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2006-02-03 (Fri)
全球凍結は誤解である(2)

「全球凍結事変の証拠を明らかにした」と述べているのはハーバード大学のホフマン教授であるらしい。
報道内容が消えてしまうといけないので、少し長くなりますが、
日経サイエンス誌の報道を紹介しておきます。

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氷に閉ざされた地球

■P. F. ホフマン/D. P. シュラグ

 今から6億年前に気候の大変動が起きた。原生代後期に起きた,この時の大変動は熱帯さえもが凍るほどの,とんでもない氷河期であった。当時の生物界は明らかな動物が登場する前だった。

 当時の地球を宇宙から眺めたら,全球真っ白に雪で覆われた地球が1000万年かそれ以上の間,宇宙空間をさまよう姿が見えただろう。ただし,地球の芯にあるドロドロに融けた高温の金属の核から地表へと放出される熱のため,海洋底までがすべて凍ることはなかったはずだ。しかし地表は−50℃にもなり,海面は1kmほどの厚さの氷に覆われた。いわゆる「全球凍結」だ。

 当時の生物のほとんどは死滅した。きしむ氷河とうなる海氷のかたわらでは,場所によっては火山が噴火して氷を溶かし,熱い頂上をむき出しにしていただろう。地球は,生命にとっては万事休すのようなこの極低温の状態から二度と温暖にならないように思えた。だが,火山はマグマとともに二酸化炭素を大気に放出し続けて,ゆっくりとだが極寒の気候から脱出する準備をしていた。

 常識では信じられないかも知れないが,7億5000万年から5億8000万年前の間に極端な寒冷化と温暖化が繰り返し4回も立て続けに起きたことを示す明確な証拠を私たちは発見した。今まで科学者は,地球の気候にはそこまでの激しい変化はなかったと思い込んでいた。しかし,地球の双子星である金星ではそのような激しい気候変動があったことが広く受け入れられている(M. A. ブロック/D. H. グリンスプーン「金星を襲った気候激変」日経サイエンス1999年6月号)。

著者 Paul F. Hoffman/Daniel P. Schrag

両名ともハーバード大学。全球凍結仮説を発展させるためにさらに緻密で巧妙なモデルを提案。ホフマンは野外地質学者で初期地球の歴史を解明するため古い地質時代の岩石の研究をしてきた。彼はナミビア北西部の一連の調査で原生代後期の全球凍結事変の証拠を明らかにした。

シュラッグは海洋地球化学者で,珊瑚礁や深海堆積物や炭酸塩岩の化学的同位体変動を使って,数ヶ月から数百万年のタイムスケールの気候変動の研究をしている。共同でナミビアの地質学的,地球化学的証拠を解釈して,全球凍結とその余波の関係を究明した。

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角皆先生も指摘しておられるように、「全球凍結事変の証拠」というのは「赤道に近いナミビアで氷河の痕跡を見つけた」ということだけです。そこから、「海面は1kmほどの厚さの氷に覆われた」という結論へ持っていくのは無茶苦茶な話です。「地球不動説」を信奉しているがゆえに発想される誤解でしかありません。

全球凍結に至った理屈も凍結が解除された理屈も、角皆先生指摘のようにとても信じられるものではありません。
地球の科学については似たような誤解に基づく理論が他にもあります。
地球のマントルが固体であり、内核、外核があるという想像(!)も地球内部の構造を地震波によって調査したいがために、解析手法の前提を吟味することなくインバージョン法という解析の結果を信じたことから生まれた誤解です。

氷河期とか全球凍結という概念は、地球の姿勢が不動であるという誤解から発想された結果です。しかし、これには生物関係の学者からは賛同が得られないようです。

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2006-02-05 (Sun)
海底の寿命説に疑問
グランドキャニオンの地層にはいくつかの年代の岩石層が存在しない、いわゆる不整合というものがあるそうです。図に示すと概略次のようになります。

現在から2億5千万年前までの地層も存在しないようですが、こうした空白の期間というのは、大陸が地上にあって、侵食を受けている期間とみることが出来ます。空白でない期間(赤色で示す)には北米の大陸は海底にあって土砂が堆積した期間と考えられます。

この図を見る限り、アメリカ大陸はこの20億年の間に3回の浮上を経験したこと、20億年より前には地上にあったことなどが分かります。

以前にもコメントしたことがありますが、海底の寿命は2億年であるというのが腑に落ちません。
アメリカ大陸は2億5千万年前には海底にあって堆積を経験していたはずです。
「少なくとも、2億5000万年前に海底にあったとき、最も年配の地層はその時から2億年前のものですから、いまから4億5000万年前の地層があるのはわかります。しかし6億年前の地層があるのは矛盾しています。」

と以前にコメントしましたが、20億年まえの地層まで存在しているそうで、海底の寿命2億年というのは理解に苦しみます。

とりまき氏からはセミナー[355]14において、

「「海洋」と「海洋底地殻」が混同されています。大陸地殻が水面下に没しても海洋底地殻になる事はありません。」

というコメントをいただいていますが。グランドキャニオンが海底にあったとき、ここは海洋底地殻ではないと言えるのでしょうか、疑問に思います。

また、セミナー[687]では藤田先生の書物から、次のような記事を引用させていただいています。

「大西洋の大海嶺からは、三十億年前の岩石が見つかっている。また、同じ大西洋の大海嶺から中生代の白亜紀(約一億年前)の蛇紋岩がみつかっている。また、太平洋の海嶺からも、始新世(約六干万年前)の岩石や、中新世(約二千万年前)の岩石も発見されている。このような岩石の存在について、大洋拡大説を信じている人たちは、古い時代の岩石が、何かの原因でとり残されたものと解釈している。これでは一度ならず、二度、三度と、偶然的なことが生じると、考えなくてはならない。それはもはや偶然とはいえない。」

太平洋の海嶺ならば、誕生したばかりのプレートのはずであり、始新世(約六干万年前)の岩石や、中新世(約二千万年前)の岩石があることはプレート論に矛盾します。

以上の疑問に関して、地学を専門に勉強された方が居られましたら教えていただきたいと思います。

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2006-02-06 (Mon)
三河地震の体験談
「三河地震60年目の真実」木股文昭ほか著(中日新聞)という書を入手しました。三河地震の体験談は以下のセミナーでも「「忘れじの記」からの学び」として紹介しましたが、新しい体験談がありましたので、紹介します。
http://www.ailab7.com/log/eqlog721-730.html
http://www.ailab7.com/log/eqlog731-740.html

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不思議だったのは、地震の後、蛍光灯のぼけたやつくらい辺りが明るくなったこと。余震でも明るくなって、もう何十回あったか分からんけど、余震があるたびに明るくなった。まず辺りが明るくなって、それから地面が揺れる。最初の明るさの加減で、だいたい震度の強弱を予想できた。明るくなったときほど、強く揺れて、あまり明るくならなかったときは、揺れも小さかった。真夜中の暗いときに地震で明るくなって遠くまで見えるようになって、すうーっと明るさが消えていく。スイッチを切ったときみたいにぱかっと暗くなるのではなかった。余震が小さいときは、すうーっと消えるのも早かった。空気の振動で電気を発するのじゃないかと、想像していた。

不思議なことは、西の方を見ていたら、空を飛んどる鳥が、ハトか何かが、群れて飛んでるのがパタパタ落ちちゃうんです。空気の震動か何かは知らないけれど、飛べなくなっちゃう姿をはっきり見ました。・・・以上(富田達躬氏談)

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重複しますので紹介しませんが、爆発現象のような「ドンドンドン」という音が聞こえ、艦砲射撃かと勘違いした・・という話など、セミナーで紹介したような話も載っております。

一つだけ気になったのは著者が「実は、地震発光現象が目撃される地震はほとんどなく、三河地震のように余震のたびに光ったという記録がある地震は他に例が無い。」と書いておられることです。ライブラリー4bに紹介したように唐山地震では真夜中にスイカの葉や茎まではっきり見えたという報告もあるくらいで、大きな地震では発光現象は付きものであります。

「二〇〇メートルほど離れたところの上空が突然明るくなって、大地をこうこうと照らし、西瓜の葉や茎までがはっきり見えたという。」

発光現象の原因は地下内部でMHD発電が起こっているからだと考えております。

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2006-02-08 (Wed)
スロースリップ現象は疑問である
独立行政法人・防災科学技術研究所が本日(2月7日)次のようなスロースリップに関するプレスリリースをしたそうです。抜粋して紹介します。

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独立行政法人・防災科学技術研究所(理事長:片山恒雄)の調査研究の結果、2006 年1月7日から23 日にかけて、紀伊半島中部から愛知県にかけての広い範囲でプレート境界の短期的なスロースリップ及び深部低周波微動が観測され、それらの現象が、約200km の距離を1日約10km の速度で連続的に移動していたことが明らかになりました。

概要:
この短期的なスロースリップ及び深部低周波微動活動は、三重・奈良県境の大台ケ原付近で1 月7日ごろから活発化し、その後北東方向に移動を続け、1 月16 日には伊勢湾を越えて愛知県側に達し、さらに東北東方向に移動を続けました(図1、2)。


それぞれの観測点における傾斜変化は最大でも0.1μradian(マイクロラジアン:1μradian は1km 先の地面が1mm 沈降したときの角度に相当)という非常に小さいもので、GPS 観測で検出することは困難です。周囲の観測点における傾斜変化データも活用し、スロースリップイベントの発生場所を推定したところ、微動の列に沿って5枚の断層面が並ぶことがわかりました。いずれも逆断層型で、プレート境界より上盤側のプレートが南東側にすべる動きを示します。5枚の断層運動によるエネルギーを足し合わせると、マグニチュードが6.2に相当します。

今回の活動は2005 年7 月以来で、このような現象は愛知県内及び紀伊半島においては約半年周期で発生しており、定常的な活動であるといえますが、今回のように伊勢湾を越えて連続的に移動したのは、これまでで初めての現象であると考えられます。

なお、深部低周波微動については、スロースリップと関連を有すると考えられています。

発生のメカニズムについては、現時点でよくわかっていません。

今回の活動の意義:

伊勢湾を挟む愛知県側、及び紀伊半島側では、フィリピン海プレートの形状は必ずしも明らかにはなっておらず、断裂または大きく屈曲しているとの報告もなされていました。
しかし、今回のスロースリップイベント及び深部低周波微動が、伊勢湾を越えて紀伊半島側から愛知県側に連続的に伝播したことは、深さ30km まではプレートは連続的にかつ滑らかに存在していることを示すものです。また、今回は東南海・東海地震想定震源域深部において、スロースリップが初めて連続的に移動しましたが、これまでは、活動領域が限定されていたり、移動方向が今回とは逆であったり、様々な活動様式を示しています。つまり、いくつかのセグメントに分かれた領域で、破壊連鎖の形態がその都度、変わっていることになります。この現象をきちんと理解することは、南海・東南海・東海地震の連動性を解明する上でも、非常に重要であると考えられます。

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以上がその内容です。

私にはスロースリップ(ゆっくりすべり)という現象があるとは思えませんので、「もう一つの地震学」としての立場から解説してみたいと思います。
しかし、これはすでに報告されている深部低周波微動という現象であり、セミナー[273]において話題にされた現象です。

[273]では「微動源は一ヶ所に留まらず、移動しやすい性質を持っています。四国西部では2001年1月には東から西へ、8月には西から東へ、1日に約10kmのスピードで微動源が徐々に移動する現象が見られました。」という記事がありますが、今回の現象もまったく同じものだと思います。

2001年の記事では「 低周波微動がなぜ発生するかは、まだわかっていませんが、その連鎖性や移動性を考えると、流体が関与していることはまず間違いないでしょう。このような流体の存在やその挙動が分かれば、沈み込み帯における地震の発生や地質形成を解明できる可能性があり、微動の「謎」解きは、とても重要です。」とあって、低周波微動の原因は分からないとされていますが、今回は「傾斜変化データも活用し、スロースリップイベントの発生場所を推定した」とあるようにスロースリップ現象と断定されている点に違いがあります。

しかし現象は2001年の深部低周波微動と同じです。「発生のメカニズムについては、現時点でよくわかっていません。」とあるのに、「スロースリップと関連を有すると考えられています」というのは憶測にすぎないのではないでしょうか。

また、[273]では、「石田理論の解釈では、低周波微動の震動源あたりに、巨大なマグマプールが出来上がっているのだと解釈します。大陸の沈降現象はこうしたマグマプールのもっと巨大なものが、何段にも無数に発達し、そこで巨大地震が連発して、大陸を沈降させてしまうのだと思います。」と説明しましたが、この地域に巨大なマグマのプールが存在しているのだと思います。


(日本地震学界誌「なゐふる」より)

微動の震源が移動するのは、解離ガスの爆発による影響が伝播して、解離度の変動が起こるためであると解釈出来ます。

「傾斜角度が変化する件は「最大でも0.1μradian(マイクロラジアン:1μradian は1km 先の地面が1mm 沈降したときの角度に相当)という非常に小さいもので、GPS 観測で検出することは困難です。」とありますが、それがどれほどの意味をもつものなか疑問です。

「深部低周波微動」から「スロースリップ」へと説明が発展しましたが、何故スロースリップと断定できるのか私には納得できません。

さらに、「5枚の断層運動によるエネルギーを足し合わせると、マグニチュードが6.2に相当します。」という解釈に関しても、単なる微動現象であるものがM6.2に相当する、というのは到底納得できるものではありません。

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2006-02-08 (Wed)
フィリピン海プレートの存在は疑問である
独立行政法人・防災科学技術研究所のプレスリリースに関して、質問がありました。

「深部低周波微動活動は、フィリピン海プレートの30〜40km等深線上に並んでいるので、プレート間の摩擦(スロースリップ)で微動が起きているとする説明は一応の説得性を持っているのではないか。石田理論で言えば、ここにもマントル対流があってマントルが北西方向に潜っているということになるのか。」

という内容です。
30〜40km等深線がフィリピン海プレートの等深線だとは思いません。つまりこの地域にフィリピン海プレートに関連するもう一つの深発地震面が存在するとは思えません。この辺りの深発地震面


(宇津徳治「地震学」による)

は深さ300km〜400kmにあり、フィリピン海プレートに関連するようなものはありません。
フィリピン海プレートの配置などを扱っている研究を見ると、震源の分布状況から、プレートの位置を推定しているようですが、そのようなプレートの特定方法には疑問があります。
地震が多く発生している場所と云うのはマグマを流すチャンネルが毛細血管のように緻密に走っている場所、または巨大なマグマ溜りがある場所であり、解離度が変化する機会が多いので地震が頻繁に起きている場所だと思います。これは地震空白域の解釈にも関連することですが、毛細血管のようにマグマが流れている場所を剛体のプレートが存在する場所と考えるのは間違いだと思います。むしろ、地震が少ない場所こそが剛体的な地殻であるはずで、プレートが存在するとしたら、地震が少ない場所であるはずです。


したがって、フィリピン海プレートを示す等深線というのは納得できませんし、フィリピン海プレートそのものの存在も疑っております。

深発地震面とは、熔融マントルが対流している姿であると考えていますが。日本近海の場合は太平洋の中央海嶺から浮上して、太平洋を移動し、日本海溝で地球内部へ沈んでいく対流があると思います。もう一つは伊豆諸島の地下深部で浮上し、九州・沖縄方面で沈み込んでいくマントル対流もあるのだと思います。前掲の図で沖縄方面(琉球海溝)に深発地震面があるのがそれであると思います。

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2006-02-09 (Thu)
不安を煽る新聞記事
独立行政法人・防災科学技術研究所のプレスリリースを受けて次のような新聞記事が出ました。
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東南海地震の想定震源域、広範囲で地殻変動

 防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は7日、東南海地震の想定震源域に沿った紀伊半島中部から愛知県にかけての広い範囲で、先月7〜23日、ゆっくりした地殻変動と微小な地震が同時に起きていたと発表した。

 変動範囲は東海地震の震源域地下まで達していた。同研究所は「両地震の直接の前兆ではないが、今後の動きに注意が要る」と判断、国の地震調査委員会に報告する。
 このゆっくりした地殻変動は、「スロースリップ」と呼ばれ、地下の岩板(プレート)が滑るように動く現象。全国に設置している高感度地震観測網で検知した。先月7日に三重県と奈良県の県境の地下30キロ・メートルほどの地下深部が滑り始め、16日には伊勢湾を越えて愛知県の地下でも滑りを観測した。滑った量は各地点で0・5〜1センチほど。

 これと同時に、広い範囲で一日30〜100回近く、マグニチュード(M)1未満の体に感じないほどの小さな地震も観測された。

 東南海地震の震源域付近でのこうした地殻変動は、これまでもほぼ半年おきに観測されてきた。しかし、200キロ・メートルにわたる広い範囲で連続して起きたのは初めてという。東南海地震は、今後30年以内に約60%の確率で発生すると予想されるM8・1前後の大地震。<br>(読売新聞) - 2月7日19時15分更新

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スロースリップなる現象が大地震とどのような関係があるのかも分からないため、これを読んだ読者はどのように判断してよいのかが分からないと思います。発表する側も「だからどうなのですか?どのように気を付けていけばいいのですか?」と問われても回答のしようが無いのではないでしょうか。徒に読者の不安を駆り立てるだけのような気がします。

私はスロースリップ(ゆっくりすべり)という現象があるとは思いませんので、地下にあるマグマ溜りかマグマの管路のなかで、解離度の変化による小爆発が起こっているだけであろうと思っています。したがって新聞で報道するような性質のものではないのではないかと思います。

何故最後に「東南海地震は、今後30年以内に約60%の確率で発生すると予想されるM8・1前後の大地震。」を記して不安を煽るのでしょうか。こうした記事が頻繁に出されることが、肝心のときに警告不感症にさせてしまうことを心配します。

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2006-02-11 (Sat)
さしたる理由もなく変更されるプレート境界
産業技術総合研究所から、昨年6月に「関東直下の新しいプレート構造の提案」という研究発表があったそうです。

提案された新しいプレート構造には北アメリカプレートが消えています。


(「産業技術総合研究所」HPより)


日本列島は東北地方が北米プレートの上に乗っているというのがこれまでの定説での説明だったと思うのですが、さしたる理由も無く消えてしまっています。

プレートの論議に関しては卯田先生が「ほころび始めたプレートテクトニクス」(学研:最新科学論シリーズ「科学の危機」)というタイトルで取り上げ、「さしたる理由も無く北米プレート説が定説になった」と次のように書いておられますので、紹介します。

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さしたる証拠もなく定説になった北アメリカプレート説
1983年、秋田沖でマグニチュード7.7の「日本海中部地震」が発生した。
これを契機に、北アメリカプレートとアジアプレートの境界はこの地震の震源を通るという説が提案された。従来、2つのプレートの境界は北海道中部とサハリンを結ぶ線上にあるとされていたが、新説ではそれよりも西側になる。したがって北海道や東北地方は、アジアプレートではなく北アメリカプレートの一部ということになる。(北アメリカプレート説)。


(「科学の危機」より)

これは、日本海中部地震ほどの大規模な地震はプレート境界でないと発生しないはずだという単純な理由による。だが、確かに巨大地震はプレート境界で数多く発生するものの、それ以外の場所で起こらないわけではない。しかしながら、ほかに格別な証拠もないのに何人かの研究者がこれに同調すると、この北アメリカプレート説は既成事実となった。

10年後の1993年には、「北海道南西沖地震」が起こり、津波が奥尻島を襲った。すると、この二つの地震の震源を結んだ線がアジアプレートと北アメリカプレートの境界だということになり、これによって北アメリカプレート説はすっかり定説になってしまった。

ところが、じつは2つの地震は発生のメカニズムが異なっている。日本海中部地震では、地震を発生させた断層は西側(日本海側)が東側(東北日本)に対して沈み込むタイプであったが、北海道南西沖地震ではこれとまったく逆に、断層の東側が西側に対して沈み込むタイプであった。もし2つのプレート境界がここにあるとしたら、一方のプレートが他方のプレートの下に沈み込んでいたり、上に乗り上げていたりすることになり、つじつまが合わない。

そこでこれを説明するため、今度はこのプレート境界は「形成されつつある」という考えが出された。
さらに、1995年5月に北サハリンで大地震が発生すると、2つのプレート境界はこの地震の震源をも通るという見解がいちはやく提出された。だが、サハリン地震を引き起こした断層は右横ずれタイプである。ということは、もしここにプレート境界が存在するなら、それは並進境界ということになる。
すなわち、北アメリカプレート説をとると、2つのプレートは収斂(衝突)しているのか、並進(横ずれ)しているのかわからないということになる。

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以上が卯田先生の「ほころび始めたプレート論」の根拠の一つですが、プレート論とはこのようにプレート境界がどこにあるのかも明確には分からず、地震が起きるたびに変わっているような不確かなもののようです。

私は移動したり、陸側プレートの下に潜り込んだり、衝突して大山脈を作ったりするようなプレートというものがあるとは思っておりません。

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2006-02-11 (Sat)
北米プレートはどうなったのか

名古屋市の消防と防災サイトにも、東海地震の解説ページがあり、日本をとりまくプレートの様子が立体的に表示されています。ここでも、北米プレートは明確には描かれていません。ほかのサイトでは依然として東北地域は北米プレートの上に乗っていると解釈する図面が掲載されています。


(名古屋市の消防と防災サイトより)

こちらのプレート解釈が定説になっているのなら、日本海中部地震や北海道南西沖地震の発振機構をどうやって説明するのでしょうか、二つの地震がどのような機構で発振したと説明するのか、ご存知の方は教えていただきたいと思います。

絵を見て感じる疑問
・フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界はどうなっているのか。

・相模トラフから潜り込んでいくプレートは太平洋プレートに衝突するようにみえるが、衝突した後どうなるのだろう。

・琉球海溝辺りで地球内部に潜り込んでいくフィリピン海プレートはどこで生まれどのような仕組みで運ばれてくるのか。
・場所によって潜り込む方向が違うように思えるが、剛体がそのような動きをするだろうか。
素朴な疑問ですが、プレート論はこれに答えられないのではないかと思います。

なおurban kubota21 補章2

にある「関東地方周辺のプレートシステム」という論文でも、北米プレートの名前は出てきておりません。またフィリピン海プレートの姿に関しては3ケースのモデルがあるようで、はっきりした姿は決まっていないようです。

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2006-02-13 (Mon)
地震連鎖のメカニズム
日経サイエンスに地震予知への新しい手がかりという記事がありました。大地震の後に大きな余震が続きますが、定説では「いったん大地震が起こると蓄積した応力が解放されるため、次の大地震が発生する確率は低くなると考えられている」はずであるのに、余震が起こるのは定説では説明できないことから考え出された新説ではないのかなと思いますが、この「応力誘発説」にも矛盾がありますので、抜粋して紹介します。

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予知への新しい手がかり 地震連鎖のメカニズム
   R. S. スタイン


 (前略)大地震が起こり、それに続く余震が収まれば、一般に数百年から数千年かけて地殻に応力が蓄積するまで,断層は静穏化した状態を保つ。多くの地震学者は今でもそう考えている。

 しかし、最新の発見によってこの前提が覆り始めている。従来の予想と違って、地震は相互に影響し合っているというのだ。いったん大地震が起こると蓄積した応力が解放されるため、次の大地震が発生する確率は低くなると考えられている。これに対して新説では、震源となった断層の別の場所や近くの断層で、地震発生確率が実際には3倍に高まることもある。(略)

 この新しい仮説は「ストレストリガリング(応力誘発)説」と呼ばれる。その核心にあるのは、隣接する断層の変動や地震動によって生じるわずかな応力の変化に、意外にも断層は敏感に反応するという新たな事実だ。これまでの地震記録や断層運動に関する計算結果から、次のようなことがわかった。地震によって解放される応力は消えてしまうわけではなく、震源断層から周辺の地域に再分配され、その後も集積したままとなるのだ。

こうした応力の急激な増加によって、次の地震が起こりやすくなる。さらに1992年から20あまりの断層を調べた結果、自動車タイヤを膨らませるのに必要な空気圧の1/8ほどの応力が増えただけでも、地震が誘発される可能性があると考えられるようになった。

 これまでは、大地震の間にこうした微妙な相関関係が存在するとは誰も考えておらず、地震予知に役立てようという発想もなかった。だから、新たな地震予知の手法として受け入れることに懐疑的な科学者が多かったのも無理はない。しかし、カリフォルニア州や日本、トルコで、大地震の後に続いて起こった地震の発生地点やその頻度をうまく説明できたことから、応力誘発説への信頼が高まっている。

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以上がその記事です。

@「大地震が起こり、それに続く余震が収まれば、一般に数百年から数千年かけて地殻に応力が蓄積するまで、断層は静穏化した状態を保つ。」と信じられているとありますが、大地震の後に余震が続くことも不思議です。ひずみが開放されたのならば余震が起こることは説明がつかないと思います。

A「いったん大地震が起こると蓄積した応力が解放されるため、次の大地震が発生する確率は低くなると考えられている。」とありますが、@と同じことですが、応力が開放されたのならば、余震が起こることは説明がつきません。

B「地震によって解放される応力は消えてしまうわけではなく、震源断層から周辺の地域に再分配され、その後も集積したままとなるのだ。」とありますが、応力と「ひずみ」とは密接な関連があり、「ひずみ」が無くなれば応力もなくなるはずです。応力だけが再配分されて残るというのは矛盾があります。応力が残るのであれば「ひずみ」も残るのであって、そうだとすれば、「ひずみ」が蓄積されて限度を超えるから地震が起こるという定説も、応力誘発説という新説も矛盾があると思います。

地震はやはり、解離ガスの爆発が周囲の解離層を乱すために、解離⇒爆発(結合)⇒解離という一連の化学反応が起こっているからであると思います。したがって余震は解離層が安定するまで続くことになります。

また、「自動車タイヤを膨らませるのに必要な空気圧の1/8ほどの応力が増えただけでも、地震が誘発される可能性がある」と述べていますが、圧力増加が直接的に地震を誘発するのではなく、圧力増加がマグマを移動させるために解離度の変化を起こさせることが原因であるという解釈のほうが説得性があると思います。

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2006-02-14 (Tue)
科学教育研究協議会について
ネット検索で「科学教育研究協議会(科教協)」という団体があるのを知りました。
「科学教育研究協議会(科教協)は、自然科学教育関連としては日本最大の民間教育団体です。」という説明がありますが、そのサイトを見ていて興味深い記事を見つけました。2004年12月例会報告となっている記事から紹介します。
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新潟県中越地震はなぜ起きたのか   佐藤完二

 「地震学者と地質学者の対話」(東海大学出版会)の引用は面白い。
 水平の力による逆断層という見方が多い(新聞報道は皆それ)が、完二さんは下からの力による陥没地形にできる垂直に近い断層である、という。その角度は水平の力であれば45度以上には決してならないのに、今回の推定角度は53度である。水平の力(プレートの力)先にありき、で説明しようとするからこうなるのだろう。共役断層の説明でも垂直の力で考えないと説明がつかない。理科教室9月号の主張に完二さんが書いている。
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また、佐藤氏はプレート論に否定的な記事の紹介もされていますので、その記事の入手方法を教えていただこうとお尋ねしています。

学校での教育者の中には、プレート論や定説地震論に疑問を抱いておられる方もあるように感じました。

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2006-02-14 (Tue)
プレートテクトニクスの受容過程
プレートテクトニクスは高校や大学の教科書にも載っているそうですが、高校の教科書のほうが早く完全洗脳されたそうです。
いまやマスコミを含む日本中が洗脳されていますが、これに異を唱えることは至難の業です。受容過程というのが取り上げられていましたので紹介します。

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日本におけるプレートテクトニクスの受容過程(その1 )−−高校、大学の地学の教科書に見る
地震や火山、造山運動などのさまざまな地球の活動を、地表を覆う十数枚の固い板状のブロック(プレート)の運動によって説明するプレートテクトニクスは1960 年代のごく短期間に誕生し、地球科学に革命を起こした。
日本にもその誕生につながる先駆的な研究がいくつか存在した。
だが、日本ではプレートテクトニクスが地球科学の研究者の多くに受け入れられるようになったのは、80年代に入ってからである。欧米に比べると、十数年も遅れたといわれる(松田:1991 )。特に地質学の分野では強固な反対があったことが、大きな特徴である。その事情の解明は、人間の社会的な営みとしての科学研究の生々しい側面を浮かび上がらせるとともに、研究者集団のあり様を考える上で参考となることが期待される。
ここでは、その手始めとして高校と大学の地学の教科書で、プレートテクトニクスがどのような時期にどのような人によってどのように紹介・取り扱われたかを調べた。
高校の教科書では、1970 年には海洋底拡大説や大陸移動説、マントル対流説を紹介した教科書が登場し、73年にはすべての教科書にプレートテクトニクスないしは海洋底拡大説が記述されている。一方、大学の教科書向けに出された本では、一部では60 年代後半に海洋底拡大説などが登場するが、すべての本にプレートテクトニクスが紹介される(肯定的なもの、批判的なものが混在するが)のは70 年代後半になってからである。高校の教科書に比べると、大学の教科書での紹介の遅れや批判的な扱いが目につく。

このような「逆転現象」を生んだ背景には、高校の教科書の場合には、すべて数人の共同執筆であり、その中には地球物理学者も含まれていること、文部省の新指導要領が73 年から施行され、地学Kでは「大陸の移動」を扱うよう定められたことが大きく影響していると思われる。これに対して、大学の教科書の場合は、地質学者が一人で執筆したケースが多く、執筆者の立場によって紹介の仕方に大きな差があるのが特徴である。地質学者の間でもプレートテクトニクスの受け入れ方はかなり多様で、最後まで受け入れを拒んだのはごく少数の人々だったように見うけられる。
このような逆転現象が、地学教育のうえでどのような影響をもたらしたかについても考察する。
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教科書に書いてあることでも自分の頭で納得できるまで考えようとする人にはプレート論の矛盾は山ほどあるはずです。
そういう人は教師の中にも居られるはずですが、信念を曲げてまで間違いと思うことを教えなければならない先生方はお気の毒だと思います。
プレートテクトニクス仮説論争という記事も大変面白いです。

1142
2006-02-14 (Tue)
アスペリティー批判
ここまで来た地震予知研究という講演概要がありました。アスペリティーという概念がこのところ重要視され、地震予知に大きな力を発揮するのではないかと期待がされているようです。
一枚のプレートのなかで、固定している(アスペリティー)部分と、ずるずる自由に滑る部分がどうして存在しえるのか、私には理解が出来ませんが、講演要旨を抜粋して紹介します。
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ここまで来た地震予知研究
東北大学理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター
センター長   長 谷 川  昭 (はせがわ あきら)
〔講演概要〕

最近の研究の進展により、プレート境界地震については、その発生に至る応力集中機構を理解できる見通しがついてきました。プレート境界地震はそれまで固着していたプレート境界面で固着がはがれ急激にすべることにより発生します。ところが、プレート境界面上でしっかり固着している場所(アスペリティ)は一部分であり、ずるずるとゆっくりすべる領域に囲まれてパッチ状に分布していることがわかってきました。周囲のゆっくりすべりがアスペリティに応力集中をもたらし、それが強度の限界に達すると地震発生となります。従って、地震の予測には、アスペリティの周囲でゆっくりすべりがどのように進展していくかを捉えることが決定的に重要です。我々は次の宮城県沖地震の前に生じるであろうゆっくりすべりを捉えるべく研究について紹介しました。
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アスペリティに関してはこれまでにも、[222][689];、で紹介してきましたが、GPSの観測結果に意味を持たせたいために考え出された苦肉の策ではないのかと思っています。

また、実際に大地震の予兆として観測されたゆっくり滑り(スロースリップ)の例は報告されていないと思います。[1134]に紹介したスロースリップ現象でも大きな地震は発生しませんでした。
いつまで測地学的な地震予知の手法を頼りにするのでしょうか、早くそれ以外の電磁気学的な方法または水素濃度の検出法の研究などに取り組んでいただきたいと思います。

1143
2006-02-18 (Sat)
”プレートは実在しない”という見解
[1140]で紹介した、佐藤完二氏の「新しい地球観を求めて」(自然科学教育研究所発行)という本を著者からご恵送いただき、読んでいます。

地学の素人にとっては驚くべき内容がいっぱいでした。「プレートは実在しない」と言い切っておられますが、私も同じ思いです。
内容の多くは「新しい地球観を探る」(藤田至則他著、愛智出版)からの引用であるということですので、そちらも今取り寄せていますが、佐藤氏著作の第一章「プレートテクトニクス批判」にある各節のタイトルだけを紹介しておきます。

1.世界海底地図を真実と教えてはならない
2.世界海底年齢図を真実だと教えてはならない
3.古地磁気のデータを鵜呑みにしてはいけない
4.ハワイ諸島の年代を真実だと教えてはいけない
5.付加体を真実だと教えてはならない
6.VLBIやGPSの数値を鵜呑みにしてはいけない
7.山地は圧縮によって出来ると教えてはならない
8.プレートテクトニクスの説明に誤魔化されてはいけない
9.プリュームテクトニクスを真実だと教えてはいけない
10.プレートは発想の転換の産物である プレートは実在しない

タイトルだけを見るとこれまでにこのセミナーで展開してきたテーマと同じようなものばかりで、驚いています。内容に関する詳細はゆっくりと勉強してから紹介させていただきたいと思いますが、海底の岩石に記録された古地磁気が作る縞模様http://www.ailab7.com/kiteretu.html

http://www.ailab7.com/kaitei.html

というのは、古いデータに基づいたものであり、新しいデータで解釈すると、モザイク状になって明確な縞模様にはならないそうです。海底年齢図の解釈とか海底の年齢2億年とかいう話の信憑性も疑わしいようです。
いつか、とりまき氏からセミナー[355]で、つぎのようナコメントをいただきました。
「9.大陸移動は激変的に起きる:引用された図が古いです.大西洋の底の年齢は深海掘削によってほぼまんべんなく調べつくされていて,地磁気縞も全海域に渡って存在する事がわかっています,白亜紀地磁気静穏帯の存在も考慮しなければなりません.」

しかし、新しいデータを入れると縞模様にはならず、全体の解釈に狂いが生じるというのが本当のところのようです。

また、大陸移動の証拠を見出したとして採用されたデータが恣意的に選択されているのではないかと疑念を抱いておりますが、そうした疑いが深くなるような知見がいくつか載っております。

佐藤氏は長年教育の現場のおられたそうです。プレートは実在しないと考える同僚は他にもおられるようですが、プレート説一色になっている教科書で教壇に立つのは大変に心苦しいことだろうと思います。
それにしてもプレート否定論がどこからも聞こえてこないで、そうした趣旨の出版を妨害するような動きがある社会というのは恐ろしい言論統制社会のような気がします。

1144
2006-02-20 (Mon)
虚心坦懐にものをみなくてはならない
グローバルテクトニクスの新概念(NCGT)というニュースレターNo29(2003/12)に
「地震エネルギーの伝搬―科学的地震予知を目指して―」という論説がありました。
NCGTはNew Concepts in Global Tectonics の略でプレートテクトニクスの観点に即座には適合しない創造的な考え方を紹介し、検閲や差別および犠牲があった場合の広報と援助を目的として組織されているようです。

日本でも実質的にはプレートテクトニクスに異論を唱えるような論文発表はできないでしょうし、書物の出版は制約を受けるだろうと思います。
こうした健全な組織のあることを始めて知りましたがプレート論があたかも真理であるかのように思われ、言論統制的な社会風潮がある中でささやかな救いを感じます。
さて、その論文では地震エネルギーが深発地震面に沿って地球深部から浅部に伝搬されると考えていますので、抜粋して紹介します。

「この論文の年下の著者の一人(Choi,2003)は、太平洋縁辺における深部のテクトニクスと深発地震の研究にもとづいて、つぎのような結論をみちびいた。

;和達一ベニオフ帯(W-B帯)はプレートの沈み込みとは関係なく形成された。つまり、太平洋巨大海盆の相対的沈降に密接に関連しながら形成されたもので、それは、地球の冷却過程でつくられる一種の割れ目帯である。また、巨大海盆の沈降は、サージテクトニクス(Meyerhoffほか,1992)で考えられているように、深部から浅部ヘマントル物質が上方へ抜け出していくために起こる。そして、W-B帯に沿うエネルギー伝搬というBlot(1976)の概念は、このことを十分に確証している。深部マントルから地表へのエネルギー移動が、地殻や上部マントルの造構作用の原因であるとする論文は、Beloussov(1966)、Artyushkov(1983)、Funajhashi(2003)などをはじめとする多くの研究者が著している。」


しかし、地震エネルギーとは一体どのようなものなのかの説明はありません。W-B帯という深発地震面がプレートの潜り込みではないというのは正しいと思いますが、地球が収縮するときの一種の割れ目帯というのは納得できません。深発地震面はマリアナ海溝付近では垂直になっていますので、収縮による割れ目とは考えにくいと思います。

このように、著者(Blot.Choi.Grover)らの考え方でもあるサージテクトニクスとか、W-B帯に沿うエネルギー伝搬、あるいは地球の冷却過程でつくられる一種の割れ目帯という説には賛成はできませんが、新しい考え方を封殺するのではなく、自由に発表して議論する運動は大切なことであると思います。
また著者らは最後に次のように書いております。
「プレートテクトニクスモデルは地震メカニズムを説明できず、それゆえに、予知には使えない。現在、地震予知科学とプレートテクトニクスの全般ががおちいっている窮地は、この事実を巧みにうらづけている。プレートテクトニクスに反する確実なデータがすでに厖大に集積されていて、それらを無視することは誰にもできない。地震は、プレートテクトニクス仮説以外の別の視点から研究されなくてはならない。

地震がもたらす甚大な社会経済的影響を考えると、地球科学者は虚心坦懐にものをみなくてはならない。そして、偏見なしに確実な証拠を直視し、より有効性のある造構仮説を構築するために改心する必要がある。」

以上ですが最後の主張はたいへんに重要なメッセージであると思います。測地学的な予知手法に拘り続けている日本の地震学者、気象庁を初めとする関連官庁の関係者に是非読んでいただきたいメッセージであると思います。

なお、石田理論におけるW-B帯の解釈に関しては深発地震面はプレートの潜り込む面ではないおよび
深発地震は何故海溝部にしか起きないのか;などを参照してください。

1145
2006-02-21 (Tue)
深発地震の発生理由に関する質問
ある方から質問がありました。
ニューオフィス26の中にある図―2の解説に関してのものです。

図ー2 A〜B区間の解離水と結合水の構成と地震の発生、深部まで地震は続く。

「図ー2はA〜B区間の解離水と結合水の構成を模式的に示したものですが、ニューオフィス23に示したように、高解離度領域に入るたびに、解離水→爆発→結合水を繰り返して、結合水が無くなるまで地震は続きます。」・・と解説してあります。
高解離度領域に入ったときにその深さでの解離能力以上に解離ガスが発生し、能力を超えた解離ガスが爆発して結合水に戻ることが深発地震の原因であるとしているが、解離能力以上の解離ガスが発生することはないのではないか、解離能力を超えて発生する理由は何か・・・

という質問でした。

たしかに図−2の解説では要領を得ませんが、これは溶融マントルが対流する過程で渦が発生し、いったん高解離度領域に潜ったマントル物質の一部分が上部の低解離度領域に逆流するために起こる現象であると解釈すればいいと思います。
渦流が出来なければ、結合水が解離水に変換するだけで、地震は発生しないことになりますが、対流に伴う渦の発生が地震発生に関連していると考えてください、とお答えしました。

なお、図ー4の場合の海嶺部でマントルが上昇する場合には、渦流が発生してもしなくても解離能力を超えた解離ガスは爆発結合して結合水に戻ります。

納得できない説明などがありましたら、メールにて質問していただければありがたいと思います。

1146
2006-02-21 (Tue)
水があると岩石は簡単に溶融する
[1110]のhiromi氏からまた以下のような質問をいただきました。
「超臨界水ってなんだろうと思い、ネットで検索していましたら、
富士火山の下でのマグマと H2O フルイドの間の超臨界現象
日産科学振興財団研究報告書 25 (2002)
http://www.nissan-zaidan.or.jp/josei/houkoku/h01-0034.PDF

と云うのがありました。
太字で表示した部分の意味を解説いただけたらありがたいのですが・・・。
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3.研究成果

 富士火山の1707 年の噴火によって噴出したデイサイト(70%SiO2)と安山岩(60%SiO2)マグマと、H2O フルイドが、お互い完全に固溶し超臨界条件になることを観察した。
 地球内部において、H2O とマグマが同一相になってしまうということは地球内部の物質進化を考える上で貴重な情報である。従来の考え方では、地球内部を構成する固体(岩石)が温度の上昇、または、圧力の低下によって、「ソリダス温度」を超えると、部分融解が始まり、それがマグマの生成であると理解していた。H2O が加わると成分の数が増えるため、この「ソリダス」温度が低下しマグマはより低温度で発生すると考えられた。しかし、H2O とマグマが混和する条件があるということは、ある温度になると、H2O 中に溶け込むシリケイト成分(マグマの主成分は珪酸塩、シリケイトである)が急に増大するということを示している可能性がある(Figure 3)。このことは、富士火山直下の低周波地震の震源付近で動いているものが、H2O フルイドなのか、マグマなのか区別できないことを示している。

もし、そういうことが天然で一般的に起こっていると仮定すると、もはや、H2O を含む条件での「ソリダス」温度というものは意味をなさなくなる。つまり、ある温度になると、H2O にどんどんシリケイトが溶け込んでいって、マグマが発生するということになる。

今後、マグマの組成と混和現象の起こる温度圧力条件を更に理解していくことが重要である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
以上が質問の内容です。メールでは簡単に以下のようにお答えしておきました。

「メールありがとうございます。超臨界水とは水が高温・高圧になると、気体と液体の両方の性質を持って挙動するようになる現象です。
いろんな物質が溶け込む度合いが急激に高くなるので応用技術としてコーヒー始めいろんな香料などの抽出技術に超臨界水を使っています。
岩石なども簡単に解けるようになるという笠原先生の研究などがあります(セミナー[702] http://www.ailab7.com/log/eqlog701-710.html 参照)。
水の三態と超臨界の関係図は次のページhttp://www.ailab7.com/rinkai.html 図ー1を参照してください。
太字部分の解説は後ほどセミナーに紹介させていただきます。」・・・・以上

さて、太字部分の解説ですが、東濃新報にも解説しておきましたが、東北大学の研究発表でも、地下400kmの深部でマグマが溶融している可能性があると発表されたように、マントル物質は溶融している可能性があることを示しているものだと思います。

「「ソリダス」温度というものは意味をなさなくなる」というのは、岩石が固化するのは何度か、というような問題はマントル中に水が存在している場合には意味を成さなくなるということです。水が放出され切ってしまった岩石を実験室の高熱発生装置のなかで加熱し、溶融する温度を計測したところでそのデータは使い道がないということです。
笠原先生の研究、東北大学の研究、そしてここに示された京都大学の研究が言っていることは、地球内部のマントル(2900kmまで)は固体ではなく、溶融していることを証明しているのではないでしょうか。
しかし、これはこれまで信じられてきた地震学がガラガラと音をたててくずれていくことを意味するので認めるとすれば大騒動になるでしょう。

1147
2006-02-23 (Thu)
プレートの移動論に矛盾する岩石
「新しい地球観を探る」が届いたので、勉強し始めました。
セミナー[687]でも紹介しましたが、(藤田先生の書籍にある)海洋底の古い岩石のデータを示す図が載っていました。

これは海嶺の頂部から測った距離(横軸)と採取された岩石の年代を示したものです。実線は海洋底拡大の証拠とされたグローマーチャレンジ号が採取したデータですが、その後のデータはバラバラになっていて海洋底拡大説は成立しないとメイアホフは述べています。

・334というデータは海嶺からわずか100km地点で採取されたものですが、1億8000万年より古いものです。逆に・23は2000km以上離れていますが年齢は2000万年前のものです。海洋底拡大が正しいのなら一億年前の岩石のはずです。藤田先生は大海嶺から30億年前というとんでもない古い岩石が発見されていると述べておられます。海洋底拡大説、海洋底の寿命2億年説、プレート移動説などというのは初期の観測データから早とちりして解釈した説のように思います。

1148
2006-02-23 (Thu)
hiromi氏からのメール
「私は、地球を特別視している現状を不思議に思います。」というhiromi氏からの考察が届きました。三つの論文紹介という研究情報も入っておりますので全文を紹介します。
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地球は、外側から見れば、固体、液体、固体の構造をしているが、太陽系の惑星の中で唯一固体の核を持つ、イレギュラーな存在となっています。

これは、地震波、
P波、S波の到達時間結果から、内部において、固体がなければ地球裏側のS波の到達状況が説明できないことから、地球を例外な存在においたものと思われます。
山賀 進さんのホームページには、高校生用にわかりやすく一連を、図解してありました。
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/chikyunokozo-02.htm

a. 遠い地震の距離の測り方
b. 地震波の影(シャドーゾーン)
c. マントルと核
d. 外核と内核
e. 地球の層構造

グーテンベルグ不連続面の説明文と『地球内部を伝わる地震波の経路:東大地震研「人工地震による地下構造調査」』図を眺めると、確かに、地震発生源と到達点とは放射状にむすばれていません。
地球内部を見ないようにして、地下構造調査図の地球表面だけを見ていたとき、内核固体説だけが解を得る唯一の手段なのだろうかと思い、ない知恵をふりしぼった結果、地球内部がすべて液体であったとしても、均一ではないはずという考えがわいてきました。

周波数に着目して、物体の状況変化にともなう周波数伝達特性の実験を誰かが行っていると仮定し、ネットで検索しました。
(よく考えたら、石田先生も流体の専門家でしたね。)

東京農工大学工学部機械システム工学科の亀田正治さんが研究しておられました。亀田教授は「気泡を含む液体中を伝わる圧力波」の研究をされています。そのいっかんで、市原さんと共同研究されているようです。
http://www.tuat.ac.jp/~kamelab/list2/index.html
火山噴火現象を見極める研究
研究紹介記事(市原・亀田, 可視化情報 Vol. 22, No. 87 (2002), pp. 223-228)
(1) 流動にともなうマグマの破砕 〜爆発的噴火の機構解明に向けて〜
 火山の爆発的噴火時におきる「マグマの破砕」の物理過程を明らかにする。破砕とは、マグマ中に溶解している気体が,噴火時の急減圧に伴い析出・発泡する現象である。このようなマグマが火口に達すると,中に含まれる気泡のために飛沫状となって噴出し、激しい噴火現象として観察される。本研究室で所有する100気圧まで加圧ができる円管流動実験装置を用いて、このプロセスに関するモデル実験を行う。

(2) 高粘度気液二相流の円管内流れ
 火山噴火の原因は、大まかには、マグマに含まれる、ないし、マグマの周りにある水などの揮発成分が何らかのきっかけで気化、膨張することにある。本研究では、噴火時のマグマ流動を模擬する室内実験装置を用いて、気泡を含む高粘度流体の円管内流動特性を明らかにするためのモデル実験を行っていく。
可視化情報 Vol. 22, No. 87 (2002 年10 月) pp. 223-228.
http://www.tuat.ac.jp/~kamelab/list2/jvsj2002.pdf
火山噴火を解き明かす〜室内実験の試み〜
市原 美恵**・亀田 正治
3ページより
しかし,これまでの多くの解析は、マグマ ガス系の気泡流でも、水 空気系と同様の音響特性を有する、ということを前提として行われて来た。果たしてそれはどうか? マグマは、少なくとも水の1000 倍以上の粘度を持つ。中には、10 億倍もの粘度を示すものもある。このような高粘度液体中でも、水 空気系と同じ議論が成り立つのであろうか。

そこで、筆者らは、マグマレベルの高粘度流体に気泡を含ませた系を作り、その媒体中における弱い衝撃波の伝播挙動を実験的に調べてみることとした。高粘度流体としては、シリコーンオイル(信越化学 KF96H-1M,密度 978 kg/m3)、水あめ(密度1400 kg/m3)を用いた。この二つの流体の静的な粘度は、約1000 Pa s とほぼ同じである。
実験データにばらつきは見られるものの、水あめ中の伝播速度は、シリコーンオイルや式(1)で見積もった速度に比べて、明らかに大きい。この伝播速度の差は、これらの流体が異なる粘弾性物性を有することに起因している。
http://www-jm.eps.s.u-tokyo.ac.jp/2001cd-rom/pdf/ak/ak-007.pdf
火山の振動に見られる気泡の影響
市原 美恵
まず、気泡を含む粘弾性流体中の圧力波の分散関係式を解析することにより、次のことが示される。第一に、粘弾性流体中の気泡の運動や、気泡群中の圧力波の伝播特性は、流体の粘性と剛性に大きく影響される。剛性が小さい粘弾性流体の場合、気泡運動は弾性要素に支配され、周囲の圧力変動によく追随する。剛性が大きい流体では、弾性変形の寄与が少なく、粘性が支配的になる。マグマは、後者に属する。第二に、粘性率に支配される場合、粘性率により、気泡運動が追随できる圧力変動の周波数の上限ができる。それより高周波で、気泡が変形しなくなると、気泡の影響による音速の低下も起こらない。

以上の三論文を自分なりに解釈したのですが、地球内部は、表面に近い場合、外気にさらされているので粘性が高いが内部に行くにつれて粘性が低くなり、内部に行くほど高圧化の影響で粘性が高くなるといった構造をしているのではないかと。

つまり、亀田教授の実験を当てはめれば、地球外側から中心にむかって、ゆるやかに(バウムクーヘンのように)水あめ、シリコーンオイル、水あめの構造をしていると思われます。
水あめの状況下では、周波数の伝播速度が速く、シリコーンオイル状況下では伝播速度が遅い。
これを、さきほどの東大地震研「人工地震による地下構造調査」図に当てはめれば、同様の解が得られるのではないでしょうか。

しろうと考えですが、メールさせていただきました。
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以上がhiromi氏からのメールです。三論文を詳しくは読んでおりませんが、走り読みすると、音波、超音波、衝撃波の挙動を調べた研究のようです。こうした波は地震のP波と同じ粗密波であって媒質が波の進行方向に前後に動きますが、S波は媒質が進行方向に上下左右に動きます。固体ならば両者とも進行できますが、液体ではP波しか進行できません。

また層構成された液体ですと、マントル対流などが説明できないように思いますが・・・。

1149
2006-02-23 (Thu)
深さによって変わる地磁気異常の縞模様
ライブラリー28に紹介した星野先生の次の文章にあるデータが「新しい地球観を探る」に載っていました。

「中央海底山脈で湧き上がったプレートは、そこで特有の地磁気の性質を与えられ、この性質は、移動するプレートに伴って海底を動いていく、といわれていた。これはブレート説を支える重要な柱である。ところが、海底の岩盤を掘って調べてみると、上層の試料と下層の試料で、地磁気の性質がちがっている例が知られた。このことは、海底の岩石層は、一枚のプレートとして湧き出したものでないことを示している。」


これは大西洋中央海嶺でのボーリングで得られた資料です。船上では海底表層と同じ正帯磁の異常だったそうですが、その下部に3回の磁気逆転を記録していたのです。
これは、海底プレートが一体となって移動しているというプレート論にとってはまったくの矛盾したデータです。「新しい地球観を探る」には次のように書いてありました。

「大西洋中央海嶺下に、20〜30万年×3回というきわめて長い時間にわたってほとんと水平に移動しなかった海洋地殻が存在していたということは、その海嶺付近では、海洋底の拡大が長い年代にわたって行われなかったことを意味する。このことは海洋底拡大自体の否定につながるのではなかろうか。」
海洋底拡大はプレートテクトニクス理論にとっては大きな論理構成の柱です。これだけ明確な否定材料があるのに、地震学者はまだプレート論にこだわるのでしょうか。
それではこの4層の磁気異常はどうして記録されたのでしょうか、推定をして見ます。

石田理論では、磁気の縞模様というのは海嶺頂部から噴火によって押し出された溶岩が山腹斜面を流下して固まるときにそのときの地球磁場を記録して帯磁するのではないかと考えていますが、そうした現象が何層にも渡って繰り返された場所があるということではないでしょうか。
掘削された約600mという深さは地殻のほんの表層であり、地殻本体は当然移動することなく海底地殻を長年にわたり構成していたのだと思います。600mという数値はグランドキャニオンの地層を想起すればほんの表層であることが分かります。
また、海洋底には大陸性の岩石なども発見されているそうですが、長い年月の間にはグランドキャニオンが経験してきたような、浮上と沈降を何回も経験したことがあり、海底にあって流下する溶岩に被覆されなかった高地には大陸性の岩石なども発見されるのだと思います。4層の磁気異常記録はそうした浮沈によって記録されているのかもしれません。

なお、図は伏角を計測したものですが、第一正帯磁ユニットのなかだけでも伏角が変化しています。伏角はその地点の緯度を表していますので、かなり地球の姿勢は変化しているのではないかと思います。グランドキャニオンの地層が教えてくれていることもそうですが、地球はポールシフト現象によってかなり頻繁に・・・といっても何万年に一回という程度ですが・・・太陽に対する姿勢を変えているのだと思います。

1150
2006-02-24 (Fri)
プレート説に矛盾する観測事実
「新しい地球観を探る」を読んでいて面白いことに気がつきました。「とりまき」さんは「大西洋の海底の年齢は深海掘削によってほぼまんべんなく調べつくされていて、地磁気縞も全海域に渡って存在する事がわかっています。」([1141]参照)と指摘されましたが、実は縞模様がない場所もあること、縞模様が海嶺の軸と直行せず斜交する(海洋底拡大説に矛盾)場所もあること、縞模様になって帯磁しているのは表層の枕状溶岩(地殻ではない)であること、などが観測事実としてあるという記述がありました。関連する図と文章を紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ところが、このような海嶺付近の地磁気異常帯が全く欠落しているか、観測されていない地域があるとも言われている
(Meyerhoff&Meyerhoff、1972)。

たとえば、アイスランドから北シベリアのラプテブ陸棚までの3700kmにわたる地帯、アイスランド南西のレイキャネス海嶺の南端からアゾレス海付近まての1500km、アフリカ南方のブーベ島北西から、北西インド洋のヴエ海溝までの7000kmにわたる地帯などでは、海嶺付近の地磁気異常は、欠落ないしは観測されていないという。こうした、世界の海嶺付近の地磁気異常帯で互いに比較することのできないような部分は全域に対して20〜30%におよんでいるという。」
「・・・注目すべき点はアイスランドから北東へ連なる地震の震央分布(海嶺軸)と、地磁気異常の縞模様とが斜交していることである。」

「海嶺軸の両側の地磁気異常の縞模様が対照的に分布するということは全く識別できない。」


「海洋地殻の第2層(図4.4の2A・2B)だけを磁化層と見る見方が強まった。(中略)一般的には、第2層のうちでも、2Aの部分(枕状溶岩)が磁化の主要な担い手ではないかと見られている。」

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こうした観測事実から判断すると、

「海嶺付近に見られる地磁気の縞模様というのは、海洋底の拡大を示すものではなく、海嶺からマグマが噴出し押し出されたとき(噴出しない場所もある)に流下した枕状溶岩がその時の地球磁場を感じ取って帯磁する現象である。海嶺が左右対称的な勾配を持つ場所では、海嶺軸に対象な縞模様が形成される場所もできるが、必ずしも海嶺軸に直交して流下するとは限らず、海底地形によっては斜交して流下する場合もある。」

ということのように思います。今勉強中ですが、プレート説に矛盾する観測事実はもっともっとたくさんあるようです。

なお、本日ライブラリー15の間違いを修正しておきました。海底から海中へ抜ける屈折波の射出角度に間違いがありました。失礼しました。

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