新・地震学セミナーからの学び
43 新しい地動説・ポールシフト
セミナー[757]でお知らせしましたが、[316]にある「太陽の姿勢が変わったと解釈するのではなく、地球磁場の方が変わったとする解釈が、どうして「天動説」と比喩されなければならないのか理解できません」という質問の答えとしては満足のいく回答がしてないように思います。そこで、ポールシフト(極移動)とは新しい地動説であるという解釈を分かりやすく説明したいと思います。
地球上の岩石は冷えて固まるときにその時の地磁気を記録します。深海底の海嶺から吹き出して固まった溶岩には地磁気の逆転した様子が縞模様となって記録されています。これは海洋底が拡大している証拠であると定説では考えられていますが、石田理論では吹出した溶岩が地殻の上部を滑動している姿であると見ています。ライブラリー43で紹介しましたようにこの縞模様からは7600万年の間に171回の磁気の逆転があったことが分かっています。

さて、この磁気逆転現象をどのように解釈するかということですが、定説では上図の左下にあるように、地球の磁場だけがその向きを変えただけであるという解釈になっています。日本が南半球に移動したことなど有得ないことになります。しかし実際には右下図にあるように、地軸が傾いて、日本が南半球に移動する可能性もあるというのがポールシフト(極移動:自転軸の大幅な傾斜現象)によって地球磁場が変化したという考え方です。

この考え方ならば、46億年の地球の歴史の中で地軸は数え切れないくらいのシフトを経験したはずであり、現在温暖な地域にある場所に極地域に出来る氷河の痕があっても不思議ではありません。又現在は極地入りしている南極大陸に恐竜の化石があっても不思議ではありません。日本にも氷河が削った痕がある筈ですが、地球の全域が何度も氷河期を経験したというのではなく、日本も、ニューヨークも極地域になったことがあるということになります。地球全体が氷結したという全球凍結という考え方はおかしいと思います。

ところで、伏角に関してですが、定説で解釈するのなら現在の日本で観測されるように、北が下がり、南が上がる磁針であっても、その逆で北が上がり、南が下がる磁針であっても、地磁気が逆転しただけで、日本は動かないという解釈になります。だから(大陸の移動を説明しようとして)古地磁気を取り扱うときには伏角の絶対値だけを問題にすれば良いということになり、それが大学の教養レベルの常識になっているわけです。

しかし、地球の姿勢が不動であるというのは現代の天動説のような気がします。地球は太陽の周囲を回っている回転体ですから、重心の移動があれば物理現象として回転軸は傾く(ポールシフト)はずです。軸が傾けば、地球内部のマントルの流れも変化し、新しい地球の磁場が生まれるはずで、その時の新しい磁場は太陽の影響を受ける筈です。それは、太陽から見れば傾く前のマントル流と同じになるのではないでしょうか。従って地球磁場だけが勝手に変わるのではなくて、まずポールシフトという地軸の変化が起こり、その後新しい磁場が回復発生し、それを岩石が記録していると考えるほうが合理的であると思います。地上の人間には明らかに、回転軸の極と磁極が共に移動したことが認識できます。これなら海洋底の磁気縞模様が出来るのもうなずけます。これは現代の新しい地動説だと思います。

そうだとすると、伏角の絶対値からインド亜大陸の北上を推論するのは無理があります。それは地球の姿勢は変わらないという前提の上に成り立つ議論だからです。またヨーロッパ大陸と北アメリカ大陸の移動を推論しているニューオフィス15の研究も疑わしいことになります。

なぜ回転体である地球の回転軸が変化するのかといえば、大地震による大規模な陥没隆起、あるいは両極の氷が溶けだすためによって生じる回転体の重心移動などが原因していると考えられます。太古には飛来した天体が衝突して重心移動が起こったのかもしれません。

一億年足らずの間に171回もの地球磁場の変化があったということですが、46億年の間には想像を超える地軸の変化があり、諸大陸の浮沈もあったのではないでしょうか。そうでなければ、どの大陸にも存在していることですが、太古には海底にあったはずの地層が地上で見られるということは無いように思います。

ポールシフト(極移動)は現代の地動説だと思います。地軸の変化を認めないで、地球の姿勢は不動である考えている定説こそが現代の天動説ではないのでしょうか。ポールシフト(回転軸の傾斜現象)を認めれば地球上の多くの謎が解明されてくるはずです。

なお、ポールシフトに関しては、ハプグッドによる「地殻移動」と言う考え方でも同じ結果になります。(セミナー[1218]参照)

卵の殻に相当する地殻の一部が隆起したり沈降したりして、重心の移動があれば、それによって地殻がズルッと滑るはずです。これと、「ポールシフトの後でそのとき新しく発生する磁極は新しいマントル対流がつくるはず、これは太陽磁場と無関係ではないはずで、太陽から見れば地軸が傾く前の地球マントルの流れと同じようになる」と言う説明(ニューオフィス15参照)とは同じことであります。

卵の殻に当たる地殻の質量はマントル全体よりもはるかに小さなものですから、地殻変動は地殻の重心移動に大きな影響を与えるはずです。したがって、むしろ、ハプグッドの「地殻移動」のほうが説得力があるかもしれません。
ただし、[1218]で述べたようにハプウッド説は地軸の傾斜が30度までとなっていますが、ポールシフト論では30度と云う限定はありません。

現代の地動説とはポールシフトと言ってもいいし、地殻移動のことであると言ってもいいでしょう。

[1212]にも述べましたが、南極の氷の下から、過去に栄えた文明の遺跡が見つかる頃には、地動説のバージョンアップがなされて、新・地動説が社会に認められるのだろうと期待しています。

地球内部に磁石を仮定すると地理上のN極にはS極が対応します。よって方位磁石のN極は地理上のN極にある磁石のS極に向かうことになります。

2008年9月25日補遺

 ポールシフト現象を正しく理解するために、
http://jp.youtube.com/watch?v=1aPNcUJuiLY
から一部分を借用して次のような解説動画を作らせていただきました。

 なお、「ポールシフト理論」で検索すると「物理学を無視した理論」として、このページを紹介するブログがありました。http://blog.livedoor.jp/lyiase/archives/50472466.html

そこには、

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地球の回転軸を変えるには莫大なエネルギーが必要

 もし、地軸が変わってしまうとすれば、「恐竜が絶滅してしまうような」巨大な隕石が当たらないとここまで大きな変化は難しいと考えられます。
地球が現在の方向に回転しているのは、一般的にはジャイアントインパクトによるものだと言われていますが、その時は火星の様な天体が衝突しました。
それほど大きな天体が衝突しても、地軸は23.3度しか変わっていません。
つまりは地球の地軸を逆転させるような巨大なエネルギーが発生しているとすると、その間に地球の生命が消滅してしまいます。

7300万年に171回のポールシフトはあり得ない

 このことが正しければ、42万年に1回、約20,000kmの移動が生じ、これは1年間に換算すると約47.6m/年。100年で約4.76km移動しているはずです。
これほど移動してしまうと、人工衛星の静止軌道(高度35800km)にある衛星は軌道が狂ってくるハズなのですが、そういった話を聞いた事がありません。
(衛星軌道が他の天体軌道のせいで若干補正することは知っていますが)

補足しておくと、地軸がわずか数百年で変わってしまうことはまず、ありえません。先ほど述べた事ですが莫大なエネルギーが必要な為、生物など存続するのも難しくなるからです。

なお、仮にポールシフトを認めるなら、常に地軸が回転していないとおかしいことになります、先ほども言ったように地軸を急に変えるのは不可能なので、常に変わっていなければならないからです。

つまり、現実的に観測されていない以上ありえません。

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という記述があって、地軸を変化させるのに莫大なエネルギーが必要であるというウィキペディアと同じ誤解があります。上記の動画から分かるように地軸が回転するために地球の全質量が傾くわけではないのです。地殻移動現象とは、厚さ100km程度の地殻だけが滑動するだけですから、莫大なエネルギーを必要とする訳ではありません。大陸が沈降したり、海底が浮上して大陸が出現するような地殻変動があれば(その証拠が地殻上に見られる地層ですが)地殻という回転体の重心が移動しますから、簡単に地殻移動が起こります。もちろん、大陸規模での隆起・沈降には莫大なエネルギーが必要ですが、それは地球内部の熱エネルギーが原因で起こる水素ガスと酸素ガスの爆発という地震が直接の原因となっているわけです。小惑星の衝突というような現象を考えなくとも、地殻移動は起こり得るのです。

 また、衛星軌道の狂いが観測されないことから、ポールシフトを否定しておられますが、それは地球の変動を斉一説で考えておられるからであって、大陸規模の地殻変動は明らかに斉一説ではなく、激変説でないと説明できません。

 グランドキャニオンは少なくとも3回の激変的な浮沈を繰り返してきたことが地層から分かっています。その度に地殻の移動が生じた可能性を否定することは出来ません。斉一説が間違っているのです。

なお、ここで述べている「地殻」とはウィキペディアなどの定説で考えられているものとは違います。定説では「リソスフェア」と呼ばれているあたりまでの、地球表面の固体部分のことを指しています。それ以下の「アセノスフェア」と呼んでいるマントル部分は長期的に見れば液体であると考えています。下図を参照してください。

     ウィキペディアの解説では「20世紀前半の地球物理学的研究により、マントル液体説は現在否定されてしまった。」とありますが、地震波の伝播を調べた研究結果のことを指していると思います。マントルは地震波のような衝撃的震動については弾性体的な性質が働いて波動を伝えますが、長期的な外力に対しては弾性体ではなく、液体であると考えています。

また、「地震学が示すマントルの物性は強固な固体であり、鋼鉄より硬い。ただし、数千万年の時間帯で観察すると、硬いマントルでも粘性流動を起こす。地殻はマントルよりも柔らかい。厚さの点から言うと、卵の殻よりもリンゴの皮に例えたほうが適切である。」というウィキペディアの解説は「地震爆発説」の立場からは「現代地震学の誤解」だと言えます。

「マントルは鋼鉄より硬いが、数千万年の時間帯で観察すれば流体である。」という記述がありますが、「マントルは流体であるけれども、衝撃波に関しては弾性的に振舞うこともある。」というのがレオロジーの正しい解釈ではないのかと考えています。

マントル熔融論、S波の伝播問題、レオロジー等に関する最新の見解は [2339]、[2341]を参照してください。