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1611
Date: 2010-08-02 (Mon)
ホルムズ海峡でのタンカー損傷は解離ガス噴出による爆発が原因か?
7月28日、商船三井のタンカー「M・STAR」がホルムズ海峡を航行中に爆発事故に遭遇したというニュースがありました。報道では、爆発の原因が海賊の攻撃であったとか、異常な波浪が破損の原因であるとか、取りざたされております。報道の中からいくつかを追って見ます。


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・今回の爆発について、東海大学海洋学部の山田教授は、「外部からの攻撃の可能性」について、「海賊というには(賊が)乗り込もうとしていないとかですね、必要以上に追跡もしてないわけですので、これは海賊とは考えにくい。イランとアラビア半島側の密貿易の拠点なんですね。頻繁に不審なボートが行き来している海域でもあるんですよ。たまたま密輸ルートに出くわしてしまったために、威嚇を受けた」と指摘した。

・国土交通省では、乗組員が「爆発直前に水平線上に光を目撃した」と話していることから、海賊など外部からの攻撃を受けた可能性があるとみているが、フジャイラの港湾担当者は「攻撃の証拠はなく、異常な波が破損の原因」との見方を示している。

・同省(国土交通省)によると、ホルムズ海峡ではこれまで日本関係の船が襲われる海賊事件が起きたことはなく、爆発前後に船に近づいたり侵入を試みたりした不審者などは確認されていない。同省はテロや軍事演習の誤射の可能性もあるとみて、外務省などとともに情報収集を急いでいる。

・一方で、アラブ首長国連邦(UAE)紙ガルフニューズ(電子版)などによると、オマーンの沿岸警備隊当局者は「攻撃の情報はない」として、地震による異常波がタンカー破損の原因と指摘。フジャイラの港湾当局者も、同様の見方を示した。バーレーンに司令部を置く米第5艦隊は、原因は不明としている。

・ 同社では当初、爆発の直前に乗組員が洋上でせん光を目撃したとしていたが、29日、目撃したのは爆発後だったと説明した。(2010年7月30日00時59分 読売新聞)

報道番組

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以上、動画も含めて紹介しました。

報道では全くなされていない観点として、解離ガスの海面付近での爆発という可能性もあるのではないかと思います。



爆発のあったホルムズ海峡は図で見るように、日本に向かって湾を出るときには航路の南側を通行することになっています。航路南側の現場には二つの小さな島が存在します。つまり、浅瀬が近くにあるということを意味しており、島付近の海底から浮上した解離ガス(勿論天然ガスを帯同する可能性もあります)がM・STARの右舷側で爆発を起こしたとすれば、写真のような損傷を受けることは十分に考えられます。今回は地震現象は観測されていないようですが、かつて伊勢湾の中で安政の大地震の直前に海底から黒いガスが噴出し、船が転覆したという記録が残っています。([460]伊勢湾内でのガス噴出現象)

「右手に光ものを見るやいなや、波が逆立ち、震動の音と同時に船が転覆し、荷物も弁当もともに海に投げ出され、ようやく命は助かって桑名へ帰った・・・」

とあります。

安政の大地震のような巨大爆発ではないとしても、地震性の何らかの爆発があったと考えるほうが自然のように思えます。発光現象は爆発の後に見られたということですが、解離ガスの浮上が複数個所で起こったことも考えられます。

 船舶との衝突の形跡がないのですから、何らかの爆発があったことは確かであり、このままでは原因不明ということになりそうですので、新しい視点を提供したいと思います。

二つの島はGoogle Mapの地図表示では現れませんが、航空写真には明瞭に、しかも三つの島が写っています。


大きな地図で見る

なお、地震時にガスが噴出することをT・ゴールド博士は「地球深層ガス」の中で18の実例を使って紹介しています。このセミナーでも[459]から、[500]「ゴールド博士から学ぶ」と題して6回にわたって紹介していますので参考にしてください。

追記:

本日(8月5日)の新聞には、アルカイーダのメンバーによる犯行声明がでています。だだし、犯行声明そのものの信憑性は疑問があるようです。

1612
Date: 2010-08-05 (Thu)
新しい理論で地球の動きを研究するべき時代(4)
このセミナー[1536]では、火山に供給されるマグマの生成原因という視点でマントル固体論への疑問を述べました。また、[1541]では、ホットスポット論の矛盾を展開しました。
ところで、地球上にはいたるところに、大陸に匹敵する規模で、火山活動に伴って噴出してできた玄武岩の広大な台地が存在します。有名なインドのデカン高原の玄武岩台地は 陸上にありますが、もっと巨大なものが、海底に存在します。オントンジャワ海台と呼ばれているものです。



そのほかにも、下図で見ると分かるように、プレートの形状とは無関係に、洪水玄武岩と呼ばれる玄武岩の大量噴出によって形成された台地や海台が存在します。




この玄武岩台地を形成する玄武岩がどうやってできたものなのか、参考とした東京大学大気海洋研究所のテキストでは成因未解明という解説になっています。しかし、マグマの成因が、 [1541]で紹介したように三つのケースしかないのならば、これらの場所はプレートと呼ばれる岩板の周辺にはないわけですから、定説に従えば当然ホットスポットから大量に噴出したと説明せざるを得ません。
玄武岩台地の位置を示す巨大火成岩区(Lips)の図からは、ホットスポットは多数存在することになってしまいます。
私にはホットスポット理論がご都合主義で使用されている様にしか思えません。むしろ、地球表面どこからでも溶岩は噴出する可能性がある、といったほうがよさそうに見えます。石田理論では固体である地殻の下には、熔融マントルが存在し、地殻内部には毛細血管のようにマグマが流れていて、地表近くに到達したものが火山になっているとしています。

ちなみに、近年インドやパキスタンで、市街地の真ん中から、突然マグマが噴出したというニュースがありました。「宏観亭見聞録」の中でNemo氏が紹介していますので、いくつかを抜粋して紹介させていただきます。
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2010年7月21日水曜日
パキスタンで火山噴火? (続報 2)
今年 2月初めの当ブログの記事 「パキスタンで火山噴火?」 と 「パキスタンで火山噴火? (続報)」 で紹介した現象について、新たな情報です。山火事の誤認ではないかとか、泥火山の噴出ではないかといった推測がなされていましたが、このほどパキスタン地質調査所(GSP)の調査結果が報道され、溶岩の流出が実際に起きていたことが確認されました:
1月 27日、バローチスターン州ジアーラト渓谷にある山岳地帯に近いサリで地震にともなって裂け目から溶岩、水蒸気、火花が噴出した。地震のマグニチュードは 3.9、震源の深さは 60km であった。
溶岩の流出は小規模で、裂け目の周囲にとどまっている。溶岩は、小さなスコリア丘と 4つの裂け目から噴出していた。4つの裂け目はジアーラト近くのサリにある Tor Zawar山にあった。
溶岩は上部マントルから上昇してきたか、地殻内部に以前からあった火山岩がリサイクルされたものと考えられるが、地球化学的なデータからは後者であることが示された。
この溶岩噴出があった地域には Bibai 構造体と呼ばれる地質が 1200km にわたって露出している。この構造体は、今から 7200万年前、プレートの移動にともなって北上中のインド亜大陸がまだ赤道の南側にあったころに海底に流出した溶岩によって形成された。
今回噴出した溶岩は、この Bibai 構造体に含まれる火山岩が地下の高温・高圧の条件下で再融解(リサイクル)されたものである。温度上昇には、断層帯の運動による熱も関与している。
2008年に Gogai Wam 断層で地震が発生した際にマグマ溜まりが形成され、その後、マグマが地殻の弱い部分を伝って地上に噴出した可能性がある。また、地震によって新たな亀裂が形成されたり、拡大したりしたことが考えられる。

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2010年7月21日水曜日
パキスタンで火山噴火? (続報 3)
火山でないところから突然溶岩が噴出するという現象はパキスタンの隣国、インドでも発生しています。

2007年8月 ― インド最東部のアルナチャル・パラデシュ州で、火山ではない普通の丘の中腹から噴煙や火山弾が放出され、さらに溶岩が流出:
2008年4月 ― インド中央部マドヤ・パラデシュ州のセンドワという地域で、工場地帯の空き地から突然溶岩が噴出:
上記 2つの事例については、その後の報道がないので、本当に火山性の溶岩が噴出したのか、あるいは何か別のものであったのか、残念ながら確認できていません。
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パキスタンで火山噴火? (続報 4)
「続報 3」で書いた 2007年と 2008年のインドの事例については、「西多摩の鶯」さんが運営する 『宏観休憩室 地震前兆研究村』という掲示板に当時投稿したものの控えがありますので、以下に転載します。
まず 2007年 8月の件:
―― インド最東部のアルナチャル・パラデシュ州で、火山ではなく普通の丘の中腹から噴煙や火山弾が放出され、さらに溶岩が流出するという現象が起きています。
現象が最初に報告されたのは今月21日ですが、初めは丘の中腹で山火事が起きているという認識だったようです。高熱の火山弾によって、付近にある送電線の鉄塔が融け停電が発生したとのことです。現在は小康状態になっているようですが、ガスや噴煙の放出は続いており、周辺の地温が非常に高くなっているとのことです。
今回の噴火現場から 15km の地点に、数百万年前に火山があったことが地質学的な証拠から明らかになっていますが、それ以外、死火山・休火山も含めいかなる火山の痕跡もないと、GSI(インド地質調査所)の科学者は述べています。

先の戦争中、ごく普通の麦畑の真ん中から突如噴煙が立ち上り、短期間のうちに成長して昭和新山と名付けられた事例が思い起こされます。

次は 2008年4月の件:
4月15日、インド中央部マドヤ・パラデシュ州のセンドワという地域で、工場地帯の空き地から突然「溶岩」が噴き上がり住民を驚かせています:
現場付近に火山はありませんが、マドヤ・パラデシュ州はデカン高原のまっただ中に位置しています。デカン高原は、中生代白亜紀以降に大量の玄武岩質溶岩が流出して形成された地形ですので、火山活動とまったく無縁というわけではありません。目撃者の証言では、一時は人の背丈ほどの高さまで溶岩が噴き上がったのことです。噴出場所の形状は、記事によって「クレーター」であったり「裂け目」であったりしてはっきりしませんが、あまり大きなものではないようです。また、噴出した溶岩の量もそれほど多くはなく、現時点では冷えて固まり、黒い小山のような状態になっているとのことです。記事には原因についての様々な推測が書かれています:
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以上が「宏観亭見聞録」からの抜粋です。
Nemo氏の記述にもありますが、日本でも「昭和新山」が畑の中から突然誕生しました。[1609]では、地球深部へ穴を掘り進めると、高熱現象に伴って解離ガスが発生し、その爆発と見られる不思議な現象があることが報告されています。このことは、地球上ではどこを掘っても、深さに差があるだけで、いずれ温泉源にぶつかるのと同じように、どこを掘っても熔融マグマが存在すると言うことなのではないでしょうか。
地球物理学はやはり、根本からイノベーションをかけなければ新しい時代の地球研究に入っていけないと思っています。

1613
Date: 2010-08-06 (Fri)
定説に拘束されない方のブログ紹介
このセミナーにも何回か登場された銀色狼(銀次狼)さんが大変面白いブログを立ち上げておられます。医師としての豊富な知識をベースにして、「自分の頭で考える」ことを大事にされている点で大変好感の持てるブログであります。
その中で、超臨界流体下の水の挙動を取り上げ、「地震の原因は水が液体から気体に変化する場合の爆発現象である。」つまり、水蒸気爆発説のような地震説を述べておられます。興味深い内容ですので、抜粋して紹介し私の感想を述べさせていただきます。
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2010-07-27 22:34:33
超臨界流体の世界
テーマ:トンデモ科学理論

高温・高圧下の世界は私たちの暮らす世界と全くの別世界です。例えば水も374℃・220気圧で超臨界水(Super Critical Water)となってしまいます。


超臨界水の状態では温度が一定でも、圧力の変化だけで水は液体と気体の間を行ったり来たりしてしまいます。そして、水成分を持ちながら、性質としては気体として振舞うわけです。マントルの中に水成分が含まれているだけで、マントル内の圧力が低下すると水は液体から気体へと変化して、マントルから乖離(この場合の水の乖離は恐らく水素・酸素がプラズマ状態で乖離すると思っております)してしまいます。水成分の量が多く、 圧力の変化が急激であれば、爆発現象になると思われます。これが、地震の原因、つまり地震は爆発現象の一種だと私は考えます。また、火山噴火の水蒸気爆発もマントル(火山の場合はマグマと呼ぶのでしょうが、私はほぼ同一のものと考えております)から乖離した水だと私は思っております。そう考える私は、地震も火山噴火も同一の原理で起きると思うわけです。

さらに、超臨界水は酸化力がきわめて高いため、腐食しにくいといわれているハステロイ・白金・イリジウム合金・金・タンタルまでも腐食し、セルロース・ダイオキシン・PCBも分解してしまうほど酸化力が強いのです。超臨界水の中で安定した固体物質が長期に存在するのは難しいと考えられます。簡単に言ってしまえば、どんな物質でも超臨界水に融けてしまう訳です。しかも、温度と圧力が上昇すると固体成分(岩石成分etc.)を取り込む溶解度も上昇するわけです。そのため、マントル内に水や地上での気体成分を含んでいる場合マントルが固体であることは難しいと私は思うわけです。そして、さらに厄介なのは、超臨界流体になるのは水だけでは無い上に、腐食性・溶解度など似たような性質を持っております。
地球は固体惑星という認識が定説で、マントルは固体であるとの考えは一般的で、なおかつ地球の中心部には固体の鉄とニッケルがあると考えられています(私はぜんぜん信じておりませんが)。しかし、高圧力・高温・無重力の世界は地上世界(1気圧・約15度・1G)とは全く異なる次元で物性を考える必要があると思っております。しかも私がここに書いた事さえ、圧力約200気圧・温度約300度程度・1Gの話です。更なる超高圧・超高温・低重力(1G以下)の 地球内部の世界にピュアな物質や剛性を持った固体が存在するのは無理があると思っております。
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以上が抜粋記事ですが、少しコメントを述べさせていただきます。
まず、様々な物質を含んだ超臨界状態の流体のなかで、液体から気体に変化すると言って良いのかどうかという点が疑問となります。臨界点付近および、それ以下の条件ならば良いのですが、超臨界状態ですと、液体と気体の両方の性質を持っている筈ですから、爆発は考え難いと思います。
また、地震現象では「押し」と「引き」が現れる理屈を説明しなければなりません。特に「引き」現象を説明するための理屈が必要です。石田仮説では酸素と水素の反応が、爆縮であることをその理由にしていますし、山本仮説では水素を回る電子の軌道が縮小するというハイドリノの発生を理由にしているはずです([1015]参照)。銀色狼氏の仮説では「気体から液体に戻る」現象を想定することになるかと思いますので、上に述べたような超臨界状態(地下のマグマは臨界点をはるかに超えていると思われる。)での爆発があるのかどうか納得できる説明があればと思います。勿論超臨界状態で酸素と水素の反応が起こりえるかどうかも未知の問題ではありますので、いずれにしても地震の原因を決定するのは今後の問題であります。
次に「マントル内に水や地上での気体成分を含んでいる場合マントルが固体であることは難しい。」という点は全く同感です。高温・高圧下で水を含有すれば笠原順三教授の研究からも分かるように、岩石は簡単に熔融するはずですから・・・。
さらに「地球内部の世界にピュアな物質や剛性を持った固体が存在するのは無理がある。」という点も全く同感であります。因みに、マントルが剛体であるという考え方が岩盤のごとく強くなったのは、昭和に入ってアメリカから断層地震説が入り、電子計算機が発達してからのことです。それまでは、石本博士や、小川博士らのマグマ貫入理論が支持されていました。いわゆる何らかの爆発が地震であるという視点が有力なものでした。

氏のブログには陸上から、3億年以後の海洋生物の化石が出てきたら、「大陸移動説」は間違っている事になるという誠にご尤もな面白い表現の論点があります。既にセミナー[90]大陸沈没・浮上説で紹介してくださった内容ですが、「大陸移動説もパンゲアも信じない。部分的に大陸は沈没し海洋は隆起すると考える。」という記事から抜粋して紹介します。
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大陸移動説は大きな矛盾を含んでいるわけです。つまり、最初大陸であったところは永遠に大陸であり、最初海であったところは永遠に海で無ければならないのです。
陸上から、3億年以後の海洋生物の化石が出てきたら、「大陸移動説」は間違っている事になるのです。また、海底に3億年以後の陸上に存在したものがあれば、同様に「大陸移動説」は間違っている事になります。ヒマラヤ山脈にも、3億年以後のアンモナイトの化石や海洋生物の化石は見つかります。また、大陸が移動してきてこの部分(ヒマラヤ山脈)が隆起したからだと強弁する人もいますが、大陸移動説によって移動してきたと言われるインドにも途中の地層に3億年以後のアンモナイトや海洋生物の化石はあるのです。もちろん、アメリカにだって、私たちの住む日本にだって陸上のどこにでも、探せば、おそらく、あるのです。そして、陸上で3億年以後のアンモナイトや海洋生物の化石はどこでも見つかるのです。それどころか地層年代を測定するものとして海洋生物の化石は使われるのです。
アンモナイトの化石は世界各地から産出します
http://www.ynu-irc.ynu.ac.jp/wani.html
大陸移動説を証明し、超大陸パンゲアの存在を証明するには3億年以後の海洋生物の化石の全く存在しない地域だけを集めて張り合わせ無ければなりません。私は、そんな地域を部分部分かき集めても巨大なパンゲアは出来ないと思っております。つまり、超大陸パンゲアは存在しなかった。そして、大陸の水平移動は起こらなかったし、今も起きていないと私は考えるわけです。
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以上がその記事の抜粋です。ブログの読者からは

「説得力のある説明だ。まったくその通りだと思います。

何故、この事が学者には分からないんだろうね。

まるで、天動説の時代に逆戻りしたようだ!!」

と言う書き込みがありました。私もそう思います。こうした新しい観点からの地球物理学を専門家以外の人で構築していく必要があります。地震学関係では国会審議でも明らかなように、「測地学的地震予知」関連の方々の意見が強くて、新しい研究手法が阻害されています。 それにはセミナー[1192]、[1193]にあるように、利権構造も絡んでいるように思います。

1614
Date: 2010-08-13 (Fri)
メキシコ湾での石油流出事故からの警告

医師の銀次狼(銀色狼)氏から、[1613]に紹介した氏のブログの件でメールをいただきました。超深度油層採掘計画が如何に危険なものであるかを述べています。抜粋して紹介します。

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超臨界流体の話は、メキシコ湾での超深度油層における原油採掘において、そこまで採掘すると採掘パイプあるいはパイプのケーシングが通常の油層と比べて劣化が早く、原油漏れ事故などを繰り返す可能性があるのを述べるために書きました。

あの深さでの圧力と温度を考えると超臨界流体の中で長期に耐えられる固体物質は存在しないと思えるからです。

メキシコ湾での原油流出事故は起こるべきして起きたと考えていたわけです。BP社による同様の超深度油層採掘計画がリビア沖で計画されており、これはメキシコ湾と同様に地中海は内海(閉じられた海)なので、取り返しの付かない事故に繋がる可能性があると考えております。超深度油層採掘計画は確か去年から海底で行われるようになり、殆どが失敗しているようです。その他の海底でBP社以外の石油会社でも同様の計画があるようです。石田先生が仰るように地球内部の正しい(知識)が無ければ人類は取り返しの付かない事故を起こす可能性があります。

今も先生の地震発生理論が一番正しいと考えております。

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実を言うと私は氏のメールをいただくまで、この事件の真相は韓国製の掘削リグに問題があって起こった爆発事故が原因であるという程度の認識しかありませんでした。しかし根本的に超深度油層採掘計画に問題があると云う重大な事故であることをはじめて認識しました。

たしかに、最近では浅部での油田を汲みつくして、油井の先端がマントルの近くまで深く掘り進んでいるようで危険です。[1609]で紹介した、コラ半島での掘削深12kmに比べれば浅いとはいえますが、海洋地殻は平均で6km程度ですから、5500mと云うのはマントルに接近している筈で、解離ガスの発生・爆発の危険度が高いと推定できます。

超臨界状態とは、「どんな物質でも超臨界水に融けてしまう。」ということであり、コラ半島の掘削現場でしばしば発生した「ドリルが不可解に燃え上がり、またある時は目に見えない力によって引き下ろされ消滅した」という現象の原因であることを意味します。

今後も「超深度油層採掘計画」があるようですから、計画の危険性を認識し、再考を促すためにもいくつかの報道を追って見ます。なお、これは日本でも計画されている「液化炭酸ガスの地中封入計画」([1283]、[1285])にも通じる危険を意味しているのであります。私は中越での二つの地震の原因ではないかと推定しています。

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・ 4月5日午後5時過ぎ「ネガティブプレッシャーテスト」を行い、圧力の急激な上昇を確認し、油井からの噴出を目撃したにもかかわらず、作業を継続した。

・ 元従業員がBBCに語ったところによると事故の数週間前にBOP(Blowout Preventer)と呼ばれる安全装置からオイル漏れが見つかったので上部に報告したが、対策は修理も交換もせずに(警報)スイッチをオフにしたことだった。

・ 海底地殻の厚さが平均で6000mと言われているところをメキシコ湾の油井は5500mまで掘ってる。マントルまで500mしかない。 圧力が急上昇してリグがぶっ壊れて原油が噴出したとかいう話だけど、もしかしたらマントルまで届いちゃったんじゃないかな。

6000mというのはあくまで平均で、厚いところもあれば薄いところもあるわけだし。

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次は、淺川嘉富氏のサイトにある一連の記事からの抜粋です。

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・今回の事故を調べている内に疑問に思ったことが2点あった。その一つは、事故の原因である。問題の油井では掘削工事が最終段階を迎えていた4月20日に、海上の掘削基地で爆発が起き、油井と基地を結ぶパイプが破損し、原油流出が始まった といわれているが、そのパイプの破損がなぜ起きたのかが、今一つはっきりしないのだ。

・平均的な油井の圧力1500psiに比べて、事故を起こしたBP社の油井の圧力は20000〜70000psiというから、通常の油井にかかる圧力の15倍から45倍の圧力がかかっていたことになる。これは驚くべき数値で、掘削深度がいかに深いかを物語っている。こうした超深度油井の開発はかつて旧ソ連邦で行われていたが、危険度が大きいため今は全面的に中止されている。

・事実、現場では、さまざまな色の泥が勢いよく吹き上げられていると報告されており、これは、採掘が原油の無機的な生成が行われている地殻内部の高温・高圧の層にまで達してしまった可能性が大きいことを示している。

・さらには、超深度油層の下面は上部マントル層を覆っている地殻に接していることから、近くにあるメタンガスが埋蔵された地層を破壊する危険性もある。

・第2の疑問点は、本当の流出量はどれほどかという点である。

当初、BP社が発表した1日の流出量は160キロリットルであった。その後事故に対する関心が深くなるに連れ、そんな量ではなさそうだという観測が広がり始め、6月に入ってマスコミの記事には、推定数値として5600〜9500キロリットルという 大きな数字が登場するようになってきた。

・ところが、数日前のアメリカのABCテレビを見ていたら、BP(British Petroleum)社が改めて発表した数値は15、000キロリットルであるという衝撃的な数値が報道 されていた。この量はドラム缶に置き換えると、7万5000本分に該当する。最初の発表数値に比べると、何と100倍もの量である。

・アメリカのテレビに出演したBP社の技術者が、「石油の噴出漏れが発生しているのは、今回の事故現場だけでなく、実は、現場の近くにもう一カ所ある」と、発言している点である。

・オバマ大統領が原油封じ込めが完全に成功しそうだと発表。 先ずは人類にとっての吉報である。

・ただ数日前のTVでは気になるニュースも流していた。一つは、現在蓋がかぶせられて、漏れは一切発生していないと伝えられているが、セントメアリースポイントのパラダジア湾にはここ数日 、新たな原油が流れ着いてきており、原油の流出が完全に止まっているとは思えない、という責任ある立場の人物の発言である。

・ノルウエーでも原油漏れの可能性 石油開発会社による石油漏れ事故は、アメリカだけでなく、ノルウエーでも発生しそうである。というのは、ノルウェーの国営石油会社 Statoil 社が、21日、破裂防止装置(ブローアウト・プリベンター)の2つのバルブのうちの1つに過度な圧力の変化が起きた後に、従業員たちが北海のガルファクスCプラットホームから避難したと発表しているからである。

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以上が淺川氏のサイトから抜粋・紹介したものです。「現場の近くにもう一カ所ある」と言う発言を裏付けるものとして、気になる報道もあります。

「ロシアの海洋学研究所Anatoly Sagalevich研究員がクレムリンに提出した報告で、メキシコ湾の海底の修復はすでに不可能と警告。彼はBPに依頼されて深海調査のために現場海域に潜行した学者のひとり。11キロにわたって海底が割れて18個所から1日約200万ガロンが流出中と。」



11キロにもわたって海底が割れて・・・・と言うことは、地殻内部での爆発によって断層が生じたということでしょう。超深度の掘削では、以下のことを検討しなければいけないことを示しています。

・ 掘削ドリル等の先端部が超臨界水によって腐食・破壊されてしまい、掘削が失敗する。

・ 解離ガスの発生とその爆発、つまり地震を引き起こし、断層を作ってしまう。

・ その断層から、原油が海底に噴出してしまう。

以上のことから結論として、

陸地であれ、海底であれ、地下深部に人工的な工作を行うためには、地震の発生原因、および地殻内部の構成、水の解離層の挙動などを研究し、解明することが先決である。それが解明できない間は石油の汲み出しも、液化CO2の注入も、行うべきではない。」と警告したいと思います。

1615
Date: 2010-08-14 (Sat)
「ちきゅう」による海底掘削の危険性
[1565]にも紹介した地球深部探査船「ちきゅう」に関して最初に問題提起されたのは[966]で投稿してくださった銀次郎氏でした。

「海底下7kmまで掘削できる「ちきゅう」を使って、「地殻に穴を開けてマントルに到達しても大丈夫でしょうか?」

という疑問でした。私は当時、

「地震は解離ガスの爆発現象であるとすれば、これは大変危険なことだと私は思います。小規模なボーリングであるから解離ガスの発生は少ないのだとしても、小規模な爆発が起こって7000メートルまでの掘削は失敗するのではないかと思っています。」

([967])と回答しています。5年半も前のことです。

 しかし、4月に起きたメキシコ湾内での石油流出事故が海底下5500mでの掘削中に起きたものであることを考えると、7000mを目指す「ちきゅう」による地球深部掘削がとても危険性を含んだものであるように思えてきました。

 なぜなら、石油は化石燃料などではなくて、ゴールド博士が述べているように、地球深部で自然に生成されるものであるとしたら、油層の規模に違いがありますが、地球上どこにでも石油が生成する可能性があるからです。

 つまり現在展開されている「ちきゅう」の掘削現場でも、メキシコ湾と同じような事故が起きる可能性があるからです。深度7kmまでの掘削には「爆発現象」が生じて失敗した、というだけでは済まされない事態が起きる可能性があるからです。

 メキシコ湾で「12キロにわたって地殻が割れている」という報告が意味するところは、とてつもない悲劇、「無知に基づく悲劇」を引き起こす恐れがあります。マントルは固体だから、マントル物質を手にとって見たい、というのは素朴な興味としては結構ですが、その結果引き起こされる「地殻の破壊」という悲劇は人類の存続をも否定するような大きな事故につながる可能性があります。

「ちきゅう」による掘削作業、また液化炭酸ガスの海底封入プロジェクトを再考していただきたいと切にお願いいたします。そして国家として早急に「地震爆発論」を研究していただきたいと思います。

参考

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ちきゅう

ちきゅうは、日本・米国が主導する統合国際深海掘削計画(IODP)において中心的な活躍をしている科学掘削船(深海掘削船)である。巨大地震・津波の発生メカニズムの解明、地下に広がる生命圏の解明、地球環境変動の解明、そして、人類未踏のマントルへの到達という壮大な科学目標を掲げている。


海洋石油掘削に利用されるライザー掘削システムを採用しており、水深2,500mの深海域で、地底下7,500mまで掘削する能力を備えている。世界最高の掘削能力であり、マントル物質や巨大地震発生域の試料を採取することができる。掘削機器には最新鋭のものがそろっており、ほとんど全自動なので今まで問題となっていた怪我が皆無である。また、石油・天然ガスなどが噴出するおそれのある海域でも安全な掘削を行うことができる。掘削中はGPSの位置情報や風・波の測定情報を元に、1基のサイドスラスタと6基のアジマススラスタを自動制御して船の位置を誤差半径15メートル以内に固定する「自動船位保持システム」(DPS)を備えている。

2005年秋から下北半島東方沖で掘削試験航海を行ったあと、2007年9月21日からIODPでの最初のミッションとして、東南海地震発生域において南海トラフ地震発生帯掘削計画(南海掘削)を開始した。

建造・運用には独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の一部門である地球深部探査センター(CDEX)、運航業務及び掘削業務は日本マントル・クエストがあたっている。

2009年5月中旬からは南海掘削について、熊野灘周辺での本格的な科学掘削を再開したが、同年11月、掘削プロジェクトが行政刷新会議による事業仕分けの俎上にあがり、次年度以降の継続が不透明な状況となった。

1616
Date: 2010-08-15 (Sun)
現代科学が把握できていない現象がある
深刻な原油流出事故ですが、一方では地球の治癒能力なのでしょうか、海面に広がった原油量が激減したというニュースもありました。中日新聞と共同通信の記事を紹介します。

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海面の原油、激減なぜ メキシコ湾事故

2010年7月31日 中日新聞朝刊

 【ニューヨーク=加藤美喜】米史上最悪の原油流出事故が起きたメキシコ湾で、事故から100日が経過した28日前後から海面の原油量が激減し、「どこへ消えた?」と謎が深まっている。米メディアは“消えた原油”について科学者の諸説を紹介する一方、「見えない影響」を案じる地元漁師らの声を伝えている。

 28日付の米紙ニューヨーク・タイムズは一面で、「原油が急に消えた」と、6枚の図入りで大々的に報道。流出範囲が最大だった6月下旬に比べ、同じ図面上だと小さなシミ程度となった現状を驚きを持って紹介した。


 AP通信によると、4月20日の事故発生から、7月15日に英石油大手BPが封じ込めに成功するまでに流出した原油量は、最大1億8400万ガロン(約7億リットル)に上る。

 米メディアは専門家の諸説として▽バクテリアによる生物分解▽ハリケーンなど暴風雨による拡散▽数千隻の船を導入した地道な回収作戦の奏功▽海面に上昇した原油の気化−などを原因に挙げている。だが、原因究明には至っていない。

 原油の激減は朗報に違いないが、米海洋大気局(NOAA)のルブチェンコ局長は27日、「海面からは消えても、海中から消えたと言えるわけではない」と指摘。

 事故対策を指揮するアレン元沿岸警備隊司令官も「まだ少なくとも数週間は警戒する必要がある」と気を引き締めた。

 南部ルイジアナ州やフロリダ州の湾岸では、現在もタールの塊があちこちに打ち上げられている。地元のエビやカキ漁師らは、残存する原油や大量にまかれた化学分散剤の影響を懸念。「長期的に害が出てこないか心配だ」と、メディアに不安の声を寄せている。

メキシコ湾の原油浮遊量が激減 海中の微生物が分解

  【ワシントン共同】メキシコ湾の原油流出で、海面を浮遊する原油の量が激減している。米CNNテレビなどは「油はどこに行ったのか」と注目。米海洋大気局(NOAA)のルブチェンコ局長は27日の記者会見で、海の微生物が油を食べているために分解が進んでいるのが一因と説明した。

 米紙クリスチャン・サイエンス・モニター(電子版)によると、英石油大手BPが流出源の油井に密閉ぶたを設置し、今月15日に流出阻止に成功してから2週間弱で、原油が広がった海面の面積は約20万平方キロから約2万5千平方キロに縮小し、推移を見守っている科学者たちを驚かせた。

 同湾には約800隻の原油回収船が展開。数週間前まで1日の回収量は400万リットル近かったが、先週後半からは日量約8千リットルに減少したという。

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これも、現代科学の常識を破る地球意識の浄化作用なのかもしれませんが、だからといってまだ安心は出来ません。散布された大量の薬品の影響も心配されています。

マントルは固体であるから、固体部分を掘削しても地震を誘発するはずが無い・・・とか、地球内部を詳しく知るためにはマントル物質を採取して研究する必用がある・・・という研究者の意識を変えていただきたいと思っております。

石田理論ではマントルは熔融しており、掘削して採取することは解離ガスの発生、その爆発による地震など、大変な危険を生じるという視点に立っております。


 モホ面の下部にあたる上部マントルは確かに固体(石田理論では地殻第二層)でありますが、その下には熔融しているマントルがあるはずです。マントル物質を手にしようと掘削すれば、たとえ固体部分であっても高温・高圧領域に進入することになり、水の熱解離と云う現象が発生すると思われるのです。解離ガスとは水素が含まれているために爆発(地震)という大変危険な現象を引き起こすことになります。

繰り返しになりますが、液化炭酸ガスの海底封入プロジェクトを含めた、超深度の地殻掘削は「地震の原因」「解離水の挙動」などが解明されるまでは、中止して欲しいと思います。

現在、地球に関する科学者の認識に誤謬があると考えております。以下にIODPサイトにあるQ&Aを紹介しますので、研究者や関係各位にはご検討をお願いします。

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Q17:「南海トラフ地震発生帯掘削計画」についてテレビで知りました。「ちきゅう」は科学史上初めて巨大地震の震源まで掘削し、そこを直接観測するということなのですが、逆にこの掘削による影響で、巨大地震を誘発してしまうようなことはないのでしょうか。


回答者:

倉本 真一

IODP推進室

掘削が巨大地震を引き起こすキッカケになるのではないかというご質問ですが、その背景には、地震のメカニズムの説明に2次元的な地下の断面でアスペリティーと呼ばれる地震の核になるような部分があり、そこで最初のスリップ(破壊)がおこる事によって巨大地震が引き起こされる、というモデルが最近良く説明されるようになった事にあると思います。

地震は断層運動として捉えられていますが、その断層運動のエネルギーは断層面で接した所での歪(ひずみ)の蓄積と考えられています。その歪(ひずみ)は断層面の摩擦強度に依存していて、特に地震の時にのみ動く場所を「アスペリティー」と呼んでいます。(アスペリティーを直訳すると「でっぱり」というような意味となります。)このアスペリティーでの摩擦強度が弱まる現象が起こったときに地震が発生します。

結論としては、掘削によって巨大地震が引きこされることはありません。掘削が仮にアスペリティーを掘削したとして、アスペリティー全体の破壊を進行させるような影響、特にアスペリティー内の圧力を上昇させ、破壊を引き起こす事(摩擦強度が小さくなる)とは、掘削は逆のセンス(圧力は下がる)ですし、何よりもスケールとしてはアスペリティーが数十キロオーダーあると考えられているのに対して、掘削孔は直径20センチメートル程度ですので、針でつつくよりも小さい穴をあける事と同じです。全く無視できると考えてよいかと思います。「ちきゅう」は、掘削前に様々な探査技術を使って、地下の状況を特定し、その上で掘削計画を立案し、様々な専門家の評価を受けて行っています。


IODP南海掘削の計画概要


Q.12 マントルってどろどろに溶けたマグマじゃないの?


回答者:

阿部 なつ江

地球内部変動研究センター/地球内部構造研究プログラム/ 研究員

マントルは固体の岩石で、マグマ(液体)ではありません。地下600km位の深さまでのマントルは、写真(1)のような「かんらん石」を主な構成成分とする「かんらん岩」であると考えられています。



この「かんらん石」は、「ペリドット」と呼ばれる宝石として有名ですね。また地下600km程度よりも深い部分ではかんらん岩と同じ化学組成を持つ高圧で安定な岩石であると考えられます。

かんらん岩と玄武岩の化学組成や岩石学的性質を調べていくと、かんらん岩が一部分(5-25%くらいまで)とけて出来た液が、玄武岩マグマであることが、岩石学的研究から明らかになっています。

固体の状態でもマントルは地球内部を対流していると考えられていて、このことが、よく“マントル=マグマ”と誤解される所以かと思います。

では、なぜ固体であるマントルが流動するのでしょうか?

例えば氷河は固体の氷ですが、長い年月を掛けて変形しながらゆっくり流れていますよね?マントルもあのようにゆっくりと長い時間を掛けて地球内部を対流していると考えられています。中央海嶺の下では、このかんらん岩がより地下深くから対流によって上昇しています。

かんらん岩は、温度が上がるか,圧力が下がるか、またはこの両方の作用によって少しずつとけてマグマを作ります。液体であるマグマは、固体のかんらん岩よりも浮力が大きいので,かんらん岩の対流よりも早く地表(海底)に到達し、そこで冷やされて海洋地殻を作る岩石(玄武岩)になる、と考えられています。

地球内部の構造は大まかに分かっていますが、直接マントルまで行ってその物質を手にした人はいません。また同じマントルかんらん岩でも,温度や圧力の違いによって、また地球形成初期からの長い年月をかけて、化学組成が変化していると考えられます。更に詳しく地球内部を知るためには、実際に地球深部探査船「ちきゅう」を用いて海底を掘削し、今現在上部マントルを構成している岩石を採取して、研究する必要があるわけです。

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「様々な専門家の評価を受けて行っています。」と述べておられますが、炭酸ガス地中貯留計画のプロジェクトリーダーも同じように、「学識経験者の委員の先生方から科学的根拠にもとづくご審議を受けて実証試験を推進している。」として、専門家の審議を安全の根拠とされておられます。(CO2地中貯留計画責任者の安全認識参照)

私は、

「どのような学識経験者がおられても、未知科学に関しては全員素人ですから、その時点では学者にも分らなかった、となるでしょう。しかし、学者の審議によって法的責任は免れたとしても、道義的責任が残る可能性はあります。私が最も危惧しているのは地震の原因に関する知識が間違っている可能性があり、それによって地下深部に安易な人為的工作が行われ、多くの悲劇を生むのではないかということです。以上再考していただければ幸甚に存じます。」

と返信を差し上げました。メキシコ湾でのような事故が日本で起こってからでは遅いのです。今一度、検討していただきたいと思います。

1617
Date: 2010-08-17 (Tue)
地殻移動によるポールシフト
地殻移動によるポールシフトというタイトルのブログ記事がありました。

地殻移動とか、ポールシフトというものが、トンデモ科学などではなくて、真摯な意味で科学的な根拠のある正しい話として拡がることは新時代への脱皮運動として重要なものであると思います。最後にはこのセミナーの記事[1212]と[1218]の内容が紹介してありました。

セミナー読者の皆様には、このセミナーでの内容をどんどん取り上げて議論し、間違った科学に洗脳されている社会を啓蒙する運動を宜しくお願いします。その意味でも、セミナー内容はリンクフリーとします。また、「地殻移動によるポールシフト」を紹介し、少し解説を補足しておきます。

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[地殻移動によるポールシフト]

玉蔵さんの記事にポールシフトの話が載っていました。

http://goldentamatama.blog84.fc2.com/blog-entry-619.html

今まで、結果として起こっていたことは理解できても、そのメカニズムについては??だったのですが、関連サイトを読んでよく分かりました。

要するに、地球を固体だと考えるから、理解できなかったのです。

常識とは邪魔になるものですね。

地球で固体の部分は、表層の近くの部分だけ。

内部は圧力もかかっており、融(と)けた状態なのです。

火山の溶岩は、まさに内部が融けていることを示しています。

地殻は、卵とか、蜜柑とか、林檎とか、表現されていますが、最も近いのは桃かな?

桃の実は、たやすく皮がずるっと剥ける(動く)。

地球もこんな状態だということです。

大きな力がかかったときに、地殻(地球の表層)だけ動く。

こう考えれば、例え地軸が動かなくても、地殻ベースではポールシフトが起こったことになる。

地球は自転している。

ところが、地表での重量バランスが崩れると、あるときずるっと地殻が滑り動く。

この原因となるのが、大きな地震、火山の噴火、極地での氷の着床量の増大など。

地殻の重い部分が、遠心力で赤道方向へと移動するということですね。

この地殻移動説を認めれば、マンモスの胃袋内から見つかった温帯性植物の問題も、南極大陸で見つかった恐竜の化石の問題も、すべてあっという間に解決します

ポールシフトは、極めて短時間の間に起こった。

上記の事象は、こういう事実を示しています。

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以上が紹介記事。この後に、このセミナーの記事[1212]と[1218]が紹介してありました。

「地殻の重い部分が、遠心力で赤道方向へと移動する」という表現ですが、正確に解説します。

地殻(ハプグッド流に云えばオレンジの皮の部分)に重心移動が起こると、「回転体の回転軸は、常に重心を通るように変化する。」という性質があるので、回転体は新しい重心が回転軸上に来るように姿勢を変える、ということです。

「新しい地動説・ポールシフト」ならびに、解説動画なども参考にしてください。

1618
Date: 2010-08-29 (Sun)
異常震域が現れる原因説・定説の矛盾
一昨日(27日)発生した飛騨地方を震源とする地震(D=280km)で、深発地震には常に現れる異常震域という現象がはっきりと現れました。


深発地震に付随するこの現象は既に何回も紹介しましたが、定説と石田説とでは原因の解釈に決定的な違いがありますので、その違いを先ず概略的に述べておきます。

定説による解釈:深発地震とは潜り込む太平洋プレートの内部(和達・ベニオフゾーンの内部)で起きる地震であり、プレート内部は固くて地震波が伝播しやすいので、潜り込み開始部に近い東北沿岸が良く揺れることになる。柔らかい岩盤がサンドイッチ状になっている鉛直方向には伝播しにくい。

石田説による解釈:プレートが潜り込むという現象は存在しない。プレート論は間違っている。深発地震とはモホ面の下にも存在する固体部分(地殻第二層、下図の青色部分)を含んだ地球表面の地殻(固体部分のことを指す)の下部にある熔融マントル内部での地震である。熔融マントルが対流するときにその流れの中で水の解離度が変化し、解離ガスの爆発が起きることが深発地震である。したがって、マントル内の爆発震動が上部方向に伝播して、天井にある硬い地殻を揺らすはずである。この揺れが硬い第二層内を伝播して行くが、地殻は陸側では厚く、海洋部分で薄いために、地殻第二層が地表近くに存在する東北沿岸部ほど震動を感じやすい。図で表示すると[1275]の次図のようになる。


さて、定説を信奉されておられる方々の解説ですが、[1275]にも紹介しました防災科学技術研究所のサイト(http://www.hinet.bosai.go.jp/topics/tokai031112/)にある次の解説、

「宇都宮付近、および福島県の太平洋沿岸から仙台平野や北上盆地を抜けて八戸にいたる南北に細長い領域には柔らかい地層が厚く堆積しており、そのために地震動が増幅されると思われます。」と、Wikipediaにある次の解説、

「プレートが深さ数百kmに沈みこむと、プレートが上部マントルの中に入りこみ、硬いプレートの周りを柔らかいマントルが包んでいる。そのため地震波が真上に伝わろうとしても、上部マントル中を通るときにエネルギーが吸収されてしまう。しかしプレートを伝わる地震波は硬いプレートを通過するため吸収されないからである。」

の、以上二つの解説(どちらも、教科書的な定説の解釈らしいですが)には明白な矛盾があるように思います。高温帯にある深発地震面が硬く緻密な固体であるとは思えませんが、たとえそうであるとしても、緻密でない柔らかい岩盤が地震を「増幅」させたり、「吸収」させたり、というような説明では互いに矛盾していますし、これではご都合主義の解釈であると感じます。

また、「柔らかい岩盤がサンドイッチ状になっている鉛直方向には伝播しにくい。」・・・ということならば、数値解析で採用されている地殻とマントル内部の地震波伝播経路を地球上のどの場所でも、一様に次図のようなものと仮定して計算するインバージョン法はその手法が間違っていることになります。



深発地震面は日本では太平洋岸から大陸に向かって傾斜して潜り込むような形状ですが、マリアナ海溝付近では垂直に潜るような(一見してですが・・)形状をしています。したがって、場所によって数値計算の手法を変えなければいけない筈ですが、トモグラフィーの計算ではそのような配慮はなされていないはずです。とにかく地震波の伝播経路に関しては定説論者の言い分には疑問が存在します。


石田理論(仮説)では、柔らかい岩盤があれば、地震動は吸収されやすく、固い岩盤では減衰することなく波動のエネルギーを伝播させると考えます。それゆえに、深発地震の場合は、鉛直方向の震動は吸収され、地殻に沿う横方向の震動は遠くまで伝播する、これが異常震域が現れる原因であると考えています。関連記事は以下にもありますので、参考にしてください。

http://www.ailab7.com/nihonkaim7.1.html

http://www.ailab7.com/lib_045.html#lcn045

http://www.ailab7.com/lib_044_data.html

http://www.ailab7.com/lib_046.html

セミナー[1184]

セミナー[1096]

1619 
Date: 2010-09-04 (Sat)
東海地方で聞こえた謎の爆発音の検討
ANS掲示板フリートークに2010年8月7日に起きた東海地方の謎の爆発音に関して質問がありました。掲示版では防災科学技術研究所の「火球による振動」という説を紹介し、地震とは関係ないでしょうと一応は回答しました。しかし、実は「火球の振動」説は安易な解釈のように感じています。以前(2003年6月16日)にも関東方面で謎の爆発音騒ぎがあり、今回と同じ「火球の振動」として解説されています。しかし、同研究所の認識では火球による衝撃波が何回も連続して(図の説明では少なくとも4回)起きることになり、現実にはそのようなことは無いと考えられます。つまり、[506]で述べた疑問がまだ払拭できないでいます。

そこで、先ずは今回の事象の報道を紹介し、再度の検討を加えます。

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東海地方の広範囲で「爆発音」通報 被害報告なし

2010年8月7日21時14分

. 7日午後5時すぎ、東海地方の広い範囲で「ドーンという爆発音があった」との通報が相次いだ。各県警によると、この爆発音が関係したとみられる被害の報告はない。専門家からは、戦闘機が急上昇したときなどの衝撃音の可能性を指摘する声がある。

 三重県警によると、四日市市など県北部で、110番通報が3件あったほか、同様の情報が複数寄せられた。県警は、四日市コンビナートにパトカーを出動させたが、爆発などは確認できなかった。

 四日市海上保安部では、職員が「ドーン」という音を聞き、窓ガラスが揺れた。近鉄四日市駅近くに住む主婦(38)によると、トイレの戸がガタガタと音を立て、「地震かと思った」。

 岐阜県警によると、関市の中濃消防組合消防本部から「車が庁舎にぶつかったような地響きがした」と110番通報があった。愛知県警によると、稲沢市や常滑市などで同様の通報が数件あったという。

 航空専門家の青木謙知さんは「戦闘機が飛んでいたならば、ソニックブームの可能性が高い」と指摘する。速度が音速を超えた際に発生し、地上に強烈な音が伝わる現象だ。

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私は2003年のケースも今回のケースも深度が極端に浅い地震爆発が発生したのではないかと思います。「地震計を揺らすほどの大きな地震ではないが、可聴音をも含む爆発音を初期微動として伝播させ、地表で空気を振動させる。」場合もあるのではないかと考えています。

可聴音とは、通常20Hzから、15,000Hzないし20,000Hz程度の音のことです。この周波数帯域を可聴域と言い、可聴域を超えた周波数の音は超音波です。可聴域を下回る、あるいは可聴域下限付近の低周波音が、これまで知られていなかったタイプの騒音被害(低周波騒音)を引き起こすものとして注目されています。通常の地震波の初期微動は20HZ以下であり、人間の耳に聞こえることはありません。轟音が聞こえるのは初期微動に可聴音を含んでいる場合です。

2003年の場合は、[502]で紹介したように、海崖の崩落があった太洋村のウミウ捕獲場所付近の地震、今回は多賀付近の琵琶湖湖畔の地震が原因ではないかと思っています。


また、地震の揺れを感じる前に「ゴォー」という音が聞こえることがありますが、これは少し深い場所で起きた地震の爆発音が反射を繰り返して聞こえるのでしょう。一方浅い地震では反射・屈折が少ないので明瞭な爆発音として「ドン」または「ドーン」・・・と聞こえるのではないかと思います。

この問題はすでに、セミナー[1231]「地震の前に聞こえる怪音」で地震の前に轟音が聞こえる理由を「震源での爆発音が地殻を伝わる骨導音として聞こえる。」と云う話を以下のように解説しました。

「つまり騒音中でも「骨伝導」方式で携帯電話(ハンズフリー)が使用できるのと同じ理屈で、岩盤を伝わって爆発音が聞こえてくるのだと思います。揺れとしてのP波は体感できなくても、音として「骨伝導」が伝播しているのだと思います。怪音の後に来る揺れというのは、S波の揺れを体感しているのだと解釈することができます。」

ところで、この現象は断層地震説しか認知されていないアメリカでも、セネカ・ガンという名前で知られているようです。セネカ・ガンと云う名の由来は、ニューヨーク州のセネカ湖の岸付近で起こる現象から来ているそうで、アメリカ東部海岸でよく発生するそうです。USGSの解説に次のようにあります。

Seneca Guns

The term “Seneca guns” is just a name, not an explanation. It does not tell us anything about what causes these noises and shakings. The name originated in a short story that James Fennimore Cooper wrote during the 1800’s. The name refers to booms that have been heard on the shores of Lake Seneca and Lake Cayuga in New York State.

次にUSGSの解説から少し意訳して紹介します。

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地震時の衝撃音に関しては以前から報告されてきた。それは合衆国の主に北東部で、かつ東海岸に沿って起こる傾向がある。

もちろん、たいていの「衝撃音」は大型の乗り物や、人工的な騒音、時には衝撃波のようなものである。しかし人工的発信源によって説明することができない多くの衝撃音の報告がある。

誰も確かなことは知らないが、科学者はこれらの「衝撃音」が地震計で記録されるには小さい地震であるが、住民が感じるのには充分の大きさであると推測している。

地震が立てる「衝撃音」に寄与する原因には多くの要因がある。

これらの要因を理解し始めるために、我々は異なったタイプの波、つまり地殻を通して伝播する波(訳者注:骨導音)の速度と、空気中を伝播して聞こえる波(訳者注:気導音)のスピードとを理解しなければならない。

地震時の爆発音を理解するのに一番いいのはデイビッド・ヒルによってなされたカリフォルニアでの実験である。

ヒル博士のチームは、M2.0〜M3.0の小さな地震において、マイクを使って地殻内部から届く音波を記録すると同時に、地震計を使ってP波(初期微動)の到着時間を計った。

実験を行った研究者は、S波が記録される前に、衝撃音を聞いたことを報告したが、これはP波の到着によるものであることが分かった。

この実験を報じているアラスカ「サイエンス」の 論文「地震波 Outrace 音」を見てください。

この実験は地球内部から来た地震音を最初に記録したという意味で重要なものであった。

従来の地震音とは、建物の中でたまたま記録されてものであり、建物の中ということが地震音の中に雑音を含ませる原因となっている。

知るかぎりでは、これは地震学者がずっと言っていた揺れる前に聞こえたという現象を説明する唯一の論文である。

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以上がその一部です。ヒル博士の実験についてはAlaska Science Forumを参照してください。

結論として、石田仮説では、

@:揺れをまったく感じないのに、爆発音が感知される場合は、(隕石による火球のほかにも)ごく浅い場所で起きる(地震と言えないほどの)小さな爆発が原因である場合もある。

2003年、2010年の謎の爆発音はこれが原因であったと思われる。つまりアメリカで知られているセネカガンである。

A:地震の揺れ(S波)を感じる前に「ゴォー」という轟音が聞こえるのは、地震計には感知しない初期微動の中に「骨導音」としての爆発音が含まれるために、それが反射・屈折を繰り返して騒音のような轟音として伝播してくるのである。これが地表に到達してから、空気を振動させて気導音として人間の耳に達したのであろう。

と言うことになります。

セネカ・ガンは地震の原因が爆発であることを物語っています。

1620
Date: 2010-09-23 (Thu)
YAHOO知恵袋での誤解

YAHOO知恵袋と言うサイト

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1145411681

に石田仮説について以下のようなやり取りがありました。回答者に誤解がありますので、反論しておきます。YAHOO知恵袋での反論の書き込み方が分かりませんでしたので・・・。

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ANS概論:石田仮説について

裏窓というサイトを見ていました所、http://taro2121.blog38.fc2.com/blog-entry-47.html

にある動画で大陸移動説(プレートテクトニクス)、海洋底拡大説を論破している石田仮説という説を発見しました。

それによるとマントルは固体ではなく、溶融している。

大陸規模の沈降、隆起はありえる。活断層という概念は間違っている。

地殻の移動とはポールシフトの事である、といった事がその動画で丁寧に説明されています。ANS概論の説明を聞いてしまうと、大陸移動説、プレートテクトニクスは何だったんだ?学校であんなに勉強したのにという気になります。

はたしてこちらのANS概論はどれくらいの信憑性がある説なのでしょうか??

中立な立場から、一般人に判るような説明での回答を求む!!

質問日時:2010/8/17 08:37:58.

解決日時:2010/8/18 16:47:56.

ベストアンサーに選ばれた回答lengdzai08さん

たしかに一見それっぽいんだけど、石田仮説なるものが一向に裏付けされていないんだよね。

いろいろな矛盾点をあぶりだして、それを検証することは自然科学においてとても大切なことなんだけど、せっかく指摘した矛盾を自分の仮説で説明する時が、裏付けのないエイヤッになってるのは、何回か注意深く聞いているとわかると思うよ。

これを見る限り、通説が信用できないのと同じくらいこの人の仮説も信用できない。

マントルは溶融していると考えるのにマントル内で地震が発生してるとか、結構矛盾してることをあっさり流してる。

プレートテクトニクス理論もそうなんだけど、素人がああと納得できる総合的・網羅的な学説というのは怪しいんだよね。この人の説もそれと同じことしてしまってる。

矛盾がたくさん出てくるのをのろのろと実証していくことが自然科学だから、矛盾がすべて無くなる理論というのはよほどの裏付けが取れないと。少なくとも今ある通説は、高圧実験や観測データを使ってる分だけ少しはましなように思うけど。

およそ100年以上かかって、たくさんの研究者が長い時間かけて小さな成果を積み上げてきたのを、独りで全部覆せたらこの人神だと思う。

なんか、文章のあらさがしばかりして、肝心の答えになってない知恵袋回答者(私か?)なにおいを感じてしまう。

質問した人からのコメント

なるほど石田仮説には明確な裏づけがないんですね。石田仮説の巨大地震の発生のメカニズムであればムー大陸やアトランティス大陸なども実証できるとか動画ではあったんで、大変面白いと感じてたんですよ。少し残念な気持ちになりました、回答ありがとうございます!!.

コメント日時:2010/8/18 16:47:56

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以上抜粋して紹介しました。

「マントルは溶融していると考えるのにマントル内で地震が発生してる」・・・と言うのが何故矛盾しているのでしょうか。熔融マントル内部で解離した酸素と水素の混合ガス(プラズマ状態でしょうが)が爆発(爆縮)を起こしていることが地震だと言っているのです。

 したがって熔融マントルの内部の爆発だから、軟弱地盤ではダイナマイトの爆破作業に効果が無いのと同じで、大きな振動が伝播しないわけです。これが深発地震(熔融マントル内部の爆発)では地震被害が出ない原因です。浅発地震は岩盤内部に進入している毛細血管のようなマグマの管路またはマグマ溜り内での爆発ですから大きな被害が出るのです。

また爆発が鉛直に近い場合を直下型地震と呼ぶべきです。水平方向ならば震動被害は小さくなります。断層地震説という定説では説明が出来ないことが、石田理論では論理的に解釈が出来ると私は思っています。

この回答者は、断層が動くことが地震であるという教科書的通説に縛られていて、熔融マグマの中で断層が動くことなどありえないという断層=地震という観念から抜け出せないでいます。ANSサイトをよく読まないで回答していることは明らかです。

なお、その「極秘の裏窓」というサイトにはANS概論の四つの動画が紹介されていて、次のようなコメントがありました。

「大陸移動説の欠点が大変分かり易く述べられています、我々が一般的に受け入れている、既成の科学が矛盾している典型的な一例です。」

正しく理解してくれている読者も増えてきているようです。

1621
Date: 2010-10-03 (Sun)
上越地震の検討
新潟県上越市で群発的に地震が発生しています。依然として気象庁は断層地震説から抜け出すことが出来ないでいます。「逆断層型」地震であると発表しています。

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新潟の地震は「逆断層型」 余震に警戒 気象庁

産経新聞 10月3日(日)12時20分配信

 3日午前9時半ごろ、新潟県上越市で震度5弱を観測した地震で、気象庁は同日、この地震について、地盤が押し合って上下にずれる「逆断層型」の地震と発表した。北西−南東方向から強い力がかかったことによるという。

 気象庁によると、震源地は新潟県上越地方で、震源の深さは22キロ、地震の規模はマグニチュード4・7。

 また、気象庁によると、同日午前11時現在で震度1の余震が3回発生。この地域では2日昼から震度4を観測する地震が3回、震度3を観測する地震が2回相次いでおり、気象庁は同じ規模の余震が発生する可能性があるとみて警戒を呼びかけている。

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図はこれまでに起きた7回の地震を時系列的に並べたものです。7回の地震の震源はいずれも北緯37.1度、東経138.4度、深さ20kmで同一場所で起きている地震です。活断層に蓄積された歪が開放されて地震が起きるのならば、二回目と三回目の地震のように15分の間に歪が蓄積するはずがありません。これは明らかに、解離ガスの結合(爆発)と結合後に再度解離するという化学反応が起きていることを示しています。気象庁でも早く地震爆発説を採用して研究を始めていただきたいものです。


なお、今回の地震は長岡市の南西部にあたり、[1324]で紹介した山本寛氏の「次の地震は長岡の北部で起きるだろう」という推定(石田理論からはそのような推定はできません)が、外れた形となりました。

しかし、長岡市深沢の液化炭酸ガス注入サイトの南西60km程度ですから、山本氏が考えておられた「圧入された液化炭酸ガスに追い出された地下水」が原因とする理屈は否定できないかもしれません。石田仮説でも、押し出された地下水が南西方向に移動し、高熱帯域に遭遇すること、そのために解離ガスを発生させている可能性を否定することは出来ません。或いは今回あらたに、この地域で地下のマグマが上昇してきていることも想定できます。

1622
Date: 2010-10-04 (Mon)
知ったかぶりの批判屋さん

世の中には新しい見解に威猛々しく攻撃したがる人がいます。「アトランティスはここにあった」というYOUTUBE動画のコメントにHIGEKANCHYOUと言う方がコメントを書いています。そのつど返信を書いておりますが、順番が分かり難くなっていますので、新たなコメントも加えて、書き直しておきます。

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HIGEKANCHYOU

■紛れも無いトンデモ科学

人類の生息期間と地質年代上の大陸の浮き沈みを比較するところに無理が生まれる。あまりに大陸沈没に固執しすぎ。仮にアトランティスやムーがあったとして、広域文明が瞬時に滅ぶ地質的要因は、他にもある。例えば、この人は、7000年前に九州南方東シナ海でも起き、九州本土南部半分の縄文文化を焼き払った、海洋底でのカルデラ破局噴火や、サントリーニ島の破局噴火などには一切言及しておらず、ムー大陸やアトランティスの幻想アリキで語るものだから冷静さを欠きトンデモ状態になる。

注:

この方は、定説以外の説を説く人を、すべてトンデモ扱いされるようです。

石田(isshy79960)

何を持ってトンデモ科学と決め付けられるのかがよく分かりません。

ムー大陸とアトランティス大陸の存在が非科学的な話ではない、ということを示す根拠を述べているわけです。

セミナー[1544]にも紹介したアゾレス海台付近の海底調査や、[1549]にも紹介した太平洋の「 激しい大洋化作用を受けた大陸地殻」などの科学的調査の結果を語ることが「幻想アリキで語るものだから冷静さを欠きトンデモ状態になる。」ということなのでしょうか。

また、グランドキャニオンは少なくとも3回の[海底→陸上]という浮沈を繰り返しています。こうした科学的な証拠を話題にすることをトンデモ科学というのならば、それこそが中世教会の権威にたてつくものだというのと同じ非科学的誹謗中傷家の言論のように思えます。

姶良カルデラや、地中海での異変はアトランティスとムーについての本テーマとは関係がありませんので、言及することが必須の要件であるとは考えておりません。

HIGEKANCHYOU

グランドキャニオン・・・・ 確かに。ヒマラヤもそうですが、数千万年単位での浮き沈みです。人類がお猿の時代を経てもまだ足りない年代ですがなにか?

そういう昔に人類が文明を持っていたとは考えられませんが。そういう常識を知らないから、トンデモに飛びつくのです。

それに、プラトンの提唱したアトランティスの有力な正体はエーゲ海サントリーニ島の大爆発であるといわれているのはご存知でしょうか?ちなみにこれもカルデラ破局噴火でした。

注:この方は人類が数千年前に猿から進化した存在として考えておられるようですが、そんなことはありません。アトランティス、ムーが海底に沈んだのは今から2万年内のことで、その前にはインド洋にも進んだ文明があった筈です。

石田(isshy79960)

アトランティスが沈んだのは今から一万二千年前です。プラトンがエジプト旅行をして、情報を得たとされるころの九千年前と云う事です。ムーが沈んだのは、一万五千年前と考えられています。したがって、どちらも数千万年前というような昔ではありません。水中考古学の発達によってやがて文明の痕跡が見つかるものと思います。インドのカンベイ湾で発見された古代文明の遺跡も、9500年前の遺跡と推定される、とインドの科学省が政府発表しています。

私は南極大陸の氷が溶け出して、古代文明の遺跡が発見されることを期待しています。海底遺跡と違ってかなりの遺物が見つかるのではないかと期待しています。

HIGEKANCHYOU

それでは・・・ハワイ島西北海底に連なる天皇海山群の形状と成り立ちを石田理論で説明できますか。仮にプレートの移動が無いとすれば、大洋底あの延々と続く海山の連なりはどうやって出来たのか説明してください。ムー大陸のあった場所のはずですが・・・。

またアゾレスは典型的なカルデラ火山の海山で、過去にもカルデラ破局噴火を起こしています。広域的な瞬時の破壊は石田理論を用いなくても十分に説明できますよ。

石田(isshy79960)

新・地震学セミナー[1541] に解説してありますが、天皇海山群は4300万年前にプレートの進行方向が変化したために、くの字型の形状になったのだという解釈がなされています。しかし、北米大陸西岸から延びている海底地磁気の縞模様には、プレートの進行方向が4300万年前に変化したという様子はありません。これもプレート論の矛盾の一つです。

天皇海山群のような形状は、千島列島、琉球列島、伊豆ー小笠原諸島、アンダマン諸島、アンティル諸島などにも見られます。こうした配列の成因は多分地球の太古からの営みの痕跡だと思います。石田理論で定義する地殻(マントルは熔融しており、表面の固体部分が地殻である)には、現在大西洋や太平洋の中央にある海嶺、つまり地殻のひび割れから、地球内部のマグマが噴出して、時には島を形成します。ひび割れの痕跡が地上に浮上したものが、アフリカやアイスランドに見られる大地溝帯というものでしょう。貝の化石を見ても、地球表面は思ったより激しく浮沈を繰り返しています。

HIGEKANCHYOU

>アフリカやアイスランドに見られる大地溝帯というものでしょう。

大西洋の海水を剥ぎ取って見える、あの何万キロも連なる規則委正しく縞模様を持った海嶺をどう説明しますか?まるで記録テープのように左右対称に同じ鉱物成分パターンを海嶺の両側で示していますよ。

宇宙からのレーザー測定でも、大陸の移動は事実なのに・・・。

それと、アゾレス自体カルデラ火山ということに気づいていましたか?

あなたは、東シナ海のカルデラ破局噴火の例示は関係ない旨をおっしゃいましたが、石田大陸沈没は関わらなくとも十分に広範囲に破壊が及ぶ可能性はある。

アゾレス=アトランティスを提唱する当のあなたは、アゾレス自身がそのカルデラ火山であることに気づいてなかったのでは?もちろん何かしらの文化があったことは否定しませんが・・・。

注:

定説を信奉しておられる方々は、大変高飛車な物言いをされますが、アトランティスもムーも火山地震が原因で沈没したことは良く知られています。カルデラ火山であることに気づいてなかったのではないか・・・と言う主張は何の意味もありません。カルデラが存在する東シナ海や地中海の事象に言及することが議論にとって必須ではありませんから・・。

石田(isshy79960)

縞模様が発見されたことから、海洋底拡大説が生まれ、プレートテクトニクス理論へと発展しました。しかし調査が深まると、深さ方向にも残留地磁気の逆転現象があり、プレートが一体となって移動していないことがわかってきました。セミナー[1149]「深さによって変わる地磁気異常の縞模様」に解説してあります。

私は地殻とは卵の殻ような存在で、白身に当るマントルは熔融マグマであると考えています。地磁気の縞模様が見られる原因は地殻の表面上で海嶺から噴出したマグマが流動し、冷却したものだろうと考えています。地殻の本体部分はもっと下部にあって、アフリカ大陸と南米大陸の移動などの大異変は別にして、通常は移動していないと考えています。パンゲアから大陸移動によって現在の大陸配置になったということはありえない、このことは[1591]に解説した角田先生の見解にもあります。

アトランティスは火山・地震活動によって東部、中部、西部と3回に分けて沈没したようです。当然カルデラ火山もあったはずです。

1623 
Date: 2010-10-07 (Thu)
新しい政党の県本部幹事長として企画していること
[1622]では知ったかぶりの批判屋さんの話題を取り上げましたが、昨日はある高校で理科教育を一手に任されておられる先生から以下のようなリンクに関する問い合わせがありました。

貴重な地震についての真実をお教え下さり、感謝しております。現在、○○県の○○総合高等学校で、1.2.3年の理科を一人で担当(無理のある教育課程ですね!………)しています。程なく退職ですが、自ら考える教え子の育成に尽力したいと思っています。ところで、私のHP『高校生の化学・未来への化学』に先生のHPをリンクさせていただきましたが、よろしかったでしょうか?もし、不都合がございましたらmailで連絡して下さい。よろしくお願い致します。お忙しい中、どうぞご自愛ください。かしこ      

勿論OKの返事を以下のように差し上げました。

「ご丁寧な連絡ありがとうございます。

HP『高校生の化学・未来への化学』を拝見しました。大変立派なものができていますね。

リンクしていただいて感謝します。しかし、これ(ANS関係サイト)を読んだ学生さんが、資格試験とかに(新地震学の知識で)挑戦しても、合格しません。「読まなきゃ良かった・・・」となることもありますので、どこかにその旨を書いていただいたほうがいいかもしれませんね。

このサイトの内容は学会で認知された知見ではありません。資格試験などでは教科書にある内容で答えてください。」・・・など。

小生のHPは初代の「大地震から身を守る法」http://www.ailab7.com/page_enter.html からスタートして、現在4代目くらいのバージョンになっています。その間の残骸のようなものまで残っていますので、それが原因で読み難くなっているかもしれません。

「自ら考える教え子の育成」・・・これは素晴らしいことですね。地震学の教科書は自ら考えるタイプの人には曖昧模糊としたものに見えるでしょう。その意味で石田理論は考える材料を提供することは出来ると思います。宜しくお願いします。  石田昭   」

これまでの反応では、理科教育に従事しておられる方からの肯定的なものが無かったので、ANSの活動を推進する上からも大変勇気付けられました。

実は昨年の衆議院選で幸福実現党愛知2区から立候補し、社会変革を目指しましたが、このたびは幸福実現党愛知県本部の幹事長に推されました。既成政党による従来の政党活動は選挙のため活動という性格が強かったように思います。新しい政党は選挙目的ではない何らかの社会貢献を日ごろから行うべきではないかと個人的には考えております。たとえば、この安心ネットワークシステムのようなものを社会に根付かせて、地震災害の不安感を日常生活の中から取り除くような活動もその一環として大切なものかと考えております。

現在観測会員は300名を超えているはずですが、異常時のみの報告で終わっています。政党の力を借りて異常がない場合でも常に有志の党員に報告していただけるシステムを敷設できれば、安心して生活できる社会の建設に貢献できることは間違いないと思います。

地震予知情報を出すことは出来ませんが、

「巨大地震が発生するとしたら、地震爆発理論の知見からはコンパスに異常が現れるはずである。それが観測網に現れてこないということは、ここしばらくは安心していられるはずである。」という判断を観測網表示板から各個人の責任で読み取って頂くことは可能です。

現在その方向で企画案を練っているところです。ご意見・ご提案などがあれば、事務局(ansin@ailab7.com )宛にメールにてご教示をお願いします。

PS: 上述した高校の理科担当の先生から以下のような再返信をいただきました。生徒に信頼されている素晴らしい先生だと感じました。

「学生を思いやる先生の優しいお心遣いのお言葉を、ストレートに伝えました。生徒達は、『生命を大切にする生きた学問』の『先生の動画』を、真剣な眼差しで見入っていました。有意義な授業ができたと自負すると共に、先生に対し、深く感謝いたしております。先生の益々の、ご活躍を祈念致しております。」 

1624
Date: 2010-10-09 (Sat)
プチスポット火山への疑問
少し前(2006年)から“プチスポットという新しい火山”を発見したという報道がなされていました。

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http://kazan-net.jp/hotvolcanology/No1petispot/petitspot.html

新種の火山を発見〜プチスポット火山〜

 2006年7月28日(JST)、新型の火山が三陸沖太平洋の深海底で発見されたというニュースが報じられました。この新型火山は“プチスポット火山”と呼ばれ、今まで一般的には想定されていなかったマグマの起源、マグマの上昇機構で生じる単成火山(一回の噴火で作られる火山)です。

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この研究は、東北大学の研究者と海洋研究開発機構、との共同研究のようですが、今回またチリ海溝沖で新型火山「プチスポット火山」を発見という報道がありました。

 地球内部のマントルは溶融しているという私の地球観から言えば火山は地球上どこに出来てもおかしくないわけで、新型火山の発見と言うこと自体が全くナンセンスなものですので、少し解説をしておきたいと思います。

 まず、「プチスポット」がどのようなものなのか、当該研究者の主張を日本火山の会サイト(火山学会とは別組織)に載っている解説から抜粋しながら見てみます。

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地球上に火山が出来るメカニズムとして今までに知られていたのは、以下の三つ:

@.プレートの沈み込み帯の海溝に沿って陸側に出来るタイプ(島弧火山、背弧海盆、陸弧火山)

例)富士山、三宅島、桜島、阿蘇山、有珠山などの日本のほとんどの火山、ピナツボ火山、セントへレンズ火山、エトナ火山など


A.プレートが出来るところ、ほとんどが深海底の火山(中央海嶺・地溝帯)

例)東太平洋中央海膨、大西洋中央海嶺、東アフリカ地溝帯など

B.ホットスポット火山

例)ハワイ諸島、フレンチポリネシアの島々、カナリア諸島、イエローストーンなど



図1.プレート(オレンジ色と肌色)の断面図と火山(赤色)の分布。
地球表面は何枚かの移動するプレートによって覆われています。
プレートが沈み込む海溝手前の海側の星印が今回発見された火山の場所。


このうち1と2は、数や体積で現在の地球上の火山の大部分を占めていて、プレートの運動に大きく関わっています。これら以外の場所では、プレートの配置に関係なくマントル深部からのマントルプルーム(周囲より高温の物質、または溶けやすい物質)が上昇している地点(3のホットスポット)でしか火山はできないだろうと考えられてきました。

 しかし今回発見した火山は、今まで知られていた上記3つのメカニズムのどれにも当てはまらない新型種の火山(場所は図1の星印)と結論付けました。つまり、地球科学や地学の教科書の上記3つのリストに、

C.プチスポット火山

例) 北西太平洋(三陸沖・鹿島沖)、日本海溝

と加わる可能性があるわけです。

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さてそのような「プチスポット」がどのようなメカニズムで誕生すると考えているのでしょうか、さらに主張を見てみます。

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プレートの沈み込みに伴ってプレートが曲げられる時、プレート内部で破壊が生じ、割れ目が出来て、その割れ目がマグマの通り道(火道)となり、このプレート直下に存在するマグマが海底に染み出すというメカニズムが考えられます。実際に今回発見された場所は、太平洋プレートが日本海溝へ沈み込むために、それまで水平移動していた太平洋プレートが、急に地球内部側に曲がり始める場所で、その影響で海溝手前では海底が大規模に盛り上がっています。つまりマグマが上昇するための火道は、このプレートの屈曲が原因で出来た割れ目を使って出来たと考えられます。


 発見された場所は、北緯37度:東経150度周辺です。ここは、およそ1億3500万年前の太古に中央海嶺で形成された、古くて冷たい太平洋プレートがしんしんと日本海溝へ沈み込みつつある場所です(図3)。(略)

  沈み込みに伴ってプレートが曲げられている場所は世界にたくさんあります。プレートが曲げられることによってアセノスフェアからマグマが海底に染み出す訳ですから(図3)、世界の海洋底の似たような場所でこのような火山が生じている可能性があります。今後、同様の火山が様々な海域で続々と発見されるかもしれません。(石田注:それが今回 発見されたとされるチリー沖の海底と言うわけです。)



図3.プチスポット火山形成モデル(Hirano et al.,2006)。
アセノスフェア(プレートの直下)からプレート上部を破壊しながらマグマは上昇するため、火道周囲の壁の石(捕獲岩)を大量に取り込む。
海底面(地表)では、マグマの染み出し口(火山の並び)はプレートの屈曲に伴う割れ目に沿い、アウターライズ屈曲のヒンジ線(屈曲場の走向線)に垂直方向となる。


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以上が2006年の発表に見られる解説です。今回のチリー沖海底での「プチスポット火山の発見」と言う報道は河北新聞のもので紹介すると以下のようなものです。

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http://www.kahoku.co.jp/news/2010/10/20101006t15029.htm

新型火山、チリ沖にも 東北大など発見



 東北大東北アジア研究センターの平野直人助教(海洋底科学)の研究グループは、南米チリ沖の海底で、2006年に三陸沖の海底で見つかった新型火山と同型の火山を発見した。新型火山はプチスポット火山と呼ばれ、沈み込んだプレート(岩板)のたわみによって生じた亀裂からマグマが噴出して形成される。今回、海底の状況が似たチリ沖でも、同じ仕組みで誕生した火山が確認され、平野助教は「この形成モデルが証明された」としている。

 見つかった火山はチリ沖160キロ、約4000メートルの海底にあり、山の部分の直径は1キロ弱、標高約100メートル。チリ海溝西側、南米プレートの下にもぐり込む海側ナスカプレート上に位置する。(略)

 

 沈み込みによってプレートが曲がると、地表に近い部分に圧力がかかり、亀裂が発生する。プチスポット火山は、そこにプレート直下のマントルからマグマが噴き出してできたとされる。

 平野助教らは06年、三陸沖約800キロの海底に、三つの火山を発見。これまで確認されていた3種類の火山形成モデルとは全く異なるため、新型火山として発表した。

 グループは、構造が似た海底に、同様の火山がある可能性があるとして調査を継続。現在、千島列島沖や南太平洋のトンガ沖も調べている。(略)2010年10月06日水曜日

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さて、“プチスポット火山”なるものに意味があるのでしょうか。疑問を提示してみます。

@プレートの移動という現象そのものが本当に実在する確実な証拠があるのでしょうか。地殻の実質部分は肉体の骨に相当するもので、骨は皮膚や肉の下部にあって、GPSなどで把握できるものではない筈です。地表には「膨張性地山」などが存在し、微小な変動をしているはずで、地殻の正確な移動は皮膚を観察するだけでは分りません。

A「プレートの沈み込みに伴ってプレートが曲げられる時、プレート内部で破壊が生じ、割れ目が出来て、その割れ目がマグマの通り道(火道)となり、このプレート直下に存在するマグマが海底に染み出すというメカニズム

とありますが、プレートは自重によって固体マントル中に沈下していくことになっています。固体が固体中に沈むという推定自体がナンセンスですが、プレートという剛体内部で外力も働かないのに破壊が生じることがあるのでしょうか。また、マグマはプレート間の摩擦によって発生する熱でマントル物質が融解して生成される、というのが定説ですが、プレート同士の摩擦も生じないのに何故マグマが発生するのか疑問です。

B「プレートが曲げられることによってアセノスフェアからマグマが海底に染み出す」とありますが、アセノスフェアが融解しているのなら、それより下部はさらに高温のはずですから、マントル全体が融解していることになり、マントル熔融論につながるのではないでしょうか。

Cチリ海溝での説明図では圧力が左右から働いて亀裂が出来ることになっていますが、何故圧力が発生するのでしょうか。その原因はどこにあるのでしょうか。定説の説明ではプレートはテーブルクロスが机の下部から下に引っ張られるような働きで地球内部に沈降していくことになっています。そうだとすれば引張り力しか作用しないはずで、圧縮力が働くことは無いはずです。

Dこの形成モデルが証明された・・・と述べておられますが、これだけ疑問が多い仮説を、違う場所でも見つかったと言うだけで証明されたと言うのは行き過ぎでしょう。

とにかく「プチスポット火山」なるものは科学的研究とは言えないように私には思えます。

1625
Date: 2010-10-10 (Sun)
火山のマグマはマントル物質と同じである
日本に存在する火山は全て[1624]で紹介した@のタイプであるといっていいのでしょう。また、日本から南下したバヌアツにある火山も同じかと思われます。定説では太平洋プレートとオーストラリアプレートが接している場所です。(ニューオフィス64参照)


 太平洋プレートが潜っているはずですが、深発地震面は図のように東向きに沈み込むという奇妙な関係になっています。剛体である筈のプレートがUターンするとは信じられませんが、逆にオーストラリアプレートが太平洋プレートの下に潜っているとすれば、同じプレートが日本付近と全く逆の動きをすることになってもっと奇妙なことになってしまいます。

さて、二つのプレートのどちらが潜っているのかは別として、@のメカニズムによって「プレート間の摩擦熱でプレートを構成する岩石が融解しマグマが生成している」とはとて信じがたい映像があります。

紹介する動画はそのバヌアツにあるアンブリム火山の火口で溶岩が煮えたぎっている姿を撮影したものであります。かなり危険な撮影ですが、溶岩が湯のように沸騰しています。


この沸騰するマグマが本当に太平洋プレートとオーストラリアプレートとが擦れあって発生する熱で融解したものなのでしょうか。とても信じられません。しかも擦れあうスピードが年間数ミリ程度と言うものですから、常識では発熱することすら疑われます。

地球は卵の殻に相当する薄い地殻という固体があって、その下部の白身の部分、すなわちマントルと呼ばれている部分は融解していて、地球上どこにでも火山は発生しえると言うのが石田理論の唱えるところです。@からCに分類しているマグマの発生メカニズムと言うのは間違っていると思います。地球誕生以来、マグマオーシャンの時代、その表面に冷却した薄皮が張って地殻が誕生した時代、そして海洋が誕生して生物の生存が可能になった現代と言うように、誰が考えても理解できる経過をたどってきたはずです。したがって、現在も地殻の下はマグマオーシャンと同じであるはずです。タイトルに書いたように「火山のマグマはマントル物質と同じである」と私は思っています。マントルが熔融していることはニューオフィス66「マントル熔融論の証明」で明らかにしてあります。

1626
Date: 2010-10-12 (Tue)
イースター島西北の海底火山群
ライブラリー41.「最大の海底火山群発見」でも紹介しましたが、イースター島沖で地球上最大規模の海底火山群が見つかったというニュースが17年も前に報道されています。朝日新聞の記事を紹介します。

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【1993.2.15朝日新聞記事】 カリフォルニア大学のグループが南太平洋イースター島の北西1000kの海底で地球上最大規模の活火山群を発見した。発見したのはケン・マクドナルド海洋物理学教授ら。1992年11月から93年1月中旬まで音波探知機で海底を調査、約14万平方キロの広さの海底に1133の火山を発見、多くは高さが海底から1600m以上あり中には2100mに達するものもあった。この中には何時噴火してもおかしくない山が2〜3ある。海底、地上ともこれほど密集した火山群は見つかっていない。これらの火山が海面下で同時に10数個も噴火すると言った激しい火山活動が地球規模の気象変動をもたらすエルニーニョ現象を起こす引き金になっていないかどうかに強い関心をよせている。 両者は関係ないと見る専門家も多いが、火山群はエルニーニョ現象が始まる場所に近いので注目している研究者もいる。

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以上が朝日新聞の当時の記事です。[1624]で紹介した東北大学等の調査による海底火山の発見はチリー沖160kmですから、チリー沖のこの地域を始として、世界の深海底を精密に調査すれば、地球上でまだまだたくさんの火山が見つかるのではないかと思います。


14万平方キロと言うのはニューヨーク州程度の面積だそうですが、そこに1600mから2100mという高さの火山が1133個も存在する山群は壮観だろうと思います。記事にもあるように、この海域における火山の活動状況の強弱がエルニーニョ現象やラニーニャ現象という海水温の変動を大きく左右している可能性が高いのではないかと思います。

また、このイースター島の西北1000kmという海域は東太平洋海膨の東方に当ると思われますし、東西方向にはW113.5〜117という広い範囲に渡っていますから、[1624]の定説による分類で説明されているような海嶺での火山(A領域の火山)という範疇には当らないように思われます。火山群ですから@にもBにも、ましてやCにも当らないのではないでしょうか。その意味ではどの分類にも当たらないように思われます。海洋底の火山を研究されている研究者はどのように解釈されているのか、新種の火山なのか、そうでないのか、解説していただければと思います。

勿論、石田理論で言えば、地球内部の熔融マグマが噴出しているのが火山ですから、マグマ生成の機構に違いがあるわけはありません。したがって火山を分類すること自体に意味は存在しません。

1627
Date: 2010-10-27 (Wed)
理系研究者の重層信仰?
 先日、工学部に在職して地震予知の研究もしておられる元大学教授とお話しする機会がありました。そこで、新しい火山の種類が見つかったという話はおかしいと思いませんか、プレート境界で生じる摩擦熱で岩石が融解してマグマになるという定説からは新しいタイプの火山というのは私には理解が出来ないのだけれども、と問いかけてみました。氏の専門は構造力学であり、もちろん火山の専門家ではないのですが、プレートテクトニクスの正しいことは信じておられて、伊豆半島が最近北上しているのは確かなことである、プレート説を否定しては研究者としてはやっていけないよ・・・と言う意見の持ち主です。

 私が驚いたのは、私の質問に対して「地球の表面は固形化しているけれども、その下は熔融していると思っていたから、火山はどこに出来ても不思議ではないと思っていた。だから、あなたの持っている疑問点について深く考えたことがなかった。」との会話が続いたからです。

 これまでに地球の科学に関して議論をした方は工学関係の方が多いのですが、かなりの方は地下深部には熔融マグマが存在しているという常識的な意見を支持していました。しかし、地震に関係する研究をしている方でも、マントル熔融論を当然のことのように信じておられることに驚いたわけです。しかも、マントル熔融論とプレートテクトニクス論の両方ともが正しいと受け止めるのですから、理系の研究者でも重層信仰(シンクレティズム)を持っているのかな、それでも研究者として活躍できるのか、何故疑問に感じないのだろうか、などと不思議な思いに駆られました。

1628
Date: 2010-12-22 (Wed)
本日の地震について
本日(22日)小笠原付近でM7.4の地震がありました。


大きな津波が発生しなかったのは、気象庁の発表にあるように「正断層型」の地震であったからでしょう。時事通信の報道を抜粋して紹介します。

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22日午前2時20分ごろ、東京・小笠原諸島を中心に広い範囲で地震があり、父島と母島で震度4の揺れを観測した。気象庁は小笠原諸島に津波警報を、静岡県から宮崎県の太平洋岸や奄美諸島沿岸などに津波注意報を発令。八丈島で同5時32分に60センチの津波を観測した。

地震の震源地は父島近海で、震源の深さは約10キロ、地震の規模(マグニチュード)は7.4と推定される。太平洋プレートの内部で発生した正断層型の地震とみられる。

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「正断層型」だと何故津波が大きくならないのかは、地震爆発説によればよく理解できます。

つまり、「正断層型」というのは、図を見るように爆発が水平に近いもので、海底地盤が沈下することによって津波が発生するのです。


したがって津波の第一波は潮位が下がる「引き波」として押し寄せます。これに対して「逆断層型」と言うのは、爆発が鉛直に近いもので、海底地盤が隆起して津波が起きます。第一波は、潮位が上がる「押し波」として襲来します。近地津波、つまり、震源地が近くの場合には、同じ規模の地震なら爆発が鉛直方向である地震のほうが地盤の変化する量(隆起)が大きく、津波の規模も大きくなります。ただし、遠地津波の場合には他の要素、つまり大陸棚などの形状による様々な干渉効果があって、第一波が小さな引き波であっても、第二波、第三波と後続する津波のほうが大きくなる場合もありますので、油断は禁物です。第一波が小さかったからといって、貴重品を取りに家に戻ってはなりません。

なお、余震が何度も起きておりますが、「太平洋プレート内部」の地震という断層地震説やプレート理論による説明では、津波の理解だけでなく「何故余震が起きるのか」の理解も進みません。

余震が起きるのは震源付近にあるマグマ溜り内部で酸素と水素の解離ガスが結合と解離を繰り返しているからであり、その場での圧力と温度に相応する解離度で安定するまで化学反応は継続し続けるのです。(http://www.ailab7.com/kaisetuban.htmlまたは、http://www.ailab7.com/rinkai.htmlを参照してください。)

地震はプレートの動きが原因であるという物理現象ではなくて、化学反応もしくは核融合反応に近い現象だろうと思います。

2011年
2011年3月11日 東北大震災発生
1629
Date: 2011-03-14 (Mon)
東日本巨大地震のメカニズム
東日本の巨大地震が発生してから三日が経過しました。報道では「安否不明者数万人」というような悲惨な災害となっています。お亡くなりになった方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

この地震に関する発生のメカニズムに関して気象庁は、相変わらずプレートテクトニクス理論に基づいて説明しています。新聞報道(朝日新聞、産経新聞)から紹介しますが、地殻の破壊が(つまり地震が)三連続して発生したためにM9.0という巨大な地震になったと、説明しています。しかし、地殻の破壊というのは、爆発の結果として起きるもので、地殻が割れることで地震が発生するという認識は地震爆発論の立場から言えば、原因と結果が逆転していることになります。


産経新聞には次のような記事があります。

「気象庁によると、M9.0の本震は、北側の三陸沖の震源域で破壊が始まり、1分40秒続き、南側の福島県沖、茨城県沖に移行、断続的に約5分間続いた。 気象庁の横田崇・地震予知情報課長は、「大規模な地震では、複雑な形で地震が起こることはあるが、世界的にもまれでわれわれは初めて」と話した。 

震源断層の面積が大きいため、余震が活発で範囲が広いことが今回の地震の特徴の一つ。余震は本震の震源域の範囲内で起こる。その西端は東北地方の陸域にかかっており、阪神大震災(M7・3)や新潟県中越地震(M6・8)規模の余震が懸念される。また、海域でM7級の地震が起こると、津波が発生する恐れがある。」

以上が産経新聞からの抜粋記事です。「震源断層の面積が大きいため、余震が活発で範囲が広いことが今回の地震の特徴の一つ。」とありますが、震源断層の面積と言っているのは余震の広がりのことであり、これは震源での爆発規模が巨大であって、解離層が乱された範囲が広いと言うことを意味しています。

それでは、今回の地震がどのようなメカニズムで起きたものなのか、説明を加えてみたいと思います。

マグマの移動によって起きる通常地震の発生するメカニズムはセミナー21及び24に解説してありますので、参照してください。しかし、今回のような海溝近くで発生する巨大地震に関しては、セミナーで解説した内容(マグマの移動)では不十分ですので、あらためて説明を追加します。

海溝型地震の発生メカニズム

地震の原因は解離ガスの爆発することであるというのが「地震爆発説」ですが、解離ガスが発生する場合とは、圧力が減少する場合でもあります。たとえば、クラカトア島の大爆発では、島の下部に出来たと推定される空隙に大量の海水が落下して、高熱のマグマに接したために爆発が起きたと考えられます。つまり、島の下部に空隙が発生し、減圧したために解離ガスが発生しやすい条件が出来るわけです。

同様に、海溝付近では陸側のプレートは厚く、海側は薄いので、この部分では潮汐力の繰り返し作用によって生じる疲労破壊が起こりやすい場所になります。

潮汐力は地殻の上にある海水だけに作用するのではなく、地殻内部の熔融マントルにも作用します。しかし、熔融マントルが海水のように移動しないのは、卵の殻のように薄い地殻ですが、しっかりと踏ん張っているから、動かないわけです。このことは地殻には一日二回の繰り返し荷重が潮汐力によって作動していることを意味します。地殻はプレート論で解釈されるようなものではなく、しっかりとマントルを包んでいること、卵の殻のようなもので、潜り込んだり移動などするようなものではないことが理解できると思います。

さて、今回の巨大地震もこの日本海溝付近に出来る疲労破壊を原因とするクラックが海溝に沿って発生したことが考えられます。それによって、短時間で数度の爆発を起こしたことが新聞報道に表されているような、破壊領域が数百キロにも及んだという現象の直接の原因ではないかと推定されます。

スマトラ沖地震でも巨大津波が発生しましたが、スンダ海溝に沿って、発生した地殻の疲労破壊クラックが圧力減少を引き起こし、震源が連鎖状に並んで連続的地震が起きたものと考えられます。


これが海溝型といわれる地震が巨大になる本当の原因であって、「海溝型地震は逆断層型」だから、地震被害が大きくなるという説明は説得力がないと考えます。

プレート論では、潜り込む太平洋プレートは一枚の岩盤のはずですから、跳ね上がる時間が場所によって異なることは説明不可能なのではないでしょうか。

1630
Date: 2011-03-15 (Tue)
東日本巨大地震での退潮現象
今回の地震では巨大地震で見られる退潮現象があったことが気象庁の検潮記録から分かります。

次の図は気象庁発表の各地の検潮記録ですが、八戸から相馬までの記録は最初の変動が水位が減少する引き波のようにも見えます。

またそれ以外の場所では全て最初の変動が水位が上がる押し波となっています。八戸から相馬までの一見して引き波に見える現象は、退潮現象つまり、大量の海水が地殻内部に発生した空隙に向かって落下したものと推定されます。これが大爆発を生んだ原因であると思われます。


八戸から相馬までは次の図から分かるように本震(M9.0)の震源に近い場所であり、海水落下の影響を敏感に受けますが、それ以外の場所では、影響が少なくなっているようです。



この退潮現象([1124])は、クラカトア地震やイズミット地震、そして日本では浜田地震などが良く知られていますが、今回大船渡湾で退潮現象が起きたことがビデオに収録されています。民間人の撮影したものがテレビ番組で紹介されました。1分24秒から始まる「地震発生約30分後」というタイトルの後を見てください。地震発生(爆発現象)の前から開始されていたはずである震央付近からの海水落下現象の影響がこの時間まで水位低下現象となって表われていたことが推定されます。

http://www.youtube.com/watch?v=H7UKsFuSbm0

次の図は気象庁から発表された地震の発生メカニズムと言われるものに、押し円錐の概念を記入したものです。



明らかに押し円錐の軸が東南東から西北西に向かって海底地盤を押し上げるように爆発していますから、津波としては第一波は押し波になるはずです。したがって、八戸〜相馬間に見られる水位低下現象は津波とは別のメカニズムで発生しているはずです。その原因は海水が地殻内部の空隙に吸い込まれて落下したことによる退潮現象であるというのが石田理論から推論されるものであります。

今回の地震で退潮現象が記録されたという意味で報道されたビデオは貴重な記録だと思っています。

PS[1843]参照:八戸〜相馬間は引き領域が手前(震源より西側)にあります。

([1654]を書くまで、CMT解の解釈を早トチリ(TとPを逆に判断)していました。押し円錐軸は東向きに傾斜していると解釈するのが正解です。[1637]、[1643]などは西向き傾斜のままになっています。)

しかし、引き領域で地盤が沈下したのなら、水面変動は上昇するはずですから、退潮現象の理由にはなりません。

退潮現象の理由として今一つ考えられるのは[1640]のモーゼ効果です。地震学は研究課題がまだまだ多くありそうです。

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