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1131 2006-02-03 (Fri) 全球凍結は誤解である(2) 「全球凍結事変の証拠を明らかにした」と述べているのはハーバード大学のホフマン教授であるらしい。 ----------------------------------------------------------- ■P. F. ホフマン/D. P. シュラグ 今から6億年前に気候の大変動が起きた。原生代後期に起きた,この時の大変動は熱帯さえもが凍るほどの,とんでもない氷河期であった。当時の生物界は明らかな動物が登場する前だった。 当時の地球を宇宙から眺めたら,全球真っ白に雪で覆われた地球が1000万年かそれ以上の間,宇宙空間をさまよう姿が見えただろう。ただし,地球の芯にあるドロドロに融けた高温の金属の核から地表へと放出される熱のため,海洋底までがすべて凍ることはなかったはずだ。しかし地表は−50℃にもなり,海面は1kmほどの厚さの氷に覆われた。いわゆる「全球凍結」だ。 当時の生物のほとんどは死滅した。きしむ氷河とうなる海氷のかたわらでは,場所によっては火山が噴火して氷を溶かし,熱い頂上をむき出しにしていただろう。地球は,生命にとっては万事休すのようなこの極低温の状態から二度と温暖にならないように思えた。だが,火山はマグマとともに二酸化炭素を大気に放出し続けて,ゆっくりとだが極寒の気候から脱出する準備をしていた。 常識では信じられないかも知れないが,7億5000万年から5億8000万年前の間に極端な寒冷化と温暖化が繰り返し4回も立て続けに起きたことを示す明確な証拠を私たちは発見した。今まで科学者は,地球の気候にはそこまでの激しい変化はなかったと思い込んでいた。しかし,地球の双子星である金星ではそのような激しい気候変動があったことが広く受け入れられている(M. A. ブロック/D. H. グリンスプーン「金星を襲った気候激変」日経サイエンス1999年6月号)。 著者 Paul F. Hoffman/Daniel P. Schrag 両名ともハーバード大学。全球凍結仮説を発展させるためにさらに緻密で巧妙なモデルを提案。ホフマンは野外地質学者で初期地球の歴史を解明するため古い地質時代の岩石の研究をしてきた。彼はナミビア北西部の一連の調査で原生代後期の全球凍結事変の証拠を明らかにした。 シュラッグは海洋地球化学者で,珊瑚礁や深海堆積物や炭酸塩岩の化学的同位体変動を使って,数ヶ月から数百万年のタイムスケールの気候変動の研究をしている。共同でナミビアの地質学的,地球化学的証拠を解釈して,全球凍結とその余波の関係を究明した。 ----------------------------------------------------------- 全球凍結に至った理屈も凍結が解除された理屈も、角皆先生指摘のようにとても信じられるものではありません。 氷河期とか全球凍結という概念は、地球の姿勢が不動であるという誤解から発想された結果です。しかし、これには生物関係の学者からは賛同が得られないようです。 |
1132 2006-02-05 (Sun) 海底の寿命説に疑問 グランドキャニオンの地層にはいくつかの年代の岩石層が存在しない、いわゆる不整合というものがあるそうです。図に示すと概略次のようになります。 現在から2億5千万年前までの地層も存在しないようですが、こうした空白の期間というのは、大陸が地上にあって、侵食を受けている期間とみることが出来ます。空白でない期間(赤色で示す)には北米の大陸は海底にあって土砂が堆積した期間と考えられます。 この図を見る限り、アメリカ大陸はこの20億年の間に3回の浮上を経験したこと、20億年より前には地上にあったことなどが分かります。 以前にもコメントしたことがありますが、海底の寿命は2億年であるというのが腑に落ちません。 と以前にコメントしましたが、20億年まえの地層まで存在しているそうで、海底の寿命2億年というのは理解に苦しみます。 とりまき氏からはセミナー[355]14において、 「「海洋」と「海洋底地殻」が混同されています。大陸地殻が水面下に没しても海洋底地殻になる事はありません。」 というコメントをいただいていますが。グランドキャニオンが海底にあったとき、ここは海洋底地殻ではないと言えるのでしょうか、疑問に思います。 また、セミナー[687]では藤田先生の書物から、次のような記事を引用させていただいています。 「大西洋の大海嶺からは、三十億年前の岩石が見つかっている。また、同じ大西洋の大海嶺から中生代の白亜紀(約一億年前)の蛇紋岩がみつかっている。また、太平洋の海嶺からも、始新世(約六干万年前)の岩石や、中新世(約二千万年前)の岩石も発見されている。このような岩石の存在について、大洋拡大説を信じている人たちは、古い時代の岩石が、何かの原因でとり残されたものと解釈している。これでは一度ならず、二度、三度と、偶然的なことが生じると、考えなくてはならない。それはもはや偶然とはいえない。」 太平洋の海嶺ならば、誕生したばかりのプレートのはずであり、始新世(約六干万年前)の岩石や、中新世(約二千万年前)の岩石があることはプレート論に矛盾します。 以上の疑問に関して、地学を専門に勉強された方が居られましたら教えていただきたいと思います。
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1133 2006-02-06 (Mon) 三河地震の体験談 「三河地震60年目の真実」木股文昭ほか著(中日新聞)という書を入手しました。三河地震の体験談は以下のセミナーでも「「忘れじの記」からの学び」として紹介しましたが、新しい体験談がありましたので、紹介します。 http://www.ailab7.com/log/eqlog721-730.html http://www.ailab7.com/log/eqlog731-740.html -------------------------------------------------- 不思議なことは、西の方を見ていたら、空を飛んどる鳥が、ハトか何かが、群れて飛んでるのがパタパタ落ちちゃうんです。空気の震動か何かは知らないけれど、飛べなくなっちゃう姿をはっきり見ました。・・・以上(富田達躬氏談) ----------------------------------------------------- 重複しますので紹介しませんが、爆発現象のような「ドンドンドン」という音が聞こえ、艦砲射撃かと勘違いした・・という話など、セミナーで紹介したような話も載っております。 一つだけ気になったのは著者が「実は、地震発光現象が目撃される地震はほとんどなく、三河地震のように余震のたびに光ったという記録がある地震は他に例が無い。」と書いておられることです。ライブラリー4bに紹介したように唐山地震では真夜中にスイカの葉や茎まではっきり見えたという報告もあるくらいで、大きな地震では発光現象は付きものであります。 「二〇〇メートルほど離れたところの上空が突然明るくなって、大地をこうこうと照らし、西瓜の葉や茎までがはっきり見えたという。」 発光現象の原因は地下内部でMHD発電が起こっているからだと考えております。
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1134 2006-02-08 (Wed) スロースリップ現象は疑問である 独立行政法人・防災科学技術研究所が本日(2月7日)次のようなスロースリップに関するプレスリリースをしたそうです。抜粋して紹介します。 --------------------------------------------------------- 独立行政法人・防災科学技術研究所(理事長:片山恒雄)の調査研究の結果、2006 年1月7日から23 日にかけて、紀伊半島中部から愛知県にかけての広い範囲でプレート境界の短期的なスロースリップ及び深部低周波微動が観測され、それらの現象が、約200km の距離を1日約10km の速度で連続的に移動していたことが明らかになりました。 概要: それぞれの観測点における傾斜変化は最大でも0.1μradian(マイクロラジアン:1μradian は1km 先の地面が1mm 沈降したときの角度に相当)という非常に小さいもので、GPS 観測で検出することは困難です。周囲の観測点における傾斜変化データも活用し、スロースリップイベントの発生場所を推定したところ、微動の列に沿って5枚の断層面が並ぶことがわかりました。いずれも逆断層型で、プレート境界より上盤側のプレートが南東側にすべる動きを示します。5枚の断層運動によるエネルギーを足し合わせると、マグニチュードが6.2に相当します。 今回の活動は2005 年7 月以来で、このような現象は愛知県内及び紀伊半島においては約半年周期で発生しており、定常的な活動であるといえますが、今回のように伊勢湾を越えて連続的に移動したのは、これまでで初めての現象であると考えられます。 なお、深部低周波微動については、スロースリップと関連を有すると考えられています。 発生のメカニズムについては、現時点でよくわかっていません。 今回の活動の意義: 伊勢湾を挟む愛知県側、及び紀伊半島側では、フィリピン海プレートの形状は必ずしも明らかにはなっておらず、断裂または大きく屈曲しているとの報告もなされていました。 ---------------------------------------------------------- 以上がその内容です。 私にはスロースリップ(ゆっくりすべり)という現象があるとは思えませんので、「もう一つの地震学」としての立場から解説してみたいと思います。 [273]では「微動源は一ヶ所に留まらず、移動しやすい性質を持っています。四国西部では2001年1月には東から西へ、8月には西から東へ、1日に約10kmのスピードで微動源が徐々に移動する現象が見られました。」という記事がありますが、今回の現象もまったく同じものだと思います。 2001年の記事では「 低周波微動がなぜ発生するかは、まだわかっていませんが、その連鎖性や移動性を考えると、流体が関与していることはまず間違いないでしょう。このような流体の存在やその挙動が分かれば、沈み込み帯における地震の発生や地質形成を解明できる可能性があり、微動の「謎」解きは、とても重要です。」とあって、低周波微動の原因は分からないとされていますが、今回は「傾斜変化データも活用し、スロースリップイベントの発生場所を推定した」とあるようにスロースリップ現象と断定されている点に違いがあります。 しかし現象は2001年の深部低周波微動と同じです。「発生のメカニズムについては、現時点でよくわかっていません。」とあるのに、「スロースリップと関連を有すると考えられています」というのは憶測にすぎないのではないでしょうか。 また、[273]では、「石田理論の解釈では、低周波微動の震動源あたりに、巨大なマグマプールが出来上がっているのだと解釈します。大陸の沈降現象はこうしたマグマプールのもっと巨大なものが、何段にも無数に発達し、そこで巨大地震が連発して、大陸を沈降させてしまうのだと思います。」と説明しましたが、この地域に巨大なマグマのプールが存在しているのだと思います。 (日本地震学界誌「なゐふる」より) 微動の震源が移動するのは、解離ガスの爆発による影響が伝播して、解離度の変動が起こるためであると解釈出来ます。 「傾斜角度が変化する件は「最大でも0.1μradian(マイクロラジアン:1μradian は1km 先の地面が1mm 沈降したときの角度に相当)という非常に小さいもので、GPS 観測で検出することは困難です。」とありますが、それがどれほどの意味をもつものなか疑問です。 「深部低周波微動」から「スロースリップ」へと説明が発展しましたが、何故スロースリップと断定できるのか私には納得できません。 さらに、「5枚の断層運動によるエネルギーを足し合わせると、マグニチュードが6.2に相当します。」という解釈に関しても、単なる微動現象であるものがM6.2に相当する、というのは到底納得できるものではありません。
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1135 2006-02-08 (Wed) フィリピン海プレートの存在は疑問である 独立行政法人・防災科学技術研究所のプレスリリースに関して、質問がありました。 「深部低周波微動活動は、フィリピン海プレートの30〜40km等深線上に並んでいるので、プレート間の摩擦(スロースリップ)で微動が起きているとする説明は一応の説得性を持っているのではないか。石田理論で言えば、ここにもマントル対流があってマントルが北西方向に潜っているということになるのか。」 という内容です。 (宇津徳治「地震学」による) は深さ300km〜400kmにあり、フィリピン海プレートに関連するようなものはありません。 フィリピン海プレートの配置などを扱っている研究を見ると、震源の分布状況から、プレートの位置を推定しているようですが、そのようなプレートの特定方法には疑問があります。 地震が多く発生している場所と云うのはマグマを流すチャンネルが毛細血管のように緻密に走っている場所、または巨大なマグマ溜りがある場所であり、解離度が変化する機会が多いので地震が頻繁に起きている場所だと思います。これは地震空白域の解釈にも関連することですが、毛細血管のようにマグマが流れている場所を剛体のプレートが存在する場所と考えるのは間違いだと思います。むしろ、地震が少ない場所こそが剛体的な地殻であるはずで、プレートが存在するとしたら、地震が少ない場所であるはずです。 したがって、フィリピン海プレートを示す等深線というのは納得できませんし、フィリピン海プレートそのものの存在も疑っております。 深発地震面とは、熔融マントルが対流している姿であると考えていますが。日本近海の場合は太平洋の中央海嶺から浮上して、太平洋を移動し、日本海溝で地球内部へ沈んでいく対流があると思います。もう一つは伊豆諸島の地下深部で浮上し、九州・沖縄方面で沈み込んでいくマントル対流もあるのだと思います。前掲の図で沖縄方面(琉球海溝)に深発地震面があるのがそれであると思います。 |
1136 2006-02-09 (Thu) 不安を煽る新聞記事 独立行政法人・防災科学技術研究所のプレスリリースを受けて次のような新聞記事が出ました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 東南海地震の想定震源域、広範囲で地殻変動 防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は7日、東南海地震の想定震源域に沿った紀伊半島中部から愛知県にかけての広い範囲で、先月7〜23日、ゆっくりした地殻変動と微小な地震が同時に起きていたと発表した。 変動範囲は東海地震の震源域地下まで達していた。同研究所は「両地震の直接の前兆ではないが、今後の動きに注意が要る」と判断、国の地震調査委員会に報告する。 これと同時に、広い範囲で一日30〜100回近く、マグニチュード(M)1未満の体に感じないほどの小さな地震も観測された。 東南海地震の震源域付近でのこうした地殻変動は、これまでもほぼ半年おきに観測されてきた。しかし、200キロ・メートルにわたる広い範囲で連続して起きたのは初めてという。東南海地震は、今後30年以内に約60%の確率で発生すると予想されるM8・1前後の大地震。<br>(読売新聞) - 2月7日19時15分更新 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私はスロースリップ(ゆっくりすべり)という現象があるとは思いませんので、地下にあるマグマ溜りかマグマの管路のなかで、解離度の変化による小爆発が起こっているだけであろうと思っています。したがって新聞で報道するような性質のものではないのではないかと思います。 何故最後に「東南海地震は、今後30年以内に約60%の確率で発生すると予想されるM8・1前後の大地震。」を記して不安を煽るのでしょうか。こうした記事が頻繁に出されることが、肝心のときに警告不感症にさせてしまうことを心配します。
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1137 2006-02-11 (Sat) さしたる理由もなく変更されるプレート境界 産業技術総合研究所から、昨年6月に「関東直下の新しいプレート構造の提案」という研究発表があったそうです。 提案された新しいプレート構造には北アメリカプレートが消えています。 (「産業技術総合研究所」HPより)
プレートの論議に関しては卯田先生が「ほころび始めたプレートテクトニクス」(学研:最新科学論シリーズ「科学の危機」)というタイトルで取り上げ、「さしたる理由も無く北米プレート説が定説になった」と次のように書いておられますので、紹介します。 ----------------------------------------------------------------- (「科学の危機」より) これは、日本海中部地震ほどの大規模な地震はプレート境界でないと発生しないはずだという単純な理由による。だが、確かに巨大地震はプレート境界で数多く発生するものの、それ以外の場所で起こらないわけではない。しかしながら、ほかに格別な証拠もないのに何人かの研究者がこれに同調すると、この北アメリカプレート説は既成事実となった。 10年後の1993年には、「北海道南西沖地震」が起こり、津波が奥尻島を襲った。すると、この二つの地震の震源を結んだ線がアジアプレートと北アメリカプレートの境界だということになり、これによって北アメリカプレート説はすっかり定説になってしまった。 ところが、じつは2つの地震は発生のメカニズムが異なっている。日本海中部地震では、地震を発生させた断層は西側(日本海側)が東側(東北日本)に対して沈み込むタイプであったが、北海道南西沖地震ではこれとまったく逆に、断層の東側が西側に対して沈み込むタイプであった。もし2つのプレート境界がここにあるとしたら、一方のプレートが他方のプレートの下に沈み込んでいたり、上に乗り上げていたりすることになり、つじつまが合わない。 そこでこれを説明するため、今度はこのプレート境界は「形成されつつある」という考えが出された。 ----------------------------------------------------------------- 私は移動したり、陸側プレートの下に潜り込んだり、衝突して大山脈を作ったりするようなプレートというものがあるとは思っておりません。 |
1138 2006-02-11 (Sat) 北米プレートはどうなったのか 名古屋市の消防と防災サイトにも、東海地震の解説ページがあり、日本をとりまくプレートの様子が立体的に表示されています。ここでも、北米プレートは明確には描かれていません。ほかのサイトでは依然として東北地域は北米プレートの上に乗っていると解釈する図面が掲載されています。 (名古屋市の消防と防災サイトより) こちらのプレート解釈が定説になっているのなら、日本海中部地震や北海道南西沖地震の発振機構をどうやって説明するのでしょうか、二つの地震がどのような機構で発振したと説明するのか、ご存知の方は教えていただきたいと思います。 絵を見て感じる疑問 ・相模トラフから潜り込んでいくプレートは太平洋プレートに衝突するようにみえるが、衝突した後どうなるのだろう。 ・琉球海溝辺りで地球内部に潜り込んでいくフィリピン海プレートはどこで生まれどのような仕組みで運ばれてくるのか。 にある「関東地方周辺のプレートシステム」という論文でも、北米プレートの名前は出てきておりません。またフィリピン海プレートの姿に関しては3ケースのモデルがあるようで、はっきりした姿は決まっていないようです。
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1139 2006-02-13 (Mon) 地震連鎖のメカニズム 日経サイエンスに地震予知への新しい手がかりという記事がありました。大地震の後に大きな余震が続きますが、定説では「いったん大地震が起こると蓄積した応力が解放されるため、次の大地震が発生する確率は低くなると考えられている」はずであるのに、余震が起こるのは定説では説明できないことから考え出された新説ではないのかなと思いますが、この「応力誘発説」にも矛盾がありますので、抜粋して紹介します。 ---------------------------------------------------------------------------------------------- 予知への新しい手がかり 地震連鎖のメカニズム (前略)大地震が起こり、それに続く余震が収まれば、一般に数百年から数千年かけて地殻に応力が蓄積するまで,断層は静穏化した状態を保つ。多くの地震学者は今でもそう考えている。 しかし、最新の発見によってこの前提が覆り始めている。従来の予想と違って、地震は相互に影響し合っているというのだ。いったん大地震が起こると蓄積した応力が解放されるため、次の大地震が発生する確率は低くなると考えられている。これに対して新説では、震源となった断層の別の場所や近くの断層で、地震発生確率が実際には3倍に高まることもある。(略) この新しい仮説は「ストレストリガリング(応力誘発)説」と呼ばれる。その核心にあるのは、隣接する断層の変動や地震動によって生じるわずかな応力の変化に、意外にも断層は敏感に反応するという新たな事実だ。これまでの地震記録や断層運動に関する計算結果から、次のようなことがわかった。地震によって解放される応力は消えてしまうわけではなく、震源断層から周辺の地域に再分配され、その後も集積したままとなるのだ。 こうした応力の急激な増加によって、次の地震が起こりやすくなる。さらに1992年から20あまりの断層を調べた結果、自動車タイヤを膨らませるのに必要な空気圧の1/8ほどの応力が増えただけでも、地震が誘発される可能性があると考えられるようになった。 これまでは、大地震の間にこうした微妙な相関関係が存在するとは誰も考えておらず、地震予知に役立てようという発想もなかった。だから、新たな地震予知の手法として受け入れることに懐疑的な科学者が多かったのも無理はない。しかし、カリフォルニア州や日本、トルコで、大地震の後に続いて起こった地震の発生地点やその頻度をうまく説明できたことから、応力誘発説への信頼が高まっている。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------- 以上がその記事です。 @「大地震が起こり、それに続く余震が収まれば、一般に数百年から数千年かけて地殻に応力が蓄積するまで、断層は静穏化した状態を保つ。」と信じられているとありますが、大地震の後に余震が続くことも不思議です。ひずみが開放されたのならば余震が起こることは説明がつかないと思います。 A「いったん大地震が起こると蓄積した応力が解放されるため、次の大地震が発生する確率は低くなると考えられている。」とありますが、@と同じことですが、応力が開放されたのならば、余震が起こることは説明がつきません。 B「地震によって解放される応力は消えてしまうわけではなく、震源断層から周辺の地域に再分配され、その後も集積したままとなるのだ。」とありますが、応力と「ひずみ」とは密接な関連があり、「ひずみ」が無くなれば応力もなくなるはずです。応力だけが再配分されて残るというのは矛盾があります。応力が残るのであれば「ひずみ」も残るのであって、そうだとすれば、「ひずみ」が蓄積されて限度を超えるから地震が起こるという定説も、応力誘発説という新説も矛盾があると思います。 地震はやはり、解離ガスの爆発が周囲の解離層を乱すために、解離⇒爆発(結合)⇒解離という一連の化学反応が起こっているからであると思います。したがって余震は解離層が安定するまで続くことになります。 また、「自動車タイヤを膨らませるのに必要な空気圧の1/8ほどの応力が増えただけでも、地震が誘発される可能性がある」と述べていますが、圧力増加が直接的に地震を誘発するのではなく、圧力増加がマグマを移動させるために解離度の変化を起こさせることが原因であるという解釈のほうが説得性があると思います。 |
1140 2006-02-14 (Tue) 科学教育研究協議会について ネット検索で「科学教育研究協議会(科教協)」という団体があるのを知りました。 「科学教育研究協議会(科教協)は、自然科学教育関連としては日本最大の民間教育団体です。」という説明がありますが、そのサイトを見ていて興味深い記事を見つけました。2004年12月例会報告となっている記事から紹介します。 ――――――――――――――――――――――――――― 新潟県中越地震はなぜ起きたのか 佐藤完二 「地震学者と地質学者の対話」(東海大学出版会)の引用は面白い。 学校での教育者の中には、プレート論や定説地震論に疑問を抱いておられる方もあるように感じました。 |
1141 2006-02-14 (Tue) プレートテクトニクスの受容過程 プレートテクトニクスは高校や大学の教科書にも載っているそうですが、高校の教科書のほうが早く完全洗脳されたそうです。 いまやマスコミを含む日本中が洗脳されていますが、これに異を唱えることは至難の業です。受容過程というのが取り上げられていましたので紹介します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー このような「逆転現象」を生んだ背景には、高校の教科書の場合には、すべて数人の共同執筆であり、その中には地球物理学者も含まれていること、文部省の新指導要領が73 年から施行され、地学Kでは「大陸の移動」を扱うよう定められたことが大きく影響していると思われる。これに対して、大学の教科書の場合は、地質学者が一人で執筆したケースが多く、執筆者の立場によって紹介の仕方に大きな差があるのが特徴である。地質学者の間でもプレートテクトニクスの受け入れ方はかなり多様で、最後まで受け入れを拒んだのはごく少数の人々だったように見うけられる。 |
1142 2006-02-14 (Tue) アスペリティー批判 ここまで来た地震予知研究という講演概要がありました。アスペリティーという概念がこのところ重要視され、地震予知に大きな力を発揮するのではないかと期待がされているようです。 一枚のプレートのなかで、固定している(アスペリティー)部分と、ずるずる自由に滑る部分がどうして存在しえるのか、私には理解が出来ませんが、講演要旨を抜粋して紹介します。 -------------------------------------------------------------------------------------------------- ここまで来た地震予知研究 東北大学理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター センター長 長 谷 川 昭 (はせがわ あきら) 〔講演概要〕 最近の研究の進展により、プレート境界地震については、その発生に至る応力集中機構を理解できる見通しがついてきました。プレート境界地震はそれまで固着していたプレート境界面で固着がはがれ急激にすべることにより発生します。ところが、プレート境界面上でしっかり固着している場所(アスペリティ)は一部分であり、ずるずるとゆっくりすべる領域に囲まれてパッチ状に分布していることがわかってきました。周囲のゆっくりすべりがアスペリティに応力集中をもたらし、それが強度の限界に達すると地震発生となります。従って、地震の予測には、アスペリティの周囲でゆっくりすべりがどのように進展していくかを捉えることが決定的に重要です。我々は次の宮城県沖地震の前に生じるであろうゆっくりすべりを捉えるべく研究について紹介しました。 また、実際に大地震の予兆として観測されたゆっくり滑り(スロースリップ)の例は報告されていないと思います。[1134]に紹介したスロースリップ現象でも大きな地震は発生しませんでした。 |
1143 2006-02-18 (Sat) ”プレートは実在しない”という見解 [1140]で紹介した、佐藤完二氏の「新しい地球観を求めて」(自然科学教育研究所発行)という本を著者からご恵送いただき、読んでいます。 地学の素人にとっては驚くべき内容がいっぱいでした。「プレートは実在しない」と言い切っておられますが、私も同じ思いです。 1.世界海底地図を真実と教えてはならない タイトルだけを見るとこれまでにこのセミナーで展開してきたテーマと同じようなものばかりで、驚いています。内容に関する詳細はゆっくりと勉強してから紹介させていただきたいと思いますが、海底の岩石に記録された古地磁気が作る縞模様http://www.ailab7.com/kiteretu.html http://www.ailab7.com/kaitei.html というのは、古いデータに基づいたものであり、新しいデータで解釈すると、モザイク状になって明確な縞模様にはならないそうです。海底年齢図の解釈とか海底の年齢2億年とかいう話の信憑性も疑わしいようです。 しかし、新しいデータを入れると縞模様にはならず、全体の解釈に狂いが生じるというのが本当のところのようです。 また、大陸移動の証拠を見出したとして採用されたデータが恣意的に選択されているのではないかと疑念を抱いておりますが、そうした疑いが深くなるような知見がいくつか載っております。 佐藤氏は長年教育の現場のおられたそうです。プレートは実在しないと考える同僚は他にもおられるようですが、プレート説一色になっている教科書で教壇に立つのは大変に心苦しいことだろうと思います。 |
1144 2006-02-20 (Mon) 虚心坦懐にものをみなくてはならない グローバルテクトニクスの新概念(NCGT)というニュースレターNo29(2003/12)に 「地震エネルギーの伝搬―科学的地震予知を目指して―」という論説がありました。 NCGTはNew Concepts in Global Tectonics の略でプレートテクトニクスの観点に即座には適合しない創造的な考え方を紹介し、検閲や差別および犠牲があった場合の広報と援助を目的として組織されているようです。 日本でも実質的にはプレートテクトニクスに異論を唱えるような論文発表はできないでしょうし、書物の出版は制約を受けるだろうと思います。 ;和達一ベニオフ帯(W-B帯)はプレートの沈み込みとは関係なく形成された。つまり、太平洋巨大海盆の相対的沈降に密接に関連しながら形成されたもので、それは、地球の冷却過程でつくられる一種の割れ目帯である。また、巨大海盆の沈降は、サージテクトニクス(Meyerhoffほか,1992)で考えられているように、深部から浅部ヘマントル物質が上方へ抜け出していくために起こる。そして、W-B帯に沿うエネルギー伝搬というBlot(1976)の概念は、このことを十分に確証している。深部マントルから地表へのエネルギー移動が、地殻や上部マントルの造構作用の原因であるとする論文は、Beloussov(1966)、Artyushkov(1983)、Funajhashi(2003)などをはじめとする多くの研究者が著している。」 しかし、地震エネルギーとは一体どのようなものなのかの説明はありません。W-B帯という深発地震面がプレートの潜り込みではないというのは正しいと思いますが、地球が収縮するときの一種の割れ目帯というのは納得できません。深発地震面はマリアナ海溝付近では垂直になっていますので、収縮による割れ目とは考えにくいと思います。 このように、著者(Blot.Choi.Grover)らの考え方でもあるサージテクトニクスとか、W-B帯に沿うエネルギー伝搬、あるいは地球の冷却過程でつくられる一種の割れ目帯という説には賛成はできませんが、新しい考え方を封殺するのではなく、自由に発表して議論する運動は大切なことであると思います。 地震がもたらす甚大な社会経済的影響を考えると、地球科学者は虚心坦懐にものをみなくてはならない。そして、偏見なしに確実な証拠を直視し、より有効性のある造構仮説を構築するために改心する必要がある。」 以上ですが最後の主張はたいへんに重要なメッセージであると思います。測地学的な予知手法に拘り続けている日本の地震学者、気象庁を初めとする関連官庁の関係者に是非読んでいただきたいメッセージであると思います。 なお、石田理論におけるW-B帯の解釈に関しては深発地震面はプレートの潜り込む面ではないおよび |
1145 2006-02-21 (Tue) 深発地震の発生理由に関する質問 ある方から質問がありました。 ニューオフィス26の中にある図―2の解説に関してのものです。 図ー2 A〜B区間の解離水と結合水の構成と地震の発生、深部まで地震は続く。 「図ー2はA〜B区間の解離水と結合水の構成を模式的に示したものですが、ニューオフィス23に示したように、高解離度領域に入るたびに、解離水→爆発→結合水を繰り返して、結合水が無くなるまで地震は続きます。」・・と解説してあります。 という質問でした。 たしかに図−2の解説では要領を得ませんが、これは溶融マントルが対流する過程で渦が発生し、いったん高解離度領域に潜ったマントル物質の一部分が上部の低解離度領域に逆流するために起こる現象であると解釈すればいいと思います。 なお、図ー4の場合の海嶺部でマントルが上昇する場合には、渦流が発生してもしなくても解離能力を超えた解離ガスは爆発結合して結合水に戻ります。 納得できない説明などがありましたら、メールにて質問していただければありがたいと思います。 |
1146 2006-02-21 (Tue) 水があると岩石は簡単に溶融する [1110]のhiromi氏からまた以下のような質問をいただきました。 「超臨界水ってなんだろうと思い、ネットで検索していましたら、 富士火山の下でのマグマと H2O フルイドの間の超臨界現象 日産科学振興財団研究報告書 25 (2002) http://www.nissan-zaidan.or.jp/josei/houkoku/h01-0034.PDF と云うのがありました。 3.研究成果 富士火山の1707 年の噴火によって噴出したデイサイト(70%SiO2)と安山岩(60%SiO2)マグマと、H2O フルイドが、お互い完全に固溶し超臨界条件になることを観察した。 もし、そういうことが天然で一般的に起こっていると仮定すると、もはや、H2O を含む条件での「ソリダス」温度というものは意味をなさなくなる。つまり、ある温度になると、H2O にどんどんシリケイトが溶け込んでいって、マグマが発生するということになる。 今後、マグマの組成と混和現象の起こる温度圧力条件を更に理解していくことが重要である。 「メールありがとうございます。超臨界水とは水が高温・高圧になると、気体と液体の両方の性質を持って挙動するようになる現象です。 さて、太字部分の解説ですが、東濃新報にも解説しておきましたが、東北大学の研究発表でも、地下400kmの深部でマグマが溶融している可能性があると発表されたように、マントル物質は溶融している可能性があることを示しているものだと思います。 「「ソリダス」温度というものは意味をなさなくなる」というのは、岩石が固化するのは何度か、というような問題はマントル中に水が存在している場合には意味を成さなくなるということです。水が放出され切ってしまった岩石を実験室の高熱発生装置のなかで加熱し、溶融する温度を計測したところでそのデータは使い道がないということです。 |
1147 2006-02-23 (Thu) プレートの移動論に矛盾する岩石 「新しい地球観を探る」が届いたので、勉強し始めました。 セミナー[687]でも紹介しましたが、(藤田先生の書籍にある)海洋底の古い岩石のデータを示す図が載っていました。 これは海嶺の頂部から測った距離(横軸)と採取された岩石の年代を示したものです。実線は海洋底拡大の証拠とされたグローマーチャレンジ号が採取したデータですが、その後のデータはバラバラになっていて海洋底拡大説は成立しないとメイアホフは述べています。 ・334というデータは海嶺からわずか100km地点で採取されたものですが、1億8000万年より古いものです。逆に・23は2000km以上離れていますが年齢は2000万年前のものです。海洋底拡大が正しいのなら一億年前の岩石のはずです。藤田先生は大海嶺から30億年前というとんでもない古い岩石が発見されていると述べておられます。海洋底拡大説、海洋底の寿命2億年説、プレート移動説などというのは初期の観測データから早とちりして解釈した説のように思います。 |
1148 2006-02-23 (Thu) hiromi氏からのメール 「私は、地球を特別視している現状を不思議に思います。」というhiromi氏からの考察が届きました。三つの論文紹介という研究情報も入っておりますので全文を紹介します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 地球は、外側から見れば、固体、液体、固体の構造をしているが、太陽系の惑星の中で唯一固体の核を持つ、イレギュラーな存在となっています。 これは、地震波、 a. 遠い地震の距離の測り方 グーテンベルグ不連続面の説明文と『地球内部を伝わる地震波の経路:東大地震研「人工地震による地下構造調査」』図を眺めると、確かに、地震発生源と到達点とは放射状にむすばれていません。 周波数に着目して、物体の状況変化にともなう周波数伝達特性の実験を誰かが行っていると仮定し、ネットで検索しました。 東京農工大学工学部機械システム工学科の亀田正治さんが研究しておられました。亀田教授は「気泡を含む液体中を伝わる圧力波」の研究をされています。そのいっかんで、市原さんと共同研究されているようです。 (2) 高粘度気液二相流の円管内流れ そこで、筆者らは、マグマレベルの高粘度流体に気泡を含ませた系を作り、その媒体中における弱い衝撃波の伝播挙動を実験的に調べてみることとした。高粘度流体としては、シリコーンオイル(信越化学 KF96H-1M,密度 978 kg/m3)、水あめ(密度1400 kg/m3)を用いた。この二つの流体の静的な粘度は、約1000 Pa s とほぼ同じである。 以上の三論文を自分なりに解釈したのですが、地球内部は、表面に近い場合、外気にさらされているので粘性が高いが内部に行くにつれて粘性が低くなり、内部に行くほど高圧化の影響で粘性が高くなるといった構造をしているのではないかと。 つまり、亀田教授の実験を当てはめれば、地球外側から中心にむかって、ゆるやかに(バウムクーヘンのように)水あめ、シリコーンオイル、水あめの構造をしていると思われます。 しろうと考えですが、メールさせていただきました。 また層構成された液体ですと、マントル対流などが説明できないように思いますが・・・。 |
1149 2006-02-23 (Thu) 深さによって変わる地磁気異常の縞模様 ライブラリー28に紹介した星野先生の次の文章にあるデータが「新しい地球観を探る」に載っていました。 「中央海底山脈で湧き上がったプレートは、そこで特有の地磁気の性質を与えられ、この性質は、移動するプレートに伴って海底を動いていく、といわれていた。これはブレート説を支える重要な柱である。ところが、海底の岩盤を掘って調べてみると、上層の試料と下層の試料で、地磁気の性質がちがっている例が知られた。このことは、海底の岩石層は、一枚のプレートとして湧き出したものでないことを示している。」 これは大西洋中央海嶺でのボーリングで得られた資料です。船上では海底表層と同じ正帯磁の異常だったそうですが、その下部に3回の磁気逆転を記録していたのです。 「大西洋中央海嶺下に、20〜30万年×3回というきわめて長い時間にわたってほとんと水平に移動しなかった海洋地殻が存在していたということは、その海嶺付近では、海洋底の拡大が長い年代にわたって行われなかったことを意味する。このことは海洋底拡大自体の否定につながるのではなかろうか。」 石田理論では、磁気の縞模様というのは海嶺頂部から噴火によって押し出された溶岩が山腹斜面を流下して固まるときにそのときの地球磁場を記録して帯磁するのではないかと考えていますが、そうした現象が何層にも渡って繰り返された場所があるということではないでしょうか。 なお、図は伏角を計測したものですが、第一正帯磁ユニットのなかだけでも伏角が変化しています。伏角はその地点の緯度を表していますので、かなり地球の姿勢は変化しているのではないかと思います。グランドキャニオンの地層が教えてくれていることもそうですが、地球はポールシフト現象によってかなり頻繁に・・・といっても何万年に一回という程度ですが・・・太陽に対する姿勢を変えているのだと思います。 |
1150 2006-02-24 (Fri) プレート説に矛盾する観測事実 「新しい地球観を探る」を読んでいて面白いことに気がつきました。「とりまき」さんは「大西洋の海底の年齢は深海掘削によってほぼまんべんなく調べつくされていて、地磁気縞も全海域に渡って存在する事がわかっています。」([1141]参照)と指摘されましたが、実は縞模様がない場所もあること、縞模様が海嶺の軸と直行せず斜交する(海洋底拡大説に矛盾)場所もあること、縞模様になって帯磁しているのは表層の枕状溶岩(地殻ではない)であること、などが観測事実としてあるという記述がありました。関連する図と文章を紹介します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ところが、このような海嶺付近の地磁気異常帯が全く欠落しているか、観測されていない地域があるとも言われている (Meyerhoff&Meyerhoff、1972)。 たとえば、アイスランドから北シベリアのラプテブ陸棚までの3700kmにわたる地帯、アイスランド南西のレイキャネス海嶺の南端からアゾレス海付近まての1500km、アフリカ南方のブーベ島北西から、北西インド洋のヴエ海溝までの7000kmにわたる地帯などでは、海嶺付近の地磁気異常は、欠落ないしは観測されていないという。こうした、世界の海嶺付近の地磁気異常帯で互いに比較することのできないような部分は全域に対して20〜30%におよんでいるという。」 「海嶺軸の両側の地磁気異常の縞模様が対照的に分布するということは全く識別できない。」 「海洋地殻の第2層(図4.4の2A・2B)だけを磁化層と見る見方が強まった。(中略)一般的には、第2層のうちでも、2Aの部分(枕状溶岩)が磁化の主要な担い手ではないかと見られている。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「海嶺付近に見られる地磁気の縞模様というのは、海洋底の拡大を示すものではなく、海嶺からマグマが噴出し押し出されたとき(噴出しない場所もある)に流下した枕状溶岩がその時の地球磁場を感じ取って帯磁する現象である。海嶺が左右対称的な勾配を持つ場所では、海嶺軸に対象な縞模様が形成される場所もできるが、必ずしも海嶺軸に直交して流下するとは限らず、海底地形によっては斜交して流下する場合もある。」 ということのように思います。今勉強中ですが、プレート説に矛盾する観測事実はもっともっとたくさんあるようです。 なお、本日ライブラリー15の間違いを修正しておきました。海底から海中へ抜ける屈折波の射出角度に間違いがありました。失礼しました。 |
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