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661
2003/11/10(Mon) 21:25
パトロス
地震学説も脱皮が必要
石本博士が主張される「先ず多くの事実を摘出する事より出発し、次に其等を系統付くべき仮説の必要に迫られるのである。」の方針に従えば地震の研究は地震発生の前後に生じる事実を集めなければなりません。そしてそれらを説明できる仮説を用意する必要があります。地震発生の前後に生じる事実は昔から変わることなく語り継がれており、最近の地震でも観測されることが多いのです。思いつくままに列挙してみますと、

@蒸し暑くなる。A山鳴りや快音が聞こえる。B発光現象がある。C地下水位が変動する。D井戸水が濁ったり、涸れたりする。E空が赤くなる。F海辺では急に潮が引く。Gガスの噴出があり、異臭がする。H隆起・陥没が起こる。I小動物が異様な行動をとる。J冬眠中の動物が目を覚まして出てくる。Kニオス湖地震のように炭酸ガスが噴出する事があり、家畜が死ぬ。L火の玉や火の柱が現れることがある。M月や太陽が赤く見え、星や天空が低く見える。N大地震だと断層が出現する。しかも断層は地震発生の後からズルズルと滑るように発生した。(http://www.ailab7.com/lib_006.html#lcn006 参照)などなど、まだまだたくさんあるかと思います。

さて、こうした地震時に見られる事実は、定説となっている弾性反発説で説明できるものでしょうか。断層が動いて地震になるという仮説では、断層が地震後にできたというNの事実とは明らかに矛盾します。空が赤くなったり、星が低く見える、火の柱が立つ、なども説明することが出来ません。

一方、解離した水素と酸素の混合ガスが爆発することが地震であるという石田理論では、@からNまでの事実を説明することが出来るのです。観測された事実をより多く説明できる仮説を用意するべきだ、というのが石本博士の主張です。もうそろそろ新しい地震学を迎えても良いのではないでしょうか。

地球内部は誰も直接観測することができないのですから、より多くの事実を説明できる仮説へと学説も常に脱皮していかないといけないのではないでしょうか。

662
2003/11/12(Wed) 21:02
パトロス
紀伊半島沖深発地震の謎
本日 17時27分頃、紀伊半島沖でM6.5(深さ390km)の地震がありました。その震度分布を見ると、紀伊半島沖が震源であるにもかかわらず、紀伊半島は無感であり、関東が大きな揺れになりました。いくつかの地震サイトでは不思議なことだというコメントが見られます。地震は震源付近が最も大きく揺れるという地震の常識を覆すような、深発地震の不思議さですが、石田理論ではニューオフィス32

http://www.ailab7.com/nihonkaim7.1.html
にも紹介しましたし、セミナーでも何回も取り上げましたが、地殻構造を考慮すれば解決できる謎であります。これを見れば、関東圏はよく揺れるというセミナー[651] http://www.ailab7.com/log/eqlog651-660.html

での議論が理解されると思います。関東圏は実に遠くの地震にも感応してしまうのです。地殻を構成する緻密な地殻第二層が地表の近くに存在するから、地震爆発の衝撃を減衰せずに伝えることが原因です。断層が動いて地震になるという定説地震学では説明のつかない現象だと思います。

663
2003/11/13(Thu) 21:57
パトロス
石本博士の新聞掲載論文
昭和4年の大阪朝日新聞に掲載された石本巳四雄博士の地震原因説を紹介しておきます。http://www.ailab7.com/ishimoto.html
その中で、すでに「気圧の勾配が地震発生に影響する事実」などについても言及されていますし、地震現象を忠実に把握されようとしていることが印象的です。また、傾斜形による観測では、地表の傾斜が地震前に大きくて、地震と同時に静止することをもって、断層が直接の地震の原因とは考え難いと、次のように述べています。

「斯様に地震の根源に岩漿の作用を考へなければならぬ例証の一は傾斜計の観測によって地表傾斜の変化が地震発生前に甚だしく、地震と同時に静止することである。地震が断層成生によって発生するならば、地傾斜変化は地震の時或は地震後に烈しい筈であるのに全く逆であるのは岩漿の流動に依って地塊の傾動が起こり、流動の停止と同時に傾動も静止することを示すものと信ずる。又志田博士の唱へた深層地震の存在は和達理學士の四百粁の深さを持つ震源の存在で益々確実性を具へたが、此の深さでは地殻構造上の破壊は考へられないからやはり岩漿中に生じた変化を地震の原因と考へなければならぬ。」

もう一度、博士の地震現象を忠実に説明しようとする態度を学ぶ必要があると思います。

664
2003/11/15(Sat) 00:02
パトロス
深発地震の報道に疑問
今回の紀州沖M6.5深発地震についての報道や、サイト上の議論を見ていて、納得しかねるものがあります。まず気象庁の説明は読売新聞報道によれば以下のようなものでした。

「震源に近い近畿よりも東日本で大きな揺れを観測したことについて、気象庁は「震源地は地中深く潜り込んだ太平洋プレートの内部で、地震波がプレート沿いに伝わったため」と説明した。震源の真上は、マントルと呼ばれる比較的柔らかい部分で覆われて地震波が伝わりにくかったため、近畿では揺れが小さく、プレートが浅い関東などで強い地震となったという。」

というものです。今回の地震は潜り込んだ太平洋プレートの内部に震源があるということですが、和達・ベニオフゾーンといわれる深発地震面は、潜り込んだプレートの上面付近に相当するという定説に沿った解説であります。しかし、390kmもの深部にまでプレートが硬いままで潜り込めるものでしょうか。定説では、このプレートは深度700km近辺まで延びていて、大陸の下部にまで達しているという解釈です。

http://www.pisco.ous.ac.jp/bbs/bbs_answer/030213/030213.html
地震学会の機関紙で説明されている異常震域の記事でも、
「ウラジオストク付近の深い地震(1999年4月8日、深さ598km、M=7.2)では、震央距離が数百km以上も離れているにもかかわらず、日本列島の太平洋側で震度1〜2の揺れが報告されています。」

http://wwwsoc.nii.ac.jp/ssj/naifuru/vol19/v19p6.html
という記述が見られます。プレートが日本海溝から潜り込みをスタートして、ウラジオストクの下部に達するのには、年間7mmの速度として、約一億年かかります(7cmならば一千万年)。一億年、一千万年もの長期間剛体としての性質を失わないでいることができるのでしょうか。しかもかなりの高温状態下で・・です。さらに理解できないことは、このプレートの上部は「マントルと呼ばれる比較的柔らかい部分で覆われ」ていて、地震波が伝わり難かったという解説です。定説ではマントルは固体とされていますが、やわらかい固体の内部に硬い固体が侵入することが本当に可能でしょうか。

何度も述べていますが、沈みこんでいくというのは流動体の性質であって、固体には起こりえないのです。現在の地震学は「情緒的地震学」「思いつき地震学」のように思えて仕方がありません。石本博士は、「かかる主張は岩石の本性を認めず、自然を曲視する行為だ」(セミナー[659] http://www.ailab7.com/log/eqlog651-660.html参照)と述べておられます。

地殻第二層の橄欖岩より下のいマントルは熔融していると思います。地殻は数十キロ程度の厚みであり、その下は熔融マントルであるというのが石田理論の主張するところです。

地球内部を精査できるというトモグラフィーというコンピューター解析は、インバージョン法というマントルが固体であるという前提のもとで計算が行われます。熔融していれば計算結果は全く意味を持ちません。深発地震とは、この熔融マントル内部で起こる解離ガスの爆発現象であると私は思っています。

665
2003/11/15(Sat) 23:23
パトロス
地震学を専攻された方のHPより
T氏情報によって、地震学を専攻されたある方のHPを読ませてもらいました。地震学で理学博士の学位まで取られたようですので、記述内容は地震学関連の内情を正確に伝える記述だと思います。

http://www7.ocn.ne.jp/~seism/pre05.html
論旨は部外者には「そんなバカな!」と言いたくなるようなやりきれない話ですが、地震予知関係の予算執行は官僚主導であって、東海地震の予知ができると思っている研究者は皆無かもしれない、ということです。

「つまり面白いことに,現在のところ東海地震の予知は,予知技術ではなく(大規模地震対策特別措置法という)法律(政治的な都合)に基づいて計画されているのである。」
「(東海地震は予知可能であるというのは)あくまで行政書類向けのもので,・・・予算執行書類に上級官僚の決裁印が押されさえすれば,目的は達せられるのである(多くの場合,上級官僚が専門分野に精通していることはない).つまり,学術的に正しいかどうかは問題ではなく,文章全体の辻褄が合っていればよい・・・。したがって,この種の文章は,よく辻褄の合った名文となり,方々で引用されることも多いが,内容の科学的信頼性は別モノと考えた方がよい.」

などの文章が目に付きました。地震研究予算が利権という怪物に動かされて、税金の無駄遣いとなっています。
もう一つ目に付いたのは、東海地震の予知が可能であると宣伝される地殻変動の実例に関する話です。

「東海地震の予知が可能であるとされる最大の根拠は,1944年東南海地震直前に見られた地殻変動にある.これは,光学式測量機器で検出可能なほどの変化が日単位で進行した顕著な地殻変動で,静岡県掛川市でおこなわれていた測量にかかったものである.地震直前の地殻変動というものは,他地域の地震でもいくつか記録・史料が残されており,比較的よく見られる前兆である.それが東海地域でもあったのだから,次回の東海地震でも同様のものが検出されるはずであり,最新の観測技術をもってすれば,それを見逃すことはあるまいということだ.」

それも幻想であるということが、私はその存在を信じていないプレスリップと関連付けて説明してあります。でも、これがおかしな議論であることは既に昭和4年の大阪朝日新聞で石本博士が述べておられることです。セミナー[663]にある博士の記述を解説すると「地震の前に地盤の高低などの変動が顕著であるという事実は、断層が原因で地震になるという話に矛盾があることになる。地震が起きるまえに地盤の変化があるのは、岩漿(マグマ)内部の圧力が地盤を持ち上げているからである。地震はその後に発生しているのだから、断層が動いて地震になると言うのは原因と結果を取り違えている。断層が動く前に地盤が変化することはありえない。」と言うことになるでしょう。

東海地震の予知が可能であると期待されている唯一の事象の解釈がこのようにおかしなものであるわけですから、HP作成者のいわれるごとく公的機関による予知は悲観的にならざるを得ません。

ANSでは今新しい観測センサー(Dセンサー)を有志が開発中ですが、記録簿http://www.ailab7.com/Cgi-bin/schedule2/schedule.cgi?mode=viewlistの11月12日の欄を見ると、14日の茨城沖地震にこのセンサーが反応していた可能性がうかがえます。ANSの主旨は大地震だけを予知しようという点にありますが、記録簿を見ると、中規模地震にもコンパスその他の簡易センサーが十分反応していることが分かります。ANSは公的機関ではありません、民間のボランティアグループの活動です。

666
2003/11/16(Sun) 22:38
ノリマン
東海地震の前兆把握
パトロス様にお尋ねします。地震の専門家のHPを読ませていただきました。プレスリップに関しては「今までの地震予知研究において,プレスリップ段階に留意し区別して扱ったことなどない.そして,確実に地震予知に有効な前兆現象が1つも見つかっていない.・・・・つまり,プレスリップ段階で現れる前兆現象も,かなり調査されているはずだが,それらで完全には予知ができないことが,既に認められてしまっているわけだ.」とそのHPでは決め付けられてしまっています。しかし、プレスリップ理論は間違っているにしても、「東海地震の予知が可能であるとされる最大の根拠は,1944年東南海地震直前に見られた地殻変動にある。」ということが正しければ、GPSによる地盤の昇降観測で東海地震の前兆把握が出来る可能性があると解釈してよいということですね。
667
2003/11/16(Sun) 23:37
パトロス
Re:東海地震の前兆把握
ノリマン様 確かに予知できる可能性はあると思います。しかし「地震の前に地盤の高低などの変動が顕著であるという事実は」はどの大地震にも見られるわけではありません。地盤の上昇は石田理論では解離ガスの発生によるガス圧の増加によって地盤が持ち上げられる現象と解釈しますが、地盤が頑丈で震源が深ければ上昇現象は起こらないでしょう。また地盤の上昇があって、しかもそれをGPS観測で運良く見つけられたとしても、地震発生(爆発)までの時間的余裕はあまりないでしょう。警報が行き届き、避難行動を取る前に地震の発生を見ることになると思います。

一方、ANSのコンパス観測や磁石落下観測などの原理は、地盤の変化が起こる前に見られる地電流発生(岩盤内にマイクロクラックが発生する時点で見られると推定されます)と同時に現れる局所的な磁場変化によって起こる異常を検知するものです。これならば、地震発生の数日〜数十日前から観測されるもので、異常が終了し(解離反応が終了することを意味しますが)解離ガスの着火温度にまで回復する時間を待って地震(爆発)が起こることになります。ニューオフィス22 http://www.ailab7.com/kenti.html

の図―4にある地震発生警戒日と示した期間内を警戒すればよいことになります。大地震になるほど、異常報告発生の観測範囲は広くなるはずですし、異常発生開始日と地震発生日との間隔も長くなり、避難行動の時間的余裕も取れるものと思います。

668
2003/11/19(Wed) 00:09
パトロス
地震時現象を説明できる仮説の採用を
地震関係のサイトはよく荒れるようです。地震雲の存在を否定したり、耳鳴り現象などを非科学的であるとして否定する人があることが大きな原因ですが、根本的には地震発生のメカニズムをうまく説明できる新しい仮説を受け入れようとしないということではないでしょうか。石本博士は昭和の始めの時期に、地震研究は地震に伴う多くの事実を摘出することが大切で、それを説明できる仮説を見つけ出すことが重要なことだと次のように述べておられます。

「地震の研究に対しても、先ず多くの事実を摘出する事より出発し、次に其等を系統付くべき仮説の必要に迫られるのである。但し今日地震原因を論ずる場合採用する仮説の中には、最早輓近(最近)の事実と離背したものの少なくない事を痛感する次第である。」 (セミナー[660]参照)

http://www.ailab7.com/log/eqlog651-660.html
今重要なことは、地震雲の発生、耳鳴り現象、電磁波異常現象、夕焼け朝焼け現象などの地震時に付随する現象を説明できる仮説を見つけ出すことではないのでしょうか。定説という弾性反発理論では、断層が動く前には前述したような前兆現象は何も出ないことになります。そのような定説をいつまでも信奉し、それから外れた事項を扱う人たちを非科学的と言う姿勢は、中世に地動説を誹謗した社会現象を思い起こさせます。地震雲や耳鳴り現象は電磁波の放射によるものでしょう、夕焼け朝焼けは、熱水の上昇による水蒸気の噴出によるものでしょう。自然は様々の形で警告を発していますが、定説に固執する姿勢、教科書を金科玉条のように信奉する姿勢では見逃してしまうことでしょう。

しかしまた、小さな地震にも付随する前兆現象に振り回されるのも愚かしい姿勢だと思います。ゴホンと咳をする度に肺がんになることを心配するようなものでしょうか。
ANSでは、巷間語られている前兆現象を否定するものではありません、ただ誰でもが観測できる、しかも数値化できる項目として、コンパス異常、電磁波計測などを取り上げているだけです。地震関係サイトが荒れることは悲しいことだと思います。

669
2003/11/22(Sat) 00:15
パトロス
坂柳教授による萩原先生へのお願い
ニューオフィス10 http://www.ailab7.com/sakayanagi.html
にも一部を紹介しましたが、現在の地震予知のあり方を舌鋒鋭く批判された物理学者の坂柳義巳筑波大学名誉教授は、地震学の泰斗萩原尊禮先生に次のようなお願いがあると、その著書「地震は予知できる」の終わりに書いておられます。

内から地震をみる、萩原先生へのお願い
本書『地震予知は出来る』では地震予知の現状及びその指導的学者について厳しく批判をした。しかし、考えてみるとその主だった学者は萩原先生の弟子か孫弟子、又はひこ弟子と言うところであろうか。

私も今度の戦争の始まった頃文理大で萩原先生の「地球物理」の講義を一年間受けた。まだ先生は三十代の若さであったと思う。なかなか面白い名講義であった。(中略)
その後半世紀以上経った。そして、30年研究をして来て未だ地震予知が出来ないと言うことを聴いて、何か基本がずれているのではないかと気掛かりになって来た。そして研究の結果、萩原先生の考えを一寸変えたほうが良いことに気がついた。それについてくどくどと述べたのがこの本である。一寸視点を変えることによって地震予知は出来る、それを一言で言えば「地震を外からのみ見るのでなく、内からも見て下さい」と言うことである。このことをお弟子さん達にお伝え下さいと言うのが萩原先生に対する私のお願いである。

地震学では大変な権威をお持ちの萩原先生が、陣頭指揮して測地的地震予知を推進して来られたようです。今ではその根拠となる弾性反発地震説やプレート説が真理であるかのように取り扱われ、それ以外の地震説を学んでも、大学入試にも合格しません。一度動き出した船は大型船になるほど進路を変えることが難しいようです。タンカーの進路を変えるよりも、たくさんの小船で別方向に進むデモンストレーションを示す方が効率的かもしれません。

670
2003/11/23(Sun) 23:01
パトロス
歪測定による地震予知は不可能
「地震は予知できる」(坂柳義巳著)のなかで、歪測定による地震予知は不可能であると断言されています。歪測定などの測地的地震予知方法を止めさせる代案として坂柳先生が提案されているのが、磁石落下法です。抜粋して紹介します。

プレートは岩石から出来ている。これはガラスと同じようにフックの領域を越すと直ぐ破壊すると思われる。これでは歪み測定で地震を予知することが出来ない。実際にアメリカのロマプリエタ地震(1989.10.17)では直前に近くに備えた高感度の歪計に変化が無かったと報告されている。

この様に歪測定では地震予知は出来ないことが分かっても、未だわが国の地震予知では歪測定にこだわっている。その理論的根拠をハッキリさせてもらいたい。ここで測地学的方法では短期地震予知は出来ないと断言しよう。それを止めさせる為にはより良い代案を示すことが必要である。

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