Home Search Admin
新・地震学セミナー

投稿を希望される方は、管理者ansin@ailab7.com 宛メール送信してください。管理者が内容を
判断して適宜紹介させていただきます。

過去ログは「セミナー倉庫」に収録してあります。次の索引一覧からごらんください。
http://www.ailab7.com/log/seminarsakuin.html




記事のタイトル一覧をHomeにリストアップしてあります。New!

http://www.ailab7.com/Cgi-bin/sunbbs/index.htmlへ移転しました。


  [1591] 大陸移動説は不成立

2009-09-28(mon)

選挙も終わりましたので、少しずつ活動を再開したいと思っております。活動を中断したために2chではあらぬ誤解を生んでおります。

『石田がプライドから間違いを認められずに続けてきたが、精神的に限界が今になって来て、いいかげん諦めたのか、或いは周りがあまりに非常識な主張をすることに対してたしなめられたのか… この何れかなのだろう。 』

というものですが、全くの見当違いです。定説とは違う異見を述べる人を呼び捨てにする風潮は嫌なものです。
異見といえば私と同年齢である埼玉大学名誉教授の角田史雄先生が「地震の癖」と言う書籍を8月に出版され、異見を述べておられます。

・地震の原因はプレートではない
・地震の原因は「熱移送」
・大陸移動説は不成立

というような定説を否定する内容になっております。地震爆発説とは異なりますが、地質学者から見ると、定説となってしまった断層地震説や大陸移動説が如何に怪しげなものであるのかがお分かりのようです。現在の大陸はパンゲアという超大陸から移動していまの形になったと言うのが定説ですが、先生はこれに異論を唱えておられますので、ご紹介します。
-----------------------------------------------------------
大陸移動説は不成立

 ブレートテクトニクス理論が提唱される以前、一九十二年に「大陸移動説」という学説が登場しました。約三億年前には「パンゲア」といわれる超大陸が存在し、二億年前くらいから分裂・漂流することで、現在の大陸が形成されたという仮説です。
現在の陸地の形だけを見て、パズルのように組み合うかどうかだけで、大陸移勧説を説明しようとしていますが、「海」の要素をまったく考えていないという問題があります。(中略)
古代は陸地だった場所が現在の海になったり、海だった場所が陸地になったりしています。
 さらに、「なぜパンゲア大陸として、陸がただ一カ所に集まっていたのか」という疑問に答えることもできていません。パングア大陸のまわりはすべて海だったとされているわけですが、そこが海だったという証拠はどこにもないのです。
 現在の海や陸を深く掘ってみると、五億年前や三億年前などの地層が出てきます。それにより、五億年前、三億年前の陸や海の形がわかります。
 大陸移動説では、現在の陸の形を合わせているのですから、当時も位置こそ違え、形は類似するところがあるはずです。ところが、現在の陸の形とまったく異なっているのです。

 図を見てください。上の図は六億年以前の太平洋地域における古海洋と古陸、下の図は五・一億年前ごろの太平洋地域における古海洋と古陸です。現在の陸の形と比べれば、まったく異なった大陸であることがわかってもらえると思います。五億年前だけでなく、三億年前、二億年前など、時代が近くなってもそれは同じです。
 現代の陸の形から、過去の陸がひとつだったと仮定したバングア大陸は、大陸の形の保存が確認されないかぎり、「幻の大陸」でしかありません。
-----------------------------------------------------------
グランドキャニオンの地層を見ても、2.5〜5.5億年前のアメリカは海の底にあったことが明らかです。「陸と海とは交互に沈降と隆起を繰り返している」というのが真相であって、パンゲアという大陸が移動して現在の姿になった、などと言うのはナンセンスな話です。

プレート説に関する角田先生の見解が何故異論になってしまうのか、私には全く理解が出来ません。

地震の原因をマグマの熱によるものと見ておられる件も、断層地震説よりは説得性があります。

[1591]以降は 

http://www.ailab7.com/Cgi-bin/sunbbs/index.html

 へ移行しますのでよろしくお願いします。



  [1590] プレート論から脱皮せよ

2009-05-02(sat)


4月28日付けの朝日新聞朝刊に、東京大学地震研究所の川勝均教授らが、プレートのはっきりとした「底」を観測することに成功したというニュースが載っていました。

記事には、

「軟らかい「アセノスフェア」と呼ばれる部分は高温で、部分的に溶けたマントルが水平方向に引き伸ばされたミリ単位以下の薄い層が多数ある、と考えられるという。川勝教授は「他のプレートにも同様の構造があるか、観測地点を増やして確認したい」と話している。」

とあります。石田仮説ではマグマオーシャンであったはずの原始地球が、2900kmという地球の内部深くまで硬く固化することはあり得ないという立場を採っています。月も誕生時にはマグマオーシャンであった筈ですが、地球よりも体積が小さいので、現在ではかなり深くまで固化しています。月のように冷却化して固化したというのなら理解できますが、地球内部は高温のままですから、固体であると考えるのは間違っています。  
  では何故そのような間違いが定説の地位を得ているのでしょうか、そこには地震波が地球内部を通過しているという事象を深く検討しないまま結論付けをしていることが推定されます。通常は固体でないと伝播しないS波(せん断波)がマントル内部を伝播しているように見えることから、マントルが固体であると判断されたようです。その判断に誤謬があることはセミナー[1553]ならびにANDビデオ「地震学の基礎にある大きな間違い」に詳しく述べてあります。伝播しているように見えるのは粘弾性体の一つの特性ですが、全部の地震エネルギーを伝播させているわけではありません。爆発的な短周期波のしかも一部分だけを伝播させているだけです。
 

石田仮説での地殻の定義は定説とは違って固化している個体部分を指しています。せいぜい陸地で100km程度、海域では80km程度の厚さです。その下部は熔融マントルであり、地殻内部で発生した地震波はほとんどがここで反射して地殻内を反射と屈折を繰り返して伝播します。上述した一部のエネルギーは熔融マントルの内部へも伝播しますが、これが定説地震論では大きく扱われすぎて、走時表として取り扱われていますが、地震波全体の走行挙動を表してはいません。その地震波はほんの一部のエネルギーにしか過ぎないことは地震波の波形を分析して吟味すると理解できます。 (ANDビデオ「地震学の基礎にある大きな間違い」 参照)

また、プレートテクトニクス理論は詳細な海底地質の調査によって破綻していることが明らかになっています([1386][1539]参照)。現代地震学はそろそろプレート理論という拘束から脱皮しなければなりませんが、依然としてプレート論をベースとした研究が大手を振って歩いているようです。早く脱皮して欲しいものです。


  [1589] 月の生い立ち(石田仮説による)

2009-05-02(sat)

ウイキペディアの解説によれば、月の石には地球の石に比べて鉄分などが少なく水分もほとんど含まれていないということです。

「月の石は地球上の石と特に酸素同位体含有量において非常によく似た性質を持つ。しかしながら、月の石は地球の岩石と比較して、鉄の含有量が少なく、カリウム、ナトリウムといった揮発性元素に乏しく、また、水分をほとんど含まない。かつては水分子を全く含まないと思われていたが、2008年になって微量な分子も検知できる二次イオン質量分析法を使用することでごく微量の水が含まれていることが判明し、月の地中深くには地球のマグマと同様の水分が含まれている可能性が出てきた。」

とあります。鉄分などがすくない理由としては、地球表面の固化現象は後年(38億年前程度)になって始まりますので、46億年前のマントル物質は8億年の間に深度方向の構成を変化させたのかもしれません。そのことは別にして、地球から分離したのに何故水分が少ないのか、表と裏とで地殻の性質が何故大きく違うのか、などを解説するために、「月の生い立ち」を図解して見ました。

すでに述べてきたように、解離爆発によって地球から分離した46億年前は、@のマグマオーシャンの時代でありました。その頃には爆発が起こってもクレーターなど形成されません。それから数億年経ったAの時代には温度の低い裏側が固化し始めます。

この時代に固化した岩石にはかなり強い残留磁場が記録され、水分(結合水)も含んだ岩石になっているはずです。裏側での火山活動は活発に起きますが、表側はマグマオーシャンのままですから、熔融物質が裏側の月面に溢れ出ることはありません。

Bの時代になると表側も固化が始まり、月の殻が完成します。この時代の火山活動は殻の薄い表側のほうに激しく起こります。マントル対流が原因で解離と結合の関係が不安定になるたびに、つまり大きな火山爆発のたびに殻内部の圧力が増加して玄武岩マグマを噴出させます。これが月の海と呼ばれているものです。
 
こうして考えると表側では、解離ガス(酸素と水素の混合ガス)は結合(=爆発=地震)するよりも放出される分が多く、固化した岩石には少ししか結合水が含まれないことになります。解離ガスが放出されてしまう理由は解離能力(解離水を含有することが出来る能力)が高い地球深部のマントル物質であっても、宇宙空間に放出された瞬間に地表と同じ解離能力に下がってしまうため、結合することなく宇宙空間に放出されてしまうからです。

これが表側で採取された岩石には水分が含まれないという原因だと思われます。裏側で採取すればもっと多くの水分を含んだ岩石が見られるのではないでしょうか。また、表側の岩石に記録される残留磁気は月全体の冷却が進行して、固化したマントルが増加しているので微弱になっているはずです。完全に殻が形成されたBの時代以後は地球のマントル対流と同じような対流が起こり、深発地震も浅発地震も地球と同様に発生します。殻の厚みが増えた現在でも小規模ながら爆発(=地震)は継続していて、月にも浅発地震、深発地震という現象が存在します。以上が月の生い立ちを石田仮説で解釈したものです。

・ 月の石には水分が少ないこと、
・ 月面には残留磁気の強い石と磁気が記録されていない石があること、
・ 殻の厚みは表側が薄く、裏側が厚いこと、
・ 裏側の月面はゴツゴツで、表側にある平坦な玄武岩の流出現象が見られないこと、
・ 月の石が地球の石(古くても38億年前)より古いものが多いこと、
・ 月の海付近の岩石は32億年前のものだけれども、高原で採取した岩石は46億年という古いものであること、
などの理由が石田仮説で説明できると考えています。


  [1588] 石田仮説による月の謎解き(3)

2009-05-01(fri)

東京大学 地球惑星物理学科のサイトにある月の不思議に関して、石田仮説による検討を続けます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■ 月の内部構造
月面から回収された試料のもたらず化学情報と、周回衛星や月震計がもたらす物理探査情報を総合することによって、月の内部構造の概要が分かってきました。月の最外殻は、斜長岩というアルミやシリコンに富んだ軽い岩石でできた地殻が覆っており、その厚さは60〜100kmです。その下には地球と同じようなカンラン石や輝石を主体としたマントルがあります。このマントルの部分熔融によって海の玄武岩ができると考えられています。地球ではマントルの内側には、金属核があり、半径の約半分程度を金属核が占めていますが、月にはそのような大きな金属核は見つかっていません。あっても半径の1/4程度ではないかと予想されています。半径では倍しか違いませんが、体積あるいは質量では1桁の違いになります。
つまり、地球と月では惑星の主要構成元素である金属鉄の量が1桁も違うことになります。地球と月が同じ材料物質から作られたとすると、これは非常に大きな問題です。 この問題を解決するには、月の中心核の大きさがどのくらいなのか正確に測定することが最重要課題です。(略)

■ マグマオーシャン
月の内部構造で触れた斜長岩質の厚い地殻があるという記述は、実は月の起源と進化について重要な情報を含んでいます。それは、月が大規模熔融事件を経験したことを意味するからです。月の地殻は、その9割までが斜長石という鉱物でできていますが、これほど単一の鉱物が大きな割合を占めて惑星地殻を構成するためには、大規模な熔融過程が必要です。(略)
これら一連の証拠から、月にはかつてマグマの大洋(マグマオーシャン)があったことが明らかになってきました。しかし、惑星の集積理論とその初期熱史の理論計算を行うと、月のような小さい惑星では、よっぽど急速に集積が起こらない限り微惑星の集積により解放される重力エネルギーは熱放射として宇宙空間に効率よく逃げて行ってしまい、表面が全球的に熔融することは非常に難しいことが分かってきました。この問題を回避するために、月のマグマオーシャンは全球的な熔融ではなく、部分的一時的な熔解の積み重ねによって説明できるという仮説も提案されています。しかし、この仮説にも様々な問題が指摘されていて、全体としては全球熔融説の方が有力視されています。いずれにしても、マグマオーシャン仮説を巡る理論と観測事実の矛盾は非常に重要で、現在の月の科学の最先端の問題となっています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上が抜粋記事です。
地球と月とでは金属鉄の量が1桁も違う・・・という理由は、月の誕生メカニズムと関係しています。月は地球の少なくとも表層から中層までのマントル物質が放出されて誕生したので、地球深部にある重い物質は含んでいないからです。
また、表面が全球的に熔融することは非常に難しいという議論もあるようですが、ジャイアントインパクト説で説明しようとするからであり、解離ガスの爆発によってマントルの一部が放出されたという親子説ならば、月誕生時にマグマオーシャンであったことは当然のこととして理解できるはずです。

なお、この続きにある「月の起源」に関してはすでに[1585]などで解説しましたので、省略します。

  [1587] 石田仮説による月の謎解き(2)

2009-05-01(fri)

以下に示す東京大学 地球惑星物理学科のサイトに、
http://www.eps.s.u-tokyo.ac.jp/jp/gakubu/geoph/space/moon.html
「月の起源と進化は、地球の起源と進化を理解する上でどうしても避けて通れない問題です。」として、月のさまざまな不思議が解説されています。その不思議を石田仮説で解釈してみたいと思います。
先ず月の表面にあるクレーターの成因に関する火山起源説と衝突起源説とを考察するために、抜粋を紹介します。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
■ 隕石重撃



[ 図1 ]
月を覆うクレーター。月面に激しい隕石衝突があったことを物語っている。(NASA提供)


 月の表面において最も顕著なのは、数多あるクレーターです。クレーターが天体衝突でできたことは、今では常識になっています。しかし、アポロ計画によって月面の詳細な探査が行われるほんの30年ほど前までは、火山起源説と衝突起源説が拮抗していて結論が出ていませんでした。回収された月の試料に衝突メルトや砕屑礫岩など天体衝突が激しく起こっていた 証拠が明らかにされて始めて衝突起源説が決定的になったのです。
また、放射性同位体測定比を用いた正確な年代測定が行われ、衝突メルトの形成年代が38億から40億年前に集中していることも分かってきました。つまり、この時代に激しい巨大隕石の衝突(隕石重撃)があったことがわかるわけです。ところが、この38億年から40億年という数字は、実は非常に奇妙な数字です。というのは、月が形成されたのは約45億年前なので、それから5〜7億年もの時間がたっているのです。惑星集積の理論計算からは、こんなに長い期間にわたって惑星の集積し残りの微惑星が内側太陽系に留まっていることは非常に難しいという結果が出ています。

 また、月形成から5〜7億年もの期間にわたって高い頻度での小天体(or 巨大隕石)の衝突が続いたとすると、月の地殻には非常に大量の親鉄性元素(イリジウムや白金など)が隕石によって持ち込まれることになります。
しかし、実際の月の地殻に見つかる親鉄性元素は、この推定よりはるかに低い濃度でしかありません。

 この矛盾を解決するために提案されたのが、大地変仮説(Cataclysm)です。これは、以下のようなシナリオです。激しい微惑星の衝突は、月の形成後1億年程度以内に終息し、数億年間静穏な期間が続く。その後再び何らかの原因により小天体の月への衝突頻度が激しい時期(大地変期)を38〜40億年前に迎える。大地変期が終わった後は、隕石衝突頻度が現在にかなり近い低い値になる。

 この仮説を支持する証拠が、ウラン鉛同位体比の測定にも見つかっているため、この仮説を支持する研究者はかなり多くいますが、大地変を引き起こしたメカニズムが不明な点、大地変がなければならないことを示す確固たる地質学的証拠見つかっていないため、未解決問題として残っています。
この38〜40億年前というのは、地球上に生命が生まれたり、大陸が大きく成長した時代であるとも考えられており、この時代に巨大隕石の激しい衝突があったのかどうかは、地球史を理解する上でも非常に重要な問題です。この問題を解決するためには、集積理論のより深い理解と共に、月面のより広範囲の年代測定が必要です。

■ 月の二分性

[ 図2 ]

ガリレオ探査機の撮影した2枚の月の写真。
右は地球から見る月に近い画像である。この画像では黒い海が卓越しているのが分かる。
また、左端の中央やや下に巨大クレーター「東の海」が見える。
左図では、この東の海が中央にくる構図になっており、画像の半分以上が裏側を撮している。
ほとんどが白い斜長岩からなる高地で構成され、黒い玄武岩の海が非常に少ないことが分かる。(写真NASA提供)

 月のクレーターの火山起源説が支持された大きな理由の一つは、巨大クレーターにほぼ必ず熔岩流が付随していることでした。この熔岩の溜まった地形は海と呼ばれ、それ以外の場所(高地)と区別されます。しかし、熔岩の海は表側に特に顕著な地形で、地球から見えない裏側や極側にはあまり多く分布していません。裏側や極側には、したがってクレーターばかりがある非常に凹凸の激しい地形が広がっており、表とは全く違った惑星を見ているようです。このような表と裏の大きな違いを、よく月の二分性という言葉で表します。火星にも北半球と南半球に大きな違いがあり、このような二分性は、中型の惑星に比較的普遍的な現象なのかもしれません。

 このような表と裏の違いは、地形高度や重力にも現れています。表側の高度はその他の地域に比べて低く、またフリーエア重力異常も大きな正の値を示します。さらに重要なのは、地形高度と重力異常から推算される地殻の厚さが、表と裏では激しく違うことです。表では60〜70キロ程度の厚さがあるのに対し、裏では100キロ程度の厚さと推定されています。
 この地殻の厚さの違いのため、月では形状中心と質量中心が約2キロもずれています。
このような月の二分性は、月の内部構造の起源と進化の過程に深く結びついているはずです。月の二分性の原因の究明は、今後の月科学の中心的テーマの一つです。その一つの試みは、2005年に宇宙科学研究所と宇宙開発事業団が共同して打ち上げるセレーネ探査機(かぐや)に搭載されるリレー衛星です。リレー衛星は、これまで数多く行われてきた月探査で、一回も測定されてこなかった月の裏側の重力を測定し、月の裏側の地殻の厚さや海を持たない巨大クレーターの密度構造を明らかにする予定です。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------

 以上が抜粋記事です。
 クレーターの火山起源説と衝突起源説についてですが、月面に見られる無数のクレーターが全て隕石の衝突であるというのは、記事にもあるように無理があると思います。何故38〜40億年前の間にだけ隕石が衝突したのか、説明ができません。
また、「(月誕生の原因となった)激しい衝突が月の形成後1億年程度で終息し、数億年間静穏な期間が続き、その後再び何らかの原因により衝突頻度が激しい時期(大地変期)を38〜40億年前に迎えた。大地変期が終わった後は、隕石衝突頻度が低い値になる。」というのも、都合のいい解釈に過ぎません。

 では石田仮説ではどのような解釈になるのかを説明します。

石田仮説による解釈

 基本的には月のクレーターは火山起源のものも多いと考えています。つまり、月が地球から分裂し誕生した45億年前には月はマグマオーシャンですから、解離ガスの爆発が起こってもクレーターが形成されることはありません。5〜7億年経過した頃から、誕生時から温度が低かった裏側を中心にさらに冷却が進んで表面マグマの固形化が始まります。その頃の爆発ではクレーターが形成されますから、裏側にはたくさんのクレーターが存在します。

 表側は地球深部のマントル物質が中心で構成されているので、固形化する時代が裏側よりかなり遅れて開始されます。表側に玄武岩で構成される「月の海」が形成されているのは、ようやく月全体に月の殻が形成されて、殻の内部から、熔融マントルであるマグマが火山活動によって噴出するからです。デカン高原に見られる広大な玄武岩台地のようなものが、月の海に相当しています。

 裏側にマグマが噴出しないのは、裏側で火山活動が活発であった頃は、まだ月の殻が完全には形成されておらず、表側がマグマオーシャンのままですから、マグマを噴出させる圧力が生じなかったからです。

 このように、月の裏側の殻が厚く、表側が薄いという理由は月が地球から分裂した当初のメカニズムに原因があります。表側は地球深部のマントル物質で構成され、裏側は地球表面に近いマントル物質で構成されているから、当初から裏側は低温であって、冷却が早く進行したからです。ということは当然裏側の岩石のほうが古く、表側は新しいということを意味します。また、岩石の残留磁気も熔融マグマが多かった時期に固形化した裏側のほうが強く、少なかった時代に固形化した表側の岩石は弱いということになります。かぐやの調査はどのような結果を報告するのでしょうか、すでに判明していて、結果をご存知の方があったら教えてください。

 表側と裏側の明瞭な違いは次の写真からもはっきりと分かります。裏側で火山爆発が起きた初期の頃は、内部圧力が表側のマグマオーシャンに抜けてしまい、溶岩の噴出は微量だったのでしょう。表側で玄武岩が噴出した頃の後期の火山活動では、裏側にも表側にも地殻が形成されていて、爆発の圧力が抜ける場所が無く、月面上に噴出したと思われます。それが月の海となっています。

注:ウイキペディアによると月の石は、

「放射性年代測定法によると、一般に月の石は地球上の石に比べはるかに古く、最も新しいものでも地球上に見られる最古の石より古い。その年代は月の海から採集された玄武岩サンプルの32億歳から高原地帯で採集されたものの46億歳と幅広く、太陽系生成早期に遡るサンプル資料となる。」

とあります。やはり、表側の玄武岩は32億年と若く、高原地帯のものは46億年という古いものですから、裏側の岩石も同様に古いのではないかと推定されます。地球上の岩石より古い理由は「1585]に述べてあります。


  [1586] 石田仮説による月の謎解き(1)

2009-04-30(thu)

ウイキペディアの解説をみると、
「月の誕生に関する諸説には、どの説もそれぞれ重大な問題を抱えていたので、1970年代中頃にはどの説も行き詰まってしまい、困惑した天文学者のアーウィン・シャピーロ (Irwin Shapiro) は、「もはや満足できる(自然に思える)説明は無い。最善の説明は、月が見えるのは目の錯覚だと考える事である。」という冗談を言うほどであった。」 と言う記述があります。現在はジャイアントインパクト説が最有力ということですが、まだ多くの謎が存在していて、これらの謎を解明しなければ、真の「月の起源」を明らかにしたことにはなりません。その月に残された謎月探査ステーションのサイトから抜粋して紹介し、石田仮説に基づく謎解きをして見ます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
月に残された謎

磁場の謎
地球上では方位磁石のN極が北を、S極が南を指します。これは、地球に磁場があるためなのですが、月はどうなのでしょうか?
アポロ計画によって持ち帰られた月の石を調べると、月にはかつて磁場があったことがわかります。
しかし、現在の月には磁場がありません。
かつて存在した磁場の強さは、現在の地球の磁場をも上回ると考えられていますが、その磁場を発生させたメカニズムや、磁場が消滅した理由など、 未だ解明されていません。
謎解き
地球マントルの一部が爆発によって放出された時には月もマグマオーシャンだったはずです。その時代には月にも磁場があった筈で、その頃に冷却した岩石には残留磁場が残るはずです。さらに時代が経ると、体積の小さな月は地球よりも早く冷却し、現在では磁場が存在しないほど冷却してしまったということでしょう。磁場は熔融マントルの対流から生まれると考えています。冷却によって完全に対流が起こらなくなれば、それが「星の死」であると思います。
したがって、月の深部にある岩石には残留磁場が残っていない可能性があります。
しかし、現在でも月には地震(月震)が起こっていますので、月の内部には若干の熔融マントルが残っているはずです。月震に関してはセミナー[1417]を参照してください。



--------------------------------------------------------------------------------
表裏の違いの謎
月は表側と裏側に分かれています。 この両者は、見た目の違いだけではなく、地下構造からしてはっきりと違うことが、最近の探査でわかりつつあります。この違いがどのようにして生まれたのか、今後の探査による解明が待たれています。
また、表側を特徴づける月の「海」がどのようにしてできたのか、より精密な調査が必要でしょう。
謎解き
月の表と裏では地球を飛び出して誕生した時にすでに違いがあります。表側は地球深部の高温度のマントル物質が多く、裏側は地球表面に近い低温度のマントル物質で構成されていたことが推定できます。その後マントルの対流があって冷却されていったのですが、この誕生時の月構成物質の違いが影響していることが原因だと思われます。

--------------------------------------------------------------------------------
マグマの海の謎
月の岩石成分の研究から、月の誕生当時に、マグマオーシャンと呼ばれる溶岩の海が存在していたと考えられています。
しかし、本当にマグマオーシャンが存在したかどうか、また、存在していたとしたらどのくらいの規模だったのか、詳しいことはわかっていないのです。
謎解き
月の表面は表側と裏側では見た目にも全く違うのですが、これは上の疑問で述べたように、誕生時に構成物質と温度がすでに違っていたことが大きく影響しています。表側は高温でマグマオーシャンも長く形成されていたのではないでしょうか。裏側は低温で冷却が早く進んだと思われます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上、石田仮説によって疑問の謎解きを行ってみましたが、定説的に扱われているジャイアントインパクト説よりは説得力があるのではないかと思っています。

  [1585] 月の生成メカニズム・分裂仮説

2009-04-29(wed)

月がどのようにして誕生したのかに関しては、
@ 捕獲説 A分裂説(親子説) B双子集積説 C巨大衝突説(ジャイアントインパクト説またはビッグ・ホワック説)などの説があるようですが、現在はジャイアントインパクト説という「火星程度の大きさの天体が衝突して誕生した」という説が最有力のようです。



石田仮説から言えることは地球のマグマオーシャン時代に熔融マントル内で巨大な爆発(=地震)が起きて分裂した親子説ということになります。
以下のブログに、 「誰が月を創ったか?(WHO BUILT THE MOON?)」 クリストファー・ナイト&アラン・バトラー著 南山宏訳 学習研究社 2007年6月15日発行」
を紹介した記事がありますので、抜粋して転載させていただきます。
http://blog.goo.ne.jp/arumat54/m/200803
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1878年 ジョージ・ダーウィン(チャールズ・ダーウィンの子息)が分裂理論なる仮説を発表。→ 月が地球から遠ざかりつつある速度をもとに逆算して、元々は溶解状態にあった原始の地球から月ほどの大きさの塊が回転・分裂して離れてゆき、最後に現在ある軌道上に落ち着いたとするもの。
1920年代 ハロルド・ジェフリーズ英天文学者が、半溶解状態にある地球の粘度の強さならダーウィンの主張する分裂を引き起こすのに必要な振動は抑え込まれてしまうと立証。

そのため、「同時降着仮説」という第2の説が登場。形成されたばかりの地球が、周囲に固形粒子群を円盤状に蓄積させ(土星の輪のように)、これが最終的に寄り集まって月を構成したとする。←この説では、地球と月の仕組みにおける角運動量が現在のようにはならないとする反証あり。
第3の仮説として、「丸ごと捕獲仮説」が登場。月は地球から離れたところで誕生し、やがて「はぐれ」天体となったあと、地球の引力に捕まって周回軌道を描くようになったとする。←が、月と地球の岩石中の酸素同素体は、太陽から等距離で生じたことが決定的に証明されているため、月が別の場所で形成されたとすればそういう結果になり得ない。また、月サイズの物体が地球の周回軌道に落ち着くよう理論モデルを作ろうとしても、巨大な物体が低速で手際よく地球軌道に入り込むのは不可能。

1975年、「ビッグ・ホワック説」登場(ホワックwhackというのはピシャリとかパシリと鋭く叩く音のこと、ビッグ・バンのもじり)。ロシアの科学者V・S・サフロノフの研究を端緒に、ハートマンと同僚のD・R・デイヴィスが提起した仮説で、地球と少なくとも火星サイズのはぐれ惑星の両者が衝突した結果、月が誕生したとする。両惑星が衝突すると、双方のマントル層から物質が噴出するという特殊なプロセスが起き、軌道上に投げ出されたこの噴出物質が最終的に融合合体して月を形成することになった。 月の石を詳しく分析すると、地球のマントルを構成する石と酷似しているものの、比例的には月の質量は地球の質量の足元にも及ばないことが判明した(地球の大きさは直径で月の3.66倍にすぎないのに、質量は月の81倍もある)。このことからどうみても月には地球内部に見いだされるような重元素の多くがあるとは思えないので、ビッグ・ホワック説はその理由を説明できる理論とみなされた。

こうして現在、ビッグホワック説はおおむね受け入れられているが、問題点をたくさん抱えてもいる。とくに大規模な衝突においてはどうしても地球の自転が現状をはるかに上回るレベルまで加速されてしまうはずだとの指摘がある。このため、この矛盾に対処する唯一の方策として、ケイナップ博士は2度目の大衝突を提案した(ビッグホワックK)。2度目の惑星衝突は、最初の衝突からほんの数千年後に起こったとされる。つまり2度目の接近物体は反対方向からやってきて衝突したため、最初に地球に加えられた巨大な回転力を相殺する結果になったとする。
これを著者は、そんなに都合よく同じことが逆向きに2度起こる自然現象などとうていあり得ないように見えると不思議がる。偶然起きた「ダブルホワック(往復ビンタ)」みたいな宇宙衝突のおかげで地球は以前と正確に同じ本来のリズムに戻れたというのか? と「?」マークつきで疑問を呈している。
つまり現在ある月という天体の起源に関する説は、「ダブルホワック」説が中心となっているものの、多くの矛盾点が吹き出していて、合理的な説明はなかなかつかない。

著者は、この空洞説のほかに、たとえば、月がたまたま太陽よりきっかり400倍直径が小さく、太陽よりきっかり400倍距離が近い軌道を動いているというのは、そうなる確率はまさに文字通り天文学的に低い数字で、またアメリカのアポロ有人探査と旧ソ連のルナ無人探査計画によって持ち帰られた月の石が、最古では地球でみつかるどの石よりも大幅に古いことが判明し、地球上に見出される最古の石は35億年前のもの程度なのに、月の石の中には45億年前までさかのぼれるものがあって、これは太陽系の推定年齢に近く説明がつかない等々、を綿密に検証していって、月の生成に関して3つの推論を述べる。そしてその第3の説がもっとも合理的だとしているのだが、それはここでは書けませぬので、本を探して読んでください。とても面白い理論構成になっていて興味は尽きませぬ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上が抜粋記事です。
石田仮説に近いのはジョージ・ダーウィン(チャールズ・ダーウィンの子息)の分裂理論です。マグマオーシャン時代に熔融マントルの内部に蓄積した大量の解離ガスが爆発を起こして、マントル物質を宇宙空間に放出したという仮設です。


解離爆発が分裂の原動力ですから、ハロルド・ジェフリーズが立証したと言う「分裂を引き起こすのに必要な振動は抑え込まれてしまう」という反論は問題になりません。固体化した地殻内部での爆発であっても、岩手・宮城内陸地震で計測されたような4000ガルを超える加速度になるのですから、マグマオーシャンの時代に月の体積に相当するマントル物質を放出するような現象があったことは十分に可能性があると思います。月が地球に向けて裏側を見せない理由も、地球から放出されて誕生したのなら、ありえる話のように思われます。 

 また、月から持ち帰った岩石が地球マントルの組成と酷似しているということも、分裂説なら、当然のこととして説明できます。
 さらに、月の岩石には45億年前のものが存在するが、地球では35億年前のものしか発見されていないという疑問に関しては次のような解釈が可能です。

月が地球から分裂した当時の地球はマグマオーシャンであって、地殻は誕生していなかった。一方分裂した月も最初はマグマオーシャンであったが、体積が圧倒的に少ないので、冷却が地球より早く進み、月殻の形成が地殻よりも10億年ほど早かった。

と言う解釈です。

 「月には地球内部に見いだされるような重元素の多くがあるとは思えないので、ビッグ・ホワック説はその理由を説明できる理論とみなされた。」ということですが、月の内部に重元素が少ない理由は、分裂・放出された物質が熔融マントルであって、地球中心部の物質ではないことから十分に説明が出来ます。

 昔は地球から放出された跡に海水が溜まって太平洋になったという説を学校教育で教えていたと言うことですが、その説のほうが火星クラスの天体が衝突したというジャイアントインパクト仮説よりは説得力があるように思います。ただし、太平洋の海底にも地層が形成されているようですから、その説の信憑性もそれほど高いとはいえないですが・・・。


  [1584] アリストテレスの地震観を切り捨てる現代の知
2009-04-28(tue)
このセミナー[1308] アリストテレスの直感を葬った現代の知の中で、

「大気による光の屈折で月が大きく見える」などということが、未だかつて現実に起こったことがない・・・という高等教育修習者たちの意見が「月が大きく見えるのは大気の屈折による」と考えたアリストテレスの直感を否定してしまったのでしょう。

と書きましたが、そのアリストテレは大きな地震の前に地上の空気が蒸し暑くなること(アースクェイク・ウェザー)を認識していたようです。しかしこれも現代の知によればバッサリと切り捨てられてしまうようです。果たして現代の知は進化しているのか退化しているのか怪しくなってきます。
バッサリと切り捨てる見解をアメリカ国立測候所(National Weather Service)の筆頭予報官だった気象学者が報告していて、その訳文が「宏観見聞録」に載っていますので、抜粋して紹介させていただきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Earthquake weather? Not!

すべての季節、あらゆる気象条件のもとで地震の揺れは起きている。地震は地下何マイルもの深さで進む地質学的プロセスに起因するものであるのに対して、風・雨・温度・気圧の変化などの気象要因は、地表面とそのすぐ下にしか影響しない。地震を引きおこす強大な力は、天候によってもたらされる相対的に弱い力がまったく届かない地下深くに集中している。
暖かい日をアースクェイク・ウェザーとみなす迷信は、アリストテレスに起源があると思われる。紀元前 350年に、この古代ギリシャの哲学者は著書『Meteorologica』(気象論)の中で、地震は地下の大洞窟に閉じこめられた暖かい風によって起こると理論づけた。アリストテレスは、弱い地震は(閉じこめられた)空気が洞窟の天井を押すことによって起こり、大地震は(閉じこめられていた)暖かい風が地表にまで吹きだすことによって起こると考えた。この考えは、『Meteorologica』に記述されている他の多くの概念と同様、科学的妥当性がないと見なされている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上が「宏観見聞録」からの抜粋です。地震は地下で起きる現象であり、天候によって左右されるはずが無い、それは科学的妥当性がない、というのは、断層が動くことが地震であるという「断層地震説」を根拠にしているからであります。たしかに天候が地震現象に影響を与えることはありませんが、地震の原因となる地下の現象が天候に影響を与える可能性をアリストテレスは見抜いていたわけです。これは「地震爆発説」の立場で考えれば、地震の本質を衝いた洞察力に満ちたものだと言えます。

「地震は地下の大洞窟に閉じこめられた暖かい風によって起こると理論づけた」と言うアリストテレスの理論は、熱解離によって発生した酸素と水素の混合ガス(暖かい風)が爆発することが地震であると言う地震爆発説の内容と矛盾はしていません。

爆発(=地震)の前に高い圧力となって、水蒸気を地上に噴出させるために、地表の空気が蒸し暑くなることがアースクェイク・ウェザーであると解釈すれば洞察に満ちた地震観であることは明らかであります。

アメリカ生まれの断層地震説を根拠に「科学的妥当性が無い」というのは、天動説を根拠にして地球が動く証拠がないと言っているようなものだと私は考えます。

  [1583] マイクロプレート論はこじつけである
2009-04-22(wed)
 イタリアのラクイラ地震は定説地震学的には正断層型の地震だそうです。つまり、アペニン山脈に位置する震源近辺で山脈に直交して両側に引っ張られる力によって発生したものと解釈されています。しかしこのメカニズムをアフリカプレートがユーラシアプレートに衝突するために起きるという説明では納得が出来ないということで、地中海にはマイクロプレートというさらに小さなプレートが存在し、その挙動から説明できるという考え方があるそうです。
・Tectonics of the Italian Earthquake (イタリアで起きた地震のテクトニクス)

 この論文記事を意訳したものが「宏観亭見聞録」に以下のように載せてありましたので、抜粋を転載させていただくとともに、地震爆発論による解説を加えておきます。
地震爆発論との比較を分かりやすくするために、記事中の図面と朝日新聞の図面ならびに、火山分布、地震分布などを一緒に載せてあります。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 なぜアペニン山脈で伸張応力による拡張が起きているのだろうか。地中海西部のテクトニックな歴史は、実のところ非常に込み入っている。アフリカとヨーロッパのプレートが動くことによって、その間にあった大きな海洋の最後の部分は、沈み込みによってほとんど破壊されてしまった。現在この地域にある海洋地殻は、最近 4000万年程度の間に背弧海盆の拡大によって新たに形成されたものである。現在の両プレート間の衝突境界(衝上断層と海溝)は、図に赤い線で示されているように、イタリア半島の東岸と南東岸からシチリア島を経て、北アフリカまで延びている。この衝突境界は、赤い矢印で示してあるように、ヨーロッパから離れるように南方向と東方向に移動している。この移動によって上盤側(ヨーロッパ側、つまりイタリア半島)の地殻は引き伸ばすような力を受けている。
地理的に広い範囲で見れば、2つのプレートは衝突している。しかし、局地的なレベルでは、ティレニア海という背弧海盆が南西方向に拡大しており、この拡大がイタリアのテクトニクスの主要な原動力となっている。このため、アペニン山脈を形成した衝上断層は、現在では伸張応力に駆動される正断層として再活性化されている。この衝上断層から正断層への転換は、残念ながら、地震をより被害の少ないものにすることはない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上が抜粋の紹介です。
 さて、アペニン山付近の地震をアフリカP対ユーラシアPでは説明できないために、マイクロPを導入していますが、イタリア半島の東海岸からユーラシアPの一部(?)が潜り込む(衝突?)として、正断層が出来るという解釈は理解に苦しみます。

 「衝突境界は、赤い矢印で示してあるように、ヨーロッパから離れるように南方向と東方向に移動している。」
と書いてありますが、離れているのなら、衝突も潜り込みも在り得ない事になります。プレートが誕生する位置になるのではないでしょうか。日本の場合には、日本海溝から潜り込むプレートのために、逆断層地震が起こり、それでプレート境界形地震は巨大地震になるのであると言われているのではないでしょうか。正断層型になるという説明には説得力がありません。

 「アペニン山脈を形成した衝上断層は、現在では伸張応力に駆動される正断層として再活性化されている。」
とありますが、衝上断層から正断層へ転換したとか、再活性化されたとか、全く根拠も証拠のない作り話にしか過ぎません。

 では地震爆発説ではどのような解釈が成り立つのかを説明します。

 [1581]にも述べましたが、イタリアやギリシャに地震が多いのは、この一帯に火山が多く、地殻内部で解離ガスが爆発する機会が多いので、地震が多いと言うことです。日本に地震が多いのも、日本が火山帯にあるからです。


 また、図からわかるように、今回の地震が正断層型になった理由は爆発の方向が水平に近かったからと言うことになります。爆発が垂直に近ければ、垂直断層や逆断層が出現することになります。

 断層は爆発の結果として現れる傷跡にしか過ぎません。断層が地震を発生させるというのは原因と結果を取り違えています。因果関係が全く逆の話です。プレート論とかマイクロプレートと言うのは、断層地震説に拘泥するためのこじつけに過ぎないと考えています。

 以下の文章は「ほころび始めたプレートテクトニクス」に載せてある卯田先生のコメントです。

 彼ら(プレート論者)は、さしたる根拠もなく新たにプレートの境界を設定したり、あるいはそれがないと細かな現象を説明できないからと、「マイクロプレート」を証拠もなく出現させたりする。だがこうしてプレートが増えるたびに、理論の提唱者の意図とは裏腹に、そこから説明される地球の歴史はあやふやで複雑怪奇になり、過去のさまざまな出来事は互いに何らの因果関係も共通性ももたない独立した現象の羅列となってきている。
 思いつきが十分な吟味もされずに既成事実となり、検証するデータもほとんどないのに、いつしか定説となる。そして気がつくと、どこまでが観測事実もしくは調査結.果で、どこからが単なるアイディアなのか区別ができなくなっている。単純明快な概念が非科学的で醜悪な寓話と化してしまう・・・・。
こうしてプレートテクトニクスは、いまやそのモデルとしての有効性に限界がきているように見える。

  [1582] 現代もある迫害
2009-04-15(wed)
 [1578]に紹介した地震とラドンの関係は、神戸を襲った地震の前に明瞭な前兆として観測された事実であり、毎日新聞(2007年1月16日)にも報じられたものです。
 しかし、その新聞記事でも定説地震学者(阿部勝征東京大地震研究所教授)のコメントは、
「ラドンと地震との関係は昔から指摘されてきたが、実証性に疑問が残っていた。今回、成功したとしても、他のケースに適用できるかについては、確実な実証とメカニズムの解明が必要だ。」
 などと冷淡なものであり、新事実を貴重な発見として予知につなげようという科学的な姿勢が感じられません。今回のイタリヤ地震に関するテレビ報道でも東大地震研究所の古村教授が「ラドンの観測が、地震予知に使用できるかどうかは、はっきりとは判明していない。」という冷めたコメントを流していました。
 定説地震学を信奉する学者がこの様な冷淡な態度を取ることは西洋社会ではよくあることで、日本だけではありません。サイエンス誌はラドンゲートという揶揄に近い表現でイタリヤでのラドン観測による予知を報じています。「宏観亭見聞録」には、翻訳して載せてありましたので、抜粋を転載させていただき紹介します。

  ジャンパオロ・ジョアッキーノ・ジュリアー二(Giampaolo Gioacchino Giuliani)とは何者なのか。彼は、グラン・サッソ(アペニン山脈の最高峰)にある国立研究所で働いている。メディアは、イタリア国立原子核物理学研究所の地震学者、物理学者、技師などと伝えているが、同研究所の所長は科学誌『ネイチャー』に対して次のように語っている。「彼は技師(テクニシャン)であって、地震については彼が個人の趣味としておこなっていることである。研究所のプロジェクトとはまったく関係がない。研究所としては報道にいささか困惑している。」

 ラドンと地震予知の研究には数十年の歴史がある。研究は特に日本でさかんだった。しかし、地震の前兆とされる手がかり、それも疑わしいものが多すぎたため、この分野への関心は薄れてしまった。
ワシントンにあるカーネギー研究所の地震学者で “review on earthquake prediction”(地震予知の再検討)という論文を 1976年に共同執筆した Paul G. Silver 氏は、イタリアの地震とジュリアーニ氏について次のように語っている。

 「実際に地震予知をおこなうさいの根拠としてラドンが使える段階まで、ラドンについての研究が進んだということはまったくありえない。われわれは、いかにして地震を予知するかをいまだに知らない。したがって、ジュリアーニ氏の警告は(当局によって)適切に取り扱われたと思う。いくつかの報道機関は、過去数週間にわたって被災地域で地震活動が活発化していたと伝えている。これが真実であるならば、われわれの現在の知識レベルに鑑みて、まだ警報を出す機は熟していなかった(これらの地震活動によってラドンガスが増加したことが考えられるから)。私の知るかぎりでは、ラドンにしろ他の観測にしろ、地震前兆として信頼できるものであるとは実証されていない。もちろん、それらの観測結果を見ることは有益だが。」

 10年ほど前に地震予知は可能か否かという大きな影響力をもった討論がおこなわれたが、その議長をつとめたエジンバラ大学の地震学者 Ian Main 氏は、「ラドンは地震前兆として合否ラインすれすれとみなされてきた。ラドンは統計的な検証において有意性を立証できなかった」と語る。
グラン・サッソの研究所で働いているペルージャ大学の Paolo Diodati 氏は、ジュリアーニ氏は地震予知は可能であるとの考えを支持している点ですでに間違っていると考えている。しかし、 Diodati 氏はジュリアーニ氏が見いだしたことは科学界の注目を集めるに値するとも考えている。また、Diodati 氏は、地方当局がジュリアーニ氏の警告に対してとった態度には批判的である。「自分が集めたデータが物語っていると考えるものを公衆に知らせることによって、研究者が捜査対象とされるようなことがあると、科学者は萎縮し、ふたたび警報を鳴らすリスクを冒すことをためらうようになってしまう。」
これとは対照的に、ボローニャ大学の地震学者で、地震予知について多くの著作がある Francesco Mulargia 氏はさらに否定的で、e-メールで次のような見解を寄せている:
 「地震前兆としてのラドンは過去 30 年間にわたって徹底的に研究されてきたが、科学的な方法による検証に耐えられなかった。その結果、ラドンは信頼できる地震前兆として使うことはできないという結論が広く受け入れられている。今回、予知をおこなった人物は地震学会ではまったく無名である。彼の分析方法やデータはピア・レビュー(同分野の科学者による事前査読)のある専門誌に掲載されたこともなければ、科学分野の会議において発表されたこともない。このような状態では、彼の分析方法やデータが真剣に検討されることはないと思う。
今回のイタリアの地震は、停滞している地震予知の研究を再活性化するのだろうか。そう考える人はわずかである。「一つの事例から結論を引き出すのは困難である」と前出の Ian Main 氏は言う。


 記事のなかに、「研究は特に日本でさかんだった。しかし、地震の前兆とされる手がかり、それも疑わしいものが多すぎたため、この分野への関心は薄れてしまった。」・・・とありますが、何回も述べてきたように、ラドンが地震前兆として出るのなら、小さな地震でも観測される筈だ、という誤った認識から無視されてきたのではないでしょうか。地震爆発論の立場で考えると、ラドンだけではなく、多くの前兆現象は巨大地震であるほど顕著に現れるものです。したがって、統計的な分析で有意性が表れなかったから、棄却するという判断がなされているとすれば、それは間違っています。 また、疑わしいものが多すぎたため・・・というのが、高木式磁力計を葬り去ったのと同じような「前兆がでる科学的な理由が不明であるから、その手法は非科学的である。」という理由で葬り去られたのならば、未知の科学を探求する科学者の本分を捨てたといわれても仕方がありません。(村瀬政府委員の発言参照)
 ましてや、「地震学会ではまったく無名である。」とか、「専門誌に掲載されたこともなければ、科学分野の会議において発表されたこともない。」という理由で、軽視する態度は傲慢そのものであり、真摯に真理を探究すべき科学者としては失格であると思います。
 
 のみならず、地域住民に避難を呼びかけたジュリアー二氏を告訴するというような行為は現代的な迫害であろうと思います。多くの犠牲者がでたというのに、「地震の予知ができると考えていること自体が間違っている。」として迫害する姿勢はガリレオたちが受けた中世の迫害に当るものではないでしょうか。


  [1581] 相も変らぬプレート論による解説
2009-04-7(tue)


 上に示した朝日新聞の記事では、今回のイタリアの地震は「内陸直下で発生した、そしてアフリカプレートが北上してユーラシアプレートに衝突し、内陸部にひずみが蓄積されている。」と相も変わらずプレート論で解説してあります。

 だいたい、内陸直下の地震という表現そのものが曖昧です。断層が動くことが地震の原因であるのなら、内陸の地震は全て直下のはずで、これでは「馬から落ちて落馬した。」式の表現です。
また、アフリカプレートがユーラシア大陸の下に潜り込んでいるのなら、太平洋プレートと同じようにプレート境界に沿って地震の震源が分布するはずですが、地震は中海沿岸の東部分に集中し、地中海全域にわたって一様な分布をしているのではありません。


 「ニュースが分かる」というサイトでも、日本に地震が多い理由はプレートが集中しているからだという以下のような説明があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日本に地震はなぜ多い/1 原因は「プレート集中」にある



  日本は世界で有数の地震国だ。震度6弱以上の大きな地震が、2000年からほぼ毎年どこかで起こっている。今年7月にも岩手県でマグニチュード(M)6・8の地震(最大震度6強)が起こったばかり。どうしてこんなに地震が多いのだろう。日本に住む限り、地震を避けることはできないのだろうか。
 日本は地震が多発する宿命にある。地球上で有数の地震発生地帯にあるからだ。
 地球は、陸や海をのせた十数枚のプレート(岩板)でおおわれている。プレートは、それぞれちがう方向に年間数センチの速さで動いている。そのため、プレートどうしが押したり引いたりする巨大な力が働き、たがいにせめぎ合っている。この力が地震の原因だ。
 日本は、北米(北アメリカ)プレート、ユーラシアプレートなど、四つものプレートが集まる「プレートの交差点」にある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 プレートの交差点であることが地震が多い理由であるという論旨ですが、「地震爆発論」から言えば、日本に地震が多いのは、日本が火山帯にあるからです。地下の浅い部分にマグマが存在することが、水の解離現象が頻繁に起こって地震になるという解釈です。

 これは地中海沿岸に関しても言えることで、イタリア、ギリシャには火山が多くて地震も多くなると説明できます。地中海沿岸でも西部では火山が少なく、地震の頻度も少なくなっています。
 新聞記事にあるお二人の教授の解説はほとんど意味の無いものであります。


  [1580] 地震を予知・警告したら告訴という愚挙
2009-04-7(tue)
 ラ・キリコ氏のブログ「イタリアたわいのない話」に重大なニュースが載っていましたので、抜粋して転載させていただきます。今回の地震で、ラドン濃度の異変から地震を予知し、住民に警告を発したという罪で告訴されたというトンデモナイ話が現実に起こっているというのです。日本ではこのようなことがないように、マスコミがしっかりして欲しいと思います。警告の意味を籠めて紹介します。
---------------------------------------------------------------------
地震予知して告訴され…
2009年 4月 7日
 6日未明にイタリア中部ラクイラ市で起きた地震については、日本各紙でも報道されているようですが、実は先月末ぐらいに、イタリア普通紙にラクイラ市界隈の大地震予測の記事が載っていたのを、チラッと見ていたんですよ。
それじゃ、なんで事前に何もできなかったのかと不思議に思っていたら……それどころか、予測した研究家の方は大変なことになっていました。
ーーーーーー★★★ーーーーーー

アブルッツォ 『地震専門家、警告して告訴される』

Giampaolo Giuliani

 イタリア民間防衛機関の責任者グイド・ベルトラーゾ氏は先月31日、『虚偽の情報を流して面白がっている馬鹿者ども』に対し激怒し、なんらかの処罰を求めていた。
この『馬鹿者ども』の中にはグラン・サッソ国立研究所の研究員ジャンパオロ・ジュリアーニ氏も含まれており、同氏は1ヶ月ほど前よりアブルッツォ地方における群発地震を観測し、3月29日に『壊滅的な』地震発生の恐れがあると警告していた。
なお、同警告を発したことでジュリアーニ氏は告訴されており、民間防衛機関ベルトラーゾ氏は、「地震が予測できないものだってことは、みんなが知っている。」と主張していた。
 また、今回のラクイラ市の地震を受けジュリアーノ氏は、

 「地震が予測できないなんて嘘です。我々は予測しましたから。」と断言している。

告訴:『分かっていたはず』 ? 今日、この惨劇を前にしてジュリアーニ氏は、苦々しくこう語る。

 「私は明日にでも刑務所に入れられるかもしれないんです。しかし、地震が予測できないなんてことは嘘ですよ。10年も前から我々は100〜150km圏内の地震を予測に成功してきました。今回は3日前からラドン濃度が異常に上昇し、安全基準値を越えていたんです。ラドン濃度の急激上昇は、強い地震発生を意味します。
昨夜、当研究所の地震計は強い揺れを感知していたし、オンライン上で公表していましたから、みんな見ることができたわけで、見ていた人も多数います。
 誰かが配慮して行動することはできたわけです。昨夜は我々も、人生で最も悲惨な夜を過ごしました。私も避難しなければならなかったのですよ。あの権威ある科学者の皆さん方は、地震が予測できることを分かっていたんです。」

警報 ? 実は、今回地震が発生したラクイラ市の南方に位置するスルモーナ市で3月29日、マグニチュード4の地震が発生しており、この地震と先の『地震予知』がスルモーナ市および周辺の住民らの間にパニック状態を引き起していた。
ジュリアーニ氏は、岩石中に亀裂ができた際に地中から大気中に放出されるラドンの濃度で地震観測をしており、同氏はこの3月29日のスルモーナ地震の後、次の地震発生日時を詳しく警告していたが、地震は起きず…。その約1週間後に大地が揺れ動いてしまったわけで、現在は、大きな物議を醸している。

 『地震が起きるぞ』と警告するのは確かに重要なことだが、それだけでなく、どこで、特に、いつ起きるのかを正確に告げるのも重要である。
実際に事が起きる前に、多くの住民を丸1週間も避難させるなどと言う事態を避けるためにも。(2009年4月6日 Corriere della Sera)
---------------------------------------------------------------------
以上がラ・キリコ氏のブログからの転載です。
「この3月29日のスルモーナ地震の後、次の地震発生日時を詳しく警告していたが、地震は起きず…。その約1週間後に大地が揺れ動いてしまったわけで、現在は、大きな物議を醸している。」
 と言う記事がありますが、大きな爆発・地震であるほど、前兆の停止から爆発までの期間が長くなります。その期間は解離反応で冷却した震源付近の温度が周辺からの熱移動によって爆発・着火温度に達するまでに要する期間であって、解離量が多いほど長い時間を要するのです。
地震発生のメカニズムを理解して、適切に判断すれば、混乱は起きないと考えています。もちろんそのために、地震爆発論に視点に立って、研究を継続し、種々のデータを集積することが大切であることはもちろんです。
すくなくとも、「告訴」というような愚かなことは止めなければいけません。


  [1579] イタリヤの地震をラドン観測で予知(2)
2009-04-7(tue)
 イタリアの研究者がラドンで地震の予知に成功したニュースは毎日新聞でも報道されました。消えてしまうことがありますので、以下に転載しておきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<イタリア地震>現地学者「来る」予知 市が自粛求める
4月7日11時58分配信 毎日新聞
 【ローマ藤原章生】イタリア中部で6日未明に起きた地震について、地震発生前、現地の地震学者が「大地震が来る」と当局に上申していたことがわかった。学者は自家用車のスピーカーで住民に避難を呼びかけたが、「パニックを広げる」と市に自粛を求められていた。
 この学者は震源地のラクイラ在住の元国家原子力研究所職員、ジャンパオロ・ジュリアーニ氏。レプブリカ紙によると、同氏は地下の岩盤から放出されるラドンガスの量で地震を予測する仮説を提唱している。それに基づき、同氏は今年2月、ラクイラ市に「住民の避難」を呼びかけていた。しかし市は騒乱を引き起こすと、警告を続けるジュリアーノ氏のホームページを閉じるよう命じていた。
 一方、イタリアの災害救助隊によると、ラクイラでは1月中旬から約200回におよぶ微震が確認されている。
 ロイター通信によると、ベルルスコーニ首相は6日の会見で「地震予知、対策が不十分だったのでは」と問われ、「今は救援に集中する時で、予知について議論するのは後だ」と防戦に回った。ベルトラソ災害救助隊長も「地震の正確な予知はできない」と応じた。
 イタリア半島の中央を走るアペニン山脈周辺は地震の多発地帯だが、今回は、2735人の死者を出した80年の中南部エボリ地震(マグニチュード6.5)以来の規模。
 ◇  ◇  ◇
 気象庁によると、情報として価値のある地震予知(起こる時、場所、大きさの予測)は、地震の予測される地域で科学的な観測が十分に行われ、岩盤の伸び・縮みなどの高感度観測装置などによる常時監視体制が整っていることが欠かせない。こうした体制が整っていなければ、直前に予知できるほど科学技術は進んでいないという。【花岡洋二】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気象庁の「科学的な観測が十分に行われ、岩盤の伸び・縮みなどの高感度観測装置などによる常時監視体制が整っていなければ、直前に予知できるほど科学技術は進んでいない。」という見解は気象庁を始とする大部分の地震関係者の見解の狭さを示しているだけです。
起こる時:解離現象が止まり、前兆が停止してから1〜2週間程度で爆発が起きますが、巨大地震であるほど、長くなります。
場所:前兆現象が出現する近辺です。
大きさ:ラドンや水素などの濃度が高まるという前兆、その他電磁気現象の異常な前兆が現れるのはかなり大きな地震です。中・小規模の地震では前兆が現れません。前兆の広がり、停止からの経過時間が長いほど爆発の規模が大きくなるので、警戒を要します。

図ー3地震発生前後の地下水位の変動、コンパスの異常観測もこれに近い変化を示すはず。
上の線は、実際の水位変動で、下の線が、気圧等の影響を差し引いて得られた修正値です。
地震発生直前に少しあがるようです。

図ー4地震規模と地震発生日推定のための模式図 異常報告範囲の直径(2L)の広がりから地震規模が分かり、広がりが減少する時期が地震発生警戒日である。


どの前兆現象を採用するにしても、原理的にはニユーオフィス22に解説したようなものになるはずです。過去のデータから相関関係を見るときには、巨大地震についてだけに関心を払う必要があります。中小規模の地震をも予知できなければ正しい予知方法とは言えないというような議論は地震発生のメカニズム を考慮すれば、ナンセンスな話です。


  [1578] イタリヤの地震をラドン観測で予知
2009-04-7(tue)
イタリア・ローマの北東約100キロに位置するラクイラで6日に発生したM6.3の地震では、ラドンの観測から地震を予知した研究者がいましたが、当局によって口封じされたということです。

Nemo氏のサイトには以下のように紹介されています。

―――――――――――――――――――――――――――
? Italy muzzled scientist who foresaw quake (イタリアの当局は地震を予知した科学者の口を封じた)
記事をまとめると ―― この地震学者はラドン・ガスの濃度上昇にもとづいて地震を予知、地震発生の 1か月前にラウド・スピーカーを載せた自動車で街の住民に避難を呼びかけた。
しかし、この行為が市長の怒りを買い、不安を煽っているとして警察に通報された。この地震学者がインターネット上に掲載した地震予知情報は、当局によって強制的に削除された。
イタリアの防災当局は科学者によるリスク評価の会議を 3月 31日に L'Aquila でひらき、 L'Aquila 周辺の地震活動に警戒すべき異常はないとの結論で街の住民を安心させたばかりだった。

―― とのことです。
―――――――――――――――――――――――――――
以上がNemo氏のブロブからの引用です。元記事を読むと、National Geophysics Instituteの上層幹部は「地震があるたびに、それを予測したと主張する人々がいます。」とか、「私が知る限り、誰も正確にこの地震を予測しませんでした。地震を予測することは、可能でありません。」という紋切り型のコメントを出しています。
しかし、ラドンで地震予知ができる可能性はセミナー[248]でも紹介したように、神戸を襲った兵庫県南部地震で報告されています。地震の前にラドンの濃度が著しく上昇したことは神戸薬科大学の観測で確認された事実です。その事実を報じた放射線医学総合研究所のプレス発表から抜粋して紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――
兵庫県南部地震前に大気中ラドンの濃度変動を観測
臨界現象数理モデルへ適用し地震予知に活用も

【概要】
独立行政法人 放射線医学総合研究所(米倉義晴理事長)放射線防護研究センター環境放射線影響研究グループ自然放射線被ばく研究チームの石川徹夫主任研究員らは、(略)1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震の前に異常な上昇を実測した大気中ラドン濃度を解析し、数理モデルへの適用に成功しました。

地震発生前から定期的に大気中のラドン濃度を測定していた神戸薬科大学は、兵庫県南部地震の断層近傍にあり、六甲山麓に位置しています。同地点の地層は花崗岩からなり、ラドンが多く含まれていることが知られていました。大気中のラドン濃度の異常な上昇は、地震前に地殻にかかった応力に伴ってできた岩石中のマイクロクラック等により、ラドンが断層などの割れ目に沿って上昇し、地面からのラドンの散逸量が増加したと考えられます。

【背景】
岩石中に含まれるラジウムが放射性壊変することで発生するラドンは、地殻中に存在しています。発生したラドンの一部は地下水に溶け込んで流出し、一部は地殻の空隙にたまり、空気中に放出され大気中に広がっていきます。地殻変動や火山活動によって大気中・地下水中のラドン濃度が変動することも考えられ、ラドン濃度の変動を調べることで地震予知ができないかといった研究も行われています。
―――――――――――――――――――――――――――
以上が放射線医学総合研究所のプレス発表の抜粋です。赤色で表示されているように、地震の前には明瞭なラドン濃度の上昇があり、地震後には平常に戻っているのが分かります。
そのほか、西宮市、神岡市などの観測記録にも地震前のラドン濃度上昇が記録されています。



「地震の前に岩盤中に歪が蓄積するにともない、岩石中にあたらしい亀裂が発生するなど、地下水と岩石が接する表面積が増加・減少すると、地下水中のラドン濃度が変化すると考えられている。」とありますが、「地震爆発論」からいえば、水が熱解離するときに地殻内部の圧力膨張が起こり、それに伴って地下にある天然ガス等を押し上げるときに、地下に存在するラドンも一緒に上昇すると考えられます。地震の直接の原因である熱解離による水素も上昇してきますから、断層付近の水素濃度が高くなるという観測事実([248]参照)とも一致しています。
 どうか、ラドンや水素の観測も含めて、巨大地震の予知のために測地学的観測以外の方法にも目を向けていただきたいと思います。
イタリアのNational Geophysics Instituteの上部層のコメントは日本にも当てはまりまりますが、研究者が「小さな地震は予知が困難、巨大地震でないと前兆は現れない。」という事実を知らないために、相関関係が無いと誤解していることに原因があります。地下で起きる小さな爆発で地上にまで影響が出ることはありません。影響がでるのは大爆発・大地震だけであることを知らなければいけません。


  [1577] 水を燃料とする自動車時代頓挫か
2009-04-5(sun)
GENEPAXのホームページ閉鎖
http://www.genepax.co.jp/
“水電池”で電気自動車を走らせるという新しい概念の技術として期待していたGENEPAX社の動きですが、残念なことに社会に理解されることが困難で、商品開発の計画を再考するということでホームページも2月で閉鎖になってしまいました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
GENEPAXのホームページに来ていただき、ありがとうございます。
弊社では、温室効果ガスの排出による地球の温暖化に代表されるような自然環境の破壊を食い止めたいとの思いから、これまで環境に負荷をかけないエネルギーシステムの開発に取り組んでまいりました。弊社が提案するシステムについては、多くの方から暖かいご声援をいただきながらも、一方では様々な障害を乗り越えるには至らず、弊社の力不足を痛感しております。また、開発に要するコストも膨れ上がっており、そのような状況の中で、弊社のリソースにも限界があるため、弊社としましてはここでいったん弊社のリソースを再整理して商品開発の計画を再考させていただくこととし、本ホームページを閉鎖させていただきます。
これまで弊社に対して暖かいご声援をくださった皆様には深く感謝申し上げます。弊社も地球環境の保護のために更に努力を積み重ねてまいりますので、皆様におかれましては今後とも地球環境にやさしいエネルギーの開発をご支援くださるよう、お願いいたします。

2009年2月10日
株式会社ジェネパックス
代表取締役 高橋 廉幸
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
原理的には全く新しい技術なので期待できますが、事業としては社会全体のバックアップがないと困難なのだと思います。知識人が「疑似科学」と断定するような冷ややかな雰囲気の中では事業化は困難で、慎重に展開しないと、潰されてしまうのでしょう。


  [1576] 水を燃料とする自動車時代
2009-3-29(sun)
20年前に山本廣次先生から聞いた「水を燃料に走る自動車の時代」が直ぐそこまで来ているようです。以下の動画はタンクに水素を積んで走る燃料電池車とも、水素エネルギー開発研究所の方式とも違うGENEPAX社の研究による電気自動車です。原理的には「1569」に紹介した自家製の「水電池」と同じ仕組みで、水から発電して電気自動車を走らせるというものですが、「 水時代の到来」といった感じがします。


このシステムに関して、「知識人」は以下のように「疑似科学」として冷ややかに対応するのが一般的のようです。(http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080612_wes_q_and_a/)

「今回は上記JM-NETの際のようにこの技術に関する投資を会場ですすめられたり、あるいはそのような儲け話は一切無かったのですが、もし本当にそのような都合のいい触媒が実在し、なおかつ安定物質である「水」をこのように分解することが真に可能であるならば、まぎれもなく「世紀の大発見」なので、すぐに学会の権威を呼び集めて検証してもらってお墨付きを得た後、第3者が検証可能な形にしてから発表すべきではないでしょうか。現時点では内容にあまりにも疑問点が多すぎるため、残念ながら「疑似科学」扱いの領域を脱し切れていません。本当に地球の未来と環境のことを考えているのであれば、その「企業秘密」の触媒などの部分を明らかにして欲しいものです。それらが明らかになるまでは残念ですが「ウォーターエネルギーシステム」を信じることはできません。」

しかし、触媒の実態は知りませんが、原理的には備長炭とブリキ板と塩水だけで「水電池」が出来ることは、実体験してみれば明らかです。[1569]に紹介した自家製「水電池」は現在20日経過していますが、少し水を補給しただけで今も時計を動かしています。また、水電池はすでに日本だけでなくアメリカでも市販されていますから、「疑似科学]として疑うのは時代遅れでしょう。
[1569]に紹介したWater Fuel Cellというものは、パルス電流を利用して簡単に水を分解しようとする工夫です。
http://jnaudin.free.fr/wfc/index.htm
今年は「水エネルギーの時代」の幕開けになること、そして「地震爆発説」が社会的に認知されることを期待したいと思います。

  [1575] Mixiでの批判的な意見
2009-3-28(sat)

ソーシャル・ネットワーキング サービス『mixi』というサイトに「懐疑論者の集い-反疑似科学同盟」というコーナーがあります。そこのトピックに「宏観異常現象とか石田地震科学研究所とか」というものがあり。教科書人間的な人たちが地震爆発論を冷ややかに論議しています。誤解が進行するといけないので少し反論を書いておきましたが、現在は批判的な記事が見られません。
その中で「と学会」会長の山本弘という社会的にはある種の影響力を持つ方の誤解が展開されていますので、私の反論とともに少し紹介しておきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
山本弘
 すごいなあ。もっともらしいけど、ツッコミどころだらけ。
http://www.ailab7.com/kussetu.html
「大地震の前には、月や星が大きく低く、かつ赤く見えることがあります。天が落ちるように感じたという報告もあるくらいです。また、月が地平線上に上がって来る時に、赤く異常に大きく見える時がありますが、その理由として、低い位置にあるときには、地上の家や立ち木などと比較できるので、錯覚して大きく感じるのです、という説明があります。今でも学校ではそのように教わるのかもしれません。しかし、月が大きく見えるのは、決して目の錯覚ではありません。光の屈折現象として、説明ができるのです。」
 錯覚じゃないんだとしたら、実際に写真に撮って比較してみればすぐ分かることですが、天文学者やアマチュア天文家は誰もそんなこともやってないと思ってるんでしょうか、この人は。
http://blogs.dion.ne.jp/kazu_hiro/archives/7998820.html  第一、この人の理屈だと、月は鉛直方向にしか大きくならないはず。
http://www.ailab7.com/hotspoto.html

パトロス
http://www.ailab7.com/log/eqlog1291-1310.html
[1299]〜[1310]に解説がある。
「月は鉛直方向にしか大きくならないはず。」というのは水上から水中の球体を眺めたときの経験に影響受けた誤解である。

山本弘
 いや、これ、ぜんぜん説明になってないですよ。
 げんに同じ日に撮影された月は、地平線でも天頂近くでも同じ大きさなんだから、錯視であることは明白なんですが。

パトロス
毎日二層になっているわけじゃないから・・・。
高温多湿の下層と低温で乾燥した上層の二層構造が明確に発達しないと、この現象は起こりません。
地震爆発説では地下から高温多湿の水蒸気が上昇するからこの前兆現象が起こるとしている。ただし、地震現象の前でなくても、他の原因でこの関係になれば月は大きく見えることがあるから必ずしも地震の前兆とは言い切れないとしている。

山本弘
おお、パトロスさんってご本人でしたか。気がつきませんでした。
 ところで、月の大きさが違って見えるのは錯視であることについては、このような簡単な実験によって証明できるのですが、ご自分でやられましたか?
http://www.moonsystem.to/moonfaq/002.htm
http://www.nao.ac.jp/QA/faq/a0202.html
 こういう写真を撮った人もいます。
http://citorin.hp.infoseek.co.jp/kyouzai02/tiheituki.htm
http://blogs.dion.ne.jp/kazu_hiro/archives/7998820.html
http://www5f.biglobe.ne.jp/~hotaka/ksaito/sub6122.htm

パトロス
前述したように、いつでも二層になっているわけじゃないですから、このような実験で、巨大地震の前に現れる「月が地平線で大きく見える」という現象を確認することはできないですね。
高温多湿の下層と、低温で乾燥した上層の二層構造が明確に発達しないと、この現象は起こらないと思います。

神 雅紀
>地下から高温多湿の水蒸気が上昇するからこの前兆現象が起こるとしている。
>のであれば、これまで湯気が出ていなかった場所に湯気がわき出したり、靄や霧と言った気象現象が頻発に目撃されるようになる方が発生する確率が高いのではないでしょうか?
と言う点に関してコメントをいただけませんでしょうか?
出来ましたら観測例なども提示していただけると大変うれしいです。

パトロス
地震前兆は小さな地震、つまり小規模爆発では現れません。巨大地震でないと出現しませんから、月の異常などの宏観異常と小または中規模程度の地震との高い相関関係は得られないと思います。つまり、小、中規模の地震予知に適用するのは難しいと考えています。
しかし、巨大地震ならば地上に噴出する可能性がありますので、知識として持っていたほうが良いと考えています。日本でも「地気」と言う表現で大地震の前に現れたという言い伝えがありますが、以下は文書に残っている外国の巨大地震の3例です。そのほかにも探せばまだあると思います。
・唐山地震
楊松亭(ガス公社基礎建設部の事務員)
地震が起こる前はとても蒸し暑いかった。熱い空気が霧のように漂っている感じでした。
セミナー[463] http://www.ailab7.com/log/eqlog461-470.html
・ニューマドリッド地震
セミナー[199] http://www.ailab7.com/log/eqlog191-200.html
・回答:
>1:地中で爆発が起きていたのであれば自噴した石油やガスは高音であったと考えられるので、地上に出た所で燃えたのではないか?
燃えたところもあるようです。http://www.ailab7.com/lib_001.html#lcn001参照 砂漠に出来た断層の周囲で枯れ草が燃えていたと言う報告もあります。
>2:地磁気の異常が長期間にわたった理由は何が考えられるのか?
地中で解離した水素と酸素が原子状態で存在し、これが岩盤の亀裂、マグマの火道などを高速で移動するためにMHD発電が起こり、電流が発生していることが原因であろうと推定しています。
http://www.ailab7.com/tidennryuu.html
>3:水素ガスは無臭です。硫黄臭がした理由はなんでしょうか?
成分は不明ですが、天然ガスが一緒に噴出しているものと考えています。
>4:井戸の水位以上、自噴は爆発だけでは説明がつきますか?
爆発(地震現象)というよりも、その前の、解離ガス発生時に圧力が増大して自噴していると考えています。2H2O+熱→2H2+O2 の段階ですが、酸素と水素が一部原子状態になっていて、イオン化していると考えています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上抜粋して紹介しました。
2chでもMixiでもそうですが、教科書で学んだ知識以外の異説を認めようとしない人が多くいます。よく読んで相手の言い分を理解しようと努めれば、合理的な仮説であることが理解できるのに、「まず定説ありき」「教科書を読め」「異説を聞く耳は持たない」という態度で批判ばかりするのには困ったものがあります。しかし、そのサイトにも、
「トンデモ − インチキ科学等を摘発・啓蒙はずだったのに、逆に通説=既存に一般に流布している論への異説を封じる為の集団リンチ・体制翼賛的な傾向が見えますね。」

と苦言を呈する良識ある意見もあったことが救いでしょうか。


  [1574] 藤原直哉氏のウェブ放送より
2009-3-25(wed)
藤原直哉氏がウェブ放送で地震爆発論を好意的に取り上げていた、という情報がT氏(ANS広報局長)から届きました。少し長いので抜粋版を作ってみました。
http://www.ailab7.com/hujiwaranaoya3.wma
この中で、水は工夫すれば簡単に分解できるという話をされていますが、これが「エネルギー保存則」を真理と受け止めている教科書人間的な方々には納得できないようで、2chや懐疑主義者のサイトなどでは「トンデモ理論」として一笑に付されてしまいます。

実はこの話は、私が20年前に「地震爆発論」を考えたきっかけにも関係しています。当時豊田高専でコンクリートの研究をされていた山本廣次先生が水の性質についても研究されていて、熱や磁力を掛けて工夫をすれば水は簡単に分解できるから、将来自動車は水を燃料にして走るようになるだろうと述べておられました。水がマグマの熱によって解離するのなら、その解離したガスが爆発することが地震の原因ではないかと考えたのが地震爆発論のきっかけでした。

以来20年経過しましたが、ようやく山本廣次先生の予想どうり「水エネルギーの時代」になろうとしているような予感がしています。藤原氏も言われるように、今年がその転機になって、地震爆発説にも注目が集まって欲しいと願っています。
 また、藤原氏は微生物の働きを話題にされていますが、これはトーマス・ゴールド博士の「未知なる地底高熱生物圏」という書物の内容を踏まえておられるのかもしれません。
石油・石炭が化石燃料であるというのは間違いで、”地球内部で自然に形成されている資源である”というのがゴールド博士の石油生成説です。博士はラジオ「フリー・アメリカ」に出演し、司会者と次のような対話を行っています。

ゴールド博士:天文学者は炭化水素、即ち石油、ガス、石炭ですが、これらが他の幾つもの天体の内部で実際に生成されているという事について発見する事ができました。これらは宇宙ではよくある物質です。我々の太陽系を形成しているようなガス雲の中には、大量の炭化水素がある事を測定できます。それならば、同じ惑星の一つである、我々の小さな地球に関しても、他の天体が持っているような石油やガスが、地球が形成された時から既に内部に存在していると考えるのは合理的なことです。

司会:その質問は非常に理解しやすいです。結局、木星には恐竜やシダがあって、そのお蔭で石油やガスがある訳ではないですからね。

博士:仰るとおりです。しかしながら、幾つかの理由から私の説は信じられていません。石油が全て化石からできているという古い理論は非常に根強いもので、天文学者が他の天体に関するほぼ完璧な証拠を提示しても、それらはただ無視されます。特に、これらを「化石燃料」と呼称する石油地質学者にです。一度誰かが名前を付けたら、みんな信じ込んでしまったと言う訳です。
他の多くの国では、私の主張が採用されています。ロシアでは非常に大規模にやられていますし、中国でも同様です。ただ、西ヨーロッパ諸国とアメリカだけが、泥中にずっぽりと嵌っていて、他のものを見ようとしない様です。


以上が対談の抜粋です。アメリカ本国の学会からは無視されていますが、博士の指導で石油採掘に成功しているのがロシアや中国のようです。西欧社会には石油が化石燃料であって埋蔵量に限界があり、将来枯渇する危機があるとして危機感を煽る何らかの勢力があるのでしょうか。とすれば、その勢力は無尽蔵の水エネルギーを利用しようとする研究を妨害する工作を流すこともあるかもしれません。教科書の内容を絶対視する教科書人間のような方々はそのお先棒を担がされる危険性を認識しなければいけないのかもしれません。


  [1573] 海底火山の爆発映像
2009-03-24(tue)
海底火山の爆発映像を集めてみました。船舶が消えてしまう映像は兵器の実験かもしれません。トンガの海底火山で海面に噴出した軽石が漂っている映像は、アトランティスが沈んだときの言い伝えである、ヘラクレスの柱から外への航行が出来なくなったというプラトンのクリティアスのある記述を思い出させます。最後にその一節を載せておきます。


では、何よりもまず、〈ヘラクレスの柱〉の彼方に住む人々と、こちらに住むすべての人々とのあいだに戦が起こったと語り伝えられてから、まる九千年もの歳月がたっているということをお忘れなく。この戦の様子を、これからくわしくお話ししよう。   話によりますと、この国(アテナイ)は、一方の軍勢の指揮をとり、戦場で立派に戦ったのであった。これに対して相手方の軍勢は、アトランティス島の王たちの配下にあったという。このアトランティスは、すでにお話ししたように、いまは、地震のために海底に没し、泥土と化して、これが、この国から彼方の海へと船出する人々の航路をさまたげ、前進をはばむ障害となっているけれども、かつてはリビュアやアシアよりも大きな島だった。( プラトン著「クリティアス」より) 

注:ヘラクレスの柱とは地中海の出口、ジブラルタル海峡のことと考えられている。

  [1572] プレート論は完全に破綻している(再)
2009-03-23 (Mon)
「宏観亭見聞録」「海洋底で見つかった古い化石」という記事のなかで、ドロップストーンの話が紹介されています。ドロップストーンとは、海洋底で発見される古期岩石のことで、プレート論者は氷山が運んだとか、帆船時代のバラストが捨てられたものであるとか解釈しているものです。
 プレートテクトニクス理論が完全に破綻していることはすでにこのセミナー[1386]で述べていますが、プレート論信奉者である著者(リチャード・フォーティ氏)およびブログ著者の見解が正しいと思われる読者があると困りますので、抜粋を紹介して反論を述べ、再度海洋底拡大説ならびにプレートテクトニクス理論の破綻の理由を展開しておきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『地球 46 億年全史』ですが、(以下略)・・・非常に興味深い内容です。それらの叙述の中から、実際に著者が経験したことについての記述を一つ紹介します:

二〇年以上昔のことになるが、私はロンドンの大英自然史博物館に勤務したばかりの頃、大西洋の深海から浚渫されたと思われる標本を受けとった。それは黒い頁岩で、そこには筆石と呼ばれる古代生物の化石が認められた。それらはただちにオルドビス紀のものと鑑定されたのだが、もしその石が海洋地殻から回収されたのだとすれば、プレートテクトニクス理論にとって大きな問題となりかねない(その地殻はすべてオルドビス紀よりずっと後のもののはずなのだ)。しかし顕微鏡で調べてみると、岩片には、深海にいるはずのない海洋生物の殻の残骸が認められた。つまり、その石塊はおそらく深海底に落っこちて、引き上げられるのをじっと待っていたのだろう。さらに調査を進めると、その頁岩の出身地はニューヨーク州のある特定の区域らしいとわかってきた。どうやらバラストだったらしい。船を安定させるために船倉に積み込む石がバラストで、帆船の時代にはごく普通に行われていた。理由はわからないが、そのバラストは、よそ者を載せたまま海底にばらまかれたのだ。そこにはほかにもよそからやってきた岩石があった。はるか北方からは、流氷によって花崗岩の丸石が運ばれてきた。もとはといえば大陸の斜面の端から海中に落ちた塊だ。

 プレートテクトニクスの提示する地球観を受け入れられない守旧派の人たちは、プレートテクトニクスに矛盾する可能性のあるサンプルが見つかった場合、そのことを鬼の首でも取ったかのように喧伝します。しかし、その後どういう結論が出されたのかについては沈黙していることがほとんどですし、ときには「定説派」の学者たちが事実を無視したり、隠蔽したりしているかのようなことまで、さしたる証拠もなしに言いつのります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上がその抜粋記事です。[687]に紹介した藤田先生は大西洋の海底で30億年前の岩石が見つかっていると述べて、次のようにコメントしています。([687]参照)

 大西洋の大海嶺からは、三十億年前の岩石が見つかっている。また、同じ大西洋の大海嶺から中生代の白亜紀(約一億年前)の蛇紋岩がみつかっている。また、太平洋の海嶺からも、始新世(約六干万年前)の岩石や、中新世(約二千万年前)の岩石も発見されている。このような岩石の存在について、大洋拡大説を信じている人たちは、古い時代の岩石が、何かの原因でとり残されたものと解釈している。これでは一度ならず、二度、三度と、偶然的なことが生じると、考えなくてはならない。それはもはや偶然とはいえない。大海嶺で大洋底は拡大していないのだといわれても仕方ないことである。

プレート原理主義者から見れば、藤田先生などは「さしたる証拠もなしに言いつのる」守旧派の筆頭ということになっているのでしょう。
亡くなられた藤田先生とは1988年発行の「自然災害科学事典」(築地書館)の編集会議でご一緒に仕事をしたことがあり、その後手紙の交換などをしたことがありますが、篤実な研究者という印象があって、偏狭な旧主派という認識は私にはありません。
 藤田先生の見解が正しかったことが、その後ロシアの研究者たちの精力的な海底調査によって明らかになってきているのがこのセミナー[1386]に紹介した「大洋底でみつかる大陸性岩石と古期岩石」という論文の内容です。
 ロシアの調査船は海洋底のドロップストーンを単に拾い上げるという作業ではなく、ボーリングも行って海洋底の調査を行い、古期岩石・大陸性岩石が海洋底に存在することを確認しています。ドレッジ調査ですが、エルターニン断裂帯には下図のようにヒマラヤに見られるような地層を見出しています。海嶺の近くなのに、崖の頂上部に白亜紀の礁性石灰岩が存在します。

崖に見られる地層もプレート論で言うように一体となって移動しているのではないことが明らかです。そのほかにも、大西洋やインド洋など世界の海洋底から「海洋低拡大説」の破綻している確実な証拠を見出しているのです。
 何時までもプレートテクトニクスという「古井戸」の中から出ようとせず、外部の世界を見ようとしない態度では日本の地球科学研究は時代遅れの研究となっていくでしょう。
 私はこのロシアの研究を紹介しているNCGTというグループが支持しているサージテクトニクスという学説が全て正しいとは思っていませんが、少なくとも、プレートテクトニクスから脱皮しようという姿勢には賛成しています。

 上の論文はNCGTのNo.43に収録されていて、だれでも閲覧できますので是非読んでみて欲しいと思います。

地球内部に関する従来モデルに疑問符、という[1337]および[1380]の記事も参考にして、新しい地球科学研究の動向に関心を向けていただきたいと思います。

なお、「自然災害科学事典」を分担執筆したのは、海岸災害科学の研究者としてであって、地震学の研究者としてではありません。「地震爆発論」はその後考えついたもので、公表したのは1989年5月の大学退官記念論文が最初であります。以来仮説の内容を検討し少しずつ修正しておりますので、初期のセミナーの内容とは変化している部分があります。



  [1571] トンガ海域で海底火山の爆発と地震が同時発生
2009-03-20 (Fri)
数日前からトンガ周辺で海底火山の爆発が続き、大きな地震も起きています。火山噴火と地震とは同じ現象だと思います。以下は毎日新聞の報道です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
地震:トンガ沖でM7.9 太平洋諸国に一時津波警報
 米地質調査所(USGS)によると、南太平洋のトンガ沖で同国時間の20日午前7時17分(日本時間同3時17分)、マグニチュード(M)7.9の強い地震があった。米太平洋津波警報センター(ハワイ)はトンガやフィジーなど周辺諸国に津波警報を出したが、被害は伝えられておらず、約1時間半後に取り消した。
 震源地はトンガの首都ヌクアロファ南南東210キロで、震源の深さは10キロ。日本の気象庁はM7.7としている。(共同)
毎日新聞 2009年3月20日 6時55分
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以下の動画は18日の爆発で調査船が現場付近で目撃したものです。三日前から噴火が続き市街には降灰があり、調査に向かった研究者らが目撃したと言うことです。海底火山の爆発は本島から10km南ということですから、地震の場所とは少し離れているようです。


産経ニュースでは海底火山の爆発は60km沖合いとなっています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
トンガで海底火山が爆発
2009.3.19 19:35
 南太平洋の島国トンガの首都ヌクアロファ沖約60キロの海域で、海底火山が爆発した。
 AP通信によると、ヌクアロファで数回の地震が観測されたあと、16日朝、蒸気や灰が噴き出し、高さ数千メートルの上空に舞い上がった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大紀元時報の写真報道では噴煙が本島からも観察されるようです。
また、本日(20日)発生した地震は、 [1566]で紹介した2006年5月の地震と規模が同じで、発生場所も同じトンガ海溝付近であります。トンガ海溝では1986、1995、2006年にも大きな地震がありましたが、津波の被害はありませんでした。プレート論での解説では太平洋プレートの潜り込むスラブ内での地震は伸張型だから大きな津波は起こらないという解釈になるようですが、爆発の方向によっては大きな津波になることもありますので、地震爆発論の立場からは安心は禁物であります。


 ただし、[1566]で述べたように、今後の調査・研究でサージチャンネルの配列形状に特徴があり、解離ガスの爆発方向に特別の傾向性があるというようなことが判明すればまた別の解釈が生まれます。
 今回の地震の震源は10kmと極浅く、深発地震面と地表とが交差するような場所であります。

海底火山の爆発現象は震源が最も浅い地震と見たほうが妥当です。現在の地震学では火山性地震と普通の地震とは原因が別の物理現象として捉えられていますが、フンボルトが現地観察をもとにして下した、浅い爆発が火山、深い爆発が地震という素直な自然観のほうが合理的な解釈であると私は思っています。トンガで起きている今回の現象はそのことを教えているように思われます。

なお、首都ヌクアロファのある本島(トンガタプ)の北方海域に当る南緯15〜20度の範囲の深発地震面はニューオフィス64に載せてあります。どちらの深発地震面にも二重構造のようなものは見られません。日本付近のしかも東北地方にだけみられる二重面を特別扱いしても意味はなくて、マントル対流が分流している姿であると思います。

追記:
2007年4月に起きたソロモン諸島近海地震では津波による大きな被害が発生しております。
http://www.news24.jp/80882.html





- SunBoard -