明がつくと思われる。

二つ目はエルタニン断裂帯が存在すること自体がプレートテクトニクスの証拠の一つと言うことを分かっていないことである。この断裂帯はトランスフォーム断層と呼ばれる海嶺軸に直交する断層で、これは海嶺の中軸谷を中心としたプレートの拡大運動で中軸谷がずれる事により形成される。カリフォルニアに大地震をもたらしたサンアンドレアス断層はトランスフォーム断層が地表に現れたものである。

2.地震水素爆発説の誤り

■マグマ溜まりの形成の説明が無い。
この方はマグマ溜まりに水が在ると水が熱解離を起し、酸素分子と水素分子が生成されそれが溜まって水素爆発を起こすと言っているが、マグマ溜まりがどうして形成されるのか説明していない。
この方はマントルは液体としているので「マントル=マグマ」と考えているのだろう。ではマグマが地殻まで上昇する理由は何だろう?説明できない。

やはりプレートテクトニクが無ければマグマ溜まり形成要因の説明が出来ない。
プレートテクトニクスでは沈み込んだ海洋プレートが含む水が上部マントルに接触することでマントルの融点が下がりマグマが形成される。液状のマグマはマントルより比重が軽いため浮力で上昇する。「マントル=マグマ」なら成り立たない。

■定性的議論で構成し、エネルギー量の計算がない。
この方は3.11のエネルギー量に匹敵する水の量がどの位で、それが深さ24kmの地中でどこから供給されるのか説明していない。定性的議論のみで論理を展開している。

■爆発と同時に爆縮が起きる件の説明ができていない。
この方は地震波で一般的に見られるP波の立ち上がりの押し引きが4象限の形で現れる説明として、水素ガス着火時に一旦体積が縮む爆縮が起き、その時ガスの高圧で支えられていた周囲の弱い部分が破壊されその後、爆発で膨張を始めるとしている。しかも引き領域は4象限でなく4象限風に円錐を2つのを頂点で合わせた形になると。動画ではこのことが説明されていなかったが、この方の以下のHPにあった。

この方の地震波の押し引の説明 http://www.ailab7.com/Cgi-bin/sunbbs/index.html

これも知識不足の成せる技。地震波による震源での発震機構(断層のずれ方)を調べる際に複数の観測点のP波の立ち上がりの3次元成分から押し引きの様子を分析すると断層のずれた方向や角度などの断層パラメーターが得られる。

CMT解参考URL http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BA%E9%9C%87%E6%A9%9F%E6%A7%8B

この方の言うような過程で地震が発生するのなら最初に等方収縮が起きるのでP波の初動から導かれる解は全て引き波となるはず。

第一この方の言う所の円錐を2つのを頂点で合わせた形の引き領域の説明にならないし、円錐を2つのを頂点で合わせた形である事自体が観測と異なる。

地震が断層平面状のズレによって起こる事で押し/引き/押し/引きの4象限が説明できる。

更にこの方は[2H2+O2→2H2O+熱]で体積が縮む爆縮が起きるとしているが、この過程は通常の水素ガスと酸素ガスの燃焼である。それならば通常の水素ガスの爆発は存在しないことになるが事実は爆発する。

多分この方はこの反応で3つの分子が2つになるのだからアボガドロの法則からして体積が減ると考えたのだろうがこの反応では熱が発生するためボイル=シャルルの法則[PV=nRT]により体積または圧力が上昇する。
だから水素ガスに引火すると爆発する。化学式だけ見て事実を見ないとこんな誤りをする。
もう一つおかしいのは爆縮っていう言葉の定義を間違っているところだ。

爆縮とは爆発という膨張現象を利用して内圧を爆発的に高めることを言う。水爆の原理で、核分裂により爆縮を起して極めて高温高圧状態を作りだし、2重水素、3重水素を核融合させるのに使われている。

3.地球科学的知識の不足

■マントルは液体ではない。
この方は常温常圧での常識を基に高温なマントルはドロドロに溶けていると言っているが、それであればマントル中を横波であるS波は通過できない。しかしながら実際の地震波の観測ではマントルを通過するS波は普通に観測される。またS波は震源から103度より先には伝搬しないことが知られている。これは103度以降はマントルより深部の液体の鉄で構成される外核をS波が通過できないからだ。

この方の以下のHPの地震波伝搬の説明図をみるとリソスフェアの底部で反射を繰り返す地震波が理由もなく103度で止まっている。これは単にご都合主義でこれまで知られている事実に合わせたもの。

この方の地震波伝搬の説明 http://www.ailab7.com/mohoro2.html

さらにこの中でこの方はマントルが液体で対流していないと地磁気が生まれないと言ってるが、地球科学では一般にマントルのより深部の液状の鉄でできた外核が対流して地磁気が発生するとされている。マントルが固体でも問題はない。

また、マントルの主成分であるカンラン岩の地上における高温高圧実験ではマントルの存在する深さと同じ温度圧力条件でカンラン岩が固体であることは立証済みである。

参考URL http://www.titech.ac.jp/file/110425_hirose.pdf

因みにマントルは固体だが一つの結晶構造で結ばれた剛体ではない。極めてゆっくりではあるが対流している。地質学的時間スケールで見ると流体として振舞う。それでも固体である。

■拙い我流理論で東海地震は心配無いと講演するとは言語道断。
この方はこれまでに述べた拙い我流理論により東海地震は心配ないと言っている。根拠はプレートテクトニクスなど存在しないということだが、地震発生危険度は過去の史実を丹念に積み上げて、発生の周期性を調べ上げた上で決められている。プレートテクトニクスは補強材料でしかない。特に南海トラフ沿いに発生する東海地震、東南海地震、南海地震は過去の記録も多く、その周期やこれら3つが連動して発生することが多いことが知られている。

参考URL http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E5%9C%B0%E9%9C%87

残念ながら地震は破壊現象なので発生するタイミングを予測するのは困難であるが、日本においては確実に起きるもの。心配し過ぎはいないないがそのことだけは心に留め、いざという時の備えをしてしかないない。

さらにこの方は日本のようなマグマが浅いと場所にあるところでCO2を地中に注入すると地震になると言っている。根拠は地下に高圧で水を注入することで小規模な地震が発生することが確かめられていることである。地下水の溜まった地下にCO2を注入すると注入した場所にある地下水がマグマのあるところまで押し込められて熱解離による水素爆発が起きるというのだ。

これはこの方の拙い我流理論が正しいと仮定した場合の話であり、それでもマグマがどの程度の深さにあるのかの説明もない。およそ科学とは呼べないB級理論である。

それにしてもこの方、よくネタを拾っているわ。さすが工学博士だけの事はある。それはだけは感心する。

しかしながらここまで突っ込みが入ったら、卒論なら間違いなく不合格だな。

http://ameblo.jp/pygmalionz/entry-11117947393.html