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1351
2008-01-31 (Thu)
静岡県西部の群発的地震
セミナー[1335]でも紹介した静岡県西武における群発的地震がまた起きています。
1月27日には11回もの地震が先回(昨年11月と12月)とほぼ同じ場所で起きています。歪みエネルギーが解放されるという断層地震説では絶対に説明の出来ない現象ですが、山本氏が心配されているように、太田川ダムの建設による影響が懸念されます。

01/27 22:28 静岡県西部 (北緯34度53分 , 東経137度59分) 震度1 M2.5 深さ16km
01/27 20:37 静岡県西部 (北緯34度53分 , 東経137度59分) 震度2 M3.4 深さ17km
01/27 20:22 静岡県西部 (北緯34度53分 , 東経137度59分) 震度2 M3.0 深さ16km
01/27 15:51 静岡県西部 (北緯34度54分 , 東経137度58分) 震度1 M2.7 深さ17km
01/27 15:34 静岡県西部 (北緯34度53分 , 東経137度59分) 震度1 M2.8 深さ17km
01/27 10:53 静岡県西部 (北緯34度53分 , 東経137度58分) 震度2 M4.2 深さ16km
01/27 10:46 静岡県西部 (北緯34度53分 , 東経137度58分) 震度2 M3.1 深さ17km
01/27 10:43 静岡県西部 (北緯34度53分 , 東経137度59分) 震度2 M3.1 深さ16km
01/27 10:40 静岡県西部 (北緯34度53分 , 東経137度58分) 震度1 M2.6 深さ17km
01/27 10:36 静岡県西部 (北緯34度53分 , 東経137度59分) 震度1 M2.4 深さ16km
01/27 10:33 静岡県西部 (北緯34度53分 , 東経137度58分) 震度3 M4.1 深さ17km

[1335]でも述べましたが、ダム建設に伴う地下圧力の変化が水の解離現象を引き起こして爆鳴気の爆発を引き起こしているのだと考えています。熱と圧力の変化が水を解離させて、「爆発と結合」を繰り返しているのです。
地震は断層が動くことが原因で起きるのではなく、爆発(厳密には爆縮)が起こっていると考えないと説明が付きません。
断層地震説に関してもう一つ気になる記事がありました。
30日の中日新聞には、「新しい活断層見逃しか」と言う見出しで、「地震爆発論」から考えると滑稽な議論がなされています。


断層という傷痕が5万5千年前にできたのか1万数千年前にできたのか、その相違がどれだけの意味を持つのか、地震爆発論の立場ではまったく理解が出来ません。

エネルギー問題は地震学の混乱に巻き込まれて益々混乱が激しくなるでしょう。早く断層地震説から脱却して欲しいと思います。

1352
2008-02-13 (Wed)
静岡県西部の群発的地震(2)
静岡県西部の群発的地震に関して以下のようなサイトがありました。
ここでも、『ダム建設時に活断層の調査が曖昧だったのだ、または調査事実を隠蔽しているのじゃないのか・・・』という原発サイトでの議論と同じような責任の追及がなされています。地震が起こったと言うことは活断層があったという証拠だという議論です。抜粋して紹介します。
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太田川ダム建設現場下流域の群発地震

http://www.geocities.co.jp/NatureLand/2063/gunpatsujisin.html

新聞には静岡県西部各地の震度だけが有感地震があった時だけ報道され、震源が 森町落合周辺であり、太田川ダムから西南わずか1.8km(柿の平 橋)の地点を中心にした 2km四方の非常に限られた地域に集中している事実は全く報道されませんでした。

事実関係だけを調査した結果を2枚の図にまとめてお知らせします。元データは気象庁の地震統計です。(HPから 気象統計→地震・津波→気象データペース→で)


図−1は11月12日から12月4日までに発生したM1以上の 地震の震源分布地図です。
左は県西部全体、右は落合周辺です。90%以上が森町に集中していま す。
落合周辺では深さが16〜17kmです。

(同サイトより引用)

■問題点

 1. なぜ少なくともここ20年間はM2以上の地震がなかったこの地域に小さいとは言えこれほど高頻度の地震が群発したのか。

 2.静岡県は「太田川ダム周辺7km以内には活断層はな い」と頑迷に主張してきたが、・・・・「活断層があることを発見で きなかったに過ぎない」事が明らかになったダムとの関係で、この今まで 知られていなかった断層の走行方向、傾きなどを県は市民の前に明らかにすべきです。

 3. 太田川ダムの本体工事は約8割がた進み、来年秋には湛水 試験が行われるようですが、断層のあるところにダムを造ると地震(大きいばあいは M6級)が誘発される事があるのは全世界でしられており、地下注水実験で地震を起こすこともできています。

  このような場所で湛水が行われた場合、どんな問題がおこるでしょ うか?
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以上が抜粋記事です。

ここ20年間はM2以上の地震がなかったとありますが、デンバーの注水実験では80年間も地震がなかった地域に大きな地震が発生しています。(ANSビデオ参照)

残念ながら、活断層を再調査しても見つからないでしょう。
地震が起こるのは活断層が動くことが原因ではないからです。地下の解離層を乱すこと・・・それによって爆鳴気を発生させ、爆発を誘発させている・・・と言うのが石田理論による見解です。

ダムの湛水は今年の秋から開始ということですが、ゆっくりと行い、地震発生の様子を見ながら急激な水位の変動は少なくして運用することです。

追記:
地下注水実験で地震を起こすこともできています・・・とあります。セミナー[1256]に紹介した竹内均先生の薫陶が生きているのを感じますが、地震の原因が断層が動くことにあるのなら、断層の存在しない場所に水を注入しても、地震は起こらないはずです。断層地震説は地震の原因と結果とを取り違えています。

1353
2008-02-14 (Thu)
新しい地球観(1)
セミナー[1147][1149]でも紹介した『新しい地球観を探る』に載っている海洋底拡大説への疑問に関してですが、海底の岩盤や堆積物に記録される残留地磁気からどうして海洋底の拡大が証明されると言えるのか、そしてプレートの移動説の証拠と認定できるのか疑問に思うことが沢山あります。もし、このサイトをお読みの専門家が居られましたら、ご教示をお願いしたいと思います。事務局宛のメールをいただきましたら、必ず報告させていただきます。
さて、セミナー[1149]でも紹介した図―4-5ですが、

この図は海底面からの深さによって残留伏角が変化しており、海底岩盤が一体となって移動していないことを示しています。
『大西洋中央海嶺下に、20〜30万年×3回というきわめて長い時間(最大90万年)にわたってほとんど水平に移動しなかった海洋地殻が存在していたということは、その海嶺付近では、海洋底の拡大が長い年代にわたって行われなかったことを意味する。このことは海洋底拡大自体の否定につながるのではなかろうか。』
と言う疑問に対して、『海洋底の拡大の速度が異常に遅いために、同じ場所で繰り返し地磁気の逆転が繰り返される場合がある。』という解釈で済まされているようです。
もっと奇妙なことは、海嶺付近でもまったく縞模様が見られない地域があるとか、縞模様が海嶺軸と斜交する場所があるということです。
これは大西洋中央海嶺付近での火成岩の残留磁気の話ですが、次に示すのは火成岩ではなく海底に積もった堆積物の残留磁気を調べたものです。火成岩の残留磁気に比べると堆積岩の残留磁気は微弱なものだそうですが、精密な計測によって残留磁気を調べられるそうです。地球の岩石磁気学と古地磁気学と言う論文から引用します。
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『深海底ではほぼ1,000年に1 [mm]程度の速度で堆積が進む.したがって海洋底より採集した100 [m]程度の棒状のコアは1億年以上の堆積物よりできている.この深海底堆積物は,希薄ではあるがマグネタイト粒子を含んでおり,そのため火山岩の約100分の1程度は残留磁化をもっている.(中略)
図4.1に深海底コアより得られた地球磁場の極性の経年変化を示す.図4.1に見られるように,地球磁場は何度もその極性を変えてきている.この反転がどのような機構により生じているのかは,まだよくわかっていない.しかし,図にみられるように,地球磁場が逆転する前後に残留磁化の大きさが減少する傾向がみられるのは興味深い.』


図 4.1: 深海低泥に刻まれた過去地球磁場の記録.左側から海底泥コアの年代(化石で決めた)とその岩石学的タイプ.中央に残留磁化の強度(単位ガウス)と伏角,右側に地球磁場極性の変化(黒は現在と同じ極性,白は反対方向)を示す.(Tauxe et al., 1984による)
(出典地球の岩石磁気学と古地磁気学より加工させていただきました。)

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さて、この図から分かることは海底面から160m下の堆積岩をボーリングして得られたコアは3900万年前のものだということです。もっと下には2億年前の地層もあるのではないでしょうか。だとしたらプレートが海嶺で誕生し、2億年移動してから海溝部で地球内部に潜り込んで一生を終えるという「海洋拡大説」は矛盾することになります。
私は、この図は次のようなことを物語っていると考えています。

『伏角がプラスということはその場所が北半球に在ったということを示し、マイナスということは南半球に在ったことを意味している。すなわち、地球の表面は宇宙空間で何度も逆立ちもしたし、逆立ちまではいかなくとも、フラフラと揺れ動いたこともある。
つまり、地球は何度もポールシフト現象を経験してきた証拠である。』

ということです。ポールシフト現象と言っても良いですし、地殻の移動現象と言っても良いのですが、地球内部の熔融マントル全体は急激な動きはせず、その表面の薄い地殻だけが、大陸規模での隆起・沈降という激変を経験するたびに、地殻の重心が回転軸の上から移動して滑動するのであると考えています。

ハプグッド教授(セミナー[1218]参照)は地殻移動の原因として両極地域に堆積する氷の不均衡を考えていますが、両極の氷は回転軸付近にありますから、大きな重心移動の原因にはならないはずです。低緯度帯での地殻の隆起・沈降の影響の方が大きいはずであります。
2004年12月26日に発生したマグニチュード9.3のスマトラ島沖地震でさえ、北極の自転軸が最大で約2cm程度移動した可能性があるとする予測があるそうです。

ところで、竹内均先生編集になる別冊サイエンス「生きている地球」には、次のような文章があります。

「地磁気の逆転現象は大陸上での火成岩、海底表面にある堆積岩そしてその下にある真の海底である火成岩のそれぞれの残留磁気という三つの形で記録されている。このうちの前二者では、記録は上下方向に、また後者では、記録は地磁気異常の縞模様となって、水平方向に配列している。大陸上での火成岩と海底にある堆積岩でたどられる地磁気逆転の歴史は、数百万年の程度である。これに対して地磁気異常の縞模様を使えば数千万年にもわたる地磁気逆転の歴史をたどることが出来る。このような3種類のデータから得られる結果が、相互に矛盾しておらず、これが地磁気逆転の存在を確認している。この3種類のデータによる確認を三位一体と呼んでいる人もある。」(竹内均編別冊サイエンス「生きている地球」より)

三位一体であることから、地球磁場が、逆転したことは確かのようですが、私は三番目の(水平方向に出来る火成岩に記録された)地磁気の縞模様が海洋底拡大説を証明するものとは思えないのです。
ではそれが何を意味しているのかについては次回に述べることにします。

1354
2008-02-14 (Thu)
新しい地球観(2)
では地磁気の縞模様が水平方向に出来る原因は何でしょうか、私は【新しい地動説・ポールシフト】で次のように解説しました。

「地球上の岩石は冷えて固まるときにその時の地磁気を記録します。深海底の海嶺から吹き出して固まった熔岩には地磁気の逆転した様子が縞模様となって記録されています。これは海洋底が拡大している証拠であると定説では考えられていますが、石田理論では吹出した溶岩が地殻の上部を滑動している姿であると見ています。ライブラリー43で紹介しましたようにこの縞模様からは7600万年の間に171回の磁気の逆転があったことが分かっています。」

それでは何故地球の深海部分には地球を取り巻くように海嶺ができるのでしょうか、私は厳寒の湖の表面に発生する「御神渡り」現象のようなものを考えると謎が解けるのではないかと思います。

御神渡り
画像はhttp://www.yomiuri.co.jp/img/MM20060109225537426L0.jpgより、海嶺の絵はhttp://www1.tecnet.or.jp/lecture/chapter2/2_07_1.htmlより


原始の地球はマグマオーシャンで地殻は存在しませんでした。やがて冷却されて表面に湯葉のような薄皮が張り、次第に固形化して地殻が誕生します。そして気温も低下して海洋が誕生し、動植物や人間が生活できる環境が生まれました。当然ながら地殻は相当厚くなっていますが、その下は依然として熔融マグマのオーシャンであるはずです。

地球の冷却が進行すれば、地球が収縮するはずですから、地殻が薄く弱い部分、つまり深海底の地殻は収縮力に耐え切れず、「御神渡り」現象のようにひび割れが起こります。これが海洋底の海嶺とか、地溝帯となって現れたのです。地溝帯はかつて深海底にあったものが浮上した姿かもしれません。

「御神渡り」は氷が膨張して起こるひび割れですが、海嶺や地溝帯は地球が収縮するために生じるひび割れでしょう。
「御神渡り」の裂け目から水は噴出しませんが、地球の場合は内部からマグマが噴出し、海嶺の頂上部から左右に溢れ出て斜面を流下します。この現象が地磁気の縞模様を形成するのではないのでしょうか。
この考え方ならば、噴出が起こらない場所、つまり縞模様が存在しない場所があっても不思議ではありません。またかつてアトランティスのような大陸があったところでは、海底は新しいわけですから、縞模様が無くてもおかしくありません。大陸が沈降するような大異変が起これば、新しく地球の「御神渡り」も発生するでしょうから、既存の縞模様に斜交する海嶺が発生してもおかしくありません。

縞模様の異常が見られる大西洋の北部地域(セミナー[1150]参照)にはかつて大陸が存在したのかもしれません。その沈没がアトランティスであり、古代ギリシャ軍と戦いを交えた国家が存在したと言うことは非科学的なものとはいえないと思います。
アトランティスが沈降したとすれば、そのときに地殻移動が起こったこともあり得ます。南極はそのときの地殻移動で極地入りしたことも考えられます。南極大陸が氷に閉ざされる前の地図をアトランティス軍や古代ギリシャ軍が持っていた可能性もあり得ます。古文書として残っていた地図をトルコの提督ピリ・レイス(セミナー[1221]参照)が発見したのだとしてもおかしい事ではありません。

以上の考え方(石田理論)ならば、地球上の多くの未解明の問題(古代文明の問題、氷河期の問題、生物絶滅の問題など)が解けるはずですし、アインシュタインもそれを期待してハプグッド説を支持していたと思うのです。

ところが、定説を信奉する人たちは決して石田理論を認めません。それは現代地震学という科学的方法から検討してトンデモナイ議論だと言うわけです。ウイキペディアの執筆者でも「新しい地動説:ポールシフト」を疑似科学という範疇に入れて紹介しています。

定説地震学が科学的と考えている内容は既に何度も述べておりますが、地球内部を伝播する地震波の挙動から調べると、地球内部が熔融していると言うことはナンセンスであるという内容であります。
地球内部を地震のS波が伝播していることは証明済みだから、少なくとも、2900kmまでのマントルは固体であると考えています。

ではここで、熔融岩石と水と言う二つの物質を使って想定実験をしてみてください
温度の違いはありますが、両者共に冷却する過程では、同じような挙動をするはずです。水は表面から氷となりますが、その下では水のままで、はっきりとした物理的性質の差が存在します。熔融岩石の場合でも、表面が固形化すると、その下は溶融しているはずです。固形化した部分を地殻と呼び、その下をマントルと呼ぶならば、マントルは熔融している筈で、明瞭な物理的性質の境界が出来ているはずであります。

マントル固体論の根拠となっているのはグーテンベルグ等の地震波伝播に関する数値計算の仮定に在ります。2900kmまでのマントルは固体であるから、S波が伝播できないような顕著な境界は存在しないと言う仮定を設けて、数値計算を行っています。その結果と実測結果が一致しているから、仮定は正しいと考えているわけですが、実測結果と一致するという認定に間違いがあることはANSビデオ「地震学の基礎にある大きな間違い」で解説してあります。

地震学はその基礎にある間違いに早く気付いて方向を転換すべき時に来ていると思います。

1355
2008-02-18 (Mon)
まことにお粗末ではないのか
東京大学のゲラー教授は「地震は予知できるはずが無い」と固く信じておられます。地震学が未熟なものであることを認めておられる上でのご発言ならば理解できるのですが、地震現象を正しく把握する努力やその上で地震の予知を成功させようと云う努力もしないで、「予知は出来るはずがない」として暢気な発言をされるのなら賛成できません。テレビ番組の動画を紹介します。
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ジェームス・ロバート・ゲラー博士、日本政府にもの申す
http://jp.youtube.com/watch?v=QHDXpd39ahk;amp;feature=related
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セミナー[1088]で、

「地震予知は不可能」原理主義者のようなゲラー教授をアメリカから呼んできて声高に叫ばせている、しかも国民の税金で給与を払っている意味が私には分からないのです。」

と述べました。確かに、政府が発表している地震の発生確率のようなものは、何の意味もありませんし、発生確率が低いと思って安心する地方の方もあるでしょうからゲラー教授の心配も理解できます。動画の中にもある次のような図面は発表する意味は無いと私も思っています。

地震動予測地図(2007年1月1日を基準とした確率論的地震動予測地図)



しかし、地震学者であるならば、何とか努力して「地震は何故起こるのか」「何故発光現象や電磁波異常が起こるのか」「マヤの酋長が行ったような地震予知と避難勧告([75]参照)は出せないのか」・・・と言った国民が真実望んでいる問題に挑戦するのが使命であると思います。

「地震予知はできるはずがありません」と断言するだけでは天下の東京大学の地震学者としてはまことにお粗末という感じがいたします。

追記:
ゲラー教授はジュセリーノ予言に関しても「詐欺」だと決め付けておられます。
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ロバート・ゲラー博士、ジュセリーノ氏の地震予知にもの申す。

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ジュセリーノ予言に関しては[1347]で次のように述べました。
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「ジュセリーノという方の予言なるものが実際に起きるのかどうか私にはわかりません。私は予言者の役割とは未来に起こることを言い当てることにあるのではなく、「このままこの道を進むと断崖があって転落するから、道を変えなさい、生き方を変えなさい。」と忠告するのが使命ではないのかと思っています。予言は未来の出来事を当てることが目的ではなく、環境問題や、人類の生き方を再検討させて、外れさせるためにある・・・」
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今年9月13日にM8.6の巨大地震・・・と言うのは中国か東海地方という話も語っていますが、その予知夢を外れさせることが大切であると思います。ゲラー教授のように「詐欺です」と言うだけで外れるのなら結構ですが、ジュセリーノ予言は日本以外の治安情況の悪い国のケースではかなり当たっているようです
ゲラー教授のように「詐欺」呼ばわりするだけでは「外れさせる行為」とはならないと思います。氏はマヤの酋長のことをもインチキ呼ばわりするのでしょうか・・・。

1356-1

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1356
2008-02-21 (Thu)
地震学の再検討を願う
インドネシアのスマトラ島でまた大きな地震がありました。2004年と2005年にも巨大地震が起きていますが、短期間に何度も地震が起きるということは、プレートの潜り込みによる歪の蓄積説で説明することは到底不可能です。毎日新聞の報道を紹介します。
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<地震>スマトラ島沖でM7.5 3人死亡、25人重傷 (毎日新聞

【ジャカルタ支局】米地質調査所(USGS)によると、インドネシアのスマトラ島アチェ州の西方、シムル島付近で20日午後3時8分(日本時間同5時8分)ごろ、マグニチュード(M)7.5の地震が発生した。震源の深さは34.3キロ。(略)
シムル島には約7万人が暮らしており、05年3月のスマトラ島西岸沖で発生した地震で約100人が死亡、コンクリートやれんが造りの建物の大半が崩壊し、復興途上だった。
 今回の地震ではスマトラ島の北部、西部で揺れを感じ、沿岸部の住民は津波を警戒して高台に逃れた。米ハワイの太平洋津波警報センターはいったん津波警報を出したが、その後、解除した。
 アチェ州は04年12月のスマトラ沖大地震とインド洋大津波で最大の被害を受け、約16万人以上の死亡・行方不明者が出た。
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(出展:http://cais.gsi.go.jp/Research/topics/topic041226/sumatra.pdfより)

図は今回の地震と2004年の地震の震源位置を示したものです(2005年の震源も近くにあることが分かります)。両者を比べると、非常に接近していることが分かります。地震が「ひずみ力」によって起こるのなら、4年間でM7.5の地震を起こす歪が蓄積されたことになります。常識的に考える人ならそれを信じることはできないでしょう。中越地震と中越沖地震の関係でも同じことが言えます。

定説地震学では説明の出来ない現象が繰り返される一方で、地震は爆発現象であるという認識はかなり多くの方に信用されつつあることを感じます。
ここで、今一度、定説地震学の間違いを指摘し、地震関係者に地震学を再検討していただきたいと思います。

次の図は説明のために、地震が起きる場所(深いのか、浅いのか)と地震波の観測場所(遠いのか、近いのか)との違いで区別し、@(浅くて近い)、A(浅くて遠い)、B(深くて遠い)とケースを別けたものです。


@の場合
良く知られているように、最初にP波の初期微動が到達し、遅れて主要動のS波がやってきます。この波形が次の記録です。


何れも定説理論で計算する時刻にP波とS波が到達しています。石田理論で定義する地殻(モホ面の下も含む固体部分)内部を伝播している地震波ですから、問題なく大森公式([1343]参照)が適用できるわけです。

Aの場合
@よりも遠くで計測される地震波Aはマントルが固体ならば@と同じような波形にならないとおかしいです。しかし、次に示すようにP波もS波も計算上の到達時刻にはまったく現れておりません。


これは、マントルが固体ではなくて液体であり、地殻とマントルとの境界でグーテンベルグの仮定のようには進行しないことを意味しているのではないでしょうか。実際の波は地殻内部を反射と屈折を繰り返しながら進行しているのだと思います。したがって、計算時刻よりも随分と遅れて到達していると考えられます。

走時表と名づけられた地震波の到達時間と進行距離の関係を表わすグラフが、計算値と観測値とで、正確に一致していると言う解釈になっていますが、それは間違いで、次のような深い場所で起こった地震波が、不思議と計算値に合っているということから、誤って解釈されているのではないかと思います。

Bの場合


これは、深発地震の波形です。@とAの波形とは全く違っています。初期微動というようなものではなく突然波形が立ち上がって、爆発現象を髣髴とさせるような波形になっています。これが深発地震の波形の特徴です。(地震記録は全てhttp://psn.quake.net/cgi-dos/event.exeより加工しました。)


セミナー[1317]で説明したように、溶融マントル内での地震では発生するのはP波だけです。そのP波が、地殻底部の境界で初めてS波を誕生させます。観測点に到達するP波は、ほぼ全行程をP波として直進し、S波は最初のうちはP波(溶融マントル内でのP波速度は4km/sec程度の遅いものです。)として、後半は地殻内部をS波としてほぼ直進します。したがって、全工程を4km/sec程度の速度で伝播し、見掛け的には定説による計算値に近い値となります。Bの波はAのような反射・屈折をしませんので、概略の値は計算値に似てくるわけです。しかし、走時の関係はまったく異なっております。
走時表の正しいことが実測値によって証明されていると言うのは、大いに誤解があると思います。

地震現象は地殻内部における爆発現象で、爆発の方向が鉛直に近ければ直下型の地震となりますし、水平ならば震動被害は少なく、地盤の陥没減少など心配されることになります。スマトラ島近辺で頻発している地震はプレート理論では説明しきれない現象です。
追記
これまでの記事中に紹介した波形記録にも、@〜Bの区別を表示しておきました。

1357-1
2008-02-25 (Mon)

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。

1357
2008-02-25 (Mon)
地球トモグラフィーにも根本的矛盾がある
地殻内部で発生する地震波は震源の近辺でならば、地殻内部で複数回の反射・屈折という現象を経ないで直達しますので、最初の波は[1356]の@のように計算どおりに到達します。
しかし、ある距離より遠くなると、Aのように理論と合わなくなってしまいます。
Aの波はモホ面以外にも地殻と、マントルの境界で屈折・反射をして伝播しますので、図に示す黒線ような経路(グーテンベルグが仮定した経路)でマントル内部を伝播するわけではありません。


定説になっているのは、マントルが固体であって、P波もS波もマントル部分を伝播していると仮定して得られた結果ですので、どのモデルでもマントルは随分速い速度で地震波を伝えていることになってしまいます。


実際にはAの波は白線で示すように、地殻とマントルとの境界で反射して再度地殻内部へ進入しています。ですから、そんなに速い速度で伝播しているのではなく、定説による計算値よりも随分遅れて地震計を揺らしているのです。

何故このような誤解(地震波の伝播経路とマントル固体説)が根付いてしまったのでしょうか。

推定すると、それはBの波が不思議なことに定説どおりに伝播しているように見えることに原因があるように思います。
Bの波もグーテンベルグの仮定した伝播経路で進行しているのならば、地球内部は相当速い伝播速度でないと説明が付きません。しかし、実際にはBの波はこれまでに[1356]や[1317] で説明したように、定説とはまったく違う挙動をしているのです。その勘違いが定説となって、岩盤のように堅く信じられてきたのではないでしょうか。

@とAの境界がどのあたりにあるのかは、地殻の厚さによって変わります。日本近辺のように地殻が薄い場所では数度程度でしょうが、大陸では地殻が厚いので、10度以上でも@の挙動を示す例もあるようです。しかし、20度以上まで@のような挙動を示すことはありません。

地球内部を地震波の挙動から調べようという 地球トモグラフィーに関しても、地震波がマントル内部をグーテンベルグが仮定したような経路で伝播していないという理由から根本的に矛盾(間違い)が存在する と言わざるを得ないのです。

次のサイトのように、如何に美麗な図面で修飾しようとも、内容を吟味することが不可能なものを、科学的知識として教え込むのはよろしくないと私は思います。残念ながら内容は間違いだらけであり、生徒の頭脳を人体トモグラフィー(CTスキャン) を連想させ誘導しようとしているが、利用する波の挙動が地球(地震波)と人体(電磁波)では違っています。関連性がまったく存在しません。プレートテクトニクスもプルームテクトニクスも理論そのものに矛盾(間違い)があります。

1358-1
2008-02-26 (Tue)

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1358
2008-02-26 (Tue)
プルームテクトニクス理論はご都合主義
コンピューターのお陰で大変難解な「積分方程式」も数値解析的に解けるようになり、「地球トモグラフィー」や「プルームテクトニクス」というのが一つの研究分野となって活発に論議がなされるようになってきています。

しかし、このセミナーで何回もコメントしてきましたように、「地球トモグラフィー」というものは、解析手法にある地震波の伝播経路の仮定が成立しませんので、根本的に間違っているということです。したがってその結果として発達してきたプルームテクトニクスというものも、作り話に過ぎません。
どなたが書いておられるのか知りませんが、以下のサイトにあった「プルームテクトニクス」を紹介し、その間違いを指摘しておきます。
http://homepage2.nifty.com/synchrotime/solar/plume.html
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プルームテクトニクス



http://homepage2.nifty.com/synchrotime/solar/plume.htmlより)

プレートテクトニクス

地球の表層は厚さ60〜200km程度のプレートの球形破片で覆われており、各破片が相対的に年間数cmから10数cmの速さで運動していることが判明している。
このようなプレートテクトニクスが存在するために、海洋底のプレートが年間1〜2cm移動して約2億年かけて海溝から地球内部のマントル対流に入り込むために、現在の海洋底プレート上には2億年以上の古い記録は残っていない。 2億年より前の地球の記録は、マントル対流に入り込んでいない大陸プレートのわずかな証拠から推定する以外に方法がない。
2億年前以後(中世代ジュラ紀)のことは、海底の状況等を調べてかなり詳しく知ることできる。
6,500万年以後(新世代)は化石等から得られる情報も多いことから、この時代の生物絶滅の実態と原因を知ることは、今後の地球の出来事を推定する上で非常に重要である。

地球は周期的に海面が上下動を起こし、地球磁場が変動し、花粉の沈降量が増減している。隕石孔クレーターは2,600万年から3,300万年毎にその数がピークになるといわれている。 生物の科や属のグループの絶滅統計によれば、絶滅が集中する時期があり、2,600万年の周期性も考えられている。

固体地球の核とマントルの境はほぼ球状であるが、所々歪んだ部分が存在するらしく、これらの歪んだ部分から時々大量または少量の物質がマントル内を上昇するこれを「プリューム」と呼んでいる。
プリュームの大規模な上昇・噴出があった場合、地球表面に大きな環境変動をもたらし、これが古生物の大幅な動植物の変動に影響したのではないか、といプルームテクトニクスが注目されている。

プルームテクトニクス

マグマ起源の火成岩が、高温のまま地表に現われ徐々に冷却する過程で、岩石はその時の磁場の情報を残す。

地震の伝播に関する解析手法が飛躍的に進歩して、地球内部の詳しい構造が分かってきた。

こうした地質学、地球物理学の新しい知見を総合化することで、ウェゲナーの大陸移動説はプレートテクトニクスとして蘇った。しかしプレートテクトニクスでも残された課題は、大陸を載せたまま移動させる駆動力の説明であった。

1990年代になると地震波トモグラフィーと呼ばれる新しい解析手法が提案され、地球の内部、特に深部に関する情報が増えてきた。そしてプルームテクトニクスと呼ばれる統一的な駆動力の説明が可能となった。

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以上がその記事です。

海洋底プレート上には2億年以上の古い記録は残っていない
とありますが、誤解があります。([687] [1132]参照)

[324]でも述べましたが、「グランドキャニオンが海底にあった2.5億年前を想定すると、その時一番古い海底はその時点から2億年前のもののはずです。その後浮上したグランドキャニオンにどうして6億年も前の地層があるのでしょうか(4.5億年なら分かりますが)。」という疑問に答えられません。

しかしプレートテクトニクスでも残された課題は、大陸を載せたまま移動させる駆動力の説明であった。(中略)そしてプルームテクトニクスと呼ばれる統一的な駆動力の説明が可能となった。
とありますが、マントルが固体であるという前提で計算しておいて、結果に対して流体的解釈を採用するのは間違っています。固体であるが、流動もするというレオロジーという考え方は「ご都合主義」だと思います。

・ 図の中で、メガリスが落下したり、マントル物質の上昇する様子が描かれていますが、固体の中でどうして落下とか上昇と言う現象が起こるのか説明が出来ません。そうした現象はマントルが溶融していれば可能です。しかし、マントルが溶融していれば、地震波はトモグラフィー計算の仮定にあるような経路を伝播しませんので、計算の結果からそのようなプルームの挙動を推定することは不可能です。


要するに、プルームテクトニクス理論とは、マントル固体論をベースにして、固体だが流動するというナンセンスな「ご都合主義理論」に過ぎないと言うことになります。

[1203]でも紹介した卯田先生の「単純明快な概念が非科学的で醜悪な寓話と化してしまう・・・・」と言う心配がトンデモナイ大きな寓話になってきているようです。メガリスが落下して「日本が沈没」すると云う話は壮大な寓話にすぎません。
卯田先生のコメント
「「思いつき(プレート論のこと)が十分な吟味もされずに既成事実となり、検証するデータもほとんどないのに、いつしか定説となる。そして気がつくと、どこまでが観測事実もしくは調査結果で、どこからが単なるアイディアなのか区別ができなくなっている。単純明快な概念が非科学的で醜悪な寓話と化してしまう・・・・。こうしてプレートテクトニクスは、いまやそのモデルとしての有効性に限界がきているように見える。」
「ほころび始めたプレートテクトニクス理論」より)
プルームテクトニクス・・・しかりであろう。

1359
2008-02-27 (Wed)
マントル対流の真の姿
石田理論(名称は仮説でも何でも結構ですが)では、「マントルは対流していない、プリュームは存在していない。」と言っているわけではありません。「固体としての対流ではない」「地球トモグラフィーがその存在を証明しているのではない」と言っているだけです。
ではマントル対流の真の姿はどうなのか、概念図を示して説明します。





A⇒B
図に示すように、熔融マントル(岩石や水分などの構成比率は場所によって異なる)は、海溝部(A)から下降を開始します。ただし、あくまでも地殻の下部での話しですから、プレート論と混同しないで下さい。
海溝でない部分でも、起こり得ますが、一般的な説明として深発地震面として知られている和達・ベニオフゾーンのようなものを想定してください。プレート論ではこのゾーンは潜り込んだプレートと解釈され、先端の動きが止まったように見える部分にはスタグナントスラブという名称が付いていますが、実際にそのような構造があるわけではありません。( [1203]映画「日本沈没」の解説参照)
(A)から(B)へ下降する間に乱流として移動しますから、図中の矢印のように、局所的に上昇する部分では、その場の解離能力(水を酸素と水素に解離させて、解離水として存在させる能力のこと)以上の解離水を含むことになります。深い場所の解離能力は高いので、カルマン渦のような乱流の挙動によって局所的に上昇するケースでは過剰の解離水を含む場合があるわけです。
解離能力を超えた過剰な解離水は爆鳴気としての爆発を起こし、これが地震(深発地震)現象となります。これを繰り返しながら地球内部へと下降しますが、全ての水(結合水)が解離状態になる場所から下部では地震は発生しません。
B⇒C
最下端の(B)から(C)までの間は乱流拡散という流体特有の現象が伴いますから海嶺下部の(C)点では、マントルに含まれる解離水は希釈されてその場の解離能力よりも少ない解離水しか含んでいません。
C⇒D
(C)点からは解離能力以下の解離水を含んだ状態で海嶺頂部へ向かって上昇します。
しばらくの区間では解離能力以下の解離水しか含んでいませんので、爆発(地震)は起こりませんが、解離能力を超えた部分からは、爆発が起こり結合水に変換されていきます。この結合水が海底で噴出する熱水になっているのです。
この熱水は超臨界状態を履歴していますので、多くの金属類を熔解・含有しており、黒煙(ブラックスモーク)のように海底から立ち昇ります。冷却されて析出した金属類は煙突上の構造物を形成しますが、これがブラックスモーカーです。

(NHK「地球大紀行」より)


(C)から(D)の上昇部分をプリュームと呼んでもかまわないと思いますが、プルームテクトニクスで解釈されているようなものではありません。
プリュームの上昇部分と呼んでも良い海嶺下部では深い場所での地震は起こらず、浅い場所での地震しか起こらない理由が解離水の爆発現象であると解釈すると良く分かると思います。

なお、陸上の火山や海底火山も含めて、地表に噴出するマグマは全て、地球内部の熔融したマントル物質のことです。
マグマはプレート間の摩擦熱で発生するとか、固体マントルが圧力の低下によって部分熔融からさらに完全な熔融状態に移行し、それがマグマであるという解説がなされていますが、石田理論では原始の地球から存在している地球内部の熔融物質であると解釈しています。

1360
2008-02-27 (Wed)
日本沈没の考察
読売新聞に次のようなニュースがありました。
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日本沈没ない?愛媛大でプレート落下説を否定する研究成果

 巨大地震を起こす原因でもある、地表を覆うプレート(板状の岩盤)は地中に沈み込んでいった後、地下600キロ前後でたまって、それ以上の深さには沈んでいかない可能性が高いことが分かった。

 映画の「日本沈没」で、日本列島が海溝に引きずり込まれるという“根拠”となっていた、プレートの地球深部への落下説を否定する成果という。
 愛媛大の入舩(いりふね)徹男教授(高圧地球科学)らが、14日付の英科学誌「ネイチャー」に報告する。
 地球内部を構成する岩石の種類は、マグマが運んできた岩石の成分分析などで分かってきているが、地下410〜3000キロはまだ不明のままだという。
入舩教授らは、岩石の種類によって、その内部を伝わる地震波の速度が異なる点に着目。地球内部と同じ高温・高圧状態を特殊な装置で作り、その装置の中に数種類の岩石を置き、地震波に見立てた超音波をあてて、その速度を計測。
 その結果、プレートを構成している岩石の内部を伝わる超音波の速度が、地下550〜660キロの地中を伝わる地震波の速度と一致し、プレートがこれ以上の深さに沈まずにたまっていると推定した。
(2008年2月14日03時14分 読売新聞)
――――――――――――――――――――――――
以上がそのニュースです。

「プレートの地球深部への落下説を否定する成果」・・・・と云うことですが、入船教授が何を根拠にそのように断定されているのかわかりません。どのような研究手法で、メガリスの落下現象はありえないという結果が得られたのでしょうか。<br>それを知るために、入船教授が市民講座で講演された要旨をサイト検索で見つけましたので紹介します。
http://www.ias.tokushima-u.ac.jp/physics/meeting/college3.html
★★★★★★★★★★★★★★★★
「放射光が照らす地球の内部」
   講師:愛媛大学理学部    入船徹男 教授

 宇宙旅行が可能になり、海底の探査も進んでいる現在においても、我々の足もとの地球深部はいまだに人類未踏の地です。地球の内部の様子は、これまで主に地震波の伝わり方により明らかにされてきました。これによれば、地球の内部には地震波の伝わり方が変化するいくつかの不連続面が存在することがわかっています。このような不連続面は地球を構成する物質の化学組成が大きく変化するため、あるいはそれらの結晶構造が地球内部の高い圧力のためによりち密なものに変化するためであると考えられてきました。
 一方、近年の高温高圧実験技術の進歩は、地球のマントル深部における条件を室内に精度よく再現することを可能にしました。このような技術に基づき、地球のマントル構成物質の結晶構造の変化や化学組成の変化が詳細に明らかにされてきています。しかし、金属のかたまりである高圧装置の中を実験中に直接覗くことは困難で、これまでは実験後に常温常圧で回収された試料から間接的に高温高圧状態での様子を推定するしかありませんでした。
 最近の放射光の利用、特に3年前から利用が開始された世界最大の放射光施設であるSPring-8の出現で、このような状況は一変しました。金属をも通過する強力な放射光を用いることにより、装置の中の高温高圧状態のもとで起こっている物質のミクロなまたマクロな動きを直接観察することが可能になったのです。この結果、上記の不連続面の成因などに関して、従来の地球科学の常識を覆す重要な研究成果も得られています。
 このように放射光と高温高圧装置を組み合わせることにより、地球の深部を探査する新しい可能性が開けつつあります。現在さらに高い圧力が発生可能な装置とSPring-8のより強力なX線を組み合わせることにより、地球のより深部での物質のダイナミックな動きをも観察しようとする新しい試みに、我が国の高圧地球科学研究者が総力をあげて取り組んでいます。
★★★★★★★★★★★★★★★★


以上が要旨です。地球トモグラフィーによる検討結果ではなく、実験室内での岩石の性質から判断されたようです。
しかし、

「地球内部の様子は、地震波の伝わり方により明らかにされてきた。これによれば、地球の内部には地震波の伝わり方が変化するいくつかの不連続面が存在する。このような不連続面は地球を構成する物質の化学組成が大きく変化するため、あるいはそれらの結晶構造が地球内部の高い圧力のためによりち密なものに変化するためであると考えられてきた。」

とあるように、結局は地震波の挙動から地球内部を推定して、不連続面が存在すると断定しています。そして、その不連続面付近に存在すると推定される岩石の性質を実験室内(in vitro)で調べ、現実(in vivo)の地球科学に当てはめると云う作業です。これでは、とても説得力がないと思います。(セミナー[1240]参照)

ましてや地震波の伝播する経路が地震学の理論研究で仮定されている経路と一致していないとなれば、なおさらのこと何を研究しているのか分からないことになります。
結局地球内部のことはまったく分かっていないというのが現状であり、全て推定であります。推定(或いは寓話)に基づいた不連続境界の物性を調べて、それより深く移動しないから沈没はありえないという話を信用するわけには行きません

沈没の例
;高知湾は白鳳地震によって当時黒田郡と呼ばれた広大な地域が海底に沈没したのです。

(防災科学技術研究資料第57号「高知県地震津波史料」より加工)

別府湾にあった瓜生島も沈没しましたし、もっと大きな規模では北米大陸は地層が教えるだけでも過去に3回の沈降・浮上を繰り返してきたのです

。;そうした現象の物理的な原因はメガリスが地球内部に落下したと云うような「寓話」ではなく、酸素と水素の化学反応現象による爆発・爆縮によって起こったのだと私は考えています.

そうした化学反応によって日本列島規模の陸地が海底に没し去ると云うことは未来永劫にあり得ないということは言えないと思います。
その証拠として、日本列島にも、堆積岩の地層がありますし、水棲生物の化石があるのではないでしょうか。
寓話に基づく寓話的研究によって安心していることは出来ないと思います。それがいくら権威のあるNATUREという雑誌に投稿許可が出ている研究であってもです。

1361
2008-02-27 (Wed)
関東圏で聞こえる怪音は地下爆発の骨導音であろう
昨年7月16日に発生した中越沖地震の三日後にも、現地(多分長岡市)では快音が聞こえたことが、以下のサイトにありました。
サイトではスクランブル発進かも・・・と云う意見が交わされていましたが、飛行機など見えなかったということでもありますし、これは余震に関連する爆発音ではないのかと思います。
http://niigata.cool.ne.jp/nagaoka0258/nagaoka154.html
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137 名前: 雪ん子 投稿日: 2007/07/19(木) 14:00:28 ID:wv1HSqzY [ pd39a55.tkyoac00.ap.so-net.ne.jp ]
今日外に居たら (AM10時頃?)
ジェット機とヘリのどっちとも取れないような音が空で鳴ってて
また救援のヘリかなって空を見上げたけど何も見えなくて(雲はところどころしか見えなかった)
通り過ぎたような音がしたから、まあいいやと他のことをしていたんだけど
まだ音が消えきらないうちにまた音が大きくなってきて(複数ではない同じ音)
またすぐ真上にヘリが来たような音がしたんだけど何も見えず
それが2、3分くらい続いた
結局何も見えなかったんだけど
ヘリが巡回していたけど見えなかったのか、それとも別のもの???

ところでこれは不安だな
http://www.ailab7.com/niigatajoucyuuetu.jpg
―――――――――――――――――――――――

この話は震源が浅い場合には爆発は大きくなくても(マグニチュードは小さくても)、爆発の音は地表に響き出てくる事を意味しています。セミナー[1231] 地震の前に聞こえる怪音および[1276] 中越沖地震の前兆現象でも述べましたが、この記事にある怪音も地球的な骨伝導による音として伝わる地下の爆発音だと思います。

地殻下部の第二層(緻密な岩盤で構成されている層)が浅く、地表に接近している関東圏では怪音が頻繁に聞こえてくることがあります。これは深発地震の異常震域が発生する理由でもありますが、名古屋や関西に住んでいる時にはあまり経験したことのない現象であり、東京在住時には不安になったものです。<br>
1362
2008-02-28 (Thu)
阪神淡路大震災における海震の体験報告
当サイトを見た方から、神戸の地震で「海震」を経験したという以下のような体験談が寄せられましたので紹介します。
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初めまして。ある災害対策の事業に携わっているものです。最近、地震と水の関係に興味を持ち、調べている時、御サイトに出会いました。

(ライブラリー)「15」の海震の解説で、私自身の体験したことをお話したいと思います。

実は、あの阪神淡路大震災の当日のあの時間に、私は大分発松山経由神戸行のフェリーに乗船していました。ちょうど明石海峡を通ったころ、地震に合いました。震源地の真上で、しかも海上で地震にあった数少ない経験者でしょう。
夜更かししてしまった私は、着岸予定時刻が1時間前に迫っているにも拘わらず、熟睡していた時に、突然、ドン!!!って音と下から突き上げるような衝撃で、目が覚めました。瀬戸内は浅瀬が多いので、座礁したか?と思いましたが船は進んでいるので、変だな?って思い、寝台室を離れ、ロビーの様なところに行きました。他の客を見ると、皆一概に、「何だったんだろう???」と不思議な顔をしていました。それからしばらくして、地震があったことがTV放送されました。

横揺れもない、縦揺れもない、ただ1度だけ、ドン!と突き上げるような音と衝撃、津波が起きている訳でもなく、断層が急にズレたらあんな衝撃になるのかな?と不思議に長年思っていました。

御サイトを見て、あっ!それだ!って思いました。確かにあの衝撃は、爆発の衝撃に似てる。それに、交通機関が麻痺しているため、地震後、海上で24時間缶詰になりましたが、余震の揺れは1度も体験してないんですよね。それらを複合して考えると、御サイトに提唱する地震は爆発現象であるという説に合点がいきます。
―――――――――――――――――――――――
以上がいただいたメールの内容です。
神戸の地震で海震を体験した話を聞いたことがありませんでしたので、調べてみると、かつて京大防災研の海岸災害部門で同僚だった河田先生が「科学」と云う雑誌(1996,Vol.66,No.2)に3隻のフェリーボートの船長の体験を報告されていました。「船上で感じた海震・トンネル内で見た地震波」というタイトルの記事ですが、海震の方だけを抜粋して紹介します。
★★★★★★★★★★★★★★★★
船上で感じた海震・トンネル内で見た地震波  河田恵昭

船上で2度の地震を感じた
 海底の断層運動によって海底地盤が急激に運動するとき、圧縮進行波が発生して海中を伝播し、航行中の船にショックを与える海震(seaquake)の存在が知られている。震源から数百kmも離れた船に作用した記録もある。ただし、これは津波ではない。津波は、海底地盤の動きとともにその上部の海水が上下に動き、これが長波として伝播する現象である。したがって、伝播速度は水深の関数で一義的に与えられる。海震はショック波であるがゆえに、伝播速度は水深には関係しない。
ここで示す3隻のフェリーボートは、図1に示す明石海峡付近から神戸港域の西端付近を航行中にこの海震に遭遇した。

@ダイヤモンドフェリーのクイーンダイヤモンド号の新村成敏船長によると、そのときの模様は、つぎのようであった。

“明石海峡大橋の淡路島側橋脚付近に設けられた工事用ブイ付近を通過し、その東約800 m の海域を六申アイランドに向けて航行中、2度にわたって大きなショックを受けた。1、2秒間隔でドンドンという2度のショックを受け、暗礁に乗り上げたような感じだった。思わずブイを引っかけたかと思い、操舵室から顔を出して舷側を眺めた。船底にいた機関士は5m近くも放り上げられたと感じたと話していた。このショックは、1993年6月にやはりこの海峡で橋脚設置のための水中発破が行なわれたときと同じだった。しかも、二つのショックの直後、明石市の上空では青白い光が発生し明るかった。地震が起こったと思った。そうこうするうちに長田区の方で火の手がここかしこであがった。”

 Aクイーンダイヤモンド号の前方(同橋脚から南東約1km)を大阪港に向けて航行中の関西汽船のサンフラワー号の久保芳巳船長は強いショックを2度感じた。その間隔は1、2秒だったと思う。後は小刻みに揺れた。何か暗礁に乗り上げたようであって、舵がきかなくなったので停船したと語ってくれた。

 B阪九フェリーのニューながと号の渡辺次男船長も、つぎのように証言している。

“神戸港港域にちょうどさしかかった海域を、堺・泉北港に向けて21ノットで航行中、上下方向にドスンと―度突き上げられた。横揺れはまったくなかった。なにごとが起こったかと思い、停船した。前方の大阪の方で火炎が上がるのが観察された。”

★★★★★★★★★★★★★★★★

以上が抜粋記事です。ショックを受けた回数は1度(B)と2度(@とA)違いがありますが、図を見ると、@とAは震源のほぼ直上を航行中であり、Bは少し離れています。海震現象は震源の直上でしか感じないという性質があって、少し離れれば何もショックを受けない場合がありますから、航行中の位置関係で差が出たものと思われます。或いは、まったく違う爆発なのかもしれません。

メールをいただいた方の乗船フェリーはBの「ニューながと」のように、震源を少し離れた場所にあったのだろうと思われます。
このような海震と云う激しい衝撃を体験すると、地震の原因が「断層が動くことにある」という定説地震学は到底納得できるものではなくなるのだろうと思います。私も海震現象の存在から地震爆発論に確信を抱きました。

なお、海震は揺れというよりも、衝撃ですから、英語では「seaquake」より、「seashock」のほうが適切な表現だと思います。

1363
2008-02-29 (Fri)
ブレークスルーとは言えない
サイエンスポータルというサイトで日本の著名な科学者へのインタビュー記事が載っていました。マントル深海掘削事業を推進している平朝彦氏の記事に違和感を覚えましたので、抜粋して紹介し、私の見解を述べさせていただきます。
http://scienceportal.jp/HotTopics/interview/interview7/index.html
―――――――――――――――――――――――――――
第1回 南海トラフに世界の地球科学者の目(掲載日:2007年3月8日)
/ 平 朝彦 氏
;- いま日本が最新鋭の地球深部探査船「ちきゅう」を保有したことの意義を、地球科学という学問の歴史からの観点と、日本列島近辺が占める地球科学上の重要性という観点からお話しください。
大陸移動という20世紀の初頭において提案された説が、海洋底拡大説によって見事に説明できようになりました。米国の深海掘削船「グローマーチャレンジャー」などによる中央海嶺の探査で、中央海嶺で生まれたプレートが移動することによって大陸も動くことが分かったわけです。

しかし、地球の大きさは変わりませんから、プレートは拡大したままというわけには行きません。地球内部、マントルの中に再び沈み込むところはどこか? 日本近辺の西太平洋こそ、その沈み込みの場所だ、ということが分かってきたわけです。(中略)

実は、プレートの沈み込みについては、3つくらい大きなブレークスルーがありました。それぞれ日本の研究者が大きな役割を果たしています。

まず1950年ごろ、和達清夫氏が地震の震源を調べたところ、日本列島の太平洋側から列島直下、日本海側へと移動するにつれて、斜め方向に震源が徐々に深くなることが分かりました(深発地震面の発見)。一番深い日本海側のところは、数百キロの深さになります。これはプレートの沈み込みを表しているに違いない、となったわけです。

その後に、なぜ火山ができるかを調べた久野久氏が、日本列島から大陸側に行くにつれて、火山岩の性質が系統的に変わる、火山岩の中のアルカリ成分が増えていくことを発見したのです。深いところからマグマが上がってきたのが火山岩だから、火山岩の性質の違いは、和達氏の見つけた地震の起き方の傾向と関係があると考えたわけです。これが、プレート沈み込みの考え方の萌芽となりました。

もう一つは、私の関係した研究成果なのですが、プレートが沈み込むとき、上に載っている堆積物はどこへ行くのか、という疑問に関することです。四国に分布する四万十帯と呼ばれる地層は、元は海のプレート上にあった堆積物が陸上に露出したものであることを実証したのです。陸側から海底に運ばれた砂や岩とともに、赤道付近から運ばれてきた岩石を含んでいることがわかったのです。

-日本列島が、海洋プレートの沈み込みによってつくられたということになるわけですね。
プレートの上の堆積物は沈み込まないで、陸地にどんどん付け加わったのです。洗濯をしたとき出る泡のように。それによって大陸という陸地が、何億年もかけてできたということです。

地球科学を飛躍的に発展させたプレートテクトニクス理論の誕生には、日本の研究者は大きな役割を果たすことはできませんでした。しかし、沈み込みのところで何が起きているかについては、非常に大きな貢献をしてきたといえます。

このような研究の進展がある中で、浮上してきた大きな問題は何かというと、なぜ巨大地震が起きるのかということです。

実は、沈み込みの場所でも、巨大地震が起きている場所と、起きていない所があるのです。グアム島の沖合いでは、深い海溝があり、深発地震面があるのに、巨大地震は起こっていません。(中略)
巨大地震のメカニズムを解くことが、まず求められていると考えています。
―――――――――――――――――――――――――――
以上が第一回のお話です。

大陸移動が海洋底拡大によって証明されたと述べておられますが、セミナーで解説してきたように、海洋底拡大説にはたくさんの矛盾があります。

以下のような3つのブレークスルーがあったと述べておられます。
@ 深発地震面(和達・ベニオフゾーンのこと)が発見され、プレートの潜り込みに違いない、となった。
A 日本から大陸に行くに連れて火山岩中のアルカリ成分が多くなることが発見され、プレート潜り込みの萌芽となった。
B プレート上にあった堆積物が陸上に積み上げられ、それが、 日本列島になったこと、日本は海洋プレートの沈み込みによってつくられたことがわかった。(平氏の業績として)

日本列島が海洋プレートの潜り込みによって取り残された堆積物(洗濯時の泡のような)から出来た・・・と云うのは私には国引き物語りのような壮大な寓話としか考えられません。

@ は地球内部での溶融マントルの対流を表わしているだけであり、プレートの潜り込みの証拠ではありません。
Bの意味している内容はニューオフィス38の解説にあるものですが、卯田先生は「南方系の化石を含む石灰岩があるという古生物学的な証拠だけでそのテレーンは付加したと断定したり、あるいは海洋島の岩石と化学分析の結果が類似しているというだけで付加したテレーンはもとは島であったとする論法がまかり通っている。」と述べておられます。インド亜大陸の北上、伊豆半島の北上などが随分荒っぽい議論によってで証明されたことのなっていますが、これまでのセミナーを読んでこられた方には寓話としてしか受け取れないのではないでしょうか。

3つのブレークスルーとは見解の相違と言ってしまえばそれまでですが、負のブレークスルーのような気がします。なかでもBは正しい地球観からドンドン離れて行く原因となった寓話のように思います。

日本の学者は、このように「沈み込みのところで何が起きているかについては、非常に大きな貢献をしてきたといえます。」と述べておられますが、これはやがて撤回されることになるでしょう。

続いて海溝部でも巨大地震が起こっていない場所もあると述べて、そのメカニズムを解くべく第二回の解説へと移ります。
1364
2008-03-01 (Sat)
ブレークスルーとは言えない(2)
平朝彦氏の2回目のインタビュー記事を抜粋して紹介します。
http://scienceportal.jp/HotTopics/interview/interview7/02.html
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第2回 生命誕生のなぞ解明の期待も (掲載日:2007年3月16日)平 朝彦 氏

マリアナ海溝のプレート沈み込み帯では、巨大地震の記録はありません。そこではプレートが落下するように急角度で沈み込んでいます。水と岩石が低温で反応して、滑りやすく軟らかくなっているため、摩擦が小さく、大きな地震が起きないと考えられます。(略)
蛇紋岩はマントルを構成すると考えられるカンラン岩と水が反応してできますが、もろくて崩れやすい性質があります。マリアナ海溝のプレート沈み込み帯には、蛇紋岩が大量に存在するらしいのです。摩擦が小さければ、プレートの沈み込みがあっても、巨大地震は起きません。(略)

近年の海底掘削によって、地下では水やガスが地層の中を動き、さまざまな出来事の主要な原因となっていることが分かってきました。熱水や地下水の活動は地殻深部まで到達しているようです。地球の内部は、われわれが考えていた以上に、はるかに変動が大きく、物質の循環も活発な場であるということです。

日本近海が特に注目されているのは、地下の活動が活発で、岩石と水との反応が、高温から低温にかけていろいろな温度レベルで起きている場所だからです。この岩石と水との反応には、微生物が深く関与していると推定できます。まさに知られざる生物圏の存在です。

いまでは、地下深部に微生物が住んでいる、それも地上を凌駕(りょうが)するような量の微生物が、地下生物圏をつくっているかもしれないということが、言われるようになっています。(略)
掘削によって、地球科学のみならず、生命科学にも新しい領域が開拓できるでしょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上が抜粋記事です。


(宇津徳治「地震学」より加工)

マリアナ海溝のプレート沈み込み帯と考えられているのは図に示すように、深発地震面が垂直になっているもののことです。同じ太平洋プレートが日本付近では斜めに潜り込み、マリアナでは垂直に潜っています。中間の小笠原では途中で折れ曲がっています。剛体であるプレートがこのようなアメ板のような挙動をするとは到底信じられません。深発地震面とは溶融しているマントルが地殻の下の地球内部で海流のように流動している姿であるというのが石田理論の立場です。
平氏の説明ではマリアナ付近では滑りやすく軟らかくなっているので、摩擦が小さく、大きな地震が起きないとなっています。地球表面の地殻(鶏の卵の殻みたいに薄い存在)が10数枚に分かれていて、その間が「滑りやすく柔らかくなっている」としたら、地球は太陽や月による潮汐力を受けてグニャグニャと動いてしまい、とても高層建築物など建てられるわけがありません。(セミナー[1290]参照)地殻は薄くても、卵の殻のようにしっかりと連続していて、ところどころで地球内部のマグマが亀裂を通して噴出する程度だと思います。プレート論から脱皮して考えて欲しいと願っています。
「地球の内部は、われわれが考えていた以上に、はるかに変動が大きく、物質の循環も活発な場である」
とありますが、これはマントルが溶融して流動していると考えた方が自然なのではないでしょうか。マントル固体論からも脱皮して欲しいと思います。
さて、次の図は平氏が説明のために掲載されたものですが、火山のマグマが地球内部のマントルと繋がっているように描かれています。これは石田理論の考えと一致するのですが、マグマ発生に関する定説理論による解釈とは一致しないのではないでしょうか。意図がよくわかりません。

(出典:上記サイトより)


地球内部に微生物が存在するという話はトーマス・ゴールド博士の「未知なる地底高熱生物圏」(丸武志訳、大月書店発行)詳しく書かれていますが、ゴールド博士は地震の原因に関してプレート説に賛同はしておられません。
ゴールド博士から学ぶ地震時の爆発的な現象に関してはセミナー[424]から[500]に13回にわたって紹介してあります。

なお、平氏の第3回、第4回インタービューは掘削船に関する話題ですので、このセミナーでは採り上げません。

1365
2008-03-02 (Sun)
このセミナーを学んでいる方の記事
このセミナーをよく読んで理解しておられる方も多いようですが、阿修羅と云うサイトに以下のような記事がありました。私の理解できない内容もありますが、爆発説を正しく理解していただいている部分もありますので、概略を抜粋して紹介します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

参考までに、下線以下に、地震発生メカニズムの有力仮説を紹介します。
 ポイント:[活断層が動いて地震が起きる。] vs  [活断層は過去の地震の傷跡であり、活断層が動いて地震が起きるのではない。]
最近では、プレート・テクトニクス理論そのものが、仮説として疑問視されています。

4年前の三宅島の噴火では、「地震で岩盤に生じた亀裂が“真空掃除機”のように地下のマグマを吸い込み続けて水蒸気爆発が起きている。」という仮説が新たに提唱されたようですが、下記(3)ないし(4)で、説明がつきそうです。
>
下記(5)の疑念は、ベクテルが悪魔の申し子のような行為を繰り返す限り、何度でも登場することになるでしょう。実証はできませんが。

> 小松氏は、世界各地に散らばったディアスポーラの民(元日本列島居住民)が、島嶼とはまったく違う陰謀の渦巻く世界で、招かれざるよそ者として艱難の中を生きていくという物語を構想していた。

日本語を話すディアスポーラの民は、ベクテルや鹿島の作った原子炉によって、惹き起こされるかもしれません。


ベクテルや原子炉に関する後半部分は私には理解不能ですが・・・


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(1) 地殻応力によるせん断破壊説 [プレート・テクトニクス理論&流体力学依拠説]:
  プレートの沈み込み境界で地震が起こる場合、沈み行く海洋プレートにくっついていて(引きずられて)一緒に沈んだ大陸プレートが、くっついた部分の強度の限界を迎えた時点で「反発」し、元に戻ろうとする。
  この元に戻ろうと「反発」する動きが地震である。[活断層が動いて地震が起きる。]
  また、地震発生直前には発光現象や地電流の異常等が認められる場合がある。
  これは、岩盤を構成する石英等の結晶が圧迫された時、ピエゾ効果によって光や電気が生じるのではないかという。

(2) マグマ貫入説 [水の影響を重視する説1]:
   石本巳四雄博士は昭和初期に、「地震の原因はマグマが地殻内のクラックに激しく貫入すること」という理論を打ち出したが、当時は貫入の原因とそのエネルギーが不明だった。
   (3)の解離水爆発説は、この石本博士の理論から多くの示唆を得て構築された。

(3) 解離水(爆鳴気)爆発説 [水の影響を重視する説2]:
   @ 解離反応:2H2O+熱 → 2H2+O2
     地下内部の水は、マグマに触れて熱水状態を過ぎると超臨界状態となり、それを超えると、酸素と水素に熱解離する。
     この限界の層を解離層と呼び、温度と圧力の変化に応じて、地下内部で上下する。解離層内部では温度や触媒物質の存在と共に解離度が高くなる。

   A 圧力の低下ないし周辺温度の上昇によって、解離層の位置が上がり、解離層が急激な上がり方をすると、マグマ溜りの内部に解離水(爆鳴気)が蓄積され、圧力が増大する。
     これが岩盤にマイクロクラックを発生させ、地震の前兆現象を起こす。

   B 爆鳴気爆発:2H2O+熱 ← 2H2+O2
    解離が終了すると、今度は周囲からの熱が移動して来るので、周辺温度は元の温度に戻る。
     爆鳴気の爆発条件に達した時、着火して爆発する。[地震の第一段階]

   C 爆発後は、混合気体が超臨界状態の結合水に戻るので、圧力が降下して、マグマ溜りは潰れる。[地震の第二段階]
     爆発によって熱が放出され、解離層は地震前の位置まで下がる。

;     地震には「押し引き現象」という特有の現象があり、第一段階の爆発で「押し領域」ができ、第二段階で「引き領域」ができる。
     その境界に、大地震になると活断層という地震の傷跡が現れる。[活断層が動いて地震が起きるのではない。]

(4) マグマ内含水振動説 [水の影響を重視する説3]:
   地表の温度が放射冷却等で低下し(地球温暖化説とは反対に)、地震や火山爆発を繰り返すうちに、地表に海を形成した。
   ここでは、水はマグマに溶解しているという研究成果に依っている。
   このプロセスを分解して眺めると、地表の温度低下で、一種のクエンチング現象が起こり、水が地表に絞り出されて来る。その時に、地球が身震いするような感じで、地震が多発するのではないか、という仮説がある。
  そして何億年か後には、地表が全て水で覆われ、さらには、宇宙空間へ蒸散が続き、最後には火星のような乾燥した惑星に到るのではないかという。
   同時に、かなりの水分は岩石の中に結晶水の形で閉じこめられ、地球の動的な活動が終了するのではないかという。

(5) ベクテル社が地下に仕掛けた爆薬による誘導地震説:
   明治以後の日本の大都市直下型の地震の殆どに当てはまるとする説。

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以上が引用です。
[水の影響を重視する]三つの説が紹介されています。
(4)に関しては理解できません。(5)については考えすぎ、被害妄想ではないでしょうか。
1366
2008-03-03 (Mon)
深部低周波微動の解釈
[1363][1364]で紹介したインタビューシリーズに防災科学技術研究所の理事長である岡田義光氏の「役に立つ地震学を目指して」というのがあります。 その第4回目の記事に、長野から四国に渡って観測される「深部低周波微動」の話があります。
この現象は既に
セミナー[273][1134]でも紹介してありますが、「ゆっくりすべり」と云う現象があるとは思えませんし、プレートの動きと低周波微動とが関係があるとも思いません。
また、このような浅い場所でフィリピン海プレートが潜り込んでいるとは思えませんし、30km付近の地震面がその姿を示しているとも思いません。抜粋して紹介し、最後に石田理論としての解釈を説明いたします。
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: 地震予知の可能性について、あらためて伺いたいのですが、短期予測の可能性は当分、期待できないのでしょうか。

地震観測網が全国に張り巡らされた結果、その観測データの解析から実は重要な発見がもたらされています。小原一成・地震観測データセンター長の研究成果ですが、西日本の地下、深さ30キロ付近で、低周波の震動、もぞもぞと長時間揺れる現象が見つかりました。普通ならノイズと間違うようなかすかな揺れです。四国から紀伊半島、東海地方の西付近にかけて観測されたのですが、ここはよく知られているように、過去何度も巨大地震を起こしてきたプレートのもぐり込み帯に当たっています。繰り返し巨大地震が起こるところの地下深くで、これまでだれも気づかなかった現象があることが分かったわけです。世界で初めての観測結果なので、大きな関心を呼び、似たような現象が北米大陸西海岸のカスケード地方などあちこちで見つかったという報告が相次ぎました。

(出典:上記サイトおよび小原氏の論文から加工させていただきました。)


巨大地震の直前になると、プレートのもぐり込み個所でまずズルズルとした動きが起こり、それがだんだん加速して地震に至る、ということが地震発生のシミュレーションから予測されています。つまり、四国から紀伊半島、東海地方の西付近で観測されている低周波震動を監視し続けることで、地震の前のすべり現象、プレスリップがつかまえられるのではということが期待されるわけです。

しかし、問題は、これまでそのような地震直前のプレスリップ現象は世界のどの地震でも確認されていないことです。新潟県中越沖地震を初め、最近わが国の内陸で起きた地震の場合でも、近くにあった観測点では、直前に何の異常も観測されませんでした。残念ながら、短期予測の可能性を確信できるレベルには、まだ到底達していないというのが現状です 。
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以上が抜粋記事です。[273]の記事では「微動源の深さは、それらの地震の直上、およそ30kmで、地殻とマントルの境界であるモホ面近傍に相当します。」と書いてあり、微動の起こる位置が良く分からなかったのですが、小原氏は論文「深部低周波微動の時系列的特徴」の中で、

「その結果、微動は長野県南部から豊後水道に至る長さ約600 km の範囲で存在し、沈み込むフィリピン海プレートの走向に平行で帯状に分布する。微動の震央位置はプレート内に発生する地殻下地震の深さ分布の35〜45km等深線とよく一致し、プレート境界固着域の深部延長部分である遷移領域にも一部相当している。微動の深さは約30kmで、火山周辺等の深部低周波地震の震源の深さとほぼ同様であり、プレート内地震よりは上部で、プレート境界やモホ面近傍に位置すると考えられる。」

と述べておられますから、岡田氏の解説通り、フィリピンプレートが潜り込んでいて、そのプレート上面での摩擦が「ゆっくりすべり」であり、微動の原因であると考えておられます。
図中にも示しましたが、陸側のプレート厚さが30km程度で、低周波微動がプレートどうしの摩擦で発生している現象とは私には思えません。

石田理論の解釈では次の図に示すように、マグマ溜り内部における擾乱が微動として地震計を揺らしているのだと思います。

(マントル対流の模式図は[1158]の図ー2参照)

深部低周波微動といっても、少なくと60km以深を深発地震と定義しますから、深発地震の起こっている深さよりはうんと浅いところでの現象です。
四国沖付近には深発地震は起こっておりませんし、琉球トラフ付近の深発地震面の等深度ラインの形状から判断して、マントル対流は伊豆諸島付近から上昇し、琉球トラフ方面へと、東西方向に地殻の下を流れていると推定されます。ましてや、四国沖から北方に向けてプレートが潜り込むというようなことはあり得ないと思います。
この一帯で深発地震が起こらないのは、マントルの対流が水平移動であるから、解離能力(解離度)の変化がなく、太平洋の海底部で地震がないのと同じ理由になります。
微動は地震のショックなどで発生したり、沈静化が遅れたりするようですから、小さな爆発的擾乱がマグマ溜り内部を移動しているのだと考えられます。
途中で切れる場所もありますが、長野県から四国まで連続している微動域はサージテクトニクス論([1157]参照)で考えられているような長い管路のようなマグマ溜り、サージチャネルの存在を証明するものではないでしょうか。

1367
2008-03-04 (Tue)
地震岳登山の間違った道標[その1]
登山道の二又道にある案内板に間違った情報が掲示され、頂上までの案内矢印が左右逆になっていたら、初心者は絶対に頂上までたどり着けないでしょう 。
地震学でも同じことです。セミナー[1115]に紹介した防災科学技術研究所の「地震案内板」には次のような誤情報が掲示されています。

「かつては、地下でマグマが爆発して地震となるという考えがあった。もしこれが正しければ、震源からはあらゆる方向にまず押し波が出て行くことになる。従って、全観測点で初動は押し波となるはずである。逆に、地下の空洞がつぶれて地震になるのならば、全観測点で引きにならなければならない。実際の押し引き分布からは、このような単純な震源像は排除される。」

かつてセミナーで活発な議論をした「とりまき」氏([327])も、最近2chの「新地震学」スレに、
『「地震爆発説」は初動発震機構解に表される、地震波の押し引き分布の観測事実に反すると思われるが、これについてはどう説明されますか?』
と書き込んだ神奈川在住者も、大学などで教えられる間違った案内板を信じておられるのだと思います。[1115]でも、指摘しておきましたが、何度も触れないと情報が広がらないようですので、再度書いておきます。

ところで、間違った案内板にある「かつては、地下でマグマが爆発して地震となるという考えがあった。」と云うのは東大地震研究所の初代所長になられた石本巳四雄博士の「マグマ貫入理論」のことでしょう。
石本博士の「押し円錐」理論がどうして、爆発なら「押し」だけになり、空洞が潰れるのなら「引き」だけになる筈という解釈になってしまうのか、私には理解できません。石本博士はそんなことを言っている分けではありません。貫入理論及び朝日新聞に掲載された記事を見れば分かります。


「押し円錐」理論が述べているのは写真の模型で示すように、赤色の「押し」領域と水色の「引き」領域が立体的に現れて、人間の眼で観察できる地上では、その「立体的押し引き領域」を地上の平面が裁断した形状を「平面的押し引き分布」として見ているということなのです。

立体的押し領域[赤色の円錐状領域]は水が酸素と水素に解離する爆発的反応、あるいは解離反応が液体から気体へと「水蒸気爆発的」に反応するのかもしれませんし、ボイラーの爆発で知られている「平衡破綻型爆発」というマグマ溜りの破壊現象などの可能性もあります。いずれにしても、Explosionという膨張する爆発で発生します。

一方、立体的引き領域[水色の変形ドーナッツ状領域]は解離した酸素と水素が再び結合して水に戻る爆縮現象で発生します。解離した「解離水」(石田研究所の命名です)はモル数が減少しますので、気体⇒液体という現象でなくとも、体積が減少する爆縮(Implosion)です。「水蒸気爆発的反応」の逆が生じて、気体⇒液体が起きていれば縮小率ははるかに大きくなります。

何れの反応も基本的には小学生でも知っている次のような水と酸素と水素の反応式です。

石本博士は、岩盤の中にマグマが激しく貫入してる現象から推論して「マグマ貫入理論」を発表されましたが、貫入の原動力となるものが何なのか分からなかっただけでしょう。
水の熱解離現象に気付かれたのなら、そしてもっと長命であられたら、その後に出てきた「シングルカップリング」とか「ダブルカップリング」とかという物理的イメージが曖昧な「案内書」の掲示には反対されたであろうと思い、残念であります。
私は氏の御著書から地震学だけでなく多くの学びを得させていただき、地震爆発論に辿りつくことができました。
地震岳登山の間違った道標[その2]は何度も述べてきましたマントル固体論でしょう。

追記: [3142]に爆発理論の修正(シンプル化)が載っています。

1368
2008-03-04 (Tue)
地質学者小川琢治博士の地震観
「地震現象は岩漿の運動により間隙が充填されることにより説明される」とした石本博士の新聞記事を嬉しい便りとして受け取られ、自著にも採録された小川琢治先生は、地質学の立場から、地震と岩漿(マグマ)の関係を探求しておられました。「断層の成生が起る場合があっても、直ちに之を地震の原因と看做し難い」と断層地震説を否定する巨人が昭和の初期には二人も居られたというのに、その後の地震学の流れはアメリカ生まれの断層地震説という洪水に飲み込まれてしまったかの観があります。
正直に言って地震学は昭和初期以来、進歩どころか退歩していると実感しております。
マグマと地震の関係を探求する研究の続出を願っておられた二人の理学者に敬意を表わして、早く案内板が書き換えられることを願います。
以下に、地質学者小川琢治先生が「石本論説」を採録された前後の文章を紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本編の校正中に東京帝國大學地震研究所石本博士は地震研究の新態度(地質の本質)と題する一篇(昭和四年二月七日の大阪朝日新聞)を公にせられて、関東及び丹後地震に於ける地震に伴う地盤の変動に関して論ぜられた。その立脚点は我々と異なるもその目標とする所は同一で、地震の本性に就いて四十年来本邦地震を研究した諸先輩と異つた見解を主張せられたのは頗る面白い。
丹後地震後の地盤変動傾斜計観測の結果を綜括されている点は前章の記載を補う為めに重要であるから、左にその全文を抄録することにする。

地震研究の新態度(地震の本質)



以上掲げた石本博士の唱道する所を観るに、地盤の変動、特に断層の成生の起る場合があっても、直ちに之を地震の原因と看做し難いとする点は全然我々と同じく、また丹後地震後の観測により地殻の構造が一辺約七粁の大さを有する地塊の集合しているといふ事実の如きも、第三編(四〇二頁)に地殻の剛性と関係して開いたままの裂罅(ヒビ)として存在し得る間隙の下端が五粁内外に止り、約四十五度の射出角を成す震動が之に遮断されて、略数粁の距離を隔てて構造線が成生すベきを推論した我々の考説を確かめたと想はれる。
而して箇々の地塊の傾斜運動は数月の間に測量し得る変化を続けたことがまた明かとなり、所謂郷村断層其他の地塊間の断層は既存のサク裂に沿い変化が起こったまでで、断層を地震の原因と看倣し難くなり、地形の変化と地震発動との間に因果関係あるものでなく、その原因を地塊下に伏在する岩漿に在ると結論せられている。同氏が地震現象は岩漿の運動により間隙が充填されることにより説明されるとしたのも大に我々の意を得た解釈で、我々の主張の一部分は裏書されたのである。

 我々の四編に亙って推衍に推衍を重ねた結論は此の如き間隙は地殻表層と地球心核との中間に在る或る深處で収縮の比較的に急激なる上層が体積の過小となる関係から割裂を起す結果として成生し、第一次岩漿が此處に出来るとするもので、此の点に関しては約三百粁の深處に達し得ることを知った以外に未だ地震學の方面から当否を判断するに十分な材料を得ていない。我々は繰返して言った如く甚深處に起る地震と之に続発するものとの震源の深さに関する決定が出来て、同時にその変動の性質が確知されたならば初めて明瞭となると信ずる。此の如き地震は表面に於いて著しい注意を惹かね程度の震動で精微な地震計の観測に待たねばならぬと想われるから、我々は此の点に留意した研究を希望する。
 空谷の跫音として石本博士の発表を聴いた我々は更に耳を聳てて此の如き方向の研究の続出を待ちつつ茲に擱筆する。
(小川琢治著「地質現象之新解釈」古今書院より)
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空谷の跫音(くうこくのきょうおん)
<荘子に出づ> 人のいない寂しい谷に響く足音。転じて、寂しく暮らしているときに、懐かしいものが訪れたり、うれしい便りがあること。

註:小川琢治博士の子供には小川芳樹、貝塚茂樹、湯川秀樹、小川珠樹らの優秀な人間が誕生しています。

1369
2008-03-05 (Wed)
断層地震を否定した三人の先達
日本地学の展開<その3>;という論文の「岩漿迸入説」と云う項目に地震学者石本博士と地質学者小川博士の話が載っていました。辞書を引くと迸入(へいにゅう)は貫入と同じ意味であるとあります。

昭和初期でも、地震研究の主流は「地震の原因は断層とする構造地震説」だったようですが、その時代に「断層地震説」を否定した研究者が、石本、小川、の他にも本間不二男という学者がいて、頑張っていたことを知り、勇気付けられました。以下に論文の一部を抜粋して紹介します。
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岩漿迸入説
  一方ではこうした物理化学的研究とは別に、マグマ(岩漿)の流動を地質学的に考究しようとする流れもあった。
小川琢治(1929)は広大な地域に及ぶ大地震の震源は断層地震の震源よりも深いはずであるとして、これを深発地震と呼んだ。そして地震の原因をマグマの流動に求め、断層を主因とする構造地震説を否定した。彼は関東地震では複数の震源を考え、石英閃緑岩の分布する丹沢山地を震央の一つと推定した。ただ小川の深発地震は震源の深さを関東地震の震源(深さ30〜40km)程度としているだけで具体性に乏しい。したがって彼の深発地震説の用語は適切ではなく、むしろ岩漿迸入説と呼んだ方が解りやすい。

 同じ頃、石本巳四雄(1921、1931)は地震発生の機構として、地殻内の岩漿の流動に伴う圧力(揮発性ガスの蒸気圧)の増加により地震が発生し、圧力の低下により地震は終息するとして、小川琢治の岩漿迸入説を支持した。
実験物理学的なボーエンに対し、野外観察を重視したデーリー(R.A、Daly 1914、 1927)に影響された本間不二男は、岩漿迸入の機構を地質学的に考察した(1931)。
そして詳細な調査結果から、岩漿の流動により地塊運動が起こり、地震が発生すると考えた。こうして岩漿迸入説は一時広まったが、発震機構の研究の進展に伴い影が薄くなった。
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文中にある「深発地震」の定義は確かに不適切ですが、現在知られている600kmと云うような深い場所でも地震が起こることがわかったのは、後年の和達清夫博士の発見ですから、仕方がないでしょう。当時としては火山付近の地震と対比して深い地震という意味で使用されたわけです。

石本博士らの貫入理論の影が薄くなっていった原因も含めて当時の様子を萩原尊禮著「地震学百年」から紹介します。
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『志田は、地震の初動の押し引き分布が象限型になることを最初に発見した人であるが、このような象限型初動分布を与える地震発生の機構としては、二つの鉛直平面が急激に遠去かる運動を考えた。志田ははっきりとはいっていないが、地下の岩漿(マグマ)の作用を考えていたようにも思われる。これに対し地震は岩漿の貫入によって起こるという説を勇ましく打ち出したのが地震研究所の石本巳四錐であった。今日ではこの岩漿貫入説は遠い昔の物語となりつつあるが、昭和の初期にあっては、石本の激しい論法は少なくも日本の地震学界に一大旋風を巻き起こしたものである。
 石本は地殻の岩石は粘弾性体であって、ゆっくりと加わる力に対しては弾性ひずみを蓄積することはできないという理由で、弾性反発説を真っ向から否定した。ちょうどこの頃、昭和六年六月飛騨高山付近に起こった深い地震の初動の押し引きの分布が双曲線で境されることが、神戸海洋気象台の棚橋嘉市によって報告された。石本はこれにヒントを得て、円錐型発震機構を提案した。つまり、震源を頂点とする円錐を考えたとき、円錐の内部で初動が押し、外側で初動か引きとなる。そして、円錐の軸の煩き方によって、地表における初動分布の境界は、双曲線ともなり楕円ともなる。
象限型は震源が浅く、円錐の軸が水平なときに現われるスペシャル・ケースに過ぎない。石本はこの円錐型発震機構こそ岩漿貫入を示すものとした。石本によれば、地殻内の各所に岩漿溜が存在し、ある時期にそれが急激な運動を行なって貫入の生成が行なわれることは地質学的研究によって明らかであり、この岩漿の貫入が地震を発生させるのであって、地震に伴って地表に現われる断層や隆起・沈降は震源において岩漿の流動が行なわれた結果生ずる二次的現象に過ぎないのである。
 石本の岩漿貫入説は、本人もいっていたように、京都帝国大学地質学教授小川琢治の著書『地質現象の新解釈』(昭和四年刊行)の影響を大いに受けている。この書物には地質現象の研究には地殻深所における深成岩噴出作用つまり岩漿運動の研究が重要であることが強調されている。一方、小川は、志田の象限型地震初動分布の研究に感銘を受け、岩漿の注入により岩石が裂けることが地震を発生させると考えた。
 岩漿貫入説には反対の学者も多かった。特に中央気象台の研究者の多くは象限型の初動分布を支持し、岩漿貫入説にはきわめて冷淡であった。』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

気象庁は今も断層地震説に拘って、測地学的「地震調査」に専念していますが、「地震予知」は何時までたっても目処が立ちません。今では「地震予知」と云う言葉さえ使用することが憚られるような雰囲気になってしまいました。

さて、アメリカ生まれの断層地震説が存在しなかった頃の日本には川本幸民、広瀬元恭など、江戸末期からの洞察力ある学者が存在していました。
拙著「地震の謎を解く」(1999 PRC出版)には、二人の洞察力に敬意を表わして以下のように紹介しています。

;★★★★★★★★★★★★★★★★
江戸地震の後に書かれた川本幸民の「気海観瀾広義」という書物には、地震の原因として、次のような記述が見られます。

一、水素が熱を得て酸素と化合して燃焼する際に、地皮を震動させる。
二、震源に硝石、炭、硫黄があり、温素がこれに火を与えて爆発させ、地が震い音が出るのである。ちょうど火薬の爆発と同じである。

 これは大変洞察の優れた地震観察であると思います。同じく安政の頃に書かれた、広瀬元恭の「理学提要」という書物にも、

  地震は地中に起こるある種の爆発が原因であり、それが地上に現れるときが火山であり、
  地下にこもったのが地震である。

 となっていて、爆発の原因は、地中の水素が大気中の酸素と化合して発火するのだとしています。江戸期の学者は大変直観力が優れていたように思えて仕方がありません。
 私は江戸時代の地震学者の流れを汲む、この石本さんの直覚、洞察力に基づいた地震学説を高く評価したいと思います。それは貫入説による押し引き分布から多くの示唆を得たからで、本書で述べる「物差し」作りに、大きな力になったからであります。
★★★★★★★★★★★★★★★★

以上が拙著からの引用です。
ところで、「マグマ貫入論」と「解離ガス爆発説」は同じものではありません。後者はマグマ貫入の原動力を提起するもので、「マグマ貫入」とそこから生まれる「押し引き分布理論」から多くの示唆を得ましたが、同じ内容ではありません。
解離ガスはマグマが存在しない場所でも、高温領域ならば発生する可能性がありますので、かならずしも、マグマの存在が条件ではありません。しかし、マグマが存在することは解離ガス発生の大きな要素ではありますし、地殻の下部で起こる深発地震の場合はマグマ(マントル物質と同じ)の中で起こる地震ですから、マグマが鉛直方向に対流・移動する事が条件になります。

地震学者からは全く反応がありませんが、先人の勇気を見習ってこれからも、情報発信を続けたいと思っています。
1370
2008-03-05 (Wed)
地震岳登山の間違った道標[その1](続き)
地震岳の登山道に掲げる具体的な案内板を作ってみました(比喩ですが・・)。
地震観に関するコペルニクス的転回とでも言えるようなものですが、断層地震説を否定しマグマ貫入説の立場を採った3人の先達は評価してくれると思います。
かく言う私も、地震の原因がマグマの貫入であると、最初に気付いた人が石本博士の前に居たこと、それが湯川秀樹博士のお父さんだったということまでは知りませんでした。



現在はこの道を登る人が少ないですが、勇気を出してこの案内板の道を選択して欲しいと思います。
直下型地震については、セミナー[274]で、曖昧な解釈を話題にしました。また[531]では、正式の定義がないという地震学会の質疑応答を話題にしました。地震学会の回答を紹介します。
――――――――――――――――――――――――――
地震学の学術用語に「直下型地震」 という 言葉はありません。この用語は、マスコミで使われるようになって、一般に 広まったものです。地震学において「直下型地震」の明確な定義はありませんが、内陸で発生する浅い地震で被害をもたらすものを「直下型地震」と呼ぶことが多いようです。この種の 地震では、地震の規模の割に被害が大きくなる傾向があります。すなわち、地震の発生メカニズムで はなく、地震の被害(震災)に重点をおいた用語です。最近では、 特に防災上の観点から、この言葉をあえて使う専門家も増えてきました。 「都市直下型地震」などという言葉もよく使われるようです。
――――――――――――――――――――――――――
以上が地震学会の回答です。
「内陸で発生する浅い地震で被害をもたらすもの」を直下型としているのに、この種の地震は地震の規模の割に被害が大きくなる傾向がある・・・という解説は論理矛盾があるように思います。

セミナー[1274]で解説したように、地震爆発説では

『陸域で起こった地震のなかで、震源が浅く、爆発の方向が垂直に近い場合』

というように明確な物理的イメージを示して定義することができます。このような地震では、地震の規模が小さくても震動被害が大きくなるので、直下型地震として恐れるわけです。
爆発の方向が水平ならば、震動被害はそれほど大きくならず、直下型地震と呼ぶ必要もありません。

[1362]に紹介したダイヤモンドフェリーの機関士が「5m近くも放り上げられたと感じた」と当時の体験を述べているのも、押し円錐の軸が水平ではない角度であったこと、したがって爆発の衝撃的波動を身に受けたからです。

直下型地震に限るわけではありませんが、断層を中心とする地割れからは可燃ガスが噴出し、通常の消火活動ではとても消火できません。津波で水浸しになった市街地からでも発火するのは、高温の可燃ガスが噴出して家屋を乾燥させてしまうからです。神戸の地震でも、鎮火した場所からまた発火したという話を聞いています。
大地震では大火災になるケースが多いですが、可燃ガスの噴出が原因です。

地震は爆発現象であり、断層は大きな爆発の結果としてできる傷跡みたいなものです。癒えてしまった傷痕がまた開くのではないかと何百年も何千年も心配する必要はありません。

以上でお分かりのように常に活動している断層「活断層」と云うものはありません、地上に存在しません。断層は全て傷痕であり、「活」ではなくて「静」ばかりです。
何千万円かの経費を掛けて「活断層」調査が行なわれていますが、見つけた断層が動いたという例はありません。地震の前の調査では見つけられなかった断層ばかりが「見つかり」ます。新しくできた傷だからです。
傷を掘り返して調査しても、病歴が分かるくらいのもので、税金の無駄使いであることがお分かりいただけるかと思います。

新地震岳登山案内版[その1]


・地震は爆発と爆縮という化学反応である
・断層は地震の傷痕である
・活断層は存在しない


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