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1391
2008-05-04 (Sun)
ご都合主義の解釈
ネット検索で、台湾の地震の解説を見つけ、読んでみましたが、頭が混乱するばかりでした。
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/seno/taiwan.html

図2 台湾の構造断面図(瀬野, 1994)に今回の地震の震源と断層運動を書き込んだもの

フィリピン海プレートというのは、ユーラシアプレートの下に潜っていくということになっているはずですが、台湾付近ではその逆で、ユーラシアプレートがフィリピン海プレートの下に潜っていくという説明になっています。

「台湾は基本的には、南シナ海がフィリピン海プレートの下に沈み込んで、マニラ海溝-ルソン弧を形成している場所とおなじである。」

と記述してありますが、日本付近と台湾付近で異なる動きをする一枚のプレート(剛体)というものが存在するのでしょうか。私の解釈に間違いがあるようなら、どなたかご教示ください。

・今回の地震は、海溝系大地震を陸上で見ているようなものである。
・陸上に乗り上げた海溝系大地震

という説明は、私にはチンプンカンプンで理解ができませんでした。

プレート論は破綻しているというよりも、最初から辻褄が合わない「御伽噺」だと思っています。

この他にも、次のような記述は常識的に考えて首を傾げざるを得ません。
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/seno/recognition.html
「日本の活断層という概念を単純にあてはめるべきでない。」
とありますが、日本の活断層は特殊であって、台湾では断層が別の挙動を示すのでしょうか。それとも、台湾が特殊なのでしょうか。
また、
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/seno/taiwan.photo6.html
「本来北西走向の地震断層であれば、左横ずれとなるはずである。直交方向へののし上げは、上盤側があたかも流体のごとく振る舞い、北東走向の前線で衝突して方向を変えたとすれば理解できる。」
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/seno/corner.html
「これは断層の上盤側が流体的に振る舞ったとすると理解できる。」

などとありますが、プレートは剛体のはずです。それに流体的挙動を与えて理解しようとするのは「ご都合主義」ではないでしょうか。それとも、プレート上部は堆積物であるから、地崩れのように不均一な変動をするという解釈なのでしょうか、そうならば、地表の動きとプレートの動きとは一体ではないということであり、測地学的な地震情報の信用性が薄れることになります。

私は、地震の原因は地下のおける「爆発」と「爆縮」という化学的現象にあるのであって、爆発および爆縮の強度に等方性が無いことが原因の一つであり、地震(爆発)は一回だけでなく、複数回発生することも、複雑な地表の傷跡(これが断層の真相である)を作るのだと考えています。

1392
2008-05-06 (Tue)
断層地震説の破綻
台湾を襲った集集地震の報告から、断層地震説が如何に破綻しているのかを見てみます。
活断層としての認識について
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/seno/recognition.html より抜粋します。
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・ 例えば京大隊の中興新村の写真にあるChelungpu断層を示す立て看板の足もとを切った断層は、断層として認識されていたChelungpu断層から300 m離れている。また今回の地震ではなく、1906年の嘉義地震の例であるが、地表断層をトレンチしたことろ断層面がみつからなかったそうである(王源私信)。
・ 断層が堆積層の中を抜けるときは、とんでもないところにトレースが出現することはありそうである。楊昭雄教授は、調査中、Chelungpu断層の断層面が地表でどこにあたるか、同定することはきわめて困難で、活断層法の適用はあまり意味がないことを強調されていた。実際、光復新村の運動場に表れた断裂は活断層と呼べるかどうか疑わしい。

・ 大槻憲四郎・楊昭雄や杉山雄一らによるすべり方向を断層全体のトレースに沿って分布させるならば、それらが地震すべり方向を表しておらず、さまざまな方向(大体断層の走向に直交方向に)にすべったといわざるを得ない。また、北西端での異常隆起は非弾性変形が河川堆積物で起きたことを示す。これらは地表付近の媒質の流体的な振る舞いの結果、断裂が発生したことを物語る。これらが変動地形として活断層地形として残るだろうか?もし残ったとしても、地震すべりは北西なので、震源断層運動と活断層とは対応しなくなってしまう。

(第4図 9月21日集集地震に伴う地震断層の水平変位の方向(上盤側)と大きさ

地震断層のトレースは,経済部中央地質調査による

http://www.gsj.go.jp/dER/activef/taiwan/fig4.htmlより)


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以上の報告を読む限り、地表に現れた断層は地下における複数回の大爆発の傷痕であって、地盤の移動方向も様々であることが分かります。一つの活断層が滑って地震になったなどとはとても解釈できません。断層地震説は破綻しています。
次の図を見ると、一週間内に少なくとも3回の大きな地震が起こっていたことがわかります。

(地図上の中抜き丸は1964年以降に起ったM5.0以上の地震の分布
赤丸は台湾中央気象局によって求められた余震分布


0-50km 50-100km100-150km 150-200km 200km-

http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/topics/taiwan/mech.htmlより)


また、最後の部分では、地震学者の中にも活断層は地表変形の痕跡であって、地下深部の震源断層とは直接の関係がないという意見も以下のように紹介されています。

・ 鈴木康弘(UP, 9月号, 1999)は『活断層は地震時の地表変形の痕跡であり、それを解析することで地下深部の震源断層の特徴をある程度解明できる。というのが活断層研究の基本的なスタンスである』と述べている。

そうであるのなら、活断層のトレンチ調査なるものは、まったく意味のない税金の無駄遣いになってしまいます。すくなくとも、もっと深く掘らなければ震源断層という地震の実態は解らない・・・というような調査継続の流れにならないように、民間の常識人が地震の正論を持っていなければなりません。

1393
2008-05-08 (Thu)
今朝の茨城沖地震について
今朝起きた茨城沖地震に関して、気象庁は以下のような“太平洋プレートの潜り込み”という「紋切り型発表」を行っています。
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http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date1&k=2008050800157&rel=y&g=soc

プレート境界地震、過去にも=緊急速報は「改善検討」−気象庁
 気象庁の横田崇地震津波監視課長は8日午前3時半から記者会見し、茨城県沖を震源とする最大震度5弱の地震は、太平洋プレートが日本列島のある陸側プレートの下に沈み込む境界付近で発生した逆断層型地震との見方を示した。この付近では1961年、65年、82年にもマグニチュード6.7〜7.0の地震が発生。今回は7日午後から本震までに震度1以上の地震が12回起き、その後も余震が続いた。
 一方、一般向けの緊急地震速報が揺れに間に合わなかったことについては、自動計算システムで最初はマグニチュードを小さく推定したのが原因と説明。「P波(初期微動)だけでマグニチュードが決まらなかった。技術的改善を検討したい」と述べた。
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この地震の震源地と震度分布を時系列的に表示すると、以下の図のようになります。

日本気象協会のデータを利用させていただきました。
http://www.tenki.jp/qua/index.html

ほぼ同じ場所で地震が起こっていますが、これが“海洋プレートの潜り込み・陸側プレートの反発”によるものとすれば、プレートは長時間ズルズルと滑らなければなりません。そして何回も反発・反動を起こさなければなりません。岩盤には鋼板のような強力な弾性はありませんので、こうした現象が本当に起こるとは思えません。
反発説とはまったく矛盾している論理なのですが、別の表現で、「潜り込みによって蓄積された歪が徐々に開放されている現象」という「歪エネルギーの解放」という解説もあります。しかし、岩盤というものは歪が一定量を超えると破壊・破断してしまって、地震エネルギーに匹敵する歪エネルギーを蓄積などできないことは、明らかです。(セミナー[1256]参照)
また、反撥説と破壊説はまったく論理が違うのですが、どちらも流通(?)しているような曖昧なのが定説なのです。[1256]に示した次図に纏めてある様に、反撥現象なら破壊の前の弾性が働いている段階の現象ですし、破壊ならば物質の降伏点での現象ですから、弾性反撥とは無関係のはずです。

http://www.city.sendai.jp/syoubou/bousai/tunami_kiso.htmlより

定説地震学にはこのような曖昧な解釈と間違った解釈とが隠れているのです。

ところで、同じ場所で何回も地震が起こるのは、解離層が不安定になっていて解離ガスという”水素と酸素の混合ガス“が結合と解離を繰り返している化学反応であるというのが地震爆発説として私が考えているものです。
解離層が不安定になるのは、マグマが上昇するために起こる温度上昇と、地殻内部に発生する亀裂の影響などによる圧力減少がその原因です。詳細は解説版や、解離水の爆発による地震の発生機構などを参照してください。

緊急地震速報が揺れに間に合わなかったことについては、自動計算システムで最初はマグニチュードを小さく推定したのが原因・・・と説明されていますが、1〜2分の時間的余裕しかないわけですから、改良されたとしてもこの近辺の地震に関してはあまり大きな効果は期待できないでしょう。

因みに、2chの「大陸移動とプレートテクトニクス」というスレに面白いやりとりがありましたので、紹介します。
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300 :質問者:2008/04/25(金) 18:15:18
東海地震などの原因について、引き込まれそうになったプレートが跳ね上がるっていうのがどうしてもイメージできない。
そもそも弾性モデルとして考えてはいけないんじゃないかと思うんだけどどおなの? 岩盤でできているプレートがそんな動きするわけがないと。
(どこかのHPに↑のような事が書いてあって、それもそうだと思った)
不均一な岩盤が圧力を受けたら、圧縮されエネルギーを蓄える前に力点がひび割れたり崩壊するはず。もし岩盤が弾性を示す例(論理ではなく現実の例)があれば教えて欲しい。圧力を開放する際に起こる「断裂や破裂」が原因というのなら「跳ね返り」よりは納得できる。

301 :回答者:2008/04/25(金) 21:05:58
>>300
まずこれを読む
http://www.tokyo-jma.go.jp/home/nagoya/hp/bousai/earth/toukai_yoti.html
(変更:http://www.jma-net.go.jp/nagoya/hp/bousai/earth/toukai_yoti.html

302 :質問者;:2008/04/27(日) 22:41:58
>>301
いい情報Tksです。一番知りたい事がわかりました! これで単なる疑問から、やっぱりおかしいという確信に近づいてしまいました;^^;

この情報によると、圧力に対して180逆向きの力(応力?)を僅かに発生する事は有りえるようですが、引っ張り込まれた後の跳ね返りという現象は起こらないはずです。
一番下の情報に、
「地殻を造っている一般的な岩石は10-4歪むと破壊するといわれています。これがどの程度の大きさかを具体的に見てみると、その岩石で作った1mの棒は0.1o だけ伸び縮みするだけで折れてしまうことになります。」

とありますが、曲げの力ではなく正面からの力でさえ 1000分の1の伸縮で折れてしまうほど脆い事がわかっています。これが平均的なデータであるなら、跳ね返り(しなり)」による力で大地震が起こる事なんて、有りえなくないですか?

303 :回答者:2008/04/27(日) 23:05:36
地震で開放される歪は10の−4乗よりはるかに小さい
(M7の地震で長さ40km程度の断層が1mずれる)。

本などの図(例えば、http://www5d.biglobe.ne.jp/~kabataf/jisinkata.htm)などは強調して描いてあるだけ。

304 :質問者:2008/04/28(月) 16:58:14
>>303
ありがとうございます。
このサイトを見ると、「タイヤに踏まれた石が押し出される」ような力の伝わり方で、このような動きをするという事がわかりました。←勝手な理解なのかもしれませんが...
「戻ろうとして跳ね返る」のような表現が使われていない分、逆に理解しやすかったです。
決してプレートが戻ろうとしてるわけではないですよね...

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以上ですが、「「跳ね返り(しなり)」による力で大地震が起こる事なんて、有りえない」のではないか?」というまともな質問なのですが、最後は「「タイヤに踏まれた石が押し出される」ような力の伝わり方で、理解しやすかった・・・」
と納得されてしまったのでしょうか、地震学を学んでいる人たちがこのような作り話的レベルで議論されていることに少し残念な気がしました。

1394
2008-05-09 (Fri)
海底に20億年前の岩石、そして二つの解釈
地球科学関係の貴重な情報を翻訳して紹介してくださっているNemo氏が“北極海の海嶺に20億年前の岩石を発見した”というヒューストン大学の先生の話を報告しています。
http://www.play21.jp/board/formz.cgi?action=res&resno=5633&page=&id=sorasora&rln=5650
抜粋して紹介します。[1386]と合わせて味読してみてください。
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Name: Nemo Date: 2008/05/04(日) 16:40 No:5642
Title: 北極海の海嶺に 20億年前の岩石

  Journey to the Center of the Earth: Discovery Sheds Light on Mantle Formation
  地球の中心への旅: 新発見がマントル形成の謎に光明

  http://www.uh.edu/news-events/newsrelease.php?releaseid_int=190

「20億年前の岩石? それがどうした」と言われると話が続かないので、背景を簡略に説明します。海洋底拡大説やプレート・テクトニクスをご存じの方にとっては先刻承知の事実ですが、海洋プレートは海嶺で誕生し、ゆっくりと移動して海溝に沈み込んで姿を消します。海嶺から海溝までの距離にもよりますが、海洋プレートが誕生してから海溝に沈み込むまでの時間は、最長でも 2億年とされています。つまり、海洋プレートに 2億年より古い岩石が存在することは、特別な要因がない限り原則的にありえないことです。

海嶺に近い海洋プレートは若く、海嶺から遠ざかるほど古くなって、海溝付近が最も古い岩石で構成されているはずですが、今回の発見は、最も若い岩石が存在するはずの海嶺付近で、2億年をはるかに越える 20億年前の岩石が発見されたのですから、発見をした准教授が “I just about fell off my chair”(倚子から転げ落ちそうになるほどびっくりした)と言っているのも頷けます。問題の岩石はマントルが海底に露出している地点で採集されましたが、(内部は)海水による変質をまったく受けておらず、オスミウムの同位体を使った最新の年代決定法により、20億年前のものと判明したとのことです。

記事では今回の発見で明らかになったことを次のようにまとめています ―― これまでマントルを構成する物質は、長い地質年代を通じたマントル対流などによって十分に攪拌されており、均質化していると考えられてきた。しかし、実際にはマントルはそれほど均質ではなく、また攪拌も十分ではないため、より古く複雑な地質学的歴史の記録を保存している。このことは、マントル内に残っている過去の岩石を研究することによって、地球史上の初期の出来事を調べることができるという可能性に道を開くものだ。
(ここからはNemo氏のコメント)
確かに、マントル対流と言ってもマントルがどろどろに融けて循環しているのではなく、マントルを構成している鉱物が個体のまま結晶格子がずれるような形で少しずつ移動しているわけですから、過去に海溝から沈み込んだ岩石が完全には消滅せずに残っていて、再び海嶺から顔を出すことがあってもさほど不思議ではないように思います。逆にマントルがどろどろに融けた液体であったなら、このようなことは起こりえないのではないでしょうか。
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以上が抜粋した記事です。
セミナー[1386]で紹介したNCGTの研究者らは、海底で20億年や30億年前の岩石が見つかっても『倚子から転げ落ちそうになるほどびっくりした』ということも無く、『だから海洋底拡大説が間違いである証拠である』と結論付けるのですが、長年プレート論に従って研究したきた人は、
過去に海溝から沈み込んだ岩石が完全には消滅せずに残っていて、再び海嶺から顔を出すことがあってもさほど不思議ではないとか、
逆にマントルがどろどろに融けた液体であったなら、このようなことは起こりえない。という発想になってしまうようです。
海溝から潜り込んでも熔融することなく、『20−2=18』億年以上経過して、再び地球内部から再び地上に戻ってきた岩石・・・・このような“御伽噺”が信じられるとは驚いてしまいます。
また、これを種に「だからマントルは固体に違いない、溶融していたらこのようなことはあり得ない。」という議論にもびっくりいたします。

貴重な情報の提供には感謝しておりますが、そのコメントにはとても首肯できないものがあります。

なお、記事中にある特別な要因とは[1386]で述べた「氷山によって運搬された可能性や、船舶バラストの可能性」のことです。また、「最も若い岩石が存在するはずの海嶺付近で、2億年をはるかに越える 20億年前の岩石が発見された。」とありますが、[1386]では、南極大陸に近い海嶺付近でも同じようなことが言えることが以下のように報告されています。
「ドレッジ調査によって解明されたエルターニン断裂帯の地質は、太平洋南極海嶺軸の近傍でありながら、@先白亜紀の古期基盤岩類が存在し、A大陸性の結晶片岩類を含むことを示す。」
海嶺付近に白亜紀の古期基盤岩があるのは、海洋底拡大説に矛盾します。拡大説が正しいのなら、生まれたてのもっと若い基盤岩でなければおかしいことになります。

地学教室http://georoom.hp.infoseek.co.jp/より

1395
2008-05-13 (Tue)
昨日発生した中国四川省の地震について
先ほどのニュースによると、12日に起きた中国四川省の地震では死者が8500人を超えたようで、阪神淡路大地震の被害をはるかに超える巨大地震であったようです。
巨大地震はプレート境界型の地震として起きるという通説がまったく当てにならないことが分かります。
河北省唐山市で1976年に起きた唐山地震による死者は公式記録によれば242,419人、非公式には60万から80万人とも言われ、20世紀最大の被害であったと言われています。ライブラリーに収録した唐山地震の体験談を読めば(特に3の爆発音について)この地震が爆発によるものであることはだれでもうなずけると思います。大陸内部でも爆発の規模によっては巨大地震になるのはこの唐山地震でも明らかであります。
しかし、テレビでは加藤照之東大教授が「インド大陸が中国大陸を押しているので、この付近は地震の多発地域である。」という紋切り型の解説を行っていました。毎日新聞の報道でも、地震学者は一様にプレート論で説明しています。記事を紹介します。
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<中国地震>一帯で大地震多発 「被害相当大きい」と識者
5月12日23時15分配信 毎日新聞
 四川省から雲南省にかけての一帯は、大地震がたびたび起こる地域だ。理科年表によると四川省では1933年8月にマグニチュード(M)7.5の地震があり、約6800人が死亡した。73年2月にもM7.6の地震で約2200人が死亡した。雲南省では70年1月にM7.8の地震が起き、約1万5000人が死亡。74年5月にはM7.1の地震で、約1500人が死亡した。

 東京大地震研究所アウトリーチ推進室の辻宏道准教授は「今回の地震が起きた場所は(規模の大きな地震の多い)プレート(岩板)境界ではないが、プレート運動でインドがユーラシア大陸に衝突する力が働く地域に当たる。阪神大震災より大きな規模の地震がより浅いところで発生しており、被害は相当大きいのではないか」と指摘している。

 また阿部勝征・地震防災対策強化地域判定会会長(地震学)は「ユーラシアプレートにも、インド・オーストラリアプレートにも重い大陸が載っている。どちらかのプレートがもう一方の下に潜り込むことができず、ぶつかり合う大きな力がたまっていると考えられる。このため、過去にも周辺で大きな地震が起きている」と話している。【西川拓、関東晋慈】
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以上ですが、プレート論ではどうしてプレート内地震のほうが境界型地震より大きくなるのか説明できないはずです。また、ライブラリー5で紹介した「唐山地震」の著者である銭鋼氏の「なぜ北緯40度線近辺で大きな地震が起きるのだろうか?」という疑問にも答えることはできません。

地震の原因が爆発であると考えれば、以下のように説明ができます。
・ 地震爆発説では、解離するガス量で爆発の規模が決まりますから、境界型地震とか内陸型地震という区別は意味の無いことになります。地震の規模は発生・貯留する解離ガスの量の多寡によって決まりますので、内陸でも地震規模が大きくなる場合があるわけです。

http://www.pref.fukushima.jp/saigaig/dansou/dansou.htmlより

・ また、水の解離度は、温度上昇と圧力現象によって増大します。地球という球体の緯度が40度近辺という場所は、地球内部の溶融マントルに作用する潮汐力が薄い地殻に繰り返し応力を発生させるために、疲労破壊が起こり、地殻の岩盤にひび割れを生ぜしめる可能性を考慮すると中緯度帯の大地震が理解できます。ひび割れによる空隙が圧力現象を引き起こし、解離現象を促進して大地震に至るという理屈です。
銭鋼氏の疑問はこのように、地殻が疲労破壊を起こしやすい場所が中緯度帯であるという解釈で謎が解けるのではないかと思います。勿論、環太平洋火山地帯ではマグマの移動による温度上昇が解離現象を促進して、地震の原因になりますので、解離する量が多くなれば大きな地震になることは当然であります。

1396
2008-05-13 (Tue)
本震と余震は違う現象であるという珍解釈
四川省の地震で、ダイナマイトの爆発のような音を発して余震が起こっているという報道があります。これでもまだ、地震は歪が開放される現象であるという理解を地震学者は押し付けるのでしょうか。
産経新聞から紹介します。
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「ドーン」余震がダイナマイトの爆発のよう 四川大地震ルポ
5月13日20時32分配信 産経新聞
 【綿陽市北川県(中国四川省)=野口東秀】

「ドーン」「ドーン」。ダイナマイトの爆発かと思われるような音が2回響いた。余震だ。恐怖に顔を引きつらせた無数の被災者が逃げまどう。13日、四川省アバ・チベット族チャン族自治州汶川(ぶんせん)を震源地とする大地震の被災地で、3000〜5000人が死亡したと推定されている北川県の中心部に入った。一帯は家屋がなぎ倒され、がれきの山と化していた。人民解放軍が生き埋めになった住民の救出を続けている。家族の安否が分からず泣き叫ぶ人などで阿鼻叫喚の様相だ。
「車は緊急車両以外通行止めだ。この先は入れない!」。
 北川県への一本道。警察官が車両の通行制限をしていたが、住民のオートバイに乗せてもらい被災地に向かった。
立ち上るほこりの中で、すさまじい光景が目の前に広がってきた。

 北川県の繁華街はすべての家屋、店舗が徹底的に破壊し尽くされていた。無差別爆撃を受けたような様相だ。

 トラックが店舗に押しつぶされ、ひしゃげている。住民がそれを指差し、「まだ人が中にいるんだ」。近くでは自宅を失った88歳の男性が呆然(ぼうぜん)として座り込んでいた。

 道路はあちこちで陥没と亀裂・・・。道路の両側の山肌は削り取られ、高圧線鉄柱や電柱が倒れている。乗用車をはねとばしたとみられる10メートルはあろうかという巨大な岩石が道路上にころがっている。(以下略)
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唐山地震の体験談にもありますし、大きな地震ではたいてい爆発音のような怪音が聞こえたと伝えられています。
気象庁の解説サイトには
「なぜ余震が発生するのですか?」という設問に次のような解説があります。
「本震の発生により岩石が不安定な状態になり、それを解消するために余震が発生すると考えられています。」

本震の発生は歪が開放するために起きるのだが、余震は本震で発生した岩石の乱れが安定化するために、しっかり安定するまで余震を繰り返す・・・・つまり、本震と余震は違う現象であるという理解になっています。
しかし、このような説明を信じる人はいないでしょう。本心も余震も同じく、爆音を伴って爆発・爆縮する化学反応なのです。
珍解釈から早く脱皮して、地震現象の実態に目を向けるようにして欲しいものです。

まだ生き埋めになっている人のことを考えると、誠に気の毒ですが、なぜ海城地震の時のような予知ができなかったのか、振り返ってよく考えておく必要があると思います。
中国では民衆が宏観現象を観察して報告し、海城地震では地震発生を予知することに成功しました。しかし、唐山地震では予知に失敗しました。その後遺症として、今では宏観現象を観察する民衆参加方式は廃れてしまいました。その顛末は項を改めて紹介します。

1397
2008-05-14 (Wed)
宏観異常の観察は大切
中国での宏観観測による地震予知が頓挫してしまった顛末を拙著「地震の謎を解く」から紹介します。
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中国の地震予知の成功                             〔民衆による宏観観測〕
 それから何といっても世界をびっくりさせたのが、中国の海城地震の時の予知の成功です。
 中国の地震予知の経緯は、文化大革命が発生した一九六〇年の河北省邢台(シンタイ)という所で発生した大地震に始まっています。その時に、井戸水の異変とか、動物たちの普段と違う行動とかを、住民たちが目撃していたのです。それを、被災地を見舞いに訪れた周恩来総理に住民が訴えたのです。こんなに異常な現象が前兆としてあったのに、何故政府は、対策を打ってくれなかったのかと、直訴したのです。そこで、周恩来は、国家として地震予知事業をやろうと決めて、中国科学院に国家地震局を設置しました。中国の予知の方法は、大衆からの自然観察の情報を吸いあげるものです。井戸水の異常や動物の挙動の異常などを、各地区のセンターに報告させ、取りまとめて総合判断するというものです。民衆パワーで、地震予知をやろうとしたのです。
 この方法によって、遼寧省、海城地震の時には予知に大成功しました。一九七五年二月四日午前『今日明日中に大地震あり』が第一報でした。朝八時には避難命令が出され、午後七時三六分に地震があったのです。人命の被害は全く無しという見事な成功ということで、世界の地震学者をびっくりさせたのです。
 しかし誠に不幸なことに、それから一年あまり経った一九七六年七月、邢台と同じ河北省唐山でマグニチュード七・八という直下型大地震が発生し、二四万人の命を奪うという未曾有の大惨事になってしまいました。唐山市は壊滅的な被害を受け、予知は大失敗に終わったのです。住民からの報告など、前兆現象は、確かにあったのですが、警報をだすのが少し、遅れたようです。
しかし、それでは住民が納得しません。大惨事となってしまったために、住民は、地震局の科学者たちを、迫害に近い形で攻撃し、そのために、中国の地震予知事業が頓挫してしまったようなところがあります。
 この時に、地震の発生メカニズムが判っていて、住民にそれを説明できていたら、住民の怒り、失望も抑えられたと思います。海城と、唐山では、地下のマグマの流れ方が違うのでしょう、多分海城地震はマグマが流れる通路の傾斜がもっと緩かったと思うのですが、そうした地震発生のメカニズム、爆発の方向性の違いなどを説明し、今回は不幸なことに予知に失敗したけれども、住民パワーによる自然観察の手法は間違いではないのだということを納得させていれば、もっと地震予知事業は順調に進歩してきたはずであります。(納得できる地震理論が無かったから・・・)経験則だけを頼りとして、なぜ蒸し暑くなるのか、何故動物が騒ぐのか、何故地下水が変化するのかという「なぜ?」という疑問に答えが出せなかったために、失望感が大きくて、地震局への攻撃となり、頓挫したわけで、誠に残念なことです。
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以上がその顛末です。現在では中国の地震学者もプレート論に席巻されてしまったようで、宏観観察によって地震を予知しようとする研究者はいなくなってしまったようです。
しかし、今回の地震でも、ヒキガエルが大移動したという次のようなニュースがありました。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008051300733
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【2008/05/13-16:45 大地震をカエルが予知?=数十万匹が大移動−中国四川省

【香港13日時事】香港紙・リンゴ日報などは13日、中国四川省で12日起きた大地震の前に、同省の綿竹市で数十万匹のヒキガエルが一斉に移動するという異常現象があったと報じた。地元住民は「何かの凶兆ではないか」と不安を感じていたという。
この現象があったのは今月5日。カエルの大群が道路を渡るのが目撃され、多くのカエルが車にひかれたり、人に踏みつぶされたりしていた。 】
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このように、自然界には何らかの異常現象が現れていることは確かです。プレート論や弾性反撥説を信じているために、自然が発している警告に目を向けなくなってしまったことは誠に残念であります。
カエルは地震をどのように察知したのか・・・?
その答えは地下において水が解離し、プラズマ化した酸素と水素の混合ガス(セミナー[1054]参照)がMHD発電を起こし、地電流が流れること、あるいは局所的な磁場の変化が起こって、これをかえるが感知するということが考えられます。
今回の地震でも、きっと多くの宏観異常がでていたと思います。大爆発を起こすほどの解離ガスが地下に貯留されていたら、必ず普段と違うシグナルが地上で見られるはずです。それを、小規模爆発まで予知できなければ予知技術とは言えない、というような愚かな議論で、宏観現象を否定する専門家がいます。小さな規模まで含めて予知成功の確率を議論する必要はありません。
予知が必要なのは人的損害が出るような大爆発・大地震だけでありますから、巨大地震に伴う宏観異常は大切に収集すべきですが、地震学者は愚かにも無視を続けているようにしか思えません。
研究室で、地震計の記録をコンピューター解析して論文を作ることだけが研究と思ってはいけないと思います。


1398
2008-05-14 (Wed)
地震学者のコメント収録
四川省の地震に関して地震学者がどのようなコメントを出しておられるのかを拾い集めてみました。
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産経新聞5月14日総合版より


http://www.jiji.com/jc/zc?k=200805/2008051200877&rel=y&g=soc
2008/05/12-21:50 過去にもM7級の地震=プレート衝突でひずみ蓄積−中国南西部
中国西部の四川省や南側に隣接する雲南省では、マグニチュード(M)7クラスの大地震がたびたび起き、大きな被害をもたらしている。
 四川省では1973年、M7.4の地震で2000人以上の死者が出たほか、76年にもM7.2の地震が発生。雲南省では96年2月に起きた地震(M7.0)で300人余りが死亡した。
 東京大学地震研究所の平田直教授によると、中国大陸が乗ったユーラシア・プレートは、南側から北上するインド・オーストラリアプレートに押されている。四川省や雲南省など中国南西部は、両プレートがぶつかりあうヒマラヤ山脈からは多少離れているが、プレートの衝突の影響で内部にひずみを蓄積、大きな地震が起きやすい場所だという。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080513-00000183-jij-soci&kz=soci
ずれた断層面、最長100キロか=東大地震研が推定−四川大地震
5月13日21時3分配信 時事通信
 中国四川省で12日発生したマグニチュード(M)7.8(中国地震局調べ)の大地震について、日本の気象庁は13日、地殻内で断層が西北西−東南東方向に圧縮されてずれ、片方が持ち上がった逆断層型と発表した。東京大地震研究所の引間和人特任研究員によると、この「龍門山断層」でずれた面は、長さ80〜100キロ、幅約30キロで、傾斜の向きによっては最大16メートル程度ずれたと推定されるという。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080513-OYT1T00844.htm?from=top
四川大地震、断層のズレ250キロ、破壊力「阪神」の30倍
四川省大地震


四川省北川チャン族自治県で、崩落した橋をわたる市民=ロイター 中国・四川省の地震を引き起こした断層について、長さ約250キロにわたる断層が2段階にわけて動いたとする分析結果を筑波大の八木勇治准教授らが13日まとめた。
 大きな断層のずれが相次いだことで、広い範囲に記録的な揺れを引き起こしたとみられている。
 今回の地震は、四川省を北東―南西方向に走る断層帯(竜門山断層)の一部が動いて起きたとみられている。八木准教授の分析では、まず長さ約100キロ、幅約30キロの断層が最大で約7メートルずれ、続いて、その北東側で長さ約150キロ、幅約30キロの断層が4メートルずれた。阪神大震災を起こした断層は長さ約40キロで、今回はその6倍強になる。
 地震開始から約50秒かけて最初の断層が動き、10秒後に2番目の断層が約60秒かけて動き、揺れは約2分間続いた可能性がある。
地表近くで最も大きくずれたため、被害の拡大につながった可能性があるという。震源近くでは地表に約7メートルの段差が現れているとみられる。地震の規模を示すマグニチュードは7・9で、その破壊力は、阪神大震災の30倍にもなるという。
 米地質調査所は、地震を引き起こした断層の規模を長さ約200キロ、幅約20キロと見積もっている。ずれが進行した時間は約2分とみており、八木准教授の見解とも一致する。また、断層の中に「特にずれが大きい場所が2か所ある」としている。

(2008年5月14日03時09分 読売新聞)
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ワンポイント整理
★ 東京大学地震研究所の平田直教授:プレートの衝突の影響で内部にひずみを蓄積、大きな地震が起きやすい場所。
★ 東京大地震研究所の引間和人特任研究員:長さ80〜100キロ、幅約30キロで、傾斜の向きによっては最大16メートル程度ずれた
★ 筑波大の八木勇治准教授:まず長さ約100キロ、幅約30キロの断層が最大で約7メートルずれ、続いて、その北東側で長さ約150キロ、幅約30キロの断層が4メートルずれた。地震開始から約50秒かけて最初の断層が動き、10秒後に2番目の断層が約60秒かけて動き、揺れは約2分間続いた
★ 米地質調査所:断層の規模を長さ約200キロ、幅約20キロ。ずれが進行した時間は約2分と推定。断層の中に「特にずれが大きい場所が2か所ある」。
★ 加藤照之東大教授:インド大陸が中国大陸を押しているので、この付近は地震の多発地域である。([1395])
★ 東京大地震研究所アウトリーチ推進室の辻宏道准教授:今回の地震が起きた場所は(規模の大きな地震の多い)プレート(岩板)境界ではないが、プレート運動でインドがユーラシア大陸に衝突する力が働く地域に当たる。([1395])
★ 阿部勝征・地震防災対策強化地域判定会会長(地震学):ユーラシアプレートにも、インド・オーストラリアプレートにも重い大陸が載っている。どちらかのプレートがもう一方の下に潜り込むことができず、ぶつかり合う大きな力がたまっていると考えられる。([1395])
★ 阿部勝征東大名誉教授:インド・オーストラリアプレートが中国側のユーラシアプレートと、いわば押しくらまんじゅうをしている状態。(産経新聞5月14日)


以上全員がプレート論の立場に立って同じようなコメントを出しておられます。60秒とか2分もかかって、ゆっくり断層が『ずれる』というような運動で、「爆発音」や「空中に飛び出す」ような現象(セミナー[1248][1268]参照)が説明できるとは思えません。爆発以外に考えられないと思うのですが、地震学者は誰も不思議に思われないのでしょうか。私にはそのことが不思議です。
また、プレート論の矛盾でも述べましたが、インド・オーストラリアプレートがスマトラ付近ではユーラシアプレートの下部に潜り込み、インド北部では衝突しているという解釈に疑問を抱かないというのも私には不思議です。そのような一枚の剛体としての挙動が可能だとは信じられません。
震源と断層の関連で言えば、震源とは断層がずれ始める開始点であると解釈されていますが、震源の深さが10キロという浅い場所にあるのに、どうして長さ200キロ幅30キロという断層が存在できるのでしょうか。その奇妙な関係が納得できるということが不思議です。

1399
2008-05-14 (Wed)
地震前兆としての虹雲・彩雲
[1397]で宏観観察の大切さを述べ、「今回の地震でも、きっと多くの宏観異常がでていたと思います。」・・と書きましたが、早速銀次狼氏から、久しぶりのメールが届きました。四川省の地震の前に現れた虹雲という宏観現象の情報を送ってくださいました。You Tubeの動画です。


撮影の場所や時刻などの詳しいことはわかりませんが、これだけの大地震ですから、地下において相当激しい水の解離が起こり、そのプラズマ流体がMHD発電を起こしたものと考えられます。
かつて、地震予知の方法として研究された椋平虹というのも、この現象の小規模なものではなかったのでしょうか。地震学者は断層地震説に固執して、椋平翁の努力に目を向けることなく、抹殺してしまいましたが、もっと真剣にこの現象の解明に努力すべきであります。

サイト情報http://jp.youtube.com/watch?v=u43I4YRMmDM
ではこの映像は震源から約450キロ北東に位置する甘粛省天水で地震の前に撮影されたもののようです。地震前半小时というのはどのような意味なのでしょうか。分かる方があったら教えてください。(銀次狼氏が「地震の前半時間」という意味だと教えてくださいました。かなり長時間現象が継続したので、撮影できたのであろうと、メールにはありました。)


追記:会員のSさんからも次のようなメールをいただきました。
「石田先生、四川地震「虹雲」サイトの「半小時」の意味について、お答えします。この撮影時間は「30分前」と訳されます。時(日へんに寸)=時の簡体字であることはおわかりと思いますが、お尋ねの「半小時」は銀次狼さんのいう半時間、つまり30分のことです。一昼夜=二十四小時ですので、たとえば、「私は30分待った」は中国語では「我等了半(個)小時」。個は省略しても可となります。なお、同サイトのほかのタイトルを読みますと、送信者が『これは地震前2点左右(=2時頃)、メル友が携帯電話(カメラ)で撮影した画面です』と添書きしていますので、このことからもこの彩雲の撮影は約30分前だったと私は思います。」

1400
2008-05-15 (Thu)
宏観異常を黙殺する地震局?
四川省の大地震では、やはり多くの前兆現象があったようで、中国地震局は北京五輪のためにこれを隠していたのか、という追求があるようです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080514-00000015-rcdc-cn
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<四川大地震>予兆はあった!?五輪のため情報黙殺説を否定―中国当局
5月14日12時45分配信 Record China

13日、「大地震の発生前に予兆と思われる現象が数多く報告されたが、これを隠していたのは北京五輪のためか?」との記者の質問を、中国地震局は「話にならない」と一蹴。
2008年5月13日、中国地震局は「四川省大地震発生の数日前から予兆と思われる異常現象が数多く報告されていたにもかかわらずこれを隠していたのは、北京五輪を無事に開催させるため」との噂を真っ向から否定した。「新華網」が伝えた。

13日午後、中国国務院は四川省大地震に関する記者会見を開いた。席上、記者が「中国地震局が故意に地震発生につながる情報隠しを行ったという見方がある」という趣旨の発言を行った。これに対し、中国地震局の張宏衛(チャン・ホンウェイ)スポークスマンは、「話にならない」と一蹴。引き続き中国地震台ネットワークセンターの張暁東副主任が、地震予知の困難さを説明し、同一地域での地震発生のメカニズムとそのサイクルを把握するには数十年、数百年という時間が必要だと述べた。
記者会見の模様はインターネット上で動画配信されており、これを見たネットユーザーからは「地震予測ができないなら何のために地震局はあるのか?」という批判的な書き込みが多数寄せられている。(翻訳・編集/本郷)
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記事には中国地震局は「話にならない」と一蹴した、とあります。
[1397]に述べたように周恩来が創設した地震局の方針は民衆による宏観観測が中心でしたから、民衆には「海城地震では成功したのに、唐山地震や四川地震ではなぜ予知できなかったのか」という不満があるのは当然でしょう。
[1397]にもあるように、これは当局が隠蔽したというよりは、当局の地震関係者がアメリカ生まれの地震説に洗脳され切ってしまい、宏観観測など意味がないと思っていることに大きな原因があると思います。日本の地震関係者(気象庁や大学ほか)でも、大量のカエルが出現・移動したとか、彩雲が見られたという報告には関心を示さないでしょう。
写真は5月9日に震源から1500kmも離れた江蘇省泰州で見られたものですが、5月5日にも、震源近くの綿竹市でも見られたようです。

http://netallica.yahoo.co.jp/news/34373より

[1191]〜[1193]で紹介したように「予兆としての現象があることは認める、しかしその原因が科学的には分からないから、分からないことを扱うのは非科学的である。」というような頑迷な態度で否定されてしまう訳ですから、悲惨な体験が生きてこない体質になっています。
「それはおかしい、そのようなことで科学が進歩するでしょうか」と叱責されても、なんら関係者に反省する気配はないのです。亡くなられた坂柳先生も「この傲慢無知が30年も研究しても地震予知は難しい、出来ないと言う原因になっていると思う。」と憤慨なさっていました。(ニューオフィス10参照)
中国ではこれからどうなるのでしょうか、変化を期待したいものです。

1401
2008-05-15 (Thu)
地震によるダムの破壊
今回の大地震では都江堰上流地域の紫坪埔ダムが破壊され、決壊を防ぐために放流しているというニュースを中央日報が報じています。
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中国大地震>四川省一帯のダムに亀裂・・・“2次災害”の恐れ

中国四川省で起きた大地震の余波で周辺ダムに亀裂が生じ、2次災害の可能性が心配されている。四川省も成都近隣の都江堰上流地域の紫坪埔ダムに14日、危険な亀裂が発生し、軍から2000人が緊急に派遣されたと、中国国営新華通信が報じた。

水道行政を総括する水利部は、紫坪埔ダムに大きな問題が発生した場合、都江堰市全体が浸水する、と警告した。当局はこのような2次災難を防ぐために緊急指揮センターを設置し、紫坪埔ダムから下流に流す水の量を普段より50%増やし、水位を下げている。

これに関連し、中国国務院傘下・マクロ政策担当部処の国家開発改革委員会はこの日、ホームページに今回の地震で391カ所のダムが破損したと、明らかにした。このうち2基は大型ダム、28基は中型ダム、残りは小型ダムという。水利部はダムをはじめ、水道施設の緊急補修のために周辺地域に技術者を派遣した。(後略)
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大型ダムが2基存在するということですが、今回の地震はダムの建設が地震を誘発した可能性を完全には否定できないという見解もあります。また、評論家の宮崎正弘氏は人的被害が大きいのは手抜き工事による人災であると述べると共に、心配されてきた「三峡ダムの決壊」が現実味を帯びてきたと心配しておられます。そのサイト「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」から紹介します。
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   平成20年(2008年)5月13日(火曜日) 参
四川省大地震は人災ではないのか? 犠牲が多いのは手抜き工事
  次はいよいよ「三峡ダム決壊」のシミュレーションに現実味が急拡大している


 最悪の事態へ向けて微動が始まった。 三峡ダムの貯水が始まって、すでに記録されただけで地震は200回を越えている。貯水池は重慶から上流の広い流域。
昨日、大地震に襲われた四川省成都、都江堰、北川県などを含む。
 貯水が155メートルに達した(ダムは185メートル)。 水没した上流域で過去2年間に何が起きたか?
 地層の緩い箇所は土砂崩れ、崖崩れ、陥没。
 また地層には地表から見えなかった洞窟や鍾乳洞や、ぽっかりと穴が空いた場所があり、ここに貯水水が流れ込み、土砂崩れ、地盤の崩落を誘発した。
付近の住民が体感しただけでも200回を越える地震があった(拙著『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ。24p−27pを参照)。

 今度の事態は早くから予測されていた。率直に言って、人災である。
 犠牲の数が多いのは学校や工場の倒壊が原因だが、多くの建物は日本のような耐震構造ではなく、もともと建築基準法さえ守っていない、大胆な手抜き工事によるものであろう。

 成都には四回ほど行ったことがある。イトウヨーカドウは三店舗、すぐに閉店したそうである。 都江堰は、古代中国の灌漑設備が残る観光の名所でもあり、さらに北へ行くと日本の農耕文明に酷似した太陽信仰の「三星堆遺跡」が広がる。嗚呼、あのあたりも地震の被害に襲われたのだろう。
 眉山も、もっと北東部の九寨溝にも被害が及び、また三峡ダムの立ち退きで流民の流れ込んだ重慶市にも被害が及んでいる。
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三峡ダムは今回の震源から約650kmも離れていますから、このダムの建設が直接影響したという可能性は少ないと思いますが、「三峡ダムの貯水が始まって、すでに記録されただけで地震は200回を越えている。」という現実は怖いものがあります。 
ウイキペディアの三峡ダムという項目には「地震の可能性」と題して、次のような解説があり、貯水する水の重量に岩盤や地質が耐え切れず、ダム破壊に繋がるという認識のようです。これが地震関係者の認識でもあるのだろうと思います。
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地震の可能性
2006年8月、香港の中国人権情報センターは三年以内に三峡ダムが強い地震を引き起こす可能性があると発表した。また中国国務院の温家宝総理もこの件について憂慮しているとも添えられている。同発表によると、当局は1993年より同ダム近辺についての地質調査を行っているが、その結果および重要な地質資料が極秘となっている為に、外部機関が精査することが出来ないとしている。

蓄積された水の重さにダム付近の岩盤や地質が耐え切れずに「地震」を引き起こすのでは無いかという懸念が寄せられているのも事実である。仮に何らかの理由でダムが決壊した場合、その流域に未曾有の大惨事をもたらすことは必至である
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しかし、本当に怖いのは、貯留される水の水圧によって地下深部に水が浸透すること、また水圧によって地下内部の圧力・温度関係に変動をもたらすこと、それによる解離ガスの発生であります。この解離ガスの発生が地震という爆発現象を齎すこと、つまり、貯水深の大きなダムの建設そのものが、地震を誘発し、ダムを決壊させるという可能性のあることなのです。


その意味では、震源と650km離れているダムですが、広大な貯水湖はかなり上流まで伸びているのでしょうから、地下の構造によっては震源付近まで影響が出ている可能性も否定はできないかもしれません。 

追記:三峡ダム計画について銀次狼氏から以下のような補足的コメントをいただきました。計画の詳細は良く知りませんが、数百のダムを建設するとなれば、危険性はさらに大きくなるのは当然です。

『三峡ダムの実体について、少しだけ補足させていただければ幸いです。三峡ダムはダム湖の長さが570Kmあり、重慶にまで達する長さがあります。また、三峡ダム建設とほぼ同時にさらなる上流に数百のダムも建設されたわけです。そのいくつかは日本最大の徳山ダムを越えるものがいくつかありました。三峡ダムと固有名詞だけ言えば一つのダムに思えますが、「三峡ダム計画」と言葉を変えれば、その実態は数百のダムの集合体とも言うべきものです。温家宝首相が懸念し、迅速に行動したのも頷けます。地震発生の原理が何であれ(石田先生の理論が一番正しいと私は思います)、未曾有の地震が発生するのは当然と思えます。』 

以上が銀次狼氏のコメントですが、「さらなる上流に数百のダムも建設されたわけです。」とあるその一つが紫坪埔ダム(紫坪鋪ダムともある)ならば、三峡ダム計画が今回の地震を引き起こしたという可能性も高いものになるでしょう。中央日報が391箇所のダムが破壊したと報じているのが、一連の三峡ダム計画によって建設されたものであるのなら、事態は深刻なものになる可能性があります。
揚子江流域の地殻構造がダム建設による地震発生の可能性を秘めているわけですから、本体の三峡ダムが破壊する可能性もあるわけです。本体ダムが破壊したとなれば下流域は悲惨な大洪水に襲われることになります。

1402
2008-05-16 (Fri)
四川省大地震と三峡ダムの関係
ネット検索によって「ダムが地震を誘発する」という週刊プレーボーイ記事(03年7月8日)を見つけました。
http://homepage2.nifty.com/kasida/environment/frame-yuuhatu.htm

ダム建設と地震発生の因果関係が[1401]にもある「間違い地震観」の立場ですが、「人災論」としては大変重要な視点で書いておられますので、抜粋して紹介します。
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長野県大滝村の牧尾ダム(61年完成。高さ105b。水資源開発公団所有)。
84年9月14日、王滝村を震源地とするM6.8の大地震が発生し、土砂崩れなどで29人が亡くなった。(略)
 そして、9月23日、毎日新聞に「牧尾ダム“犯人”説」との記事が出た。地元の元中学教師の故・島田安太郎氏が、その数年前に唱えていた「誘発地震説」を紹介したものだ。その内容は「牧尾ダム完成前には木曽地方を震源とする地震発生はなかったのに、63年から地震が始まり、76年後半には66回、77年から78年にかけても40回余と多発。ダムの水が断層に浸透したのが原因」というものだ。
 記事では、当時の愛知工業大学教授の故・飯田汲事氏が、「76年、牧尾ダムの貯水量と地震の関係を調べた。水位が減ると地震も減った。水の圧力で破砕帯に浸透していることが考えられる」と結論付けている。(中略) 興味深いのは、断定はできないが、群発地震がこの直後に起こったことだ(とはいえ、地元では、近くの御嶽山の火山活動との見方が圧倒的で、ほとんど誰もダムに関心を寄せないのが現状だ)。
★阪神淡路大震災を引き起こした野島断層で、京都大学や名古屋大学の地震学者たちが、断層に深い穴を3本掘り注水実験を行っている。97年と00年の2回、水を垂れ流しただけだが、いずれも無感の誘発地震が発生したというのだ。名古屋大学地震火山防災研究センターの田所敬一さんと連絡をとることができた。
「実験の目的は、大地震を発生させる断層の性質を知ることです。実験は、断層面を水の力で開かせることによって、人工的に地震を発生させているんです
――となると、ダムでも誘発地震の可能性はありますか?
「ダムの水位変化との関係は充分あります。ダムでは、水が岩透して岩盤内の水圧が上昇し、加えて、貯水池の重みで岩盤が押されての水圧上昇が影響するんです
 田所さんも科学的断定はしないが、中山さんの説明との共通点は、「水位の変化」と「水圧の上昇」こそが誘発の一大原因とする点だ。
「岩盤は急激な力の変化に弱い。たとえば、ダムが完成して水をどんどん貯めるときが一番危ないです」(中山さん)
 なるほど。一覧表のダムも多くが貯水直後に地震が発生している。
★と書いているところで、とんでもないテレビニュースが飛び込んできた。
 昨年(2002)完成した奈良県川上村の大滝ダム(高さ100b)で、3月から貯水を始めて貯水率が50%になった4月下旬から、近隣の住宅や道路に無数の亀裂が生じたというのだ。
 この調査に訪れた「日本地すべり学会」は「ダムの水位上昇で地盤に急激な力が加わったことが疑わしい。今後急激に水位を上下させると地すべりの可能性がある」と指摘。
 これを受け、ダムを管理する国土交通省が貯水を中止すると、亀裂は止まったのだ。
★ 完成すれば、浜名湖の2倍の貯水量(6億6000万?)、日本一のダムになる徳山ダム(岐阜県)。96年にダム建設事業審議委員会がまとめた報告では、誘発地震を、「貯水量が20億?を超える海外の大規模ダムだけで起こるのであり、日本国内での誘発事例は皆無」と結論付けている。
 中山さんは、この報告書を見た瞬間に声を上げた。
「これ違います! 貯水量じゃなく、問題は水位なのに」
 徳山ダムの堤高は161b。
事業者の水資源開発公団に電話を入れ、なぜ高さが考慮されていないのか尋ねてみた。だが答は、「確かに深くなれば水圧も多くなりますが、まだ、高さが誘発の原因とは確定していませんから」と歯がゆいもの。確定されていないからこその徹底調査のはずだ。
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以上が抜粋記事です。[1401]でも述べましたが、ダム建設で地震を誘発するのは地盤を破壊して断層を滑らすからではなく、解離ガスを発生させて爆発を起こすからです。
たしかに、海外では100メートルを超えるダム建設で地震が起こらないケースもあります。これはヒマラヤ奥地のようにマグマが地下深部にある場所だからです。日本のように、マグマが浅いところに存在する火山帯では100メートルを超える貯水は慎重に水位の調節をしないと危険になります。地下深部の解離層を不安定にするような急激な水位変化は危険であります。
地震の発生理論が間違っているために、なぜ日本では危険なのか、なぜ水位が問題になるのかなどが理解されていませんが、地震爆発論ならば、火山国の日本で高水位のダムを建設することの危険性、CO2を地下に圧入することの危険性が理解できます。

また、今回の地震では震源付近の391のダムが地震で破壊されたということですが、ダムの建設自体がダムを破壊したという可能性も十分にあるわけです。プレートの“おしくらまんじゅう”現象([1398]阿部発言)で歪が蓄積されている『地震多発地帯』というような寓話的地震観を早く卒業するべきです。

三峡ダムに関しては昨年以下のように中国国際放送局が報道しました。
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http://japanese.cri.cn/151/2007/03/08/1@88282.htm

三峡ダム、今年さらに貯水量を増やす
2007-03-08 15:39:10


http://japanese.cri.cn/151/2007/03/08/1@88282.htmより

 中国揚子江長江三峡ダムプロジェクト開発総公司は、8日、「2006年に156メートルまで貯水したのに次いで、今年はより水量を増やす。今、その準備作業が進んでいる」と明らかにしました。
三峡大堤防の全体の高さは、すでに設計どおりに185メートルに達しています。左岸の発電所は100%負荷で発電しており、洪水予防、水運など総合的な機能も果たしています。(翻訳:朱丹陽)
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今回の地震が三峡ダム本体の影響であるかどうかはわかりませんが、付随してさらに上流に建設したダム群、たとえば都江堰上流地域の紫坪ダムなどが影響していることは十分に考えられることだと思います。391のダムが破壊したということは破壊しなかったダムも含めて、四川省一帯ではかなりのダムから地下深部へ解離層を乱す働きがあったのではないかという推測も成り立ちます。
結論として、早急に地震学の見直しを図っていただきたいと地震学者にお願いいたします。

1403
2008-05-16 (Fri)
三峡ダム周辺で起きていた地震
三峡ダム周辺では、156メートルまで貯水した2006年以降いくつかの地震が起きていたようです。危険性を認識し、ダム建設反対を訴える地質学者は排斥され、地質データは隠蔽されてしまったようです。大紀元時報が報じています。
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大紀元時報 2006年11月
http://jp.epochtimes.com/jp/2006/11/html/d33576.html
中国湖北省で群発地震、三峡ダム巨大貯水量が地質に影響か
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 【大紀元日本11月7日】
・湖北省隋州で10月28日午後、マグニチュード4・2規模の地震が発生した。民運センターは、一介の地震学者の意見を引用し、今回の地震が隋州と宜昌の間にある嚢樊・広済地質断裂帯と関係があり、三峡ダムの備蓄水量が高位に達してから、周囲の断裂帯に影響し地震を誘発したとの見方を発表した。

 ・新華社通信の報道によると、27日午後6時50分頃、隋州市三里崗付近でマグニチュード4・2規模の地震が発生した。湖北省地震局によると、震央の区域では、家屋が倒壊、武漢、荊州、荊門、嚢樊、宜昌、天門等でもそれぞれ有感地震があり、とりわけ天門では地面が強烈に震動したという。三里崗鎮劉街村の村民・胡中朝さんによると「家族と一緒にテレビを視ていたら、家屋が大きく揺れだし、テレビとテーブルが激しく震動した。揺れは約十数秒続いた」という。

・新華社通信によると、28日午後にも湖北省で再度地震が発生、震央は隋州市三里崗付近で、規模はマグニチュード4・2だという。

 ・湖北省地震局のネット報道によると、2006年10月27日午後6時52分に隋州市三里崗付近にマグニチュード4・2程度の地震が発生して以来、翌28日の午前8時まで、群発地震48回があり、最大のものはマグニチュード2・5規模であった。報道によると、これらの群発地震は、27日の余震であるとみられている。

 ・香港の「中国人権民主運動情報センター」の報道によると、この地震は、三峡ダムの水位量が156メートルに達した後に、付近の地震断裂帯に作用して発生した可能性が高く、近くマグニチュード4・2以上の地震が発生してもおかしくないという。

 中国長江三峡総公司の副総経理・曹広晶氏によると、全地球規模から看ても、ダムの貯水量が地震を誘発するのはよくあることで、「2003年6月に、三峡ダムの水位が135メートルに達して以来、三峡ダム区域では、大小の地震を千回以上観測している」と述べている。

 新華社通信のネット速報によると、観測の結果、9月20日から水量が目立って更新した一ヶ月、三峡ダム地区で定位観測された地震は145回に上った。

 地震の専門家によると、総ての大峡谷は、地質が断裂して形成されたもので、元々の地質は安定しておらず、そのような地質が不安定な大峡谷にダムが建設されて、水位が100メートル以上になると、巨大で不均衡な圧力差が地質断裂上に加わり、地震を発生し易いという。

 専門家によると、問題の焦点は、三峡ダム一個だけが地震を発生させたのではなく、三峡ダムの近辺100km以内に別の大型ダム2個、即ち清江隔河岩水庫ダムと葛州ダムが存在しているために、この地質が不安定な地域に、大型ダム三個が極めて近い距離で不均衡な圧力を地質断裂上に加えて、その圧力差のために地震を誘発する共同作用を生じ、その結果、三峡地区で強烈な地震が発生しやすくなるのであるという。

 「民運情報センター」の先の報告では、消息筋によると、三峡ダムで地震が発生しうるという論証を進めていたところ、三峡ダムの建設プロジェクトに反対していた地質学者が排斥された。このため、これら計画に反対していた地質学者たちは、外国の学者たちとともに、三峡ダムが強烈な地震を誘発するという論証をさらに煮詰めたいと思った。しかしながら、中国の関係部門は、地質資料が国家機密に属するとして、専門家の閲覧を許さなかった。

 消息筋によると、今年一月、北京当局は、再度地質学者たちを招集、三峡ダム地区で発生しうる地震についての研究、同地区での活動断裂、断列辺縁、さらに地球物理場での異常地区における重点考察などについて命じた。しかし、半年経っても、当局は「高度の秘密」であるとして、調査結果について、一切の情報公開をしていない。

 情報センターは、消息筋の判断からして、これから将来の三年以内に、三峡ダム地区で強烈な地震が発生し、マグニチュードは6・5程度であるとみている。専門家の指摘では、60年代からすでに大型ダムが誘発した地震事件は12件あり、死亡者数千人を出している。現在の三峡ダムの貯水量は、393億立方メートルに達しており、地区の地質が複雑であるため、発生する地震規模も巨大であるとみられている。


 中国国務院・温家宝首相もこの件について憂慮しているというが、「三農問題」の解決を後回しにした、大陸沿海地方の改革解放による急速な見せ掛けだけの発展を目指した、環境問題を考慮しない中共中央の「勇み足」とも「ツケ」とも言えよう。
(06/11/07 10:02)
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「地震の専門家によると、総ての大峡谷は、地質が断裂して形成されたもので、元々の地質は安定しておらず、そのような地質が不安定な大峡谷にダムが建設されて、水位が100メートル以上になると、巨大で不均衡な圧力差が地質断裂上に加わり、地震を発生し易いという。」・・・とありますが、総ての大峡谷は、地質が断裂して形成されたものかどうかは、専門家でないので分かりませんが、そうでないとしても、100メートルを超える水圧が新しく作用すれば、地下深部に地下水が送られ、解離条件が変化して、解離ガスの爆発という地震が発生する可能性があります。

1404
2008-05-16 (Fri)
ダムの破壊で心配される洪水調節
紫坪埔ダムの破壊がテレビのニュースでも取り上げられています。

このダムをグーグルマップで探してみると、かなり巨大なダムであることが分かります。日本で一番大きな徳山ダムが作るダム湖よりはるかに大きなダム湖が形成されていることが分かります。


View Larger Map


この紫坪埔ダムは成都の北西の山間部にありますが、決壊するようなことがあれば、成都だけでなく、下流にある重慶にも大きな影響がでます。
その重慶でも、ダムの水漏れが以下のように報じられています。
http://jp.epochtimes.com/jp/2008/05/html/d72692.html
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地震後17ヶ所のダムで水漏れ=重慶市
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 【大紀元日本5月14日】重慶市は13日に地震後、17ヶ所のダムに安全問題が発生し、程度は様々だが亀裂や水漏れが発見された。
 報道によると、現地政府部門は現在、積極的な救援活動を行っており、三峡ダム地域は特別管理しておりしばらく危険な情況は起こらないとしている。
 重慶市の話では、17ヶ所のダムはそれぞれ北碚、塾江、南川、巴南の4県に位置するという。
 この他、三峡ダム地域に問題は発見されていないと国土部門は伝えている。 
(翻訳・坂本)   (08/05/14 08:16)
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紫坪埔ダムも決壊を避けるために放流して水位を下げているようですが、下流にある重慶のダムでも放流して水位を下げなければいけないですから、三峡ダムにはかなりの量の水が流入します。これから、台風シーズンが来るわけですが、三峡ダムだけで、洪水調節を行うのはかなり難しくなるように思います。今から放流しておかないと、大洪水になる危険性もあり、心配です。
今後環境問題も含めていろんな問題が発生してくるものと考えられます。ダム建設と利権の話は、次の動画にも出演している宮崎正弘氏のサイトに載っています。胡錦濤国家主席が水利の専門家であったとは知りませんでした。「李鵬(全人代委員長)以下、次期総書記に確実視される胡錦濤(現国家副主席)も水利専門家、彼らは水力発電プロジェクトに「生き甲斐」さえ見いだしており、1949年革命時点で中国全土に22ヶ所しかなかったダムは、いまや22000ヶ所にも及ぶのだ(ケープタウンに本部を置く「世界ダム委員会」調べ)。」・・・とあります。


1405
2008-05-19 (Mon)
巨大地震を直前に予知する方法
彩雲[1399]や蛙[1400]のほかにも、地震の前兆と思える動物の異常行動や、湖水の消滅という異常現象の報告があります。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080518-00000052-jij-int
ダチョウなど、大地震前に異常行動=予知研究の動物園で確認−中国
5月18日17時0分配信 時事通信
 【香港18日時事】香港紙・東方日報は18日、動物の行動観察による地震予知を研究している中国広東省の深セン野生動物園で、12日午後に四川大地震が起きる直前、ダチョウが集団で狂ったように走り回るなど異常な現象があったと報じた。
 ダチョウが走り回ったのは12日朝。このほか、同日昼には、ゾウが鼻でしきりに鉄製の門をたたいたり、普段はおとなしいカモシカが不安そうに延々と歩き続けたりした。また、カメが水に入ろうとしない、ヘビが寝床の箱から出て来ないといった異変も見られた。地震発生後、動物の行動はすべて平常に戻ったという。
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http://jp.epochtimes.com/jp/2008/05/html/d68786.html
 【大紀元日本5月14日】
さらに、四川省と離れている湖北省武漢市でも地震前兆とも言われる現象があった。恩施市白果郷下村では観音塘という池の水約8万トンが短時間で、突然消えてしまったという。
 武漢市「楚天都市報」(5月5日付)によると、観音塘は丸い形、直径は約百メートル、深さは数十メートル。4月26日午前7時ごろ、水面上に突然大きな渦が現れた。また、大きな響きが聞こえた。その後、5時間足らずで池の底の真っ黒い泥が現れ、水はすべて消えてしまったという。
 各地の奇妙な現象に不安を感じた人々から、地元の防災機関に問い合わせが殺到したが、ただの自然現象とか、地震なんかありえないと結局無視された。

(08/05/14 00:18)
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http://www.tokkai.com/news/column/news/1210579084.php
溜め池、突然消える
[中国特快ニュース:/2008/5/12 (Mon) 16:58]
  湖北省恩施市白果郷にある観音塘という直径約100メートル、水深数十メートルの溜め池の8万トンもの水が、5時間の内に突然消え失せた。目撃者の話によると、水面に突然渦巻が生じ、それとともにゴウゴウという音を立てながら水が引いていったという。また、水が無くなってから一人の村民が池底に降り立ってみると、10キログラム以上もある大きな魚が2匹いただけで、他に魚は見当たらなかった。

  この土地に残る記録を見ると、この溜め池では中国が設立して以来、過去に3回(1949年、1976年、1989年)この奇妙な“水消失騒ぎ”が起きている。
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以上、不思議な現象が起きていますが、動物の異常行動現象は、[1397]でも述べたように、地下深部にプラズマ流が発生し、それによってMHD発電が起こっていると考えれば、説明がつくはずです。
注目されるのは、「恩施市白果郷下村の観音塘という池で、水約8万トンが短時間のうちに消えてしまった」という現象です。

恩施市は震源地から540kmほど離れた地にありますが、三峡ダムの南へ一山脈隔てた地あります。
8万トンの水が地下内部に消えるという可能性は、地下にある鍾乳洞のような空洞に落下したか、[1395]で述べた疲労破壊によって発生する空洞に落下したかのどちらかだと思われます。
クラカトア島の大爆発では島に向かって大量の水が流れたことが目撃されています。また、海岸近くで起きた地震(浜田地震など)では退潮現象という潮位が急激に下がる現象(イズミット地震で漁師が体験[1124])があります。炭酸ガスを発生させて大災害を引き起こしたニオス湖事件では200万トンもの湖水が地下に落下しました。
このように、水が落下して解離し、大爆発・大地震となる場合がありますが、震源から離れていること、ニオス湖地震に比べれば少量であることなどから考えると、恩施市で消えた水というのは、地下深部の鍾乳洞に吸い込まれたということが推定されます。
12日の大地震の前に小規模地震が起こり、これによって鍾乳洞上部の岩盤に亀裂が発生して、湖水が落下したということではないかと思います。
つまり、今回の現象は地震の直接的前兆ではないでしょう。しかし、今後湖水が突然消えるというような異常現象が起きた場合には、地震の前兆である可能性もあるわけですから、単純に無視するのではなく、他の宏観現象や、電磁波、地電流、水素ガスなどの観測データなども含めて総合的判断をしなければいけません。
地震の前兆現象は常に同じものが出るわけではありませんから、爆発にいたる種々の要因(解離を増進する原因)を吟味し、観測される前兆もよく吟味して総合的な判断をしなければなりません。唐山地震での失敗が生かされなかったのも、失敗の原因をよく吟味しなかったからです。宏観観測と言う重要な方法が抹殺され、一見科学的と見えるが、しかし間違った予知手段に迷い込んでしまったわけです。
もう一度、宏観観察および科学的観測という方法を共に見直しを行い、総合的判断をする習慣と組織を作らなければいけないと思います。非科学的という判断で頭から住民情報を否定することは大きな間違いであります。
小さな地震では前兆は出ませんが、巨大地震では必ず何らかの前兆が出ますから、宏観観察と化学・電磁気学を含めた科学的観測とを総合して判断する組織を作って欲しいと思います。

1406
2008-05-19 (Mon)
今こそ地震観の切り替えが必要
宏観現象として蛙[1400]が綿竹市でも大移動したというニュースが今朝の産経新聞に載っていました。

専門家は関心を示していると書いてありますが、地震のメカニズムを専門とする地震学者は別でしょう。このシーズンには別に珍しい光景ではない、地震と関連させるのは「非科学的」として無視されてしまうのではないでしょうか。
海城地震で予知に成功したのは[1397]で述べたように、周恩来首相の決断で体制を作ったからですが、唐山地震で失敗し、頓挫してしまいました。原因は納得できる地震観が存在していなかったからです。地震に伴う多くの現象を納得させる地震観が必要です。
今回の大地震を契機にして「断層地震説」あるいは「プレートテクトニクス仮説」から「地震爆発論」へと地震観をシフトする必要があると私は考えます。

1407
2008-05-20 (Tue)
地震爆発論には説得力がある
地震学にはまったくの素人の友人が、セミナー[1404]にも紹介した地震発生直後の土埃の舞う映像をテレビで見たそうで、あれを見ると地震は爆発現象という説がうなずけると語っていました。サイトを見ていても、断層地震説よりはよほど説得力があるという感想があります。
観光客が逃げている映像は青城山という場所だという説明がありましたが、都江堰市にありますから、震源に近い場所です。震源とは断層がずれ始める場所という定説の説明では、あのような爆発に近い現象を納得させることはできません。
また、山肌が崩れて崩壊する映像が続いていますが、地下の爆発が地殻の弱い部分から噴出してくる現象で、日本では「山抜け」[1268]という呼び方をされている現象が起こっているのだと考えられます。
もっと大規模になると、長野県西部地震で起こった御嶽山の西斜面崩壊のような現象になり、震源がもっと浅いと、セントヘレンズ山や磐梯山のような山体崩壊(セミナー[450])という現象になるでしょう。


フンボルト、小川琢治、石本巳四雄という先達が考えていた、地震と火山噴火は基本的に同じ現象であるという認識こそが正しい自然観であり、早くそこまで戻って地震学を軌道修正していただきたいと思います。

1408
2008-05-21 (Wed)
貯水が地下に落下する謎を解く鍵
[1405]で紹介した恩施市の観音塘という溜め池では、8万トンもの湖水が地下の空洞に落下しました。地下落下の可能性について興味深いニュースが大紀元にありました。地下に巨大な洞窟が存在し、そこから35年もの間可燃ガスが噴出し続けていると云うことです。
http://jp.epochtimes.com/jp/2008/04/html/d38558.html
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35年間燃え続ける洞穴「地獄への扉」=トルクメニスタン
 【大紀元日本4月3日】トルクメニスタンのダルバザ(Darvaza)という小さな町の付近に、35年間燃え続ける穴があるという。現地の人からは、「The Door to Hell(地獄への扉)」と呼ばれている。

 ニュースサイト「イングリッシュ・ロシア」によると、35年前に旧ソ連の地質学者らが天然ガスを求めて穴を掘っていた。地下に巨大な洞窟があることを発見したが、ガスが充満していたためそれ以上探索はせず、有毒ガスが噴出するのを防ぐために洞穴に火をつけたという。以来35年間、この穴は燃え続けている。

 今までにどのくらいの優良な天然ガスが燃えたのかは不明で、その埋蔵量も尽きることがないかのようだという。
(翻訳・市村)
(08/04/03 08:08)
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ネット検索すると、動画も含めていくつかのものがありました。恩施市周辺の中国やこの地方には、地下に未発見の大きな地底湖や、洞窟があるのだと思われます。

サージテクトニクス論者が考えているサージプール[1157]が地殻内には存在し、サージチャネルで連結している可能性があります。
http://www.dntours.com/darvaza.htm

http://www.popgive.com/2008/03/darvaza-burning-gates.htmlより


1409
2008-05-23 (Fri)
宏観観察に関する日中の差
[1399]に紹介した彩雲は天水市で観測されたものですが、天水市から東に約80km離れた陝西省宝鶏市でも地震発生の一時間前に観測されていたようです。
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http://jp.epochtimes.com/jp/2008/05/html/d83561.html
【大紀元日本5月15日】四川大地震発生1時間前の5月12日午後1時34分、あるネットユーザーが地震雲らしきものを撮影した。撮影場所は、陝西省宝鶏市東開発区の高新4路。
 写真を撮影した人物は、中国の動画サイトYOUKUで宝鶏眉県の地震雲を見ていたことから、通常とは違う形状と色の雲を発見し、撮影したという。
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ただし、彩雲に関しては、彩雲堂というサイトにあるように、地震の前兆でない場合もありますから、彩雲が出たから必ず地震が起こるというものでもありません。夕焼け雲が必ずしも地震の前兆ではなく、湿度の高い空気が入り込んで起きるケースがあるのと同じことでしょう。
したがって、宏観観測は他の科学的な観測データと合わせて、総合的に判断する必要があります。
中国では地震予報専門家が、宏観観察で海城地震、唐山地震の予兆を把握していたのに、政権におもねる地震学者らに排斥されたという「四川大地震:中国地震局、専門家の予報を無視」と題する以下のような記事があります。少し長いですが、重要な内容を含んでいますので、又リンク切れになる心配もありますので、転記して紹介させていただきます。
http://jp.epochtimes.com/jp/2008/05/html/d34557.html
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四川大地震:中国地震局、専門家の予報を無視
【大紀元日本5月17日】5月12日の四川大地震発生後、中国科学院エンジニアリング地質力学重点実験室研究員の李世輝さんは同夜、自分のブログに「地震予報専門家は今回の大地震を予報したが、無視された」ことを発表し、人々の強い関心を引き寄せた。多くのネット利用者はこの内容を転載して、当局の姿勢を非難した。

*四川大地震を予測した専門家
 李世輝さんは文章の中で「四川省汶川で発生した大型地震を聞き、中国の地震科学者・耿慶国さんは落胆し、心を痛めている」と綴った。耿さんは中国地震局研究員で、中国地球物理学会天災予測専業委員会の副主審でもある。

 李さんによると、耿慶国さんは2006年に旱魃・地震関係に基づいて、アバ・チベット族自治区でマグニチュード(M) 7以上の大地震を予測したという。2008年4月26日および27日に中国地球物理学会に付属する「天災予測委員会」の討論会を通じて、「1年以内(2008・5月〜2009年4月)に蘭州より南、四川、甘粛、青海の境界付近に震度6〜7の大地震発生が可能との予報を出した(書類による報告は中国地震局など宛てに、4月30日に投書した)。さらに、耿さんは強い磁気嵐(Magnetic storm)の組み合わせによって、明確にアバ・チベット族自治区における震度7以上の危険時期が5月8日(前後10日間以内)と示した」との内容を明らかにした。地震予報の3つの要素:震度、場所、時間がすべて明確に記された。
四川地震は予報されていたことを明らかにした李世輝さんのブログ(ネット写真:省略)

*排斥された地震専門家
 李さんは「耿さんは人間国宝級の能力を持つ人物なのに、中共政権におもねる地震科学者らに排斥され、わずかな退職金で科学研究を続けている。有効に活用されるべき定年退職された地震科学専門家の意見がいかされなかったのは、とても残念だ」と語った。

 李さんによると、1972年に耿さんは論文「旱魃・地震関係の大地震中期予報方法」を提出した。この論文に沿って、耿さんは1975年の海城地震を予報し、特に1976年の唐山地震も予報した。1980年に科学出版社の「中国旱魃・地震関係」を出版した。

 しかし、これらの成果は地震界権力派の利益を脅かしたため、耿さんは予報チームから外され、地震新聞社へ左遷された。

*唐山大地震を予報
 2005年5月、「報告文学」誌は張慶洲氏の調査「唐山警世録」を発表し、唐山大地震前の予報内幕を明らかにした。地震専門家・耿慶国さんは昨年、「中国新聞週間」で唐山大地震前の経験を語った。

2005年12月17日「海城地震から青龍奇跡討論会(第20回天地生人学術会議)」にて、
(左から)耿慶国さん、汪成民さん、李世輝さん(写真:李世輝ブログより)


耿さんは、唐山地震発生が発生した1976年7月のことを回想し、北京市地震チームが監視測定された各種数値の異常さは顕著に現われていたとし、同月14日、北京市地震チームは国家地震局に緊急電話を入れ、地震状況の緊急性を訴え、地震局予報室に対して、すぐに報告会を開くように求めた。しかし、地震局からは、天津、唐山など地区で実際の状況を調べてから、同月21日に聴取すると回答した。

 耿さんは「しかし、21日になっても国家局からは誰も来なかった。北京チーム業務部副組長の張国民さんが華北地区地震情報を主管する地震局分析予報室の梅世蓉・副主任にやむを得ずに直接に電話を入れたが、梅・副主任は聴取時間を26日まで延ばした」と語った。

 「同月26日、国家局から15人が集まって、1日掛かって聴取した後、梅さんは「四川北部は地震予防するために、すでにぐちゃぐちゃになっているから、京・津・唐地区でこれ以上混乱させてはいけない。北京が首都だから、予報は慎重に」との意見を示した。

 これに対し、耿さんは、「国家地震分析予報室は政策を決める部門で、大地震は目の前に迫っているが、我々はその関門を乗り越えることはできなかった」、また、「当時の地震レベルを考えたら、7月28日に確定できなかったが、7月末から8月初旬にかける予報は発表しても良かった。また、マグニチュード7・8を正確に把握できなくても、震度5以上のように発表しても良かった。唐山という確実な場所を確定できなくても、京津唐一帯にすることもできる。実際に、唐山地震発生する6時間前に地鳴り、地震前に生ずる大地の光が現われた。民衆に少しでも情報を与えていれば、死傷者数の軽減に役に立ったはずだ・・・・」と語った。

*地震局への非難飛び交う
 李さんのブログに多くのネット利用者もメッセージを残し、当局が専門家の警告を無視したことを非難した。次は一部のメッセージ。

 「何故国家は地震科学者を重視しないのか?無実な民衆を苦しませるのか」とか、「もう少し情報を入手できれば、死傷者は軽減したのに」、「中国政府の汚職が最も多いのだ。真面目に仕事はしないで、権力ばかり使うのだ。何故彼らを管理する人はいないのか、私が住んでいる地区がそうだ。どんな政府関係者もいて、お金しか目に入らない。国民の存在を無視して、本当に悲しい…それぞれの命は一瞬にして亡くなった。これは天災か?それとも人災?」と綴っている。

 「政府関係者が知っているのに、何故民衆に知らせなかったのか。もっと早く準備していれば、死傷の数はここまで深刻にならなかった。政府関係者らは、でたらめばっかり言って、大事なことは何もしないのだ」。

 「この文章は温家宝首相に読んでもらうべきだ。地震局関係者が全員耿さんと同じように、自分の肩書きではなく、人民のために働き、強い責任感を持つ科学者であれば、首相も苦労はしない。人民の生命財産も被害に遭わない。私も水利関係のエンジニアリングで、科学技術者としてあるべき良知を持っている。今日、ニュースで地震局関係者が記者の質問に答えた内容は殆どが曖昧で、まさに言葉のゲームをしているのだ。まったく笑えるのだ。中国人は愚かではない。このような政府関係者がいること自体、私が恥ずかしいのだ」。

 「私は唐山大地震の唯一の生存者だ。唐山人は特に地震局に反感を持っている。壊滅的大型地震を知らせることはできなくて、24万人の民衆が亡くなった。32年が経って、四川省#27766;川で発生した同様な大型地震に関しても、同じように知らせることはできなかった。国家地震局の人たちよ、あなた達は税金で養わされているのは何のため?地震局長は責任を負い、辞任すべきだ」。

*無能な者が権利を握り、仕事のできる人は排斥される

 次もネット利用者のメッセージ。

 「恥知らずな政治屋の科学者、本当の科学者を愚弄した」「能力のない者は往々にして、能力のある者の上に立つ。これが中国の現状だ」。

 「人民に害を及ぼす者たちが大勢いる、我々の国家はまだ希望があるのか。まるで大きいケーキに噛み付いているネズミの大群を見ているようだ。しかし、そのケーキはすでに穴だらけになっている」

*政府関係者、すべてが政権維持のため

 さらに、次のようなコメントも、「すべてが政治のため、民生、民主、民権はすべてが権力者らに踏みにじられた」。

「記者会見を見たか。官僚らは、地震予報は世界における難題だと理由をつけて逃れた。官職を保持するために専門家の意見を無視した。国家と人民に災いをもたらした者たちだ」。

 「平和ボケだ。カエルの集団大移動の現象が現われても、専門家は現在が話題になっている「環境保護」の科学道理で無理にはめようとし、地震の前兆だと認めない。そうでなければ、チベット独立分子にされ、五輪を破壊するとされるのだ」。

 「この件について真面目に調査し、本当に地震局が専門家の意見を無視したのであれば、被害者のためにも、地震局関係者らを厳重に処罰すべきだ。良知を持つ科学研究者に敬意を…」。 
(記者・辛菲、翻訳/編集・余靜)
(08/05/17 11:10)
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以上がその記事です。中国での宏観観察による地震予知手法が頓挫した顛末は[1397]で紹介しましたが、上記の記事を見る限り、中国には「良知を持つ科学者」がまだ存在しているようであります。しかし、今回の地震予知が本当に、合理的なものであったのか、偶然的なものなのかを判断する情報は今のところ不明であります。
残念ながら、日本では責任のある地位にいる地震関係者が宏観観察に理解を示すような状況にはなく、地震関係者からは初っ端から「地震とは全く無関係」として無視されてしまうでしょう。
したがって、現状では民間研究者が慎重に吟味するしかないと思います。

1410
2008-05-23 (Fri)
法的規制で拘束される前に正しい地震観を普及したい
今回の地震に関しては、四川省の地震局職員7人が数日前に地震の予兆に気付いていたのだが、五輪前の安全保障のためにこの情報を発表することが禁じられていた、という記事があります。
間違った地震学に固執して民間伝承に基づく知恵までも「社会不安を防止する」という意図の下に圧殺されるようでは問題です。
日本もこのような動きに近づいていく法律が作られていくのではないでしょうか。その前に、ただしい「地震観」を広めなけれならないと思います。
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中国当局は大地震の予兆を把握していたのか=記者会見で深まる疑惑
http://jp.epochtimes.com/jp/2008/05/html/d27078.html
【大紀元日本5月14日】12日に発生した四川大地震の被災地域は悲惨な状況下に置かれている。市中では中国国家地震局が地震発生前に民衆による予知警告を受け取っていたが、北京五輪中の社会安定維持要求に基づき、これらの発表が禁じられていたという噂が流れている。このような疑問に対し、同局職員はこの日開かれた記者会見においても直接的な回答を全て回避していたという。

 中央社の報道によると、中国国務院報道事務室が13日開いた記者会見では、中国民政部副部長・羅平飛氏、中国地震局ニューススポークスマン・張宏衛氏、中国民政部被災者救災局局長・王振耀氏、中国地震台網センター副主任・張暁東氏などが記者の質問に答えた。

 最初に質問した「シンガポール連合早報」の記者は、彼らが受けた四川省地震局職員7人の訴えを示し、これらの職員が数日前に地震の予兆に気付いたが局では五輪前の安全保障のためにこの情報を発表することは禁じられていたということを指摘した。

 これに対し張宏衛氏は「この推測は道理に合わない」と答えた。続いて張暁東氏が地震予測は「世界の難題」と回避。

記者会見では最後に中国「成都商報」の記者が再度質問した。中国地震局と各クラスの地震局の重要な職責と機能は地震予測である。今回の地震についての予測ネット上で何か予兆があったか、或いは人々が話していた地下水異常、動物の異常、或いは専門の地震指標、もしこれらの指標が予報警告発表の基準に達しない場合、一体基準はどのようなものになるのか。

 結果、張暁東氏は地震予測が非常に複雑であることを理由として質問をかわした。

 「成都商報」記者はさらに、今回の前兆は観測できていたのかを尋ねた。

 張暁東氏の回答は、「たった今話したように前兆と地震の関係ははっきりしたものではない。もしこの前兆がはっきりした後なら、地震予報は難関を突破しただろう」であった。

 同氏がこれらの質問に回答した時、記者会見会場にいた他の中国メディア関係者らは無言で首を横に振っていたという。
 (翻訳・坂本、編集・藤川)
(08/05/14 07:21)
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以上がその記事です。
日本では以下のような法律ができています。
気象業務法
第17条 気象庁以外の者が気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の
業務(以下「予報業務」という)を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を
受けなければならない。
第46条 次の各号の一に該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
 2 第17条第1項の規定に違反して許可を受けないで予報業務を行った者。

許可を受ければ予報業務は可能である・・・としても、許可が下り難いという状況になれば、間違った知識を押し付けられる社会になってしまうでしょう。
そうなる前に、「地震爆発論」を広報したいと思っています。

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