新・地震学セミナーからの学び | |||||||||||||||
40 続・ほころび始めたプレートテクトニクス | |||||||||||||||
卯田先生の「ほころび始めたプいレートテクトニクス」からの学びを続けます。
のみ込まれ続けてもなくならない奇妙なプレート 地球の表層部は、ユーラシアプレート・南アメリカプレート・北アメリカプレート・アフリカプレート・オーストラリアプレート・太平洋プレートという大きなプレートと、ココスプレート・ナスカプレート・フィリピン海プレート・カリブプレートなどの小さなプレートとがジグソーパズルのように組み合わさって構成されている。 |
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このことについて満足のいく説明はいまだにないにもかかわらず、フィリピン海プレートはさまざまな役割を負わされている。 |
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さしたる証拠もなく定説になった北アメリカプレート説 1983年、秋田県沖でマグニチュード7.7の「日本海中部地震」が発生した。これを契機に、北アメリカプレートとアジアプレートの境界はこの地震の震源を通るという説が提出された。従来、2つのプレートの境界は北海道中部とサハリンを結ぶ線上にある(下図にある破線)とされていたが、新説ではそれよりも西側になる。したがって北海道や東北地方は、アジアプレートではなく北アメリカプレートの一部ということになる(北アメリカプレート説)。 これは、日本海中部地震ほどの大規模な地震はプレート境界でないと発生しないはずだという単純な理由による。だが、たしかに巨大地震はプレート境界で数多く発生するものの、それ以外の場所で起こらないわけではない。しかしながら、ほかに格別な証拠もないのに何人かの研究者がこれに同調すると、この北アメリカプレート説は既成事実となった。 |
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さらに、1995年5月に北サハリンで大地震が発生すると、2つのプレート境界はこの地震の震源をも通るという見解がいち早く提出された。だが、サハリン地震を引き起こした断層は右横ずれタイプである。ということは、もしここにプレート境界が存在するなら、それは並進境界ということになる。 すなわち、北アメリカプレート説をとると、2つのプレートは収斂(衝突)しているのか、並進(横ずれ)しているのかわからないということになる。あるいは、プレートが2つだけでなくいくつかが複含していると考えるのだろうか(ただしサハリン地震はプレート境界で起こったのではなく、プレート内の変形によって発生したという説もある)。 |
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古い地殻の下ではプレートテクトニクスは成立していない 前述したように、リソスフェアは上部マントル低速度層(低速度層)よりも上の部分とされている。ところが、低速度層は地球上のすべての場所で観測されるわけではない。とくに「クラトン」と呼ばれる古い地殻の下では、その存在がほとんど認められない。プレートについて解説した図には必ずプレートの下限が示されているが、これはあくまでも1つのモデル、つまり実際の状態を想像して考え出した模型であって観測事実ではない。しかし一般の読者は、研究者がこのように説明すると一種のマインド・コントロールを受け、実際にプレートの下限が見分けられるかのように思ってしまう。 以上が卯田先生の論文からの学び(続)です。 フィリピン海プレートに関しては、PISCO掲示板で「フィリピンプレートは海嶺から遠く離れていますが、どこから生まれてくるのでしょうか?」という投稿者の質問に、ある方が「フィリピン海プレートを生みだした海嶺はもう死に絶えて活動していません。」と答えています。良く理解できない内容ですが定説に基づく専門家からの回答だとそうなるのでしょうから、参考のために全文を掲示しておきますが、誕生する場所である海嶺が死に絶えているのに、先頭だけは活発に活動してしばしば地震を起こすということがあるのでしょうか。これではまるで竜頭蛇尾のようなプレートですが卯田先生が述べておられる「非科学的で・・・・な寓話」になってしまっているのではないでしょうか。 「結論から書きますと,フィリピン海プレートを生みだした海嶺はもう死に絶えて活動していません。 ジェフリースとグーテンベルグが地震波の観測データから作ったモデルというのは、セミナー[717]に紹介したマントル固体論を前提とした、インバージョン法によってなされた業績です。 PREMとはPreliminary Reference Earth Modelの略で「参考のため前もって用意された地球モデル」とでも言うようなもので、多くの研究者がこのモデルを無前提に受け入れて研究されているのではないでしょうか。前提を吟味することなく、です。 |
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PREMとは、「Preliminary Reference Earth Model」の略。最近まで、世界的な標準モデルとされてきたジェフリースらの地球構造モデルは、地震波のうち実体波だけを利用して作ったものだが、PREMでは実体波だけでなく、表面波も考慮に入れている。ジェフリースらのモデルとPREMとの相違は、深さ670キロメートル付近の不連続面の有無、および内核のS波速度が表示されているかどうかである。 | |||||||||||||||